赤ちゃんがアレルギーを引き起こす原因とは?妊娠・授乳中に対策できるの?
アレルギー疾患を持つパパ・ママは、赤ちゃんにアレルギー体質が遺伝しないか心配になる時がありますよね。アレルギーは完全には防げませんが、原因を知ることは大切です。今回は、赤ちゃんのアレルギーの原因と妊娠・授乳中にできる対策をお伝えします。
目次
赤ちゃんのアレルギーは予防できるの?原因や対策法を知ろう
もうすぐ出産を控えた妊婦さんや新米ママにとって、赤ちゃんの健康は気になる事柄ですよね。特にアレルギー体質をお持ちの方は、自分のアレルギーが赤ちゃんに遺伝していないか不安になることもあるでしょう。今回はそんな妊婦さんやママのために、赤ちゃんに起きやすいアレルギー症状の原因と対処法などをお伝えします。
赤ちゃんが発症する可能性のある主なアレルギー3つ
赤ちゃんが発症しやすいアレルギーといえば、何を思い浮かべますか?まず最初に赤ちゃんが発症する可能性があるアレルギーとその症状について詳しく見ていきましょう。
①アトピー性皮膚炎
生後1ヶ月から3ヶ月の赤ちゃんに症状が出やすいのがアトピー性皮膚炎です。一般的な対処法は、小児科から処方されたステロイド軟膏による治療ですが、軟膏を塗っても治りにくい場合があります。症状が長期化した場合は、食物アレルギーの可能性があるので、小児科でアレルゲンの検査を行ってもらいましょう。
②気管支喘息
気管支喘息は、ダニ・ペットの毛・花粉などアレルギーの原因となる物質によって気道が狭くなり、呼吸が苦しくなる症状が起きます。一度発症すると慢性化しやすく、少しの刺激で呼吸が苦しくなります。また赤ちゃんの喘息は、急に症状が悪化する場合もあります。
③食物アレルギー
卵・牛乳・小麦粉などにより湿疹・喘息・嘔吐・下痢などの症状が出るのが食物アレルギーの特徴です。食物アレルギーは、アナフィラキシーなど対処が遅れると命に関わる症状が起きる可能性があるので、症状に気づいた時は早めに病院を受診してください。
赤ちゃんのアレルギーの原因となる主なアレルゲンとは?
赤ちゃんの体は未熟な為、アレルギー症状が発症してもアレルゲンを特定する検査が受けられない可能性があります。ママたちは、赤ちゃんがアレルギー検査を受けられない場合に備えて、アレルゲンの予備知識を持っておきましょう。
【アレルゲン①】ハウスダスト
赤ちゃんのアレルゲンとして考えられる原因の一つにハウスダストがあります。ハウスダストは、特に気管支喘息などのアレルゲンになりやすく注意が必要です。ハウスダストは、部屋をこまめに掃除するなど、生活環境を整えることアレルギー症状を予防することができます。
【アレルゲン②】様々な食物
赤ちゃんのアレルギーは様々な食物によって発症しますが、原因となる食物は人それぞれです。ここからは、赤ちゃんのアレルゲンとなりやすい食物を3つご紹介します。
卵
卵は卵黄よりも卵白にアレルギーの原因となる成分が多く含まれています。卵は、高温で長時間加熱するほど、アレルギー症状が出にくいですが、プリンやババロアなどは加熱が不十分なので、完全にアレルギーを抑えるのは難しいです。
牛乳
牛乳は、最も赤ちゃんのアレルゲンになりやすい食物として知られています。牛乳は卵とは違い、熱を加えてもアレルギーが起こり得る食物です。離乳食やおやつには牛乳の代わりに豆乳を使用することもできますが、体質によっては大豆アレルギーを発症する場合があるので、注意してください。
小麦粉
小麦からできた食品には、アレルギー症状が出やすい物と出にくい物があります。味噌や醤油などの発酵食品はアレルギーの原因となるタンパク質が分解される為、アレルギーが起きにくいのが特徴です。一方パンなどの食品は、高温で加熱してもアレルゲンが低くならない為、症状が出る可能性が高いです。
赤ちゃんがアレルギーを引き起こす原因とは?遺伝するの?
アレルギー体質の妊婦さんやママたちは、赤ちゃんに体質が遺伝していないか心配になりますよね。ここからは、赤ちゃんがアレルギーを引き起こす原因を詳しく見ていきましょう。
【原因①】生活環境の変化
赤ちゃんがアレルギーを発症しやすいのは、転職や引っ越しなど生活環境が変化した時です。生活環境の変化により、アレルギー症状が発症しやすくなるのは、大人も赤ちゃんも同じです。出産後、病院を退院し自宅に戻った時にアレルギーが発症する場合もあります。ご自宅でのアレルギー対処法については、後ほど詳しくお伝えします。
【原因②】食環境の変化
赤ちゃんにとって最もアレルギーの原因となりやすいのが、食環境の変化です。赤ちゃんが食物アレルギーの場合は、病院の検査でアレルゲンを特定することが重要ですが、月齢によっては検査を受けられない場合があります。アレルギー検査が受けられる月齢については、後ほどご紹介します。
アレルギーは遺伝するの?
アレルギーはパパ・ママから赤ちゃんに遺伝するのでしょうか?アレルギー疾患そのものは、パパ・ママから赤ちゃんに遺伝することはありませんが、体質は遺伝する場合があります。ただしアレルギーは食物や住居などが原因で起こるケースも多く、生活環境を整えていれば症状が出ないこともあります。
アレルギーを予防する為に妊娠中・授乳中にできること4つ
赤ちゃんのアレルギー症状は、妊娠中・授乳中の体調管理で少しでも予防していくことが大切です。ここからは、妊婦さんや新米ママが妊娠中・授乳中にできることをチェックしていきましょう。
アレルギーを予防する確実な方法は立証されていない
赤ちゃんのアレルギーは、食物・ハウスダスト・化学物質など様々なことが原因として考えられますが、100%確実に予防する方法は科学的に確立されていません。ただし最近は、私たち人間の体に存在する腸内細菌の中に、アレルギーへの抵抗力を強める善玉菌が存在する可能性が指摘されています。
善玉菌は、出産時に産道を通してママの体から赤ちゃんに与えらる腸内細菌です。それでは早速、赤ちゃんの体に善玉菌を増やす為のコツをご紹介していきましょう。
①妊娠中の食事は和食中心にする
赤ちゃんのアレルギーは、妊娠中のママの体内で良質な腸内細菌を増やすことで軽減することができます。赤ちゃんのアレルギー予防に大切な役割を果たす腸内細菌は、納豆・味噌など和食に使われる食材で補うことができます。妊娠中はなるべく和食中心の食事を心がけましょう。
②妊娠中はオリゴ糖を含んだ食物を摂る
味噌・納豆などの発酵食品と共に、赤ちゃんのアレルギー予防に重要な役割を果たすのが腸内細菌の餌となるオリゴ糖です。オリゴ糖は、ネギ・ニンニク・玉ねぎなどの野菜や大豆などの豆類に多く含まれています。妊娠中は、こうしたオリゴ糖を多く含む野菜を和食の材料として使うことをおすすめします。
③妊娠中はストレスを溜めないようにする
アレルギー体質の妊婦さんやママたちは、赤ちゃんに体質が遺伝していないか心配になることも多いですよね。妊娠中・授乳中にママがストレスを溜めることは、赤ちゃんの体内でアレルギーを予防に必要な腸内細菌を減少させます。妊娠中・授乳中は、心配事を一人で抱え込まず周りに相談するようにしましょう。
④授乳期間は極力母乳育児を心がける
母乳には善玉菌の餌となるオリゴ糖が豊富に含まれています。帝王切開などで出産時に赤ちゃんの体に腸内細菌が十分に与えられなかった場合も、母乳育児を心がけることで善玉菌の数を増やすことができます。ただし、あまり忙しい時は無理をしないようにしましょう。
赤ちゃんがアレルギーを発症したら?覚えておきたい自宅での対処法
ここまでは、妊娠中・授乳中にアレルギーを予防する為の方法をお伝えしました。では、実際に赤ちゃんがアレルギー症状を発症した時はどうすればいいでしょうか。赤ちゃんがアレルギーを発症した時に、自宅で行うことができる対処法をご紹介します。
アレルギーを発症するとどんな症状が出る?
アレルギーといえば、アトピーや気管支喘息が有名ですが他にはどのような症状があるのでしょうか。人間の体は乳幼児~小児期にかけて「アレルギーマーチ」と呼ばれる複数のアレルギー疾患を経験します。日本の子どもたちは、アトピー・喘息以外にもスギ花粉症・結膜炎・アナフィラキシーなど複数のアレルギー症状を発症しています。
①アトピー性皮膚炎の対処法
赤ちゃんがアトピー性皮膚炎で痒がっている姿を見るのは、ママにとっても辛いですよね。アトピーは、病院から処方されたステロイド軟膏を塗るのが一般的な対処法ですが、薬を使用しても慢性化するケースが増えています。赤ちゃんがアトピーを発症した時は、原因となるハウスダスト・化学薬品・紫外線などを避けましょう。
②気管支喘息の対処法
気管支喘息は、ハウスダスト・ペットの毛・食物・花粉などが原因となり、発症します。症状が悪化すると、呼吸困難となる場合もあるので、赤ちゃんの呼吸が苦しそうな時は早めに病院へ連れていきましょう。
③食物アレルギーの対処法
食物アレルギーの対処法では、アレルギー検査を受けてアレルゲンを特定することが大切です。しかし先程もお伝えしたとおり、生後半年頃までは赤ちゃんへの体の負担が大きく、検査を受けることは難しいのが実状です。
赤ちゃんの離乳食を始める時は、昼間病院が開いている時間帯に少量ずつ食物を与え、アレルギー症状が発症した時は、すぐに診察を受けましょう。
赤ちゃんのアレルギー検査はいつから?どんな検査をするの?
赤ちゃんのアレルギー検査は、大人より体の負担が大きくなる場合があります。赤ちゃんは、生後何ヶ月からどんなアレルギー検査を受けることが可能になるのでしょうか。検査可能な月齢・診療科・検査方法などを確認しておきましょう。
アレルギー検査が受けられる月齢は?何科を受診すべき?
赤ちゃんのアレルギー検査は、生後半年頃から受けることが可能ですが、人によって個人差があります。検査は小児科・アレルギー科・皮膚科などで受けることが可能です。アレルギー検査を受けたい時は、まず小児科のある総合病院を受診しましょう。
離乳食開始前に予めアレルギー検査は受けられるの?
離乳食を始める前に赤ちゃんがどんなアレルギーを持っているのか知りたい方もいらっしゃるかもしれません。しかしアレルギー検査は、時期が早すぎると赤ちゃんの体に負担がかかる場合があります。離乳食開始前にアレルギー検査を行いたい方は、一度医師に相談してください。
赤ちゃんのアレルギー検査はどんなことをするの?
赤ちゃんのアレルギー検査では、食物・花粉・雑草などに対してアレルギー反応が出る可能性があるか調べることができます。以下が赤ちゃんが受けられるアレルギー検査です。
- 皮膚テスト:パッチテストなどで皮膚にアレルギー症状が出るか検査する。
- 血液検査:特定の物質に反応してアレルギー症状を引き起こすIgE抗体の量を調べる。
- 食物除去試験:アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患で、特定の食物を控えた場合に症状が軽くなるか調べる。
自己判断せず医師の指示に従うのがベター!
赤ちゃんのアレルギーは予防・対処法などまず医師に相談し、指示を仰ぐのがベターです。赤ちゃんのアレルギーで心配なことがある時は、ママの自己判断で対処せず、乳幼児健診などで医師や保健師に相談するようにしましょう。
清潔な環境・バランスの良い食事で赤ちゃんのアレルギーを極力予防してあげよう
赤ちゃんのアレルギーは、大人と同じく原因を100%取り除くことが不可能です。食物アレルギーなどがある場合は、あまり極端な食事制限を行うと赤ちゃんの発育に影響する可能性もあります。適度に清潔な生活環境やバランスの良い食事を心がけて、赤ちゃんのアレルギーを予防しましょう。
出典はこちら
マイナビウーマン【医師監修】赤ちゃんが食物アレルギー反応を起こす原因と症状
腸Beautiful No.4 平成21年9月9日発行 「妊娠と出産と腸内環境について」
明治の食育 食物アレルギー 原因食物の対応について
赤ちゃんのアレルギー症状ってどんなもの? どう対処したらいい?