2018年06月25日公開
2019年11月17日更新
授乳中の湿布が母乳に与える影響は?使う時の注意点は?
授乳中は肩こりや腰痛など痛みを感じる部分が多くなりますが、湿布薬は妊娠前と同様に使っても良いのでしょうか。湿布薬の中にも、授乳中に使えるものと使えないものがありますので、間違えて使ってはいけない湿布薬を使わないように調べておきましょう。
目次
授乳中に湿布を使っても大丈夫?
赤ちゃんのお世話をしていると、ママの身体には色々な負担がかかります。睡眠不足やだけではなく、授乳中の抱っこや普段のおんぶなどで肩こりや腱鞘炎・腰痛に悩まされるママがたくさんいます。
そんな痛みを感じる時、妊娠前と同様に市販されている湿布薬や、場合によっては医師に相談して処方してもらった湿布薬を使えるか不安になるママも多いですよね。
湿布は内服薬に比べると、皮膚から有効成分を吸収するため血中濃度が上がりにくく使いやすい薬だと言えます。しかしながら、母乳に全く影響がないわけではありません。授乳中の使用が推奨されていない湿布薬もあります。
特に頻繁に使用したり同時に何枚も使うことで、薬品の成分が母乳に移行し赤ちゃんに影響を与える恐れがあります。
過去に処方された湿布でも市販の湿布でも、授乳中に新たに湿布を使う時は母乳に影響がないか医師に相談してから使うようにしましょう。
授乳中の湿布が母乳に与える影響は?
医師に処方される湿布と市販で購入できる湿布、それぞれ授乳中でも安心して使えるのか母乳への影響を見ていきましょう。
病院で処方される湿布の場合は
病院で処方される湿布は様々なものがありますが、その多くはモーラステープ(久光製薬)とロキソニンテープ(第一三共)です。
モーラステープの場合
モーラステープの主成分はケトプロフェンと呼ばれる成分です。こちらは、妊娠中や授乳中の女性が安心して使える成分ではありません。
添付文書を見ると「妊婦(妊娠後期以外)、産婦、授乳婦等に対する安全性は確立していない」という文面があります。
また、妊娠後期の女性に対しても胎児動脈管収縮が起きる可能性があるため、使用をしないように注意喚起されています。
病院に行って授乳中であることを告げれば処方されることもない薬品だと思いますが、万が一家族が使っていたとしても間違えて使用することのないように十分に注意しましょう。
余談ですが、モーラステープの副作用には「光線過敏症」というものもあります。こちらはモーラステープを貼った状態で日光に当たったり、剥がしてすぐ日光に当たると皮膚が炎症を起こす深刻な副作用です。
最近は夏ではなくてもこちらの光線過敏症に苦しむ人も多いため、授乳中でなくても注意して医師や薬剤師に言われた使用方法を守るようにしましょう。
ロキソニンテープの場合
ロキソニンの主成分であるロキソプロフェンナトリウムも、妊娠中もしくは授乳中の女性に対する安全性は確立していないと言われています。
ロキソニンテープは、現在第一類医薬品として医師の処方箋がなくても薬剤師に相談すれば購入可能な医薬品ですが、授乳中に使える湿布としては適していないので安易に使用しないように注意しましょう。
また、ロキソニンテープではなく内服薬のロキソニンも授乳中には注意が必要です。授乳中の頭痛薬の服用が大丈夫かどうかは以下の記事で解説していますので、ぜひ読んでみてください。
市販の湿布の場合は
市販の湿布薬の場合は、ドラッグストアで薬剤師や登録販売者に相談することで比較的容易に入手できます。
その中でも、
- インドメタシン
- ジクロフェナクナトリウム
自分で湿布薬を購入する場合、大丈夫かどうかの判断は上記の成分の有無でするのも良いですね。
直接問い合わせてみるのも
薬剤師や登録販売者に相談するのも有効な方法ですが、一番安心できるのはやはり湿布を作っている会社に直接問い合わせることではないでしょうか。
上で紹介した久光製薬や第一三共では、お客様窓口が設置されているので、不安な人はそちらの会社に大丈夫か確認するのが良いでしょう。もちろん、処方元である医師に相談するのも良い方法ですね。
幸運なことに、湿布薬を貼りたい場合は他の疾患に比べて緊急性が低い場合が多いですので、授乳中に使うことで母乳への影響が大丈夫かどうか相談してから使用するのをおすすめします。
授乳中でも使用できる市販の湿布薬は?
市販の湿布薬のうち、授乳中でも使用できると記載されている湿布薬を紹介します。
サロンパスシリーズ
久光製薬から発売されているサロンパスシリーズは、湿布薬の中でも知名度が高い商品ですよね。添付文書にも「授乳中は避けること」という記載もありません。
市販の湿布薬の中でも、サロンパスシリーズは種類が多いことで有名です。
その中でも授乳中に問題なく使えるのは
- のびのびサロンシップF
- のびのびサロンシップS
- のびのびサロンシップα無臭性
- サロンシップL
- サロンシップ(巻貼タイプ)
ボルタレンEXテープ
グラクソ・スミス・クラインから発売されているこちらの湿布薬も、添付文書の中に「授乳中は避けること」という記載はありません。
主成分もジクロフェナクナトリウムなので、授乳中に使用しても問題ないとされている成分ですから安心ですね。
ボルタレンEXテープは、先ほど紹介したサロンパスシリーズに比べて香料が苦手な人にも使いやすいテープとなっております。刺激的な匂いが苦手な人はこちらを選択しても良いですね。
授乳中に湿布を使用するときの注意点は?
成分による母乳への影響が少なくても、授乳中に湿布を貼る時は場所は時間帯に気を付ける必要があります。
まずは場所ですが、上半身に貼ることで赤ちゃんにも湿布の匂いが伝わってしまいます。湿布の匂いは刺激があるので、赤ちゃんが母乳を飲まなくってしまうことがあるので気を付けましょう。
手首など、赤ちゃんによく触れる場所に貼る際にも注意が必要です。湿布の匂いは大人にも強烈ですが、刺激に慣れていない赤ちゃんにはもっとき強烈に感じられるので注意してあげましょう。
時間帯に関しては、匂いがあまり赤ちゃんに伝わらないように授乳後に貼るようにするのが良いでしょう。また、お風呂からあがった後は湿布を貼らないなど、出来るだけ匂いを残さないように工夫しましょう。
授乳中に出来る湿布に頼らない対策は?
授乳中にも使える湿布薬はありますが、可能な限りは貼らなくても大丈夫な状態に持っていくことが母乳への影響的にも匂い的にも好ましいですよね。
ストレッチをしよう
授乳中に肩や腕に痛みを感じた際は、すぐに湿布に頼るのではなくストレッチをしてみましょう。痛みは筋肉の緊張によって生じている場合が多いので、深呼吸しながらストレッチをするのがおすすめです。
腰の場合はバランスボールなどを使ってほぐすのも効果的ですね。ストレッチ中に赤ちゃんにぶつかってしまうことがないように、お昼寝中など大丈夫な時間帯を見極めてストレッチしましょう。
自分で処置してもなかなか痛みが引かない場合は、マッサージや整体の施術を受けることもおすすめです。専門家に相談すると、姿勢の分析や効果的な対応策など教えてもらうことが出来ます。
授乳中でも簡単にできるストレッチを聞くことも出来ますし、外出は気分転換にもなるのでぜひ相談してみましょう。
サポーターや骨盤ベルトを付けよう
市販の手首サポーターや骨盤ベルトの装着も痛みの軽減には有効です。痛くなってからではなく、最初からつけておくことで予防効果も期待できます。
病院に行けばテーピングの方法も教えてもらえるので医師への相談も有効です。しかしながら、これらの方法はあくまで補助的なものだと考え、極力痛みを感じる部分を使わないようにすることが最優先です。
一人でがんばりすぎないようにしよう
痛みがある時は、一人で抱え込む必要はありません。母乳は無理でもミルクをパパにお願いしたり、自分の実家やパパの実家が頼れるなら力を借りましょう。
ママが痛みによってストレスを溜めると、母乳にも悪影響です。赤ちゃんのお世話を万全の状態でするためにも周囲の人に助けを求めましょう。
授乳中の湿布は医師に相談してから
市販の湿布の中には、授乳中でも使えるものがあります。しかし、問題なく使えるとはいえ決して使用を推奨されているわけではありません。
授乳中に湿布を使いたくなった時は、必ず医師に相談してから使うようにしましょう。
湿布などで痛みを軽減させるのも大切ですが、痛みに関わらず体調が悪い時は周りの人に頼ることが心身ともに一番の薬です。周りと協力して、笑顔で赤ちゃんを育てていきましょう。
↓授乳中の薬の服用について、悩む人の多い花粉症の薬についても解説しています。