授乳中にチョコレートは食べていい?母乳に影響のない食べ方を解説!
疲れた時のご褒美に甘いチョコレートが食べたくなることってよくありますね。でも授乳中は母乳や赤ちゃんへの影響が心配で躊躇してしまう方もいるのではないでしょうか?そんな方のために授乳中でも安心して美味しくチョコレートが食べられる方法をお教えします。
目次
チョコレートはどんな成分からできているの?
子供の頃から身近にあるチョコレートですが、その成分を詳しくご存知な方は以外と少ないのではないでしょうか。食べたものが母乳に影響する授乳中にでも美味しくチョコレートが食べられるために、その成分を詳しくみていきましょう。
チョコレートは主に熱帯雨林気候地帯で収穫されるカカオ豆からできています。
このカカオ豆の種子を発酵、焙煎、磨砕したカカオマスを主原料とし、これにカカオバター、砂糖、ミルクなどを混ぜて練り調温して固めてできるのがチョコレートです。
カカオバターとは、カカオの脂質分のことでカカオ豆の約50%を占めます。
チョコレートって元々はカカオ豆を潰した飲み物でつくる薬だったって知っていますか?
というのも、カカオ豆の中には身体に優しい成分もたくさん含まれているのです。チョコレートに含まれる主な栄養分を挙げてみました。
ポリフェノール
コーヒーや赤ワインなどにポリフェノールが入っていることはよく知られていますが、カカオ豆にもカカオポリフェノールが含まれています。
ポリフェノールは老化を予防しカラダのサビとなる活性酸素を除去する抗酸化作用、また動脈硬化などの生活習慣病の予防に効果的と言われています。
さらに癌の予防効果やストレス解消などの効果なども注目されています。
ミネラル・食物繊維
食物繊維は腸の掃除役として知られていて、腸内環境を整え, 生活習慣病予防に役立ちます。女性に多い便秘予防にも効果があります。
5大栄養素の一つであるミネラルは摂取量が不足すると欠乏症が起き様々な病気につながってしまいます。
ブドウ糖
ブドウ糖は果物、蜂蜜などに多く含まれる単糖類で動物の生命維持に欠かせないエネルギー源の一つです。特に脳の働きを助け、集中力アップしたい時なとに積極的に撮りたい栄養素です。気分を安定させリラックスさせる効果もあります。
テオプロミン
テオプミンは大脳皮質を刺激し、集中力や記憶力を高める効果があります。
また精神安定に作用し、リラックス効果も発揮します。やる気がないときなどにチョコレートを一つ食べると変化が表れるかもしれません。ただ摂りすぎると興奮状態になったり眠れなくなったりする作用があるので摂取量に注意してください。
カフェイン
チョコレートの主原料であるカカオ豆にはカフェインが多く含まれています。
カフェインは脳を刺激して運動機能や感覚を高める作用があり、眠気覚しの効果があります。さらにはリラックス効果や疲労回復作用、またお肌のシミ防止作用といった美容効果も見られます。
しかし授乳中のお母さんたちはチョコレートが食べたいのに我慢してしまうのはこのカフェインが心配な人が多いはずです。
なかには妊娠中からコーヒー、緑茶などのカフェインの含むものを避けてきた方も多くいらっしゃると思います。このカフェインについてこれから詳しく調べていきたいと思います。
チョコレートのカフェインは赤ちゃんにどんな影響を与えるの?
授乳中にカフェインを摂取すると母乳を通して赤ちゃんにカフェインが与えられてしまいます。カフェインが赤ちゃんに及ぼす様々な影響について正しい知識を身につけていきましょう。
一般的に売られている板チョコレートにはコーヒーのおよそ6分の1程のカフェインが含まれています。
つまりコーヒー1杯につき60mgカフェインが含まれているとに対し、
ミルクチョコレート1枚で10mgのカフェインが含まれているのです。
チョコレートメーカーやチョコレートの種類によってカフェインの含有量がまた異なりますが,代表的な板チョコをみると、カフェインの量はコーヒーに比べて随分と少ないことがわかります。
母乳は血液が原料ですが、母乳に含まれるカフェインの量はお母さんが摂取した量の0.5~1.0%程度といわれています。
チョコレートがやめられなく食べ過ぎてしまった場合、また赤ちゃんがカフェインに敏感体質な場合、カフェインは赤ちゃんの体の中に強く長く残ります。体の小さい赤ちゃんはカフェインを血液濃度から半減させるのに新生児の場合は4日間以上と成人平均の30倍もかかるといわれています。
そんなカフェイン作用の影響として挙げられるのが、
興奮しやすい
寝ない
泣き止まない
落ち着きがない
不機嫌
などの症状が現れることがあります。
赤ちゃんが他に理由もなくぐずったり、寝つきが悪かった場合はチョコレートの量を減らすなどして調節しましょう。
また、妊娠中にカフェインの摂取が多かった場合の乳児は新生児突然死症候群(SIDS)のリスクが有意に高かった(オッズ比:1.65)という結果が得られています(出典はこちら*3)。母乳は母親の血液から出来ています。血液を通した栄養のやりとりがある妊娠中でこの結果が得られていることから、授乳中も同様にカフェインを多く摂取することはSIDSのリスクを上昇させる可能性があることであることが分かりますよね。
からだに悪い影響があるの?
育児から一息つきたいときに食べたいチョコレート、しかしこのやめられないチョコレートによってお母さんの体にどんな影響が出るのかまとめてみました。
虫歯になりやすくなるって本当?
実はチョコレートの主成分であるカカオ豆には虫歯の原因菌の活動を抑えてくれる抗菌作用があります。
しかしチョコレートの製造過程で使われる砂糖やミルクなどの糖質、特に白砂糖が口の中に残ることによって虫歯ができます。
チョコレートを食べ過ぎないよう、また食べた後は砂糖が口の中に残らないよう虫歯予防のためにしっかり歯を磨くことをおすすめします。
食べると太る?
カカオ豆には全く甘さがなく、強い苦味があります。そのためチョコレートの製造工程で砂糖やミルクなどを大量に使い、甘さやなめらかさを出して美味しいチョコレートが出来上がります。
チョコレートの食べ過ぎで太る原因として上げられるのはこの糖分と脂質です。
さらにこのチョコレートは依存性が高い食べ物なのです。
これはチョコレートを食べることによって脳の中にセロトニンというホルモンが分泌されるからです。これは幸福感や充実感を感じる脳内ホルモンで口の中になくなってしまうとさらにもっと食べたい、やめられない!という気持ちが出てきます。
糖分、脂質によって高カロリーになったチョコレートをつい食べ過ぎたら当然のごとく体重も増えてしまいます。チョコレートのカロリーに気をつけ、食べ過ぎにも注意することをおすすめします。
ニキビができちゃう?
チョコレートを食べた次の日にはニキビができたという経験をされた方もるのではないでしょうか。
ところがアメリカの研究によるとチョコレートはニキビの直接的な原因ではないということが発表されています(出典はこちら*4)。
実際のニキビの原因をして考えられるのは糖質と脂質、またチョコレートにも多く含まれている食物添加物の過剰摂取により毛穴を詰まらせニキビをつくってしまうのです。
よってチョコレートに限らず糖質、脂質の多いお菓子類の食べ過ぎは肌に良くないことがわかります。食べ過ぎに注意して、上手に摂取量を制限しましょう。
乳腺炎になってしまう?
授乳中のお母さんにとって乳腺炎はとても辛くて痛い経験、できたらなりたくないものです。
チョコレートが乳腺炎によくない原因として、市販のチョコレートに含まれる脂質であるトランス脂肪酸が多いことが挙げられます。このトランス脂肪酸は食べるプラスチックといってもいいくらい体に悪いと言われていますが、高級なカカオ豆に比べてコストが安いためにチョコレートの製造過程でたくさん使われているのです。
これを食べ続けることで血液がドロドロになりそれが詰まって乳腺炎を結果的に引き起こしてしまいます。
またチョコレート(脂質、糖分)の食べ過ぎで母乳の味が変わってしまい、赤ちゃんがその母乳を受け付けてくれなかった場合にも乳腺炎を招いてしまうので気をつけましょう。
食べたチョコレートにアルコールが入っていたら?
授乳中のアルコール摂取による母乳への影響は多々あります。
脳や内臓な未発達な赤ちゃんが母乳を介してアルコールを摂取することにより、落ち着きがなくなる、ぐずる、情緒不安定になるなどの症状が現れ、急性アルコール中毒を引き起こすこともあるといわれています。
またアルコール摂取により母乳の味が変わって赤ちゃんが母乳を飲まなくなってしまったり、母乳を作るための育児ホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌が悪くなり、母乳量が足りなくなってしまう可能性もあるのです。
授乳中のアルコール摂取は十分な注意が必要ですが、洋酒入りのチョコレートは多少でしたらあまり影響はありません。製品にもよりますがウイスキーボンボンのアルコール度は2%前後といわれています。少量食べる分には母乳になる前に分解されるため、基本的に母乳には影響がないといわれています。
しかしお母さんの身体のアルコールの分解能力や速度や赤ちゃんのアルコールへ反応には個人差があるため食べ過ぎ内容に注意しなければなりません。
もし心配ならば食後3時間以上あけて母乳からアルコール濃度が低減した後に授乳するのがおすすめです。
授乳中でもチョコレートを楽しむポイント
板チョコ1枚くらいが適量
どうしてもやめられないチョコレート。では1日に摂取できるチョコレートの量はどれくらいなんでしょうか。
WHO(世界保健機関)によると授乳中の1日のカフェイン摂取量は300mg程度、つまりコーヒーで換算すると1日3~4杯までにすべきとされています。
カフェインの影響のほかにも考えられるチョコレートに含まれる糖質や脂質の量を考慮すると1日板チョコ1個くらい食べるのは問題ないようです。
1日の許容量までであれば、食べたいチョコレートを無理に我慢する必要はありません。チョコレートをゆっくり楽しみながら心身ともにリラックスすることは母子の健康によい効果もあるのでおすすめです。
1日に食べる量を減らすために小分けにして保存する
授乳中のお母さんでもチョコレートをおいしく安全に食べるコツは適量を守ることです。
そのための対策の一つとしておすすめなのは、初めから小分けにして保存しておくことです。
大袋から食べるよりも1日食べる分をはじめから小さく分けてから保存しましょう。
たくさんの量のチョコレートを少しずつ食べるより、小分けした一袋を一度に全部食べてしまう方が心理的に満足感、満腹感が得られるのでおすすめです。
カフェインには依存性があります。その依存症を防ぐためにも1日の摂取量をはじめから決めてしまうのが食べ過ぎ予防には効果的でしょう。
ビターなど、カフェインを含む量が多い種類は避ける
チョコレートといってもその種類はとても豊富にあります。
その中から授乳中のお母さんにとって最もふさわしいチョコレートを選んで食べれば、赤ちゃんへの影響を心配することなく美味しく食べられます。
授乳中に控えたいチョコレートの種類として、
高カカオとして知られるビターチョコレート、ダークチョコレートが挙げられます。
これらのチョコレートはミルクチョコレートよりもカカオマスが70%から90%などとより多く使われており、カフェインの量も3倍程度といわれているのでおすすめできません。
市販のチョコレートの表示をよく見て、カカオ豆の多いチョコレートはカフェインによる赤ちゃんへの影響を考え避けたほうがいいようです。
授乳後に食べるようにする
チョコレートをどのタイミングで食べるのが一番いいのでしょうか。
授乳中のお母さんが口にしたものが母乳になって出てくるのは30分から2時間後がピークといわれています。その後は血中の半減期に向かって濃度が下がっていくので、チョコレートを食べる時間と授乳時間が空いたほうが赤ちゃんへの影響は出にくくなります。
お母さんがチョコレートを食べるのは授乳後のお楽しみにとっておくことがおすすめです。
どうしてもたくさん食べてしまうとういう人は
授乳中だからといって大好きなチョコレートを我慢するのは育児を頑張っているお母さんにとっては大きなストレスになってしまいます。チョコレートがやめられない、つい食べ過ぎてしまう、という人たちのためにおすすめの食べ方を紹介します。
チョコレート製品の中にはカカオ豆の含有量が少ないものもあります。
ホワイトチョコレートは製造過程でカカオマスが配合されていません。よってカフェインはほとんどありません。ただ、その代わりにカカオバターや糖質を多く使うのでカロリーは高めに作られています。食べ過ぎに注意しながらカフェインの微量なホワイトチョコレートを上手に楽しむのもおすすめです。
また準チョコレート菓子の分類にあるチョコパイやチョコレートケーキもカカオの含有量が少なく、カフェインの心配がないため授乳中でも安心して食べられます。
チョコレートはカカオ分35%以上、あるいはカカオ分21%以上でカカオ分と乳固形分の合計が35%以上のチョコレート生地を全重量の60%以上使用されているのに対し、
準チョコレートはカカオ分が15%以上、またはカカオ分7%以上かつ乳固形分が12,5%以上の準チョコレート生地を全重量の60%以上使用されています。
チョコパイやチョコレートケーキといった準チョコレート菓子は準チョコレートを全体の60%未満使用し、パイ生地やビスケット、スポンジケーキといった他の食品を組み合わせた加工品のことです。
どうしてもチョコレートがやめられない、という人はチョコパイ、チョコレートケーキなどの準チョコレート菓子で代用してみるのもひとつの方法としておすすめします。
市販のチョコレートやチョコパイを購入する際は裏の表示をよく見てから選ぶと良いでしょう。
授乳中も適度にチョコレートを楽しもう!
授乳中でも食べる量、種類、タイミングをうまく調節しながらチョコレートを美味しく食べることはストレス解消のためにも大切なことです。
あまり神経質にならず、育児を頑張っているお母さんへのご褒美としてチョコレートを上手に楽しんでください。
出典はこちら
1. 日本チョコレート、ココア協会
2.【医師監修】授乳中はカフェインの摂取を制限するべき?ヘルスケア大学
3. Heavy caVeine intake in pregnancy and sudden infant death syndrome
4. チョコレートはニキビの原因になる?