グルーポンおせち事件の概要!水口憲治のその後や現在は?
2011年のお正月にネットをにぎわせた「グルーポンおせち事件」。バードカフェが製造し、グルーポンで販売されたおせちに対し「スカスカ」「傷んでいる」などの苦情が寄せられた事件です。事件の概要と、バードカフェの経営者・水口憲治氏の現在に迫ります。
目次
【2011年】グルーポンおせち事件とは
「グルーポンおせち事件」の概要は、2010年末、共同購入型クーポンサイト「グルーポン」で販売されたおせちに対し、「イメージ写真と実際のおせちが違いすぎる」「中身がスカスカ」「料理が傷んでいる」といった苦情が多数寄せられた事件です。
おせちを実際に購入した人が、中身がスカスカで彩りも悪くなっているおせちの写真をTwitterにアップしたことで多くの人が目にすることになり、騒動となりました。
実際に届いた悲惨過ぎる【グルーポンおせち】とは
通常21,000円のおせちが半額の10,500円で販売されたとあって、500件のおせち購入クーポンは完売。購入した人は2011年のお正月を豪華でお得なおせちと一緒に迎えるはずが、実際に届いたのはイメージとは似ても似つかないおせちでした。
安価&豪華なイメージ画像・中身に注文殺到!
グルーポンで販売されたのは、「バードカフェ」が製造する、4人前・33品の豪華なおせち。通常価格21,000円のところ、半額の10,500円で販売されました。
2010年11月25日に販売を開始し、2日後の27日には500件の注文を達成、完売となり、あとは12月31日の配送を待つだけ、という状態でした。
イメージ画像とは似ても似つかないおせち
ところが12月31日に購入者のもとに届いたのは、豪華なイメージ画像とは似ても似つかない貧相なおせちでした。
イメージ画像では、ローストビーフや生ハム、伊達巻にかまぼこなどの料理が、彩りよくお重にぎゅうぎゅうに詰められていたのが、実際に届いたのは、すき間だらけの容器に雑に詰められた料理の数々。
黒豆は仕切りの中を転がり、4人前なのにホイルに包まれたままのチーズが1個だけ…などなど、ツッコミどころ満載のおせちだったのです。
クール便ではなく普通便で配送!肉や魚からは腐臭が
一般的に宅配のおせちは、冷蔵や冷凍の状態で輸送する「クール便」が使われますが、2010年のグルーポンのおせちは普通の宅配便で届いた家庭もあったようです。
ネット上には、「肉が腐っていた」「煮物が傷んでいた」「届いた時点で腐臭がしていた」など、悲惨な報告が相次いで書き込まれました。
グルーポンおせち事件が起きた原因・理由とは
素敵なお正月を迎えるためにおせちを購入したはずが、最悪のお正月となってしまった2011年。グルーポンおせち事件の原因は何だったのでしょうか。
グルーポン側の原因【許容範囲を超えたクーポン枚数】
ニュースサイト「ガジェット通信」に寄せられた、グルーポンのおせち購入者の声によると、販売が開始された11月25日には「限定100」とされていたのが、翌26日には「限定500」に増えていたそうです。
グルーポンで11月25日に「限定100」でおせちを私と嫁の実家、合計2セット購入いたしました。翌日、11月26日に追加「400」がおこなわれ、最終的に500に。
予想以上に注文が殺到したためにグルーポンが急きょ販売個数を増やしたことで、100人に販売する想定で準備していた食材が足りなくなり、「スカスカおせち」の原因となった可能性があります。
販売個数の変更がグルーポンの独断だったかどうかはわかっていません。
グルーポン側の原因【二重価格商法】
「二重価格表示」とは、「通常●●円の商品が今なら○○円」など、1つの商品に2つの価格が表示されていることを指します。
グルーポンのおせちは「通常21,000円のおせちが半額の10,500円」として販売されましたが、事件の後、消費者庁から「通常価格は架空のものだった」と指摘されました。
おせちは季節もので短期間に販売されるものなので、そもそも「通常価格」は存在しません。グルーポンのおせちは、実際に販売する価格がお得に感じられるように、21,000円という「通常価格」をでっち上げていた、と判断されたのです。
この事件でおせちに注文が殺到したのも、「通常21,000円のおせちが10,500円で食べられる」と購入者が考えたのが大きな原因と考えられます。購買意欲をかき立てるために架空の通常価格を設定していたとすれば、それは悪質な商法と言えるでしょう。
バードカフェ側の原因【おせち販売のノウハウはなかった】
問題のおせちを製造した「バードカフェ」の経営者だった水口憲治氏が2015年8月、フジテレビ系の「やっちまった映像GP」という番組に出演しました。
水口憲治氏はおせち事件を振り返り、「500食のおせちを作る実力がないのに受注してしまった」「バードカフェに大量のおせちを作るノウハウがなかった」「お弁当と同じような感覚でスタートした」などと明かしていました。
用意した食材も500食には足りなかったと告白していて、バードカフェが浅はかな考えでおせち製造・販売に手を出してしまったのが事件の大きな原因になったと言えます。
バードカフェ側の原因【食品偽装】
2011年1月、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」で、バードカフェのおせちの中身が偽装されていたという特集が放送されました。
それによると、グルーポンでは「鹿児島産の黒豚」と表記されていたものが実際は「アメリカ産」、「フランス産鴨のロースト」が「国産の合鴨」、「にしんの昆布巻き」が「わかさぎの昆布巻き」、「キャビア」が「ランプフィッシュ」と、産地や食材を偽装していたことがわかりました。
グルーポンおせち事件が拡散した理由とは
グルーポンおせち事件が広く知れ渡るきっかけとなったのが、SNSへの実際のおせちの写真の投稿です。イメージ写真と違いすぎる残念なおせちの写真は、呆れ笑いをともなって多くの人に関心を持たれ、拡散されました。
SNSで話題に
Twitterでは、2010年12月31日の夜から、「グルーポンで頼んだおせちが届かない」という報告がチラホラ投稿され始めました。
グルーポンで注文した謹製おせちが届きません。電話で連絡が会った時は12/31午前中に届くように調整してもらったのに・・・。事務員の方に連絡し、担当から連絡をもらえるようにしてくれたが、30分待っても連絡無し。どうなってるの?
— ともいず (@tomoizucha) December 31, 2010
グルーポンでおせち頼んだのにこないっ(>_<。)
— asami-hanayama (@fmmab) December 31, 2010
無事に届いた人も、開封してみたら中身は驚きの「スカスカおせち」。Twitterやネット掲示板に写真が投稿され、あまりのひどさに拡散、炎上する事態となりました。
[横浜バードカフェ グルーポン おせち問題] といってたら届いた。商品写真とはまるで違う。対応を検討中。 http://twitpic.com/3ltkb8
— Takumi (@atakumi) January 1, 2011
その後すかすかグルーポンおせちフィギアも
大いに話題になった、グルーポンとバードカフェの「スカスカおせち」。騒動から約1か月後の2011年2月には、問題のおせちを模したフィギアがTwitterに投稿され、人々に笑いを提供しました。
1/12 グルー○んおせち、とりあえず完成です。 #fgtweet http://twitpic.com/3watr3
— 薬のお灸 (@kusurinooq) February 4, 2011
バードカフェの概要とその後
問題のおせちを製造した「バードカフェ」とは、いったいどのようなお店だったのでしょうか。ここで概要を紹介します。
バードカフェの概要
バードカフェとは、水口憲治氏が社長を務める「外食文化研究所」という会社が運営していた、横浜と湘南藤沢に2店舗を構えていたカフェです。
鶏料理をメインに扱うアジアンスタイルのカフェでしたが、グルーポンおせち事件が発生してまもなく閉鎖し、休業状態となりました。
次々と店舗を変更するも名前を変えただけだとばれて炎上
しばらく鳴りを潜めるかと思いきや、騒動の翌月の2011年2月には、バードカフェ横浜店の跡地に「THE GRANCH」というお店が。藤沢店の跡地にも「フジサワキッチン」というお店が入りました。
THE GRANCHの方は、求人情報から「バードカフェが店名を変えただけで、また外食文化研究所が運営している」とネット上で広まり炎上。結局オープンはされませんでした。
2011年3月にはフジサワキッチンが、翌4月にはバードカフェ横浜店の跡地に「OKANO HOUSE」というお店がオープンします。
この「OKANO HOUSE」も、ぐるなびのページのURLがバードカフェ横浜店のものと同じだったことで、結局店名を変えただけだとバレてしまいます。
2012年1月には再び店名を変え、「チーズ工房カマンブルー」というお店に。同月末にはまた店名が変わり、「green+」というイタリア料理店がオープンしましたが、4月に営業を停止してしまいました。
その後、フジサワキッチンはしぶとく続いていましたが、こちらも2013年1月をもって閉店となりました。
2014年には食中毒が!
店名を変えては閉店を繰り返していた外食文化研究所でしたが、その後神奈川県内に次々と新店をオープンさせ、好調の波に乗っていきます。
社名を「SURF CAPP inc.」に変更し、大いに話題になったグルーポンおせち事件もすっかり風化した…と思ったところで、2014年7月に食中毒問題が起こってしまいます。
SURF CAPP inc.が運営する茅ヶ崎市のお店「串焼BAR プクプク」で焼き鳥やから揚げなどを食べた男女6人が、加熱が不十分な鶏肉などにつく細菌「カンピロバクター」が原因の食中毒になってしまったのです。
この食中毒問題で、ネット上ではまた「グルーポンおせち事件」が思い起こされ、「バードカフェ系列の店で食中毒が」「水口憲治の店が食中毒を起こした」と騒ぎになりました。
2014年に【ぎゅうぎゅうおせち】としてグルーポンおせち復活
2011年のお正月は「スカスカおせち」を世に送り出してしまったグルーポンでしたが、その後、2014年末におせちの販売を再開します。問題のおせちが「スカスカ」とやゆされたのを受けてか、復活したおせちのキャッチコピーは「ぎゅうぎゅう」でした。
「フレンチおせち」や、年越しそば付きの「ファミリー向けおせち」など17種類を用意し、2500個ほどを販売。実際に購入した人がネット上に写真をアップしたところ、「本当にぎゅうぎゅうだ」などと話題になりました。
※上の画像はイメージです。
【2018年】水口憲治社長の現在は
「スカスカおせち」を製造したバードカフェを経営していた水口憲治氏ですが、2018年現在、何をしているのでしょうか。
食中毒問題のその後、2015年10月には、「全力!脱力タイムズ」(フジテレビ系)に出演し、現在は飲食店を13店経営、年商7億・年収1500万円の経営者として復活したと明かしていた水口憲治氏。
水口憲治氏が現在社長を務める「SURF CAPP inc.」が運営する居酒屋「うる虎」「いち稟」「プクプク」、イタリアンバル「ワイン酒場COLTS」、パンケーキ店「Cinnamon’s Restaurant」はいずれもネット上での評判がよく、その後も好調な業績を維持していることがうかがえます。
現在はSURF CAPP inc.の公式インスタグラムも開設されていて、運営する店舗で提供するメニューの写真を毎日精力的にアップしています。
水口憲治氏や会社を非難するようなコメントも見当たらず、現在では「グルーポンおせち事件」はすっかり風化した、と言ってもいいのではないでしょうか。
そもそもグルーポンのサービス【フラッシュマーケティング】とは?
「スカスカおせち」で大きな騒ぎを起こしたグルーポンですが、もともと「フラッシュマーケティング」という手法で規模を拡大してきたサービスです。フラッシュマーケティングとは一体何なのか、ここで概要を説明します。
フラッシュマーケティングの概要
フラッシュマーケティングとは、「商品やサービスを販売する際に、割引価格や特典が付いたクーポンを、24時間から72時間程度の短時間(フラッシュ)限定で販売する」というウェブマーケティング手法です。
多発するトラブル!
割引率が高いクーポンも多く、利用者はどんどん増えていきましたが、一方でトラブルも多発しました。
おせち事件前の2010年7月、グルーポンで1万枚販売されたiTunesカードが購入した人に届かなかった「配送遅延」をはじめ、2010年12月末まで使える食べ物詰め合わせのクーポンを販売したところ、提供店舗が11月中旬に閉店してしまった問題、グルーポンで販売したクーポンが偽造され実際にたい焼き店で使われた問題など、グルーポンで起こったトラブルだけでも枚挙にいとまがありません。
「ポンパレ」や「くまポン」など、フラッシュマーケティングの手法を使った他の共同購入型クーポンサイトでも、さまざまなトラブルが起こりました。
値段につられず商品&会社を見極めよう
「グルーポンおせち事件」は、おせち作りのノウハウがないのに浅はかな考えでおせちの製造・販売に手を出してしまったバードカフェと水口憲治氏、そしてグルーポンが元凶の事件だったことは言うまでもありません。
一方で、消費者の側も「安物買いの銭失い」という言葉を心に留めておく必要があるのではないでしょうか。
この事件を教訓に、「高い割引率や安い価格に安易につられて商品やサービスを購入してはいけない」ことを肝に銘じ、二度とグルーポンおせち事件のような悲劇を繰り返さないよう気を付けましょう。