授乳中にしこりを見つけたら?原因と対処法&予防策を解説
授乳中の最大の悩みは乳腺炎による痛いしこりです。母乳で育てたいお母さんの敵です。授乳中に痛いしこりができてしまったら、そのしこりの取り方にはどのようなマッサージなどの方法があるでしょうか。気持ちよく母乳で育てられるように、乳腺炎の対処法を紹介していきます。
目次
授乳中にしこりを見つけたら
赤ちゃんを母乳で育てている場合、胸にしこりができていることはよくあります。
授乳中にしこりを見つけたら怖くなりますね。乳がんなのではないかと不安になることがあるでしょう。
ですが授乳中のしこりは、大半が乳瘤と呼ばれる母乳が詰まった状態です。ですから、しこりを見つけても焦る必要はありません。
以下、授乳中にしこりを見つけた場合どのような対処方法があるのかを説明していきます。
授乳中のしこりは痛い?痛くない?
上でも述べましたように、授乳中しこりの大半は母乳が詰まっている状態にあります。何らかの原因で乳腺が詰まってしまい、乳腺炎と呼ばれる症状が起きているのです。乳腺炎はただ詰まっている状態でしたら、微熱が出たとしてもあまり痛くないです。しこりが痛くないのであれば、マッサージをするなどして様子見をしてください。
ただ面倒なのは、細菌感染を起こした場合です。詰まってたまった母乳に細菌が入り込むと、感染性乳腺炎となります。感染性乳腺炎が起きてしまうと、軽く触っただけでもかなり痛いです。痛いだけではなく、38.5度以上の高熱が出て、インフルエンザと似た症状が起きます。しこりの部分も石のように固くなります。
感染性乳腺炎が起きた場合は産婦人科や母乳外来を受診しましょう。乳腺炎は適切に処理をしなければ、何度も繰り返すことになります。
授乳中のしこりが痛いときの対処法
乳腺炎に気がついたら、とにかく早めにしこりを解消するようにしてください。まだ痛くない段階で気がつき、すぐに対処できたら良いですが、ひどく痛い状態になってから乳腺炎に気がつくということもよくあります。
以下は乳腺炎に気づき、乳腺炎が痛い時の早急なしこりの取り方です。授乳中の乳腺炎対処方法として、参考にしてください。
赤ちゃんにいっぱい母乳を飲んでもらう
しこりの取り方として1番手っ取り早い方法は、赤ちゃんに母乳をいっぱい飲んでもらうということです。赤ちゃんの母乳を飲む時の吸引力はかなり強いと言われています。その吸引力を利用して、乳腺に詰まっている母乳を引っ張り出してもらうのです。
赤ちゃんの授乳回数を増やすなどして対処しましょう。なおその際は、赤ちゃんの母乳の飲ませ方を変えると、乳腺炎解消に効果的です。
以下に母乳の飲ませ方を3通り紹介します。
母乳の飲ませ方①横抱き
母乳の飲ませ方としては、最も一般的な飲ませ方です。
赤ちゃんを横抱きにして、母乳を飲ませるという方法です。赤ちゃんを最も安定させて母乳を飲ませることができますので、産院ではこの方法での飲ませ方を教えている所が多いです。
この抱き方の難点は、お母さんが背中を丸める体勢になりやすいということにあります。結果、お母さんが腰を痛めてしまいかねません。横抱きの飲ませ方をする場合は、椅子やソファーの背もたれを利用して背筋を伸ばして授乳させるようにしましょう。
母乳の飲ませ方②縦抱き
赤ちゃんを縦に抱っこして、お母さんの太ももに座らせて授乳する方法です。
お母さんのおっぱいが赤ちゃんの顔の正面にくるため、赤ちゃんがしっかりとおっぱいをくわえることができます。横抱きでは赤ちゃんがうまく授乳してくれないという場合やとにかくしっかり授乳してほしいという場合、この飲ませ方を利用すると良いでしょう。
飲みやすい分、乳腺炎によるしこりの早い解消にもつながるでしょう。
ただしこの飲ませ方はお母さんが赤ちゃんの頭を支えなくてはならないために、お母さんが手首を痛めてしまうこともあります。赤ちゃんが縦抱きの飲み方に慣れてきたら、抱っこ紐を利用するなどして手の負担を軽減してください。
母乳の飲ませ方③フットボール抱き
お母さんの体の脇に赤ちゃんを抱えた形で授乳させるという飲ませ方です。
横抱きにも似ていますが、赤ちゃんがおっぱいに吸いつく方向が変わるため、母乳の吸い残しがある場合に役に立つ方法です。
しかしこの授乳方法は、お母さんが赤ちゃんの首と体をしっかりと支える必要があるため、腱鞘炎鵜や腰が痛いときにはおすすめできない方法です。
授乳クッションを利用して赤ちゃんの体を支える方法を使うと、お母さんの体への負担も軽減されます。
適度に冷やして熱をとる
乳腺炎によるしこりは、痛いうえに熱を持っている場合が多いです。その時の対処方法には、冷やして熱をとるという方法があります。熱がひくことで、痛い感覚を軽くさせることができます。
以下しこりが熱を持ち、痛い場合の対処方法を紹介します。
熱の取り方①:市販の冷却シートで冷やす
熱さまシートや冷えピタ、アイスノンソフトを利用して乳腺炎の熱を下げましょう。
これらが手元にない場合は、ビニール袋に入れた氷をタオルで巻いて冷やすこともできます。氷を使う場合は凍傷に気をつけてください。
保冷アイテムおすすめ:熱さまシート
保冷アイテムおすすめ:冷えピタ
保冷アイテムおすすめ:アイスノンソフト
熱の取り方②:野菜を使って冷やす
キャベツやジャガイモなどの野菜の湿布を作って冷やすという方法があります。
ですが野菜は細菌を持っている可能性が高く、アレルギー反応を引き起こす可能性もありますので注意してください。
助産師の母乳マッサージを受ける
乳腺が詰まってしまいガチガチの石状態になっている痛い乳腺炎は、素人が少々のマッサージしたところでしこりは取れないのが現実です。
そういう取れないしこりは、助産師さんに母乳マッサージをしてもらいましょう。助産師さんはプロですから、マッサージをしてもらうと、取れないしこりがあっさりと取れます。かかりつけの産婦人科に相談してみましょう。
授乳中のしこりがそこまで痛くないときの対処法
しこりがそれほど固くなくて痛くない時は、自分で対処できます。
「痛くないけど、ちょっとしこりがあるな」という時は早めに対処しましょう。しこりが痛くない段階だと油断して放置しかねませんが、これが結果的に悪化してひどい乳腺炎を引き起こすのです。しこりをマッサージするほぐし方を利用して、乳腺炎を解消しましょう。
以下にしこりの取り方を紹介します。
お風呂に入って血流をよくしてから授乳する
赤ちゃんに母乳を飲んでもらうしこりの取り方との併用です。
お風呂に入ってから、血の流れを良くしておきましょう。母乳は血液から作られますので、血行が良くなると母乳は作られやすくなり、母乳の流れもスムーズになります。
その状態で赤ちゃんに母乳を飲んでもらうと、しこりが取れやすくなります。
飲ませ方にも一工夫で、赤ちゃんの頭か顎の角度にしこりが来るようにすると、しこりの取り方としてはより効果的になります
しこり部分の根元をおさえ乳頭を刺激しながら母乳を出す
お風呂に入って血の流れを良くしたうえで、しこりをほぐすようにマッサージします。
しこりのほぐし方は、しこりが硬くなっている部分の根元を抑え乳頭を刺激します。そして詰まった母乳を出すのです。この時のしこりのほぐし方の注意点はしこりを上から抑えることはせずに、古い母乳を乳首の方へ押し出すように胸板から抑えるということです。
このほぐし方を利用すれば、詰まった母乳が排出されやすくなり、体が楽になります。
筆者自身の体験ですが、取れない乳腺炎のしこりに悩まされていた時、湯船に浸かりながら強めにマッサージをしているとするっととれたことがあります。お風呂につかりながらのマッサージは、おすすめの取り方です。
肩甲骨を動かすように肩まわしの体操で乳腺の動きをよくする
肩甲骨の周りには、母乳の循環を行っている胸線が存在しています。血液がこの胸線を通って、乳房の乳腺を通ることで母乳が作られます。
そのため肩甲骨の周辺の筋肉が固まっていると胸線の循環が悪くなり、母乳の量が低下したりしこりができたりするのです。
以下、肩甲骨周りのほぐし方を紹介しますので参考にして乳腺炎によるしこりを解消しましょう。
肩甲骨周りのほぐし方①肩回し
肩回しを利用した肩甲骨周りのほぐし方です。
普通に肩を回したり、肩甲骨を引き寄せるといった簡単なストレッチで行えるほぐし方ですので、忙しい育児の合間にもできます。手軽にできるほぐし方なので助かりますね。
肩甲骨周りのほぐし方:テニスボールを利用する
テニスボールを2つ床に置いて、その上に寝転がるというほぐし方です。肩甲骨が痛むところにテニスボールが当たるように調整して、肩甲骨の周辺を刺激します。
このほぐし方も育児の合間にできる手軽さが嬉しいです。赤ちゃんが寝ている間にリラックスも兼ねて行うと良いでしょう。
授乳中に乳腺がつまる原因
おっぱいに母乳が残ったまま時間が経った
おっぱいに母乳が残った状態が長時間続くと、乳腺を詰まらせてしまう原因となります。
赤ちゃんの飲む力が弱かったり、母乳がたくさん出るお母さんがこの状態になりやすいので注意をしてください。
高カロリーな食事
高カロリーな食事はコレステロール値が高い食事が多く、コレステロール値が高いと血液がドロドロの状態になってしまいます。そのドロドロの血が乳腺に脂を詰まらせやすい状況を生み出し、脂で入選が詰まったために母乳が出辛くなります。
結果、乳腺炎が引き起こされる事態となるのです。特に近年は食事が欧米化しているため高カロリーの食事が増え、乳腺炎が起きやすい環境となっています。
血流が悪い
血流が悪いと乳腺炎が起きやすくなります。
血行を良くするストレッチを利用して血の流れを良くしておきましょう。
乳腺が細い体質
乳腺が細い人はどうしても母乳が詰まりやすく、乳腺炎になりやすいです。乳腺の細さは生まれつきのものですから、太くすることができないのが辛いところです。乳腺の太さは助産師さんに判断してもらえますので、乳腺が細いと言われたら日頃から詰まりに気をつけてください。
乳腺炎は悪化すると高熱やひどい痛みに繋がりますので、しこりに気がついたらまだ痛くない段階でしこりを解消するようにしましょう。時間のある時に軽くマッサージをしておくと良いです。
授乳中にしこりができにくくする予防策
乳腺炎で痛い思いをしないようにするには、日頃から予防策を行っておくことが大切です。
以下乳腺炎によるしこりの予防策を紹介します。
母乳を長い時間ためない
母乳を長い時間ためておかないようにしましょう。
ちょくちょく赤ちゃんにおっぱいを飲んでもらう他に、搾乳をする方法があります。搾乳した母乳は冷蔵で数日、冷凍の場合は3ヶ月から6ヶ月程度保存が可能と言われています。搾乳してすぐには飲まなくても、お母さんの体調が悪くて授乳が困難な時は、保存した母乳が役に立ちます。
乳腺炎予防と母乳ストックで一石二鳥です。
締めつけるような下着を着用しない
締め付けるようなブラジャーを使用していると、胸が圧迫されて乳腺の詰まりが引き起こされます。授乳中はゆったりとした服装をしておきましょう。
余談ですが、筆者は母乳量が多くて、日頃から胸から溢れる状態でした。紙製の母乳パッドは肌に合わなかったので、ブラジャーの代わりに綿のタオルを巻いていました。
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商品の購入はこちら食事に気をつける
コレステロールが高い食事を食べると乳腺の詰まりが起きやすくなりますので、和食中心の生活を行いましょう。
ですが好きな食べ物も取れないという状況は、地味にストレスになります。我慢し過ぎでストレスがたまり、結果的に乳腺炎を悪化させることがありますので、体の状態を確認しながら適度に好きなものを食べるようにもしてください。
余談ですが、これまた筆者自身の経験談。小ネタとして読んでください。
筆者も高熱が出るほどの乳腺炎にかかったことがあります。しこりも当然できました。痛くないしこりと言う段階はあったかどうか。常に痛かったです。食べるものも和食中心に気をつけていましたが、解消されません。
そこでやけになった筆者は、何と脂身の多い豚肉を大量に食べました。そうしたらなぜか、しこりが解消されたのです。実話です。
「大量の油が逆にしこりを流してくれたのか」などと考えましたが、絶対にまねはしないでください。危険です。
乳腺炎予防に葛根湯を飲む
繰り返す乳腺炎に悩んでいる場合は、葛根湯がおすすめです。葛根湯は漢方薬で、授乳中にも飲める薬です。葛根湯は市販されていますが、一応かかりつけのお医者さんに事前相談することをおすすめします。
予防薬として飲めますので、「まだ乳腺炎になっていないし、痛くない」という状態の時にこそ飲むことをおすすめしたい漢方薬です。
授乳中のしこりが乳がんでは?と心配なときは
痛くないけどしこりができているからマッサージを始め、いろいろなしこりの取り方を試してみたが、しこりが取れないという場合は注意してください。
その取れないしこりは乳がんの可能性があります。
乳がんが原因のしこりの特徴
取れないしこりが乳がんであるかどうかは、そのしこりの特徴を観察してみてください。
・さまざまなしこりの取り方を試したけど、取れない。
・取れないしこりの表面がゴリゴリしている。
・しこり自体は痛くないし、動かない。
このような特徴を持つしこりは要注意です。
乳がんは他に乳頭から分泌物が出たり、乳頭や乳輪部のただれなどの特徴があります。
しかし授乳中は母乳が出ますし、赤ちゃんがおっぱいを飲むことでお母さんのの乳頭がただれるということはよくあることなので、あまりあてにはできません。取れないしこりの状態に着目してください。
なお乳がんは進行して悪化すると、乳房にえくぼのようなへこみができる場合もあります。取れないしこりが気になる場合は、この特徴にも注意をしてください。
授乳中でも乳がん検査は受けられる
授乳中であっても乳がんの検査は受けることができますので、マッサージなどさまざまな方法を試してみたがしこりがとれずに不安という時は、すぐにでも検査に行くことをおすすめします。乳がんは早期発見されれば治ります。
乳がん検査にはX線撮影をするマンモグラフィーとエコー検査がありますが、授乳中の乳がん検査はエコー検査をおすすめされると思います。
授乳中のしこりはストレスの原因!早く対処しましょう
授乳中にできたしこりは気になりますし、痛みが出ると余計にストレスになります。ストレスは母乳の出を悪くしてしまいます。
しこりができた時はここで紹介した取り方を参考にして試したり、かかりつけの産婦人科に相談してみましょう。