2019年04月16日公開
2019年04月16日更新
年末調整の還付金を徹底解説!いつ、いくら戻るの?計算方法は?
なんとなく年末くらいに聞く言葉だなという認識はある年末調整の、いつ頃、どんな方法で計算されているのか、年末調整の還付金の計算方法、年末調整の還付金がもどって来るのはいつ頃かなど、ざっとまとめています。還付金のことを知って次の年末調整に備えませんか。
目次
年末調整の還付金っていつ、いくら戻るの?
年末調整という言葉を知らない社会人はいないでしょう。でも、いつどれくらいどんな風な計算方法で還付金が戻ってくるのかよく知らないという人は案外多いのではないでしょうか。こちらでは、年末調整の還付金に関することをまとめています。年末調整や還付金についてざっと知っておきましょう。
そもそも「年末調整」とは
年末調整は、暫定的に支払ってきた所得税を確定する時期のことです。所得税は、毎月の給料で源泉徴収という制度の下で差し引かれています。会社や事業者から給与をもらっている人は、所得税を源泉徴収で税務署にすでに納めているわけです。この毎月差し引かれている所得税の税額、実は暫定的な税額なんです。
所得税の税額を確定するために、所得税のかかる所得額を年に1度調べて計算し確定するのが年末調整の役目です。源泉徴収で納めた税額が多いか少ないかが分かります。多い場合は還付金が戻ってきて、少ない場合は追加で徴収されます。
年末調整で還付金がある人はどんな人?
年末調整で還付金がある人は、会社や事業所などが把握していない所得控除対象の保険料などを個人的に支払っている人です。まずはじめに、控除対象の保険などを見てみましょう。
■所得控除になる保険など
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・住宅ローン控除
・小規模企業共済等掛金控除
・障害者控除
・勤労学生控除
・寡婦(寡夫)控除 など
暫定的に支払ってきた所得税の税額は、上の所得控除になる保険料などが差し引かれていない所得から計算されています。年末調整では、下の計算式のように保険料など支払ったものを差し引いた所得金額に対しての所得税額を確定するわけです。
所得(給与・賞与)( - 給与所得控除)- 所得控除になる保険料など = 確定所得金額( 所得税がかけられる所得の金額 )
つまり、給与や賞与から源泉徴収として所得税を暫定的に納めている人で、控除対象の保険料などを支払っている人は還付金がある可能性がとても高いわけです。
年末調整の還付金はいつどうやってもらえるか?
一般的な会社に勤めていて生命保険料など払っていたら還付金がもらえる可能性が高いと分かりました。では、実際還付金はいつ頃もらえるものなのでしょうか。
還付金の受け取り時期
還付金を受け取ることができる時期がいつ頃かというと、12月~翌年1月頃です。時期のばらつきは、会社や事業者によって年末調整の作業が終わる時期が違うためです。年末調整の完了が早いと申請も早くなり還付金も早く戻ってきます。還付金をいつ受け取ることができるかというと、早い会社は12月中、遅い会社は翌年1月頃ということです。
還付金の受け取り方法
還付金の受け取り方法も会社や事業者によって異なります。3パターンほど受け取り方法があります。
受取方法1:給与と一緒に振込み
受取方法2:還付金のみ振込み
受取方法3:手渡し
受け取り方法はこの3パターンが多いのではないでしょうか。会社や事業者によって、手渡しか振込みか受取方法を選ぶことができることもあります。
年末調整の還付金額はいくらくらい?
給与と一緒に還付金が振り込まれると、給与が上がったような錯覚も覚えます。還付金の時期は12月~翌1月ですので、給与と一緒に振込まれる人は明細で確認してみましょう。
還付金の平均金額
還付金の平均金額は、一般的な会社勤めの人で数千円~数万円です。扶養家族が年内に増えた場合は例年より多い還付額に、役職などで所得が多い人で小規模企業共済に加入・idecoなどで控除額が大きくなる場合は還付額が多い可能性もあります。ですが、一般的なサラリーマンは数万円程度でしょう。給与と一緒に振込みされる人は給与明細に額面が記載されていますので確認してみてください。
還付金に最高金額(限度)はある?
還付金の限度額ではなく、控除される保険料などの金額に限度額があります。申請した保険料を給与から差し引いた金額から所得税を計算するのですが、項目ごとに差し引ける限度額があるのです。
ただし、社会保険料の控除上限はありません。自分や家族の国民年金保険料や自分や家族の国民健康保険料や国民年金基金の掛金や後期高齢者医療制度の保険料、介護保険法の規定による介護保険料などは全て控除対象になります。
年末調整還付金の計算方法5つのステップを紹介!
年末調整の還付金を算出するのはとても複雑です。こちらでは簡単に5つに分けてご紹介します。
①給与額を計算する
まず、給与額を計算します。給与額が分かると、控除される所得控除が分かります。
給与など所得金額 | 給与所得控除額 |
162.5万円以下 | 65万円 |
162.5万円~ | 180万円以下収入金額×40% |
180万円~ | 360万円以下収入金額×30%+18万円 |
360万円~ | 660万円以下収入金額×20%+54万円 |
660万円~ | 1,000万円以下収入金額×10%+120万円 |
1,000万円~ | 220万円 |
上の表にある所得控除額を差し引いた金額が、税金を徴収する際の計算のもとになる給与所得になります。
通勤費も課税対象になることがあります。非課税となる上限を超えて支給されている場合に給与に通勤費も含まれます。給与明細で確認しましょう。
②保険料控除額を計算する
控除できる保険料は、生命保険料・地震保険料です。それぞれに上限があります。生命保険料は12万円の上限、地震保険料は5万円の上限です。
・生命保険料
一般の生命保険料と介護医療保険料と個人年金保険料を合わせて控除上限12万円
・地震保険料
地震保険料と旧長期損害保険料を合わせて控除上限5万円
つまり、年間に生命保険料を20万円・地震保険料を15万円支払っていたとしても、上限の生命保険料12万円・地震保険5万円が控除対象となります。
③家族構成の控除額を計算する
家族の控除には、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・本人分の基礎控除などがあります。基本的にはその控除額は38万円です。結婚していて子供がいない家庭では、配偶者控除が38万円、基礎控除が38万円、控除を受けることができます。
以下の場合は注意が必要です。
・1,000万円以上の収入がある場合
・配偶者に収入がある場合
・年内に子供が就職したりアルバイトで103万円以上収入がある場合
・扶養家族に子供がいる場合
1,000万円(サラリーマンだと1,220万円)以上収入がある場合は配偶者控除を受けることができません。また、配偶者控除は配偶者の収入が38万円以下で受けられます。103万円~150万円の収入がある配偶者には配偶者特別控除が適応されます。子供が就職すると還付金が少ない場合があります。扶養家族の子供の年齢が16~18才では38万円の控除が、19~22才では63万円の控除を受けることができます。子供がいつ16才になるか、いつ就職するかが、還付金の多い少ないに影響します。
④所得税額を計算する
それでは所得税額を計算してみましょう。まず、課税所得額を計算します。年末調整では、給与など所得から、控除できる金額の上限を引いた金額が課税対象の課税所得額となります。簡単な式が下です。
所得金額 - ①給与所得控除額 - ②保険料控除額 - ③家族構成の控除額 = 課税所得額
⑤源泉徴収税額を計算する
課税対象の所得金額が分かると源泉徴収税額が分かります。課税所得額と源泉徴収税額は下の表をご参照ください。
課税対象の所得金額 | 税率と控除額 |
195万円以下 | ×5% |
195万円~330万円 | x 10% - 97,500円 |
330万円~695万円 | 20% - 427,500円 |
695万円~900万円 | x 23% - 636,000円 |
900万円~1,800万円 | x 33% - 1,536,000円 |
1,800万円~4,000万円 | x 40% - 2,796,000円 |
4,000万円~ | x 45% - 4,796,000円 |
住宅ローン控除は、課税所得額から計算された所得税額から控除します。住宅ローン控除は、2019年の消費税が10%に引き上げられることに際して、10年間最大控除額40万円は引き続き存続で、11年~13年目の控除が拡充されることが決まっています
年末調整の還付金がもらえない・少ない場合の理由
一般的にサラリーマンで住宅ローンがあり配偶者や家族がいれば源泉徴収されている所得税が年末調整で数千円~数万円戻ってくる場合が多いというのが分かりました。毎年入るはずの還付金がいつもより少ない場合はどんな理由があるのでしょう。
所得税が天引きされていない
所得税が源泉徴収されていない場合は、還付金はありません。所得税が源泉徴収されない場合というのは、社会保険料を控除した後の月の給料が88,000円未満の場合は、所得税は0円になるので源泉徴収されません。つまり、所得税をそもそも納めていないので、還付金は0円ということになります。
所得税の天引き額が不足していた
所得税を年末調整で計算して確定した結果、源泉徴収した額より所得税の方が多い場合があります。この場合、所得税が想定したよりも多い額になったため、暫定的に納めていた税額が少ないということになります。つまり、追加で所得税を徴収されます。追加徴収される時は、一般的には次の給料から差し引かれます。会社によっては手渡しで納めることもありますが、会社にお金を払っているわけではなく、国に税金を追加で徴収されているということです。
勤務先の計算ミス
サラリーマンの人で給与明細に還付金が記載されるような会社や事業所などの場合、年末調整の時期にまとめて社員全体の年末調整をやってくれています。いつでもやって良いというわけではないのが年末調整なので、つまり、作業は1つの時期に膨大にあり、人為的ミスも起こりうるということです。
万能ではないのが人ですから、還付金の金額が少ないとか何かおかしいなと感じたら、年末調整担当の部署などに聞いてみましょう。12月~1月に還付金が戻ってくるので、その時期の給与明細はしっかりとご確認ください。
還付金でなく追加徴収がある場合の理由
年末調整の時期に還付金ではなく追加で徴収がある場合があります。めったに無いことですが、追加徴収がある場合の理由は主に2つ考えられます。
扶養家族が減った場合
暫定的に納めていた所得税が少ないため追加で徴収される理由に、扶養家族が年内に少なくなった場合があります。
・配偶者が働いて扶養からはずれた
・配偶者と離婚して扶養からはずれた
・16歳以上の扶養家族が就職して扶養からはずれた
などがあります。思い当たる時は追加で所得税が徴収される可能性があります。
ボーナス・賞与額が多い場合
ボーナスが多い場合は、追加で徴収されることがあります。ボーナスから源泉徴収される所得税は、前月の給与から計算していることがあります。ですから、給与よりずいぶんと多い額のボーナスだったという時は、税金がボーナス額に対して少ない額しか暫定的に納められていないため、追加で所得税が徴収されることもあります。5倍~のボーナスが支給された時は年末調整の時に気をつけた方が良いでしょう。
年末調整の還付金が少ない・多すぎると気づいたら
年末調整の還付金が少ないと気付いたら、扶養家族やボーナスなど前年度と比べてみましょう。自分で納得できる理由が明確であれば良いですが、気になることは年末調整担当の部署や人に聞いてみましょう。いつが良いかは会社や状況にもよりますが、早い方が良いですし時期を逃すと言い出しにくくもなりますので、気になった時が良いでしょう。
還付金が多い場合も要注意です。後で戻してください人為的なミスがありました、と会社から通達があったらショックですよね。還付金が多い理由に心当たりがない時は、聞いてみましょう。いつ聞こうかと迷っていると時期を脱しますので、気付いた時にさっと確認してみましょう。
年末調整の還付金計算で確認してみよう!
国や会社が個人の生命保険料などを把握はしていないので、年末に一度にまとめて計算する時期が年末調整とも言えます。会社の中でやるという所も会計士に任せていますという所も、人為的なミスが起きる可能性はあります。何かおかしいなと感じたり、分からないことがあったら、聞いてみましょう。
年末調整の還付金を簡単にざっと計算することができれば多少の誤差はあっても、自分で確認することができます。年末調整はいつも同じ時期ですから、自分でしっかり確認して税金を多く納めすぎないように、自分の資産を守ってゆきたいものです。