2021年10月05日公開
2021年10月05日更新
ハリケーン・カトリーナにより露呈!アメリカにもたらした略奪と破壊
アメリカ合衆国南東部を進路とし大きな被害をもたらした未曾有の大災害、ハリケーン「カトリーナ」。シンプソンスケール最大時5の驚異的な規模のハリケーン「カトリーナ」が破壊した街の数々。市民の暴徒化現象。災害の混乱に乗じて略奪を働く人間たちなど画像や動画と共に紹介。
目次
2005年に到来したアメリカ史上最悪の自然災害。ハリケーン『カトリーナ』
シンプソンスケール最大時”5”のハリケーン
2005年8月末。アメリカ合衆国南東部を記録的ハリケーンが襲いました。
そのハリケーンの名称は「カトリーナ」。
被害は非常に広域に及び、進路であるカリブ海岸、フロリダ州、ミシシッピ州、ルイジアナ州では特に被害が大きくありました。熱帯低気圧の等級であるシンプソンスケールは最大時でカテゴリー”5”。ルイジアナ州上陸時にはカテゴリー”3”。
このハリケーン「カトリーナ」により避難生活を余儀なくされた人たちは約2万8,500人にものぼり、避難先の1つとなったヒューストンにあるアストロドームでは衛生環境の悪さから感染性腸炎が副次災害として起こるなどしました。
「カトリーナ」気象衛生進路動画。
ハリケーン「カトリーナ」の内部にある”目”
2005年8月28日に撮影された「カトリーナ」の目
「ハリケーンハンター」より撮影することに成功したハリケーン「カトリーナ」が進路をルイジアナ州「ニューオーリンズ市」に向けて進んでいる時のハリケーンの目内部を映した写真。その規模の大きさがわかります。
ハリケーン「カトリーナ」の風圧
吹き荒ぶ暴風に雨は横殴り状態。設置された看板も折れて飛んで行く寸前です。
木々も斜めになるほどの暴風は人が立つことも許しません。
ハリケーン「カトリーナ」の最大風速は1分間に平均175mph。最低気圧は902mbarという凄まじいものでした。
ハリケーン『カトリーナ』による被害
ハリケーン「カトリーナ」が被害をもたらした進路の画像
いくつかの州をまたがり大きく進路を行くハリケーン「カトリーナ」の及ぼした被害。
最終的に算出されたハリケーン「カトリーナ」被災での直接の死者数は453名〜1,335名にものぼりました。
被害総額は$換算で1080億。アメリカ合衆国未曾有の大災害となってしまいました。
市の8割が冠水した被災地「ニューオーリンズ」
アメリカはルイジアナ州南部にあるジャズ発祥の地とされる都市「ニューオーリンズ」はハリケーン「カトリーナ」の被害をもっとも多く受けたと地域だと言われています。その被害は市の8割が冠水するという非常に大規模なものでした。
黒人の多く住む「ニューオーリンズ」ですが暴徒化、略奪などが多数発生しました。
「ミシシッピー川」
「ニューオーリンズ」は「ミシシッピー川」の河口に位置するので昔から水害の影響を受ける都市でした。
ハリケーン「カトリーナ」の例にも漏れず甚大な水害が起きました。
車を持つことのできない貧困層にある黒人たちは市内に留まらざるを得ず、その影響もあり治安が悪化、強盗殺人などが多発する事態になっていました。
「ニューオリンズ」市内の空撮画像
ハリケーン「カトリーナ」通過後の「ニューオリンズ」市内の画像
ハリケーン「カトリーナ」通過後の「ニューオーリンズ」の街を上空から撮影した写真です。
住宅街を這うように敷かれた道路も全て水浸しになっており、その水害がいかに深刻なものだったかをこの光景が物語っています。やはり川が近い影響が大きくでたようです。
ハリケーン『カトリーナ』の被害に便乗し暴徒化する者たち
暴徒化する市民
驚くべきことに、ハリケーン「カトリーナ」という自然災害の混乱に乗じて、スーパーなどのお店から商品を盗み出す人たちが現れました。
いわゆる火事場泥棒というやつですが、これが止むを得ず食料や衣料品、医薬品を必要だからとったのなら情状酌量の余地がありますが、そうではなく金品などを盗み出す人たちも多くいたようでうす。
そのような犯行現場の光景を映し出した動画も多数アップされました。
略奪者たちの犯行を納めた動画。
取り締まる警官たち
暴徒化し、お店からものを略奪していく者たちの発生を重く見て、市は救援措置活動に当たっていた警官たちを暴徒化した市民の対処にあてるという異常事態に。被災地域ですが銃を持って歩かなければならないというものは異様な光景です。
また放火やレイプ、物資輸送車へ襲撃など無法地帯化も進み州兵が派遣される事態にも。
ハリケーン『カトリーナ』被害がもたらした略奪者は”黒人”だった
暴徒化、略奪者問題から人種差別的問題にも発展
2005年、ハリケーン「カトリーナ」がもたらした市民の暴徒化、略奪者化を多くの報道機関がニュースにしました。
そして一部ではその略奪者たちは全員が黒人であるとして問題提起しました。
この問題の根本に根差すのはアメリカ合衆国にある黒人差別です。
特に当時の「ニューオーリンズ」の人口48万人の内、黒人の割合が約67%にもなります。さらに黒人は貧困の問題もあり賃金が一般的な白人よりも低いこともあり十分な教育を受けられない人たちもいる、だから災害に乗じた略奪を行うのだと一部の識者から発言されました。
「カニエ・ウエスト」による批判
アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身の黒人ミュージシャン「カニエ・ウエスト」はニュースに出演した際に黒人差別を報道機関が煽っているとして批判。
さらに政府の判断により救援をわざと遅れさせているとして名指しでブッシュ大統領に抗議しました。
ハリケーン『カトリーナ』への対処の遅れが政府への反感を買った
政府の対応の遅れ
当時の大統領「ジョージ・ブッシュ」は政府が「ニューオーリンズ市」へのハリケーン「カトリーナ」の対応が遅れたことを認めました。
しかしその声明が休暇中に居たテキサスにある牧場からのものであったためそのこともより批難を浴びる結果に繋がりました。
また前述したように「ニューオーリンズ市」は黒人が多く住んで居たことから”わざと”救援措置を遅らせたのではないかと憶測を呼ぶ結果にも繋がりました。
アメリカ政府の支援
アメリカ政府の行った支援は
デビッドカード(2,000ドルの買い物ができる)を被災地に居る住民1家族に対し1枚の配布。
無料医療に関する情報提供、そのためのウェブサイトを設置。
被災者へピルや避妊具などを無料で配布。堕胎の医療費免除など。この避妊具の配布も黒人のバースコントロールであるとの批判もあります。
ハリケーン『カトリーナ』被害の写真
画像①
ボートに救助された市民たちを写した写真。
画像②
死体の浮いた川を写した写真。
画像③
流されて密集した車を上空から撮影した写真。
画像④
浸水した街の写真。
画像⑤
暴風と高波の影響で傾いたホテルの写真。
ハリケーン『カトリーナ』被災時、被災後の動画
自然災害の痛ましさ
当時の克明な状況を知ることのできる動画。
屋内の浸水、建物が流されるなど津波を彷彿とさせます。
水害にあった市内をボートを使って移動するという異様な光景も見られます。
人の死体がそこかしこにあるという状況はあまりに現実離れしていますね。
津波のごとく流入する水を写した動画。
見る影も無くなった建物
「ルイジアナ・スーパードーム」もハリケーン「カトリーナ」の被害を受けた建物の一つ。
逃げ遅れた「ニューオーリンズ」市民の一時的な仮設住宅になっていたが屋根が損傷したことで使用できない状態も続いていました。
現在の「ルイジアナ・スーパードーム」は改修され「メルセデス・ベンツ・スーパードーム」となっています。
ハリケーン『カトリーナ』各国からの支援
ハリケーン「カトリーナ」の災害に直面したアメリカ合衆国政府の当時の大統領ジョージブッシュはテレビのインタビューで「アメリカは自分の面倒は自分で見られる」と語りましたが、20ヶ国以上もの国がアメリカ合衆国に対して支援を表明したことで、受け入れることを発表しました。 日本からは150万ドル。内訳はテントや毛布、発電機などの緊急支援物資他。各国からも様々な支援が行われています。
ハリケーン『カトリーナ』復興
「カトリーナ」の災害から10余年、「ニューオーリンズ」市の復興
ハリケーン「カトリーナ」の影響により人口流出が大きく起きたルイジアナ州にある「ニューオーリンズ」と郊外の「ケナー」「メテリー」を合わせた地域人口は一時期120万人を割っていました。2000年には130万人以上の人口でしたので10万人以上も「カトリーナ」被害により減衰しています。
「ニューオーリンズ」単体で見ると2015年時点で38万人の人口。「カトリーナ」被災前と比べおよそ20%ほど減っているようです。
「ニューオーリンズ」は文化的にも経済的にも重要な役割を果たしていました。
ジャズ発祥の地であり、クレール料理、ケイジャン料理などが有名で観光名所としても人気がありました。
メキシコ湾に面しているので穀物などの輸出から発展、後に工業都市としても発展しています。
「カトリーナ」被災後、復興に向けて発足された「ルイジアナ災害復興財団」があり復興の足がかりとなりました。
ハリケーン「カトリーナ」の爪跡
復興後も「カトリーナ」の爪跡は残る
アメリカ合衆国に大きな爪跡を残したハリケーン「カトリーナ」から10年以上の時が経ちました。
被災した各地にはその災害を記憶に残すべくモニュメントと化した痛ましいランドマークや水害を忘れないための石碑などが存在しています。
ハリケーン『カトリーナ』まとめ
アメリカ合衆国の広域を進路にして襲いかかった未曾有の大災害、ハリケーン「カトリーナ」。
当時の動画や写真を見ればどれほど大きく、痛ましい被害が出たか明らかです。
「カトリーナ」の進路となった各州は水害、感染症、強盗、殺人が発生し、多くの住人が苦しめられました。
また災害時には市民のモラルが著しく低下したことが露呈し、一層恐怖心を覚えます。
現在では被災した各地も復興支援のおかげで無事復興し、経済活動を再開できているようです。
明日は我が身です。災害時の行動や備蓄など今から考えても遅くはないでしょう。