2021年02月27日公開
2021年02月27日更新
tor経由でしかアクセスできないダークウェブ『onionちゃんねる』とは?
普通は繋がらない。torでアクセス可能なダークウェブ。そのダークウェブにアクセスする方法とは?掲示板「onionちゃんねる」の見方とアクセス方法を紹介。また「onionちゃんねる」から流出した個人情報流出事件とは?torはどこまで危険でどこまでが安全なのか?
目次
- 1「tor」技術を使いアクセス。「onionちゃんねる」とは
- 2「onionちゃんねる」には3つの入り口がある
- 3「tor」とは
- 4torによって生み出された「ダークウェブ」とは
- 5ダークウェブでは違法性のある取引が横行している
- 6「ダークウェブ」へのアクセス方法
- 7「ダークウェブ」アクセスの注意点
- 8Tor(ダークウェブ)の歴史
- 9torを使えばonionちゃんねるは簡単にアクセスできる
- 10iPhoneでもtorが使える!「ダークウェブ」にアクセスする方法
- 11「tor」「onionちゃんねる」を有名にした事件
- 12「Tor Browser」に脆弱性が発見される
- 13「Tor Browser」を使用せず「ダークウェブ」にアクセス
- 14onionサイトインデックスサービス
- 15ノードを経由する危険性
- 16まとめ
「tor」技術を使いアクセス。「onionちゃんねる」とは
2chより安全?onionちゃんねる
普通の掲示板より匿名性の高い掲示板が「onionちゃんねる」。
.onionちゃんねる初めてみた。welcome to underground感ある
— むかけご (@kkkkkkkkkk024) April 11, 2015
onionちゃんねるは2chを模した掲示板
「onionちゃんねる」はtor秘匿サービスが使われている大手掲示板2chを模したウェブサイトという見方が強いです。
通常の掲示板サイトとは違い、tor(後述)の機能によって匿名化が進み、発信元の秘匿化がされる特徴があり、普通のブラウザーでは繋がらないサイトです。
掲示板2chの見方は普通に検索してアクセスですが、onionちゃんねるはURLを入力しても繋がらない仕様です。
2chは板によってはIPアドレスが開示されたりするのですが「onionちゃんねる」という掲示板ではその心配がありません。
簡単には繋がらない代わりに匿名性、秘匿性が高い、といった見方ができます。
「tor」の匿名性の高さが仇に
「onionちゃんねる」という掲示板はほとんどの人がサイトに繋がらない匿名性と秘匿性の高さから、しばしば犯罪の温床となる傾向にあり、アンダーグラウンド(通称アングラ)感の強い掲示板として有名です。
「onionちゃんねる」は正真正銘アングラでtorがインストールされているサーバーに存在するため、torを経由しなければサイトを閲覧することは愚かアクセスすらできません。
出典: http://www.retaku.com
2chよりも匿名性の点では安全な掲示板という見方もできますが、「onionちゃんねる」の膨大なスレッドの中には児童ポルノファイルのアップロード、覚せい剤などの薬物の取引、テロリスト予備軍、クラッカーなどの書き込みが散見されます。
「onionちゃんねる」には3つの入り口がある
onionちゃんねるの主な入り口となる板
出典: https://www.irasutoya.com
アングラへの入り口
「onionちゃんねる」には入り口となる板が3つ存在しています。
「tor板」
「アングラ板」
「エロいの板」
という風にいかにもアングラな見方ができますが中身はガチ。
「onionちゃんねる」も昔は2chのように雑談スレッドが多く、遊び感覚の見方ができたそうですが、現在はやはり匿名性の高い取引が出来るということから薬物関連の取引が多いみたいです。
アングラという単語に惹かれる人もいると思いますがガチの犯罪まがいのレスが横行しています。
onionちゃんねるの「アングラ板」では読んで字のごとくアングラの板。脱法ドラッグ、覚せい剤の取引が隠語で書かれたレスが大量に存在し、堂々と商売がまかり通っています。
「エロいの板」はペドフィリアやロリータコンプレックスなどが児童ポルノファイルをアップロードしたりファイル交換したりする板ですが、釣りレス(騙す行為)も多いようでウィルス関連のリンクが貼られたりしているようです。
torを使った「ダークウェブ(後述)」へのアクセス目的の大半が児童ポルノを閲覧したいという欲求からくるものだという見方は強く、確かにその通りでブログ検索語句にもそのような傾向が見られるようです。
onionちゃんねるから児童ポルノにアクセスすると捕まります
出典: https://pixabay.com
アングラであっても見つかる時は見つかる
日本国内では児童ポルノを提供したり単純所持であっても逮捕となった前例があります。
特定の個人、少数に対し直接的に児童ポルノを提供した場合は「児童ポルノ法7条2項」に抵触し3年以下の懲役又は300万以下の罰金となります。
また、不特定多数に児童ポルノを提供した場合であっても「児童ポルノ法7条6項」に抵触する可能性があります。
児童ポルノへのアクセス方法を提供する行為も処罰の対象にされる場合があり、児童ポルノ画像ファイルのURLアップロードし、「ロリ」「中学生」などの文章とともに書き込んだ場合は「児童ポルノ公然陳列罪」になる可能性があります。
この「児童ポルノ公然陳列罪」の判例がすでに存在し有罪が二審判決の末、下されています。
URLを一部別の字に改変して、URLをたどるには改変してください、とした付記とともに書き込まれたものでしたがこういった場合でも有罪判決になります。
見方によっては違法じゃないとたかをくくれば痛い目にあいます。
興味本位であっても児童ポルノへアクセスしないことが無難。
“警察機関が児童ポルノサイトをおとり捜査の名目でハッキングした上で運営を継続させる”"サイトの運営者なき後も警察自らが運営者を装いサイトの維持に努めていた""そのために児童ポルノの投稿さえしていた” / “ダークウェブの片隅で現…” https://t.co/4ngZObjfPs
— 稲葉振一郎 (@shinichiroinaba) October 31, 2017
「tor」とは
torはonionちゃんねるを見るための技術でもある
出典: https://www.irasutoya.com
torとは「The Onion Router」の略語。
元々は米軍の工作員が敵国に潜入した際、そこで通信を行うための発信源秘匿ツールで、潜入工作員の居場所を逆探知できないようにした通信技術。
P2P(ピアトゥーピア)の技術を使い、通信経路を全世界に巡らせることが可能なため逆探知が難しくなります。
しかし見方によっては絶対にバレないというわけではなく、地道に辿っていくことで発信源の特定は可能です。
各国のノードを経由することで探知しにくくなるそうですが、その行為自体にも危険性がある程度はあります。
torによって生み出された「ダークウェブ」とは
torの秘匿性ありきのウェブサイト群
出典: https://www.irasutoya.com
ダークウェブとは深層ウェブとも言われ、torを使った暗号化技術を利用しなければサイト繋がらない、アクセスできないサイト群のこと。
児童ポルノサイトや薬物売買、暗殺依頼のサイト、銃販売のサイトなどアングラの中でもひと際犯罪臭の強いサイトが存在するのが特徴ですが、全てのダークウェブ上のサイトがそういうわけではなく、個人でやってるブログなんかも存在しています。しかし人肉関連のサイトや時間帯によっては繋がらないサイトも多く存在しまさにダークウェブの名にふさわしい禍々しさ。
出典: https://www.pakutaso.com
ダークウェブが犯罪の温床になっているのは確かで、過去にはFBIがダークウェブにあった最大級の児童ポルノサイトを押収サーバーを囮に摘発することに成功しています
要するにFBIが網を張っている児童ポルノサイトやその他の犯罪関連のサイトにアクセスした人間が摘発されたということです。
ダークウェブでは違法性のある取引が横行している
お金を出せば匿名で人を殺めることも可能……。
100万円くらいでダークウェブの殺し屋雇えるのか……
— えあい (@eai04191) December 23, 2017
安易な気持ちで踏み入れてはいけない。
今日講義でダークウェブについての話があって、ロックマンEXEの裏インターネット思い出した。
— よっつー (@hellocircuitw) December 18, 2017
素人は絶対にアクセスしない方がいいと。。。
ダークウェブの取引はビットコインを使用しているみたいです。
「ダークウェブ」へのアクセス方法
Tor Browserを使ってダークウェブにアクセス
通常は繋がらないサイトにアクセス!
ダークウェブにアクセスする方法はいくつかありますが最もポピュラーな方法はTor Browserを使用することでしょう。
インターネットは匿名性があると言われていますが、サイトを閲覧したり書き込みを行なった場合はグローバルIPという痕跡がサイト側に残ることになります。このグローバルIPから契約しているプロバイダに開示請求を行えば簡単に個人は特定されます。(犯罪行為を起こしたりしない限りは滅多にあることではなないです)。
Tor Browserは設定によってはそうした特定の危険から逃れることも可能です。
Tor BrowserはURL「https://www.torproject.org/projects/torbrowser.html.en」からダウンロード可能。
torによるダークウェブアクセスのデメリット
出典: https://pixabay.com
Tor Browserは無料でダウンロードすることができます。
自分が使用しているパソコンのOSにあったファイルをダウンロードすることで使えるようになります。
しかしTor Browserにもデメリットが多く存在します。
ブラウジングが快適にできるかといえばNOです。いくつものサーバー(ノード)を経由することで通信の秘匿性を高めているシステム上どうしても通信速度が遅くなります。またブリッジの設定によってはサイトに繋がらない
こともありユーザビリティの不親切さもあって使用難易度は高めです。
ダークウェブではない通常のサイトにアクセスすると規制されることがあります。
Tor Browserを使ってネット通信であるオンライゲームやFlash Javaは匿名化できません。
Torrentなどの違法アップロードファイル共有ツールを使用すると、匿名性が確保できない上Torのネットワーク全体が重くなります。
その他ブリッジなど細かな設定をしなければ匿名性が強化されません。
「ダークウェブ」アクセスの注意点
torを使いアクセスしても絶対にバレないわけじゃない
出典: https://www.irasutoya.com
先述した通り、ダークウェブのサイトには児童ポルノ、薬物、銃など違法なものを扱うサイトが数多く存在します。
それらにアクセスしただけで運が悪ければ逮捕に繋がります。
インターネットの法改正が進んでいる昨今。各国の捜査機関はその目を張り巡らせているのです。
また違法のみならず、やり手のクラッカーにクラッキングされたり、ウィルスファイルをダウンロードしてしまう危険性も通常のウェブサイトより高くなる可能性があります。
違法行為をした場合は、通信傍受法がありますが、捜査による証拠集めの際は免除されます。
ダークウェブ安全神話は過去のもの
各国の当局は目を光らせている。
先日あった、ダークウェブの偽暗殺代行サイトで交際相手の男性の殺害を依頼した女性の事件。事前にイギリス当局がイタリア当局にデンマークでイタリア国民が殺害されると警告→イタリア当局がデンマーク当局に警告した。 https://t.co/CRKbDQgG7i
— 𝐂𝐡𝐞𝐞𝐧𝐚 🕵 (@cheenanet) December 23, 2017
Tor(ダークウェブ)の歴史
torの歴史は古い
出典: https://pixabay.com
torによって生み出されたダークウェブはオニオンルーティングの開発元である米海軍調査研究所によって支援されていました。
2004年以降電子フロンティア財団に支援され、2005年11月には電子フロンティア財団からの援助打ち切り。
支援は終了しましたが運用サービスのウェブホスティングは継続されています。
昔にはアメリカ国防に関する機関である国防高等研究計画局や海軍研究局などがtorの開発を支援していました。
現在のtorプロジェクトのスポンサーにはGoogleやアメリカの政府機関など名だたる組織が名を連ねています。
torを使えばonionちゃんねるは簡単にアクセスできる
「onionちゃんねる」へのアクセス方法
ダークウェブにあるサイトは検索エンジンの未発達さもあってかアクセスすること自体が難しいものもあります。
過去のインターネットのようにリンク集から辿っていくアクセス方法が簡単です。
しかしonionちゃんねるのURL「http://xiwayy2kn32bo3ko.onion」はそのアングラの存在感と2chを模した作り、後述する事件もあってか今では割と有名なものとなっています。
ちなみに上記のURLに移動しても通常のブラウザーではアクセスすることができません。
また、なんらかの事情によりアクセスできないことも多いみたいです。
iPhoneでもtorが使える!「ダークウェブ」にアクセスする方法
torが使える「Onion Browser」でダークウェブにアクセス
出典: https://www.irasutoya.com
iPhoneでもtorが使える
最近ではiPhoneからでもtorを使ってダークウェブにアクセスすることが可能です。
それにはiPhone向けのtorアプリ「Onion Browser」を使用しすることで実現します。
iPhoneからでもダークウェブにアクセスできるとは驚きですが、どうやらtorプロジェクトは現在モバイルを中心に開発しているようです。
出典: https://re-cyberrat.info
iPhone専用「Onion Browser」
こちらがiPhoneの「Onion Browser」ホーム画面。
出典: https://re-cyberrat.info
iPhoneからのアクセスの仕方
ブックマークからダークウェブ検索エンジン「DuckDuckGo(The Onion Site)」を開くことでiPhoneからダークウェブのサイト群にアクセスできます。
アプリを起動した際に本当にiPhoneからのIPアドレスが変更されているかは「確認君」というサイトで確かめることができます。
iPhoneから繋がらない場合は再起動するか設定を見直す必要があるみたいです。
下記URLからダウンロードできる。
「tor」「onionちゃんねる」を有名にした事件
2ch個人情報流出事件
出典: http://jin115.com
2ch個人情報流出事件とは2013年8月に起こった2ch有料サービスである「2chビューアー」利用者の情報がダークウェブのonionちゃんねるtor板に大量に流出した事件です。見方によってはアングラであるonionちゃんねるが日本で広く認知された事件と言えます。
onionちゃんねるから拡散された
出典: https://pixabay.com
「さっしーえっち ◆MwKdCUj7XWlQ」という固定ハンドル、トリップの何者かがonionちゃんねる内に2chビューアーの機密情報を漏洩させました。
流出した情報は利用者のIDやサービスを利用するために必要なメールアドレス、パスワード、クレジットカード情報など、機密に管理しているものでした。
また、このデータには2chのみならず複数の無料掲示板のサービスに関する記述もあったようです。
この個人情報流出事件は多くのメディアに取り上げられるに至り世間を騒がせました。
「Tor Browser」に脆弱性が発見される
出典: https://pixabay.com
torのダークウェブにアクセスするためのTor Browserに脆弱性が発見されたとセキュリティ会社「We Are Segment」が伝えました。
特定のローカルファイルベースのアドレスをクリックすることで引き金になりユーザーのIPアドレスが割れてしまうようです。
細工されたウェブページのリンクをクリックすることで脆弱性が露見されるようです。
なおMacOSやLinuxがこの影響を受けWindowsは影響を受けないようです。
「Tor Browser」を使用せず「ダークウェブ」にアクセス
「TOR2WEB」を使ってダークウェブを閲覧
出典: https://en.wikipedia.org
基本的にはダークウェブにあるサイトはTor Browserを使いアクセスするものですが、そういった特別なツールを用いずにダークウェブサイトにアクセスする方法もあります。
その中の一つが「TOR2WEB」です。
このサイトにある検索窓にURLのアドレスを入力することで閲覧できるようです。
しかし、当たり前ですが通常のブラウザーで閲覧する以上、匿名性はありません。IPアドレスを取得するみたいなのでオススメはできません。
「TOR2WEB」のURL「https://onion.to/」
onionサイトインデックスサービス
AHMIA
torを使ったダークウェブにあるサイト群はonionサイトと呼ばれています。(URLの末尾が「.onion」となっているかどうかで判別できます)。
最近ではこのonionサイトをインデックスし見出しとして閲覧できるようにしたサイトがあるようです。
「AHMIA」はGoogle ChromeやFirefoxなどの通常ブラウザーからアクセスが可能なサイトでです。
ページにある検索窓に入力することでダークウェブに存在するサイトを検索することができます。
しかしそのサイトを閲覧するにはTorBrowserを通さなければ繋がらない仕様になっています。
ダークウェブには悪質なコンテンツが数多く存在しますが心配はいりません。「AHMIA」の注意書きにもある通りGoogleと同じく違法なコンテンツがあるURLは掲載しないようにしているみたいです。
「AHMIA」のURL「https://ahmia.fi/」
ノードを経由する危険性
各国にあるノードを経由することで逆探知され辛くするtorの技術ですが、そのノードは有志により提供されています。快適なノードを提供している人ももちろんいますが、中にはクラッカーの罠であったり通信の記録をとるようなノードもあるみたいで、知識のないユーザーが利用することはやはり危険性を孕みます。
まとめ
今やiPhoneなどのモバイル機器を使ってもダークウェブにアクセスできるようになってしまいました。
ネット犯罪が増える昨今、アクセスの敷居が低くなったことに一抹の不安を覚えます。
onionちゃんねるは恒心教サイバー部(私刑集団のようなもの)に利用されたりとそういうリテラシーな部分でも怖いものとなっています。
ダークウェブにも通常のウェブのように多種多様なサイトがありますが、オフィシャルなサイトのようにユーザーに優しい作りをしていることは稀で、アクセスした時間帯で繋がらないサイトがあったりします。
Tor Browserも設定によっても繋がらない場合がありますのでそういった場合は調べる必要があります。
torは正しい使い方ができれば非常に素晴らしいものになる。