アイリスの花言葉や由来とは?種類や見頃の時期・関する神話とは?
アイリスはアヤメ科の花全体を指す総称です。花言葉や由来はギリシャ神話や海外の文明を元に付けられているので日本人には馴染みがないかもしれません。アイリスの花言葉や名前の由来、様々な種類や見頃の時期・神話などの詳しいエピソードを紹介します。
目次
アイリスってどんな花?
アヤメ科アヤメ属に分類される花の種類の総称をアイリスと呼びます。世界では東アジアやヨーロッパの温帯の地域に咲き、原種は約150種類があります。
日本固有の種類には、アヤメやカキツバタ、シャガ、ハナショウブなどの9種類が有名で、そのうち7種類は自生しています。
アイリスの特徴
アイリスは多年草で、年を越えて花を咲かせます。場所を選ばずに花を咲かせる力強さも持ち合わせているのが特徴です。地中に球根が見られる物もあり、まっすぐに鋭い形をした剣状の葉が茎に沿うように生えています。
アイリスの日本名であるアヤメを漢字で書くと「文目」です。葉が規則正しく並んで生える様子が模様に見えるため、「筋道・模様」を意味する「文目」の字が当てられました。
アイリスの概要
アイリスに当たるアヤメ科アヤメ属に分類されるのは、アヤメ・カキツバタ・イチハツ・ノハナショウブ・ハナショウブ・ジャーマンアイリス・ダッチアイリスなどです。茎の先端に4枚程度の花を咲かせ、外側の花は下に垂れ下がるように開きます。花の付け根から中央部にかけて違う色が入った模様が特徴です。
アイリスの花の色
アイリスの全ての種類から見ると、花の色は青・白・紫・ピンク・オレンジ・黄色・赤などがあり、春から初夏にかけて色とりどりの花を咲かせます。紫や青色・白色の印象が強いアイリスですが、ジャーマンアイリスやハナショウブはカラフルな種類の花が多いです。
アイリスの花の色が非常に多いのは、由来の元になった女神イリスの象徴である虹の色が由来していると言われています。虹が7色でアイリスの花が虹に含まれる色が多いからです。
アイリスの名前とその由来とは?
ギリシャ神話の虹の女神・イリス(イーリス)に由来して、名前がアイリス(Iris)になりました。
神話の中でイリスは、好色な大神ゼウスに追いかけられて逃げ場をなくして困っていました。主君でゼウスの妻・ヘラが見かねて一時的にイリスを花の姿に変えて、身を隠せるように計らいました。可憐なイリスのイメージに合ったため、アイリスの名前で呼ばれるようになったと伝えられます。
アイリスの全般的な花言葉は?
アイリスの花言葉は「よい便り(吉報)」・「メッセージ」もしくは「恋のメッセージ」などがあります。手紙や通知に関する花言葉が多く、贈る相手の方に伝えたいことがある場合に適しているでしょう。他に「希望」・「知恵」・「勇気」などの花言葉があります。
神話や古代の文明に関わることで、名前や花言葉が付けられています。アイリスの名前や花言葉の由来については後の項目で詳しく述べます。
アイリスの花言葉を種類別に7個紹介!
アイリスの花言葉を種類別に紹介します。アヤメ・カキツバタ・ハナショウブ・ジャーマンアイリス・ダッチアイリス・イチハツ・シャガなど、日本で見る機会の多い主な7種類に分けて花言葉の説明をしています。
アヤメ
アヤメは鮮やかな青紫色が特徴の綺麗な花です。山あいの草地などに自生しています。花びらの中央に編み目の模様が入ることから、名前に「綾目」と言う字が当てられることもあります。
「良い便り」や「気まぐれ」・「優雅」などの花言葉があります。「気まぐれ」に関しては、アイリスの種類自体が比較的厳しい状況の土地でも育つため、どの場所でも気まぐれに花を咲かせるような印象があるのかもしれません。「優雅」は、気品のある立ち姿から来ていると考えられます。
カキツバタ
「いずれアヤメかカキツバタ」のことわざのように、どちらも優れて美しいとか、似ていて分からないという意味で使われます。カキツバタは水中に生えて来るのが特徴なので、見分ける時の参考にしましょう。
青や青紫色、白色の花があり、花びらの中央付近から白い色の線が入っているのが特徴です。花言葉は「幸せは必ず来る」です。水の中で育ち、地上に出て美しい花を咲かせることから、幸せが来て花開いたことになぞらえて付けられた花言葉なのかもしれません。
ハナショウブ
ハナショウブ(ノハナショウブの園芸品種)は江戸時代からある日本独自の品種です。花の色は白やピンク、紫や青と黄色など多数で、品種改良により5000を超える種類があると言われています。最も見かける花の色は、紫色で中央に黄色い筋の入った種類です。
ハナショウブの花言葉は、「優雅」・「優しい心」・「うれしい知らせ」です。「優雅」と「優しい心」は花の形や様子から付けられたと思われます。「うれしい知らせ」は、品種改良をして美しい花ができた喜びから来ているのかもしれませんね。
ジャーマンアイリス
ジャーマンアイリスはフリルのような豪華な花びらが人気になり、庭に植えている愛好家も多いです。1800年代にドイツやフランスで品種改良が盛んに行われ、多くの種類が増えました。現在はアメリカで多くの種類が作られています。様々な色の花が多く、カラフルで華やいだ雰囲気になります。
花言葉は「使者」・「燃える思い(燃えるような愛)」・「情熱」です。花の形が炎のように見えることから、「燃える思い」や「情熱」という花言葉が付いたのかもしれません。
ダッチアイリス
ダッチアイリスはオランダで改良されたアイリスです。青紫色の花で中央に黄色い模様が入っているのが特徴です。花屋の店先でアイリス(西洋アイリス)と言うと、ダッチアイリスを示していることもあります。
花言葉は「和解」・「吉報」・「私はあなたにすべてを賭ける」という物があります。仲直りしたい相手に贈ったり、プロポーズしたい相手に渡したりするのも良いかもしれません。
イチハツ
イチハツは元々中国原産のアイリスです。歴史は古く室町時代に日本に入ったと言われています。青紫色の花で、中心部分に白いブラシのようなひらひらした部分が特徴です。
花言葉は「知恵」・「火の用心」です。他の種類で「情熱」などの燃える意味合いの花言葉が付くアヤメもありますが、イチハツは逆をいっています。災害に注意せよと危機意識を訴える花言葉かもしれませんし、恋をする時は冷静になろうと呼びかけているようにも見えます。
シャガ
シャガもイチハツと同様に中国原産のアイリスです。淡い紫色や白色の花で、外側の花に青紫や黄色の点が見られます。中央部分にブラシ状になった部分が見られることもあるでしょう。
花言葉は「決心」です。花が咲いた姿が、心に決めたことをやろうとして立ち向かう人の姿や、心の持ちように見えるのかもしれません。
アイリスの花言葉を色別に3個紹介!
アイリスの代表的な3色、白色・紫色・青色と色別の花言葉を紹介します。花の種類と色別の種類と合わせて花言葉を考え、贈る際の参考にするのがおすすめです。
白色のアイリスの花言葉
白いアイリスの花言葉は、「思いやり」・「純粋」・「あなたを大切にします」です。花言葉から考えるなら、プロポーズや片思いの相手に贈る時にぴったりでしょう。白いアイリスをお世話になっている方に贈る際にも喜ばれます。
紫色のアイリスの花言葉
紫色のアイリスの花言葉は、「知恵」・「雄弁」などです。花言葉を参考にするなら、色々な知識を持っているお世話になった恩師に贈るにも相応しい花でしょう。「雄弁」という意味で使うには、スピーチなどが上手くいくように式典の会場などに飾っておくのもおすすめです。
青色のアイリスの花言葉
青いアイリスの花言葉には、「信念」・「強い希望」・「大きな志」があります。花言葉の意味から贈るのであれば、会社を退職する方や転勤になる方に対して渡すのが良いでしょう。信念や大きな志をもって仕事をしていた証として、また新しい場所での活躍を希望する意味で花束を贈るのに相応しい色の花です。
アイリスの西洋での花言葉とは?
アイリスの西洋での花言葉を紹介します。
アイリス全般
「message(メッセージ)」・「hope(希望)」・「faith(信頼)」・「friendship(友情)」・「wisdom(知恵)」です。
メッセージや希望と知恵については、日本のアイリスの花言葉と同様でしょう。「信頼」は、ヘラとイリスの強い結び付きから、花言葉が付いたと考えられます。「友情」は「信頼」から転じて付けられた花言葉かもしれません。
ジャーマンアイリス
日本と同じく「flame(燃える思い)」という花言葉が付いています。
アイリスの花言葉と神話の関係とは?
アイリスの名前が付いたのは、ギリシャ神話の女神イリスからです。花言葉もイリスが由来している物があります。花言葉とギリシャ神話の関係を詳しく説明します。
アイリスとギリシャ神話
アイリスの名前の由来となったギリシャ神話の虹の女神・イリス(イーリス)は、 母のエーレクトラーが乳母だったため、ヘラからの信頼が厚く侍女として仕えていました。ギリシャ神話中では、ヘラにお使いを頼まれるとメッセージを伝えに行く役割も担っています。
通常は羽根が背中に生えた姿で描かれ、イリスが空を通った後に虹が架かることから、虹の女神と呼ばれるようになりました。神話での伝令としての役割から、アイリスの花言葉に「恋のメッセージ」・「吉報」、アヤメの花言葉に「良い便り」など、ジャーマンアイリスの花言葉に「使者」などの言葉が付いたとみられています。
アイリスの「希望」という花言葉は、虹が天と地を結ぶ空の架け橋となり、希望に満ちていることから付けられたと言われています。
アイリスと古代エジプト
知恵
古代エジプトでは医学が発達していて、アイリスを歯磨き粉に使っていました。オーストリアのウィーンにある国立図書館には、世界最古の練り歯磨きの作り方を記した文書が保存されています。材料は乾燥させたアイリスの花に、塩・コショウ・ミントで風味付けをしていたと記録されています。
アイリスの成分が歯周病対策に効果的という研究結果は近年になってから発表されています。古代エジプト人により、はるか昔に発見していたことになります。古代エジプト人の優秀な頭脳にあやかって知恵という花言葉が付いたと言われています。
勇気
アイリスは神話の女神イリスに象徴されることから、可憐で優雅な姿をしています。しかし、湿地や乾燥した土地、山岳地帯などの厳しい状況の土地でも花を咲かせます。どの場所に行っても強く咲きほこるということで、勇気と言う花言葉が付けられたと伝えられます。
エジプトのファラオの墓石に勇気の象徴として、アイリスの花の模様が刻まれる所もあります。
アイリスの開花時期と見頃の季節は?
アイリスの開花時期は、花の種類にもよりますが4月~6月・春から初夏にかけてです。開花時期や最盛期は5月くらいでしょう。ただし、山間などの高山地帯にある場合は、6月~7月上旬くらいまで開花している場所もあります。
日本アイリスの名所3選!
日本のアイリスの名所を3つ紹介します。
「豊丘アイリス園」
南アルプスを望む長野県豊丘村にあるアイリスの名所です。約200種、約5千株のアイリスが植えられていて、毎年レイアウトを変え、連作を避けるためにアイリスの株を植え替えています。開園は毎年5月~6月上旬ごろまでです。青や紫と白、黄色やオレンジなど色とりどりの花で、アヤメやジャーマンアイリスなど様々な種類があり、見応えがあります。
「アイリスパークみぞの」
三重県桑名市にあるアイリスの名所です。斜面などに町の花であるアヤメが植えられ、水辺には花ショウブが植えられ、栽培しています。
「アイリスの丘」
群馬県安中市にあるアイリスの名所です。5月~7月中旬までが見頃です。ジャーマンアイリスが有名で、約3ヘクタールの丘に約1000種類・10万株が咲いています。世界中から珍しい種類のジャーマンアイリスの種を輸入し、ピンク・黄色・紫などの色とりどりの花々が魅力的だと評判です。
アイリスの花言葉を知って大切な人に贈ろう
アイリスの花言葉は色別や種類別によって違う場合があります。ギリシャ神話や古代エジプト文明と密接に結び付いた花言葉にあやかるのもおすすめです。プロポーズや告白・お世話になった大切な人へのギフトなどの意味を込めて、花束にして贈るといいでしょう。