空間認識能力を鍛える方法11選!鍛えるメリットや低い子供の特徴も!
空間認識能力が日常生活や学校・社会生活のどのような場面で発揮されるかご存知でしょうか。空間認識能力が高いことで生じるメリットや、空間認識能力が低いことで起きてしまうデメリットについてご説明いたします。空間認識能力を鍛えるメリットについても見ていきましょう。
目次
空間認識能力を鍛えて距離感を掴もう!
子供のうちから空間認識能力を鍛えるメリットは、普段の生活面だけでなく子供の将来を考える上でも大変重要なことです。今回は空間認識能力を鍛える具体的な方法やおすすめの遊びをご紹介します。
空間認識能力はどんな能力なの?
空間認識能力とは
空間認識能力とは読んで字のごとく、空間を正しく認識できる能力のことをいいます。学術雑誌に掲載された論文によると、空間認識能力の定義は「3次元空間において物体の位置・形状・方向・大きさなどの状態や位置関係を素早く正確に認識する能力のことをさす」とあり、また「この能力によって普段の生活の中で、目の前にないものでも頭の中で想像し、視覚的なイメージを形成することができる」とあります。
一般に男性の方が高いと言われている!
かつて日本でベストセラーになったアラン・ピーズ&バーバラ・ピーズの著書「話を聞かない男、地図が読めない女」を覚えているでしょうか。この本のタイトルにも表されているように、女性は男性に比べて地図を正しく理解するのが苦手だといわれています。実際、フランス国立科学研究センターの研究員らが2018年に発表した研究によると、あらゆる国で250万人以上の空間認識能力を調査したところ、男性の方が女性よりも空間認識能力において優れていたそうです。
空間認識能力が高い人は右脳派?それとも左脳派?
一般的に空間認識能力の高い人は右脳派だと考えられています。自分が右脳派か左脳派か確認する方法はとても簡単です。何も考えずに腕を組んでみて、右腕が上にくる人は左脳の働きがよく、左腕が上の人は右脳の働きがいいとされています。実際、左利きのスポーツ選手は右脳が発達していることが多く、空間認識能力が必要なスポーツで活躍する選手が多いともいわれています。
空間認識能力が低い人はどんなことが苦手なの?
地図が上手く読めない
空間認識能力が低い人の代表的な特徴として、地図が上手く読めないことが挙げられます。物体の位置や形状・方向・大きさなどの状態や位置関係を素早く正確に把握することが難しく、視覚的なイメージを形成できないことが原因と考えられています。
スポーツや球技が苦手
子供のうちに空間認識能力がきちんと養われず低いままだと、将来スポーツ全般の能力が伸びにくくなってしまうといわれています。空間認識能力が低い子供は、動くボールと自分との立体的な位置関係を考えなければいけない球技に苦手意識を持ちやすくなる可能性があります。
人や物との距離が上手く掴めない
空間認識能力が低いということは、自分と人や物の距離が上手く掴めないということです。「車がこちらへ向かってきている。よけないとぶつかってしまう」「車はこちらに向かってきているがまだ遠い。今なら道を渡っても大丈夫だ」という判断を誤りやすいというデメリットが生じます。
空間認識能力が低い子供はどんな特徴があるの?
よく転ぶ
空間認識能力が低い子供は、きちんと気を付けて見ていても転びやすいという特徴があります。物を立体的に把握することができないため、道路の段差がどのくらいあるのか・段差につまづかないためにはどのくらい足を持ち上げればいいかなどがわからないためです。
迷子になりやすい
大きなショッピングモールなどでよく迷子になってしまう子供も、空間認識能力が低い可能性があります。親がずっと同じ場所にいたにも関わらず、子供が一人で歩き回った結果元の場所に戻れなくなることがあります。自分が歩いた経路がショッピングモールの中のどこに当たるのかがきちんと認識できておらず、元に場所に戻ることができないのです。
立体的な絵が描けない
小さい子供が家の中の絵を描くと、人間は横から見た姿で立っているのにテーブルは上から見た状態で描かれたりすることがあります。これは、一定の角度からだと物がどのように見えるかという視点が小さい子供にかけているためです。小学生になると図工で遠近法を習いますが、空間認識能力が低い子供は遠近法を上手に使いこなせないことがあり、立体的な絵が描けない場合があります。
空間認識能力が高いとなにができるの?鍛えるメリットを紹介!
スポーツが得意になる
スポーツ科学を専門とする教授によると、空間認識能力は球技をはじめとしたスポーツにおいて非常にメリットがあることがわかっています。空間認識能力を測定するテストにおいて、ラグビーや野球の競技者は一般人と比べて高いスコアを獲得したのだそうです。フィールドに散らばる多くのプレイヤーの動きを把握しつつ、ボールの速度や軌道を見極め自分もそれに合わせて行動する球技には、非常に高度な空間認識能力を要求されることが想像できます。
立体的な絵が描けるようになる
空間認識能力が高い人は、立体的な絵を描くことができます。物の位置関係・大きさ・距離感などを正確に把握できるため、3次元的に捉えた映像を2次元である絵に落とし込むことができるのです。
空間認識能力を活かした仕事に就ける
空間認識能力の高さを活かせる仕事もあります。例えば一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する「3次元CAD利用技術者試験」の1級・準1級では、2次元の図面を見て3Dモデルを作成する問題が出題されます。これを達成するためには高い空間認識能力が必要です。合格者の具体的な進路は、自動車・機械の設計者やオペレーターとのことです。
空間認識能力を鍛える方法7選!【トレーニング編】
身体を使った遊びをする
空間認識能力を高めるには、やはり3次元の空間を自由に動き回るのが1番です。ただでさえ近年は安全上の理由などで子供が外遊びをする機会が減っているので、意識して外で遊ばせるのがいいでしょう。空間認識能力を鍛える代表的な遊びとして、鬼ごっこが挙げられます。鬼ごっこは、常に自分と鬼の位置を把握しつつ園庭や公園にある障害物を利用して移動ルートを考える遊びです。高いところに登れば鬼を回避できる「高鬼」や、鬼が指定した色の物体を探しながら逃げる「色鬼」などは特に周囲への注意力が高まります。
会話の時に空間を意識した言葉を使う
会話の時に、大きさや方向など、具体的に空間を意識した言葉を使うことで空間認識能力を鍛えることができるといわれています。普段は「そっち」「こうやって」という指示語で済ませてしまっている会話に、物の大きさや方向をを具体的に示す言葉を取り入れてみましょう。
絵を描く
絵を描くことも空間認識能力を鍛えるトレーニングとしていい方法です。絵を描くという行為はスポーツと全く関係ないように思われますが、実は絵を描くことで空間認識能力を鍛えることができます。ただし、絵を描くといっても、キャラクターの絵を書き写すのでは意味がありません。つまり、平面の物を描くのではなく、景色など立体的な物、具体的には建物と建物の距離感や大きさ、色や影、角度等を感じられる絵を描くことがおすすめです。
目を閉じて直観力を働かせる
空間認識能力は、目を開けている状態よりも閉じている状態の方が活発に働くことがわかっています。例えば、目の前に置いてあるものを手に取るなど、日常の中で何気なく行っている作業を両目を閉じて直観力を働かせて行動してみるだけで空間認識能力は鍛えられます。周りに危険なものがないか確認してから挑戦しましょう。
スポーツ観戦をする
空間認識能力を鍛える方法として、スポーツ観戦をすることも挙げられます。例えばバスケットボールであれば、味方がどこにいてどのようにパスを出せば最も相手に邪魔をされずに得点のチャンスへつなげられるかを判断しなければなりません。このように、自分と空間の関係・周囲にいる人の位置や動きなどを的確に判断できる能力こそ空間認識能力です。テレビなどのスポーツ観戦でも、自分がコートに立って相手の位置や動きを観察しているように見ていれば空間認識能力を十分に発揮することが可能なのです。
部屋の模様替えをする
部屋の模様替えをすることも空間認識能力を鍛える方法として非常に有効です。部屋の片づけや模様替えは、決められたスペースを効率よく使わなければうまく部屋が片付きません。そのため、うまく片付ける工夫をすることは空間認識能力を働かせてくれるのです。
正しい姿勢を保つ
正しい姿勢を保つ、ただそれだけのことも空間認識能力を鍛える有効な方法なのです。ソファに寝そべって頭が斜めになった状態でテレビを見ていると、映像の中での位置や形などが理解しづらくなってしまいます。姿勢が正しく保たれないと身体のバランスが崩れ、空間認識能力が働きにくくなるといわれています。反対に、正しい姿勢・水平な目線を維持することで物事を正確に理解したり、身体をコントロールしやすくなります。
空間認識能力を鍛える方法4選!【おもちゃ&ゲーム編】
ジグソーパズル
子供の脳を刺激したり手先を器用にさせるために、小さいうちからジグソーパズルを与えている親御さんもいることと思います。そもそもジグソーパズルは子供の教育のために生まれた物だそうです。ジグソーパズルは、空間認識能力や記憶力が養える無限の展開と可能性を秘めた知育玩具といわれています。また、空間認識能力を研究している学者によると、パズル・ブロック・ボードゲームで週6回以上遊ぶ子供は、空間認識能力を測定するブロック配置テストにおいてそれ以外の子供よりも高いスコアを獲得したということです。
ブロック・積み木
空間認識能力の高さとブロック遊びの関連についてもわかってきたことがあります。空間認識能力が高い子供ほどブロック遊びを好むのか、それともブロック遊びをたくさんしたから空間認識能力が向上したのかは断言できませんが、ブロックを組み合わせて立体造形物を組み立てる行為は、3Dの空間を意識する訓練になっているといえます。ブロックにはさまざまなものがありますが、中でも藤井聡太さんが幼少期から遊んでいたというキュボロは最近話題になりましたね。
一人称視点のシューティングゲーム
家庭用ゲーム機やスマートフォンのアプリケーションで遊びながら空間認識能力を鍛えることもできます。実際どのようなゲームが空間認識能力を鍛えることができるのでしょうか。トロント大学の研究によると、一人称視点のシューティングゲームで視覚処理能力や注意力を向上させることができたと発表されています。
一人称視点のシューティングゲームは、主人公・敵キャラクター・マップ全体が画面に俯瞰的に移る三人称視点と異なり、より現実に近い臨場感が特徴です。画面に現れる敵や目標物に注意を凝らしながら3D空間を移動し、照準を合わせて敵を倒す、このような遊びは非常に注意力を要求されるため、プレイヤーの空間認識能力を高める効果があります。
テトリス
一人称視点のシューティングゲームが空間認識能力を鍛える効果があるとはいえ、小さな子供にシューティングゲームを遊ばせたくない親御さんも少なくないと思います。そこで、小さな子供にも安心しておすすめできるのがパズルゲームのテトリスです。
カブリーニ大学の教授らが発表した論文によると、学生に毎週1時間テトリスをプレイさせ続けると、3ヶ月後には図形回転についてのテストの成績が大きく向上したそうです。上からゆっくりと落ちてくるブロックを回転させ、下に積まれているブロックとうまく組み合わせるゲームです。スマートフォンや携帯ゲーム機で手軽に遊びつつ、空間認識能力を鍛えることができます。
自分に合った鍛え方で空間認識能力を鍛えよう!
いかがでしたか?空間認識能力を鍛える方法はたくさんあり、1つ1つはあまり難しいことではありません。パズルやブロックなど、子供や自分に合った方法を見つけて無理なく楽しみながら空間認識能力を鍛えましょう。