「おじさんコーラ」の都市伝説がすごい！謎の漫画zコーラとは？

「おじさんコーラ」は、呪（のろい）みちるという漫画家が描いた作品に出てきます。「黒い清涼飲料水」という短編マンガです。

おじさんが自分のアイスボックスの中にコーラを入れて売りに来るので、「おじさんコーラ」といいます。

「おじさんコーラ」は一度飲んだらやめられない飲み物です。そのコーラを飲んだ者は他の飲料水が口にできなくなってしまいます。

「黒い清涼飲料水」は、2008年2月にぶんか社から発行された『口裂け女あらわる! 昭和怪奇伝説』という短編集の中に収録されている一遍の短編マンガです。

呪みちる作品は、ほとんどは短編漫画です。本人の短編漫画集としては3作目になっています。10年以上前の作品ではあるものの、呪みちる作品は時代を越えた作風なので、漫画の古さはまったくと言っていいほど気になりません。

呪みちるの作品は、既存の有名な都市伝説から作家独自の解釈を加えた作品が多くあり、その手法は一つの得意な創作手段になっています。

「黒い清涼飲料水」はその代表的な作品に挙げられます。つまり、この作品はコーラの都市伝説から生み出された作品なのです。

コーラの都市伝説としては「歯が溶ける」や「原料に麻薬が使用されている」などが一般的に知られていますが、「黒い清涼飲料水」は後者の「コーラの原料」からストーリーを発展させたと考えられます。

「黒い清涼飲料水」は2chで紹介されることでネットやSNSで話題になりました。

この作品が人気になっていった背景には、

• 独特な作風であること印象に残りやすい
• 10年以上も前の作品で知られていない
• 現在でもコアなファンが多くいること
• 短編なので手軽に読了できること

「おじさんコーラ」の正式名称は分かっていません。

それもそのはず、「コーラ」は市販のものではなく、おじさんが販路を通さず売っていたいわゆる「闇コーラ」だったので、正式な名前もなかったと考えられます。「おじさんコーラ」は、黒川よし子自身が記憶の中で呼んでいた名前ということになります。

「黒い清涼飲料水」の物語での「おじさんコーラ」の役割について解説します。

大人になった黒川よし子が「zコーラ」という黒い清涼飲料水を開発し、会社に多大な利益をもたらすことになります。

その「zコーラ」の開発のヒントになったのが小学生の時分によく飲んでいた「おじさんコーラ」だということです。

黒川は「おじさんコーラ」がこつ然と消えたあとに、にわかに広がりを見せていた「おじさんコーラ」の原料のウワサについて小耳に挟んでいたのです。
 

おじさんコーラの漫画「黒い清涼飲料水」の内容についてくわしく紹介していきます。

「黒い清涼飲料水」はホラー漫画なので、それなりにエグい内容になっています。ただ、ぶっ飛んだ内容の作品が多い呪みちる作品の中でいえば、比較的静かな作品に分類されます。

とはいえ、静かだからこそリアリティーが伝わってくる作品でもあり、事実として本当にあったのでは？という感覚にとらわれてしまいます。

短編マンガ「黒い清涼飲料水」のストーリーを見ていきましょう。

ある日、宇宙開発部門の優秀な社員だった黒川よし子に、つぶれかけたジュース工場への出向が言い渡されます。

黒川は人事の犠牲になります。理由は嫌がらせや、いじめ、またはリストラということでしたが、ショックを受け廃人のようになった黒川は自殺を考える毎日を送ります。

しかし、彼女は左遷されたその工場でとんでもない大ヒット商品を生み出すことになります。

それが「zコーラ」です。黒川は悲痛の左遷先ですごい仕事をやってのけました。そして、そのコーラが開発されるヒントとなったのが幼少期に出会った「おじさんコーラ」だったのです。「zコーラ」は一度飲んだらやみつきになる不思議な飲み物として、売り切れが続出するほどの人気商品になります。

「おじさんコーラ」が登場するのは、主人公の黒川よし子が幼少期を回想シーンです。黒川の以前の上司だった課長との会話シーンで「おじさんコーラ」が語られることになります。

課長は会社に莫大な利益をもたらした彼女をねぎらいますが、黒川の表情には会社への積年の恨みが感じ取れます。

そして、黒川は「zコーラ」の開発秘話を始めます。開発のヒントになった「おじさんコーラ」の話です。

それは、彼女がまだ小学生だった頃、学校の帰り道に一人のおじさんがコーラを1本50円で売っていました。黒川はアイスボックスにコーラを詰めてくるおじさんから毎日コーラを買って飲んでいたといいます。

ある日のこと、黒川はありふれた普通のジュースを口にしますが、マズくて吐き出してしまいます。これは「おじさんコーラ」を購入して飲んでいた者すべての人に起きた症状でした。「おじさんコーラ」を飲んだ者はおじさんコーラ以外の飲み物を飲むことができなくなってしまうのです。

さらに、あの「おじさんコーラ」の味を思い出すだけでも飲まずにはいられなくなってしまいます。黒川は、夜遅くなってもおじさんのところに会いに行くようになりました。

すると驚いたことには、コーラの値段が100円、200円と上がっていき、次第に少女達がコーラが高くて払えなくなると、おじさんはお金の代わりに体を要求してきたというのです。

黒川よし子も「おじさんコーラ」が飲みたいため決心せざるを得ません。売り場に行くと「おじさんコーラ」を渇望した者でごった返していましたが、「おじさんコーラ」の在庫は底をつきなくなっていました。
 

「おじさんコーラ」はそれ以来見ることがなくなりました。

しばらくして、黒川の耳にある噂が入ってきました。
「あのコーラには麻薬が入っていた…」

コーラに麻薬を混入させて、このコーラしか飲めない依存性のカラダにさせてしまえば、再びコーラを購入せざるを得なくなる。そうやってバックに控えていた暴力団に売り上げが回っていたという噂です。

事実、おじさんに入れ墨があったことを黒川は覚えています。しかし、この噂は警察によって早々に否定されることになります。

そして、代わりに出てきた噂というのが、
「人間味のコーラ」

つまり「おじさんコーラ」の原料には「人間」が使用されていた…。

というのも、工場のタンクの中にあるコーラの原液は、何もかもを溶かす強力なもので、人肉はおろか骨までもスカスカするくらいだったと言います。そして捨てたはずだったその時のタンクの原液は、なぜか例のヤクザの手に渡り、ちまたで売られていたという噂話です。

とはいえ、この時点では、単なる噂話に過ぎないのですが…。

場面は現代に戻り、黒川は課長に向かって「zコーラ」が現在どうして品薄になるほどの売れ行きを見せているのか、その理由について語り始めます。

黒川よし子は、一連の「おじさんコーラ」の原料の噂話をすべて課長に話したあとで、「人間が原料」という特殊な飲み物がどうして人間をやみつきにさせるのか自身の見解を説明し始めます。

「太古の昔、私たち人間は獣のように共食いし合っていました。もしコーラの原料に人間が混入されたら、鼻腔をとろかす人間風味によって、その頃むさぼったごちそうの記憶が、長い歳月を越えて呼び覚まされたということでしょう」
と黒川は主張します。

そうはいっても、「おじさんコーラ」の原料が人間だというのは噂に過ぎません。ただし、黒川は続けます。

「だって、私、zコーラで証明したんです」



これが「黒い清涼飲料水」の概要です。よかったら、読んでみてください。

「おじさんコーラ」が出てくる「黒い清涼飲料水」は呪みちるの作品です。もちろんペンネームですが、名前からしてホラーな名前ですよね。ただ、インタビューなどを読むと、本人は気さくな方のようです。漫画家呪みちるについて見ていきましょう。

ホラー漫画家呪みちるは、90年代のオカルトブームが衰退し始めた頃の1998年「時計屋敷の少女」でデビューしています。

これは『青空の悪魔円盤』に収録されている短編ホラー漫画です。呪みちるは短編をその都度雑誌などに発表して、作品が集まってくると短編集として発表するスタイルで活動しています。

ホラー漫画家デビュー以前には、お笑い芸人なども志望していたようですが、大学中退後、フリーターをしながら漫画家としての下積み経験があったといいます。

そして、デビューした漫画はホラーではなく、ギャグ漫画ということですが、それ以降は少女系ホラー雑誌やレディコミ誌を中心に短編ホラー漫画を執筆して現在に至るという感じのようです。

一般的な常識や正論というものに対して、やすやすと媚びを売らないことはホラー作家の大事な要素ですが、呪みちるは当たり前のようにクリアしています。

名作と言われるホラー漫画の要素として、若い女性の美しさは欠かせないポイントです。呪みちるは何度も画廊をひらいているほど画力が高いこともあって、描かれる女の子は独特です。それは可愛さや綺麗さを超えて、耽美性や夢想的、悪魔的世界観へと昇華しています。

さらに物語を支えているホラー特有の狂気が投げやりな形にはならずに、かえって深く根を下ろして普遍的なものまで到達しているような作品が多く見られます。
 

短編作家として話の切れ味が鋭いのはもちろんのこと、話の流れもしっかりした起承転結で裏付けられているので、読者は迷子にならずに分かりやすい話としてスッと受け入れることができます。またホラー要素と絶妙なタイミングでブラックユーモアがちりばめられているのも絶品です。

呪みちる作品はこれらすべてが抜群のバランスで成立しています。

「怪人赤マント」は家父長制の最中にあった少女たちの精神性を描写しています。
「人造人間の怪」は世にもまれな才色兼備の超美人が、自らの自己陶酔的な性的欲求を満たすために人造人間を造ります。

「呪のグレートハンティング」の転校生は蛇だったり、ゼリービーンズの食べ過ぎが原因で子供を殺してしまったりする作品です。
「変化の神秘」では呪作品ではお馴染みの悪魔的な美少女が印象的です。


これだけ奇人変人が一堂に会した信じがたい内容でも、なぜかストーリーが破綻していないのが呪作品の特徴になっています。

結論から言えば、入手可能です。「黒い清涼飲料水」は短編集『口裂け女あらわる! 昭和怪奇伝説』に収録されているので、この本を購入すればOKです。「おじさんコーラ」以外の呪みちるの他の作品がありますが、どれも外れがないので損することはないと思いますよ。

現在は、電子書籍で手頃なお値段で購入することができます。購入するなら、楽天koboやAmazonKindleをオススメします。

紙の漫画は中古になりますが、まだまだプレミアがついていて、どこの売り場でも定価を超えた値段がついています。今は絶版の漫画は電子書籍で読める時代です。「おじさんコーラ」の漫画が収録されている『口裂け女あらわる! 昭和怪奇伝説』は楽天koboで660円（税込）AmazonKindleでは594円です。

この値段は、呪みちるの作品のクオリティーからすれば相当安いです。電子書籍はお求めやすくなっているので、ぜひ読んでみてください。

一時期、呪みちる作品は本当に手の届かないような価格に高騰していました。というのも、出版元のソフトマジックという会社が倒産したこともあって、商品の数が流通しなかったことに原因があります。

それで、とくに初期の呪みちる作品は高価な漫画の一つに数えられていたのですが、最近はなんとか手に入る値段に落ち着いてきています。とはいえ、2021年の段階で紙の漫画の値段は1万円を優に超えています。

現在でもネットで拡散されているのが目につきますがおそらく違法でしょう。それだけ時代を超えても人気に衰えがなく、漫画が手に入りづらいこともあってこういった形で世に出たのだと思われます。漫画そのものが2chやSNSで拡散されているのが散見されます。

以上、「おじさんコーラ」について解説してきました。いかがだったでしょうか。

• 「おじさんコーラ」とは呪みちるの「黒い清涼飲料水」という短編漫画に登場する飲み物
• 「おじさんコーラ」原料は人間？
• 呪みちるの作品は面白い！