母乳はいつから出るの?出ない時の対処法やおっぱいのケア方法を解説!
出産したら、すぐに母乳が出るものだと思っていませんか?出産後も母乳が出なくて悩んでいるママは、実はたくさんいるのです。母乳はいつから出るのか、どのようなケアをしたらいいのか、そしていつからおっぱいケアを始めたらいいのかなどを、ここで紹介していきたいと思います。
目次
母乳はいつから出るの?
初めて母乳の出る時期(初乳)は、初産・経産婦に関わらず、平均産後2〜5日だと言われています。しかし、その人の体質などによっても変わってきます。
母乳が出る仕組みは?
妊娠中は、「エストロゲン」と「プロゲステロン」という二つのホルモンの分泌が盛んになり、乳腺が発達します。
出産後、赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらう刺激によって「プロラクチン」と「オキシトシン」の二つのホルモンがたくさん分泌されます。この二つのホルモンは、血液から母乳を作る指示を出し、乳腺を通って母乳が出るように働きかけます。
母乳の種類には大きく分けて二つあり、産後10日くらいまでに出る母乳を「初乳」といい、その後に出る母乳を「成乳」といいます。
初乳は通常の母乳(成乳)に比べて黄色く、トロッとしています。また、初乳には豊富な栄養と、細菌から赤ちゃんを守るための免疫成分がたくさん含まれています。
成乳は、初乳よりもたんぱく質や免疫成分は少ないですが、引き続き成乳にも含まれています。
いつから母乳が出るようになるの?
母乳はいつから出るのか、気になるママは多いですよね。平均的な初乳の出る時期は、初産・経産婦に関わらず、産後2〜5日くらいだと言われています。
しかし、母乳が出始める時期は、人によって差があります。産後数週間経ってから出る人もいれば、妊娠中に「乳汁」と言われる分泌液が出る人もいます。
「経産婦は母乳が出やすい」というイメージを持たれている方も多いと思いますが、そんなことはなく、経産婦の方でも初乳の出る時期が遅い人はたくさんいます。
平均時期に母乳が出ないからといって、あまり落ち込みすぎない事が大事です。産後2〜5日というのは、あくまで「平均の日数」であって、多少の個人差はあるのです。
妊娠中でも母乳が出ることはあるの?
妊娠中でも、妊娠中〜後期になると母乳が出る事があります。「プロラクチン」というホルモンの分泌が増える事で乳腺が開き、初乳が出るのです。
妊娠中に母乳が出るのは、特に経産婦に多いと言われていますが、人によっては初産婦でも出る場合もあります。
母乳の出る量にも個人差があり、下着に黄色い染みがつく程度の人や、服にまで染み付いてしまう人もいます。量の多い人は、妊娠中から母乳パットという吸収パットを下着につけておくと安心でしょう。
初乳が出た場合は、無理に絞りだそうとせず、優しく拭き取るだけで大丈夫です。
母乳はいつからたくさん出るようになるの?
母乳のたくさん出始める時期にも、ある程度個人差があります。
産後の母体の状態によっては、産後一週間後ほどで母乳の量がどんどん増える人もいれば、一ヶ月健診くらいまで頑張ってようやくたくさん出るようになる人もいます。
「いつから」というのは一概には言えませんが、だいたいの目安としては、産後ママの体が回復してきた頃が一般的と言えます。
産後は身体的にも精神的にも疲れている状態なので、家族や周りのサポートに頼りつつ、なるべくストレスのたまらないように身体を休めて回復していきましょう。
母乳はいつから出た?先輩ママの体験談
母乳の出る時期に個人差があるとはいえ、いざ思うように母乳が出ないと不安になりますよね。
ここで、「いつから母乳が出たのか」「初産や経産婦の違いはあるのか」など、参考までに先輩ママの体験談をいくつか紹介していきます。
"退院ギリギリの初乳"
私は出産翌日から乳管開通マッサージを始めたのですが、なかなか出ず・・・。ネットで『いつから母乳が出るのか』『母乳の出る平均時期とは』って、ずーっと検索してました。ようやく産後5日目で急におっぱいが張ってきて、なんとか退院ギリギリで初乳が出ました。人それぞれだと聞くけど、病院内で同じ時期に出産した人たちの中では遅い方だったし、みんな退院する頃にはたくさん母乳が出ていたのでけっこう焦りました〜。(20代/5歳児ママ)
"経産婦だけどなかなか出なかった"
一人目の時は産後わりとすぐ母乳が出たのですが、二人目の時はなかなか母乳が出ませんでした。「経産婦はすぐ出るし量も多い」って聞いてたから、余裕だと思っていたのでかなり落ち込みました。赤ちゃんも体重が減少してきてしまい、看護師さんから「ミルク足しましょうか」と言われて、泣く泣くミルクを足しました。結局マッサージなどをしてようやく産後二週間で母乳が出るようになったのですが、赤ちゃんも思うように飲んでくれず、結局母乳とミルクの混合になりました。経産婦だから母乳はたくさん出るものだって思い込んでたけど、結局経産婦とか関係ないんだなあと実感しました。(30代/3歳と7歳児ママ)
"平均値ばかり気にしてた"
妊娠・出産って、どんなことも「個人差がある」とか言われるけど、それでも自分は初めての出産だったから何かと平均と比べてしまって辛かった。周りはいつから母乳出てるんだろうってすごい気にしてたし、比べて落ち込んで泣いてしまう日もあった。産後四日目でようやく出たけど量が少なくて、結局赤ちゃんの体重が平均よりも全然増えなくてまた落ち込んだり。。とにかく平均値にとらわれてばっかりで、ずっとイライラしてた。今子供は2歳になるけど、何の問題もなく元気に成長してるし、あの時もっと「自分は自分、人は人」って割り切って授乳も楽しめば良かったなと思う。(20代/1歳児ママ)
"妊娠中から母乳が・・・"
私の場合、初産だったけど、妊娠中期に入ってから母乳が少しだけ出るようになった。最初は、乳首から白いカスみたいなのがつくようになって、なんだろうと思って調べてみたら、母乳が固まったものなんだと分かった。それからはマッサージのたびに優しくふき取ったり、なるべく乳首を清潔に保つようにした。妊娠後期に入ってからは、母乳の出てくる量が少しずつ増えて、ブラジャーに黄色い染みがついてしまうようになった。けっこうな量が出てたから、出産したあと赤ちゃんにあげる分の母乳なくならないか心配だったけど、全然問題なく母乳をあげることができた。(30代/小学生ママ)
"おっぱいケアをサボって後悔"
妊娠中、助産師の方におっぱいチェックしてもらって、ちょっと乳首が硬かったから「おっぱいケア初めておいてね」と言われたんだけど、なんだかんだ忘れちゃってたり、面倒くさかったりで、おっぱいケアを怠ってしまっていました・・・。いざ出産して授乳するってなった時、案の定乳首は痛いし赤ちゃんには吸ってもらえないしで、めちゃくちゃ後悔しました。(30代/3歳児ママ)
母乳が出ないときに考えられる理由は?
厚生労働省によると、ママの授乳・食事に対しての不安な時期を調査した結果、子供の年齢別で見ると「出産直後」が最も高く、特に6ヶ月〜1歳未満の場合には39.7%にも上り、授乳に対しての不安が一番多いことが分かりました。
授乳について一番困ったことでは、「母乳が不足気味」が32.5%、「母乳が出ない」が15.6%という結果で出ています。
このように、初産・経産婦に関わらず、産後もなかなか母乳が出ずに悩んでいるママは、実はたくさんいるのです。
母乳が出ないときに考えられる理由としては、大きく二つあります。
赤ちゃんにおっぱいを吸わせていない可能性
乳首の形や硬さによっては、赤ちゃんがおっぱいを吸いにくい場合もあります。赤ちゃんの口の形にうまく入らず、赤ちゃんがうまく母乳が吸えないのです。
また、授乳をする時の姿勢も重要です。赤ちゃんとママにきちんと合った姿勢で母乳をあげる事で、赤ちゃんの母乳の飲みやすさが変わってきます。
乳首が赤ちゃんの口にしっかり入っているか、どの姿勢が飲みやすいかなど確認しながら授乳してみましょう。
ストレスが溜まってしまっている可能性
母乳が出ない原因として、ストレスが一番影響があると言えます。
妊娠・出産は、身体的にかなりの疲労やダメージを伴います。それに加えて、ホルモンバランスの急激な変化や、寝不足などによって、いわゆる「マタニティ・ブルーズ」に陥ってしまう事もあります。
母乳が思うように出ない事で、それがさらなるストレスとなり、母乳がどんどん出なくなってしまいます。母乳の量や出る時期は人それぞれなので、平均時期に母乳が出ないからといってあまり考え込まず、辛い時は周りにサポートにしてもらうのも大事でしょう。
また、母乳が出ない原因として、上記で挙げた理由以外にも、「水分不足」「栄養不足」「冷え」「おっぱいの詰まり」「貧血」「ホルモンバランスの乱れ」などが考えられます。
産後のママの身体は、自分が思っているよりもデリケートです。ちょっとした事が原因で、母乳が出にくくなってしまうのです。まずは、改めて自分の身体がどんな状態なのかを見直してみるといいかもしれません。
母乳が出ないときはどうすればいいの?
初産・経産婦関わらず、母乳(初乳)が出始める時期は平均産後2〜5日です。しかし、それを過ぎても母乳がなかなか出ない場合があります。
そのような場合は、次のような対処法を実践してみましょう。
とにかく吸ってもらおう
「母乳が出る仕組みは?」の項目で説明した通り、赤ちゃんに吸ってもらう事で、「プロラクチン」と「オキシトシン」の二つのホルモンが盛んに分泌され、母乳が出るのを促してくれます。
なので、まずは赤ちゃんが吸いやすいようにマッサージなどで乳首の状態を良くし、とにかく赤ちゃんに乳首を吸ってもらうようにしてみましょう。
乳首ケアも試してみよう
赤ちゃんが吸いやすい乳首は、柔らかくて伸びが良く、ある程度の高さもあるものです。
一日に何回も赤ちゃんに乳首を吸われていると、だんだんとカサカサしてきたり傷ができやすくなってきてしまうので、たくさん保湿するなどのケアが必要となります。
少しでも赤ちゃんが吸いやすい乳首になるよう、しっかりとケアしていきましょう。
おっぱいマッサージをしよう
おっぱいマッサージは、乳房の基底部をよく動かす事で母乳の分泌を促す事ができます。湯船の中で行うと、おっぱいの血流が良くなり、より効果が期待できます。
さらに、母乳が詰まってしまったことによって炎症が起こってしまった場合も、マッサージをすることによって詰まりを軽減する事もできます。
マッサージ法は、ネットや本などを参考にするのも良いですが、自己流でやってもうまくいかない場合は助産師の方におっぱいマッサージをしてもらうといいでしょう。
妊娠中にもおっぱいケアをしよう!
「いつからおっぱいケアを始めたらいいんだろう」と悩む方もいると思いますが、妊娠中から徐々にケアを始める事をオススメします。
乳首が硬くて伸びが悪い、乳管が開通していないなど、何もケアをしてないおっぱいは、いざ授乳を開始した時に乳首が切れてしまったり、乳腺炎になるなどのおっぱいトラブルにつながる事があります。
また、赤ちゃんも乳首が吸いずらく、母乳が飲みづらくなってしまいます。
なので、妊娠中から少しずつ、マッサージや保湿などのケアをしておっぱいの状態を良くしていくのも必要です。
妊娠中のおっぱいケアとは?
妊娠中におっぱいをケアすることで、乳首の伸びが良くなったり、乳首自体が柔らかくなり、乳管が開通して母乳が出やすくなったりなど、少しでも授乳に適したおっぱいの状態にしていく事ができます。
まずは自分で乳首をつまんでみて、自分がどの程度マッサージが必要なのか、いつから始めていけばいいかなどを、担当医や助産師に相談してながら始めてみましょう。
必ず助産師や担当医に相談してから始めよう
妊娠中のおっぱいケアは大事ですが、乳首を刺激する事によって子宮収縮が起こりやすくなってしまいます。
なので、妊娠初期のデリケートな時期や、切迫早産で張り止めを処方されている方はやめておきましょう。マッサージ中にお腹が張ってきた場合も、すぐに中断してください。
また、おっぱいケアは産院によって方針が違うので、自己判断で始めずに、いつから始めていいかなどを必ず担当医や助産師に相談してから始めるようにしましょう。
妊娠中でもできるおっぱいケアのやり方
ここでは、妊娠中でもできるおっぱい全体のマッサージ法と、乳輪・乳首のマッサージ法をいくつか紹介していきます。
乳輪、乳首のマッサージ
乳輪、乳首のマッサージでは、乳首を柔らかくする他に、うっ血やむくみ・乳腺の詰まりを取り除く効果が得られます。
圧迫法
乳首を圧迫していく方法です。上下に挟むように圧迫していきます。
普通で3秒、乳首が硬ければ5~10秒かけて少しづつ圧を加えながら圧迫します。
圧迫する指が白くなるくらいまで充分圧迫しますが、痛みを覚える程、無理矢理してはいけません。
最初はゆっくり、乳頭・乳輪部を、位置、方向を変えながら1分くらい圧迫します。乳首の硬い人、過敏な人は2、3分くらい充分行ってください。
横向き法
次に、横向きに乳首を揉む方法です。こよりを作る要領で揉みずらします。
横方向と縦方向にこよりを作るような感じで、もみずらします。最初はゆっくり、痛くない程度に、ある程度したら充分にもみます。
乳首が敏感で、圧迫刺激だけでも痛い人は、まず圧迫刺激に慣れるようにします。
おっぱい全体のマッサージ
おっぱい全体のマッサージは、乳腺を発達させて母乳作りを促すとともに、赤ちゃんが安心して母乳が飲む事ができるようケアしていくことです。
- マッサージする方の乳房を反対の手で支え、もう片方の手を脇下の乳房周辺部に当てる
- 乳房の外側から内側に向かって、両手で押す(3回繰り返す)
- マッサージする方の乳房を反対の手で斜め横から支え、もう片方の手を添える
- 両手で斜め上に向かって押す(3回繰り返す)
- マッサージする方の乳房を反対の手で下から支え、もう片方の手を添える
- 両手で上に向かって押し上げる(3回繰り返す)
母乳が出るのが遅くても悩み過ぎないように!
母乳の出る時期は、本当に人それぞれです。初産ですと、周りや母乳の出る平均時期と比べてしまうでしょうし、経産婦の方は『一人目の時はちゃんと出たのに』と戸惑ってしまうかもしれません。
しかし、あまり過度に気にしすぎてしまうと、余計にそれがストレスとなり、さらに母乳が出なくるという悪循環に陥っていまいます。
母乳が出ない事で自分を責めてしまう人もいますが、母乳が出ないからといって母親失格になるわけではありません。
自分なりに母乳が出るように試行錯誤してみて、それでも出ない時は『仕方ない!』とキッパリ割り切って、ミルクに頼ってしまいましょう。
ママがイライラしたり落ち込んだりしていると、それが赤ちゃんにも伝わってしまいます。大事なのは、育児を少しでも楽しみながら、赤ちゃんにたくさんの愛情を注いで接してあげることなのです。