『マッチョイズム』の意味・使い方・思想を紹介!浸透している国は?
男らしさや男性優位の思想という意味のマッチョイズム。マッチョイズムは、社会だけではなく、家庭でも浸透しています。筋肉を礼賛するマッチョイズムと思想的マッチョイズムにはどのような違いがあるのでしょうか。今回はマッチョイズムについて詳しく解説します。
目次
マッチョイズムってどういう意味?
近頃社会でも話題のワードであるマッチョイズムという言葉を耳にした事はあるでしょうか。マッチョイムズという言葉の意味を正確には分からなくても、何となくどんな意味かイメージできますよね。今回は、マッチョイズムについて詳しく解説していきたいと思います。
マッチョイズムの2つの意味を紹介!
マッチョというと、隆々とした筋肉を持つ男性を連想するのではないでしょうか。マッチョとは「男らしい人」「男らしさ」という意味を持つメキシコ由来の英語です。このマッチョに"ism"(イズム:主義)がついたマッチョイズムには2種類の意味があります。
『男らしさ』を重んじる考え方
マッチョイズムとは肉体だけではなく、精神的な意味でも「男らしさ」を重んじる考え方です。一般的に好戦的であるといわれている男性は物事を競争で決着をつけようとする傾向があります。つまり男らしさを重んじるマッチョイズムとは、戦いに勝ち残ったもの、つまり肉体的にも精神的にも強いものこそが勝者であり、正義であるという考え方です。
『筋肉は裏切らない』という考え方
次に「筋肉は裏切らない」というマッチョイズムの考え方があげられるでしょう。これはボディビルダーの中で浸透している言葉で、ストイックにトレーニングを重ねて鍛え上げれば、必ずたくましい筋肉がつくということです。つまり、もう1つのマッチョイズムの考え方は、苦難に屈しない精神があれば、どんな問題でも解決できるという根性論です。
男性優位主義なマッチョイズムの使い方7選!どんな思想なの?
仕事でのマッチョイズムとは
仕事でもマッチョイズムは浸透しています。社会的に自分を優位に立たせるためには、相手を蹴落としてでも勝利しなければならない時もあるでしょう。否が応でも競争に身を置かなければならない世界はまさにマッチョイズムそのものです。
また、女性が社会進出するには男性優位主義に立ち向かわなければなりません。ある意味、女性であっても根性論であるマッチョイズム精神を持たなければ仕事で生き残っていけないといってもいいでしょう。しかし、女性でありながら悪い意味でマッチョイズムに感化されてしまうケースも見られます。
家庭でのマッチョイズムとは
日本の家庭では昔より父親が一番偉いというマッチョイズムな考え方が根づいています。これは、家庭での主な稼ぎ手が父親であることが多いためです。稼いでいるものが一番偉いという男性優位の現物主義はまさにマッチョイズム思想といえるでしょう。
子育てでのマッチョイズムとは
子育てにおけるマッチョイズムとは、「やればできる、やらなければできない」といういわば根性論的な思想です。確かに何かを成し遂げるために行動は大切です。しかし、子供の成長は個人によって違うものです。「努力が足りないからできないんだ!」とマッチョイズム的に決めつけてしまうと子供は萎縮してしまい、伸びるものも伸びない場合もあります。やればできるというマッチョイズム思想が過度になれば、逆に子供のやる気をなくしてしまう場合もあります。また、マッチョイズムな考え方を幼い頃から強要してしまえば、子供本来が持つ個性を潰してしまう恐れもあります。
学校でのマッチョイズムとは
学校は社会の縮図であるといわれています。弱肉強食のマッチョイズム思想は学校でも広がっています。勉強と部活という戦場に立たされた子供たちは「頑張らないと負ける」というマッチョイズム思想に常に追い立てられています。そして競争というストレスに耐えられずに、自分より弱い子供たちをいじめることでストレスを発散させる場合もあるのです。
政治でのマッチョイズムとは
政治の世界でもマッチョイズムは浸透しています。国会中継を見ても分かるように、野党は国の課題を議論するよりも与党のあら探しに夢中になっています。相手を蹴落とすことばかりの政治家たちの様子は、国民側から見ればどちらも同じ穴のムジナとしか思えません。
また、政治分野における男女共同参画の推進を公布・施行されているものの、日本では政治の世界での女性の活躍は遅れています。これは政治の世界ではマッチョイズムが根強いためであるといえるでしょう。
音楽業界でのマッチョイズムとは
音楽でのマッチョイズムといえば、HIPHOPがあげられます。1970年代にニューヨークのブロンクスで誕生してから、「強い者が弱い者を制する世界」というマッチョイズム思想の元にDJやラッパーたちは隆々とした筋肉で男らしさを見せびらかしてパフォーマンスしてきました。男らしさやたくましさを強調する攻撃的な歌詞はまさにマッチョイズムの象徴といえるでしょう。
芸能界でのマッチョイズムとは
強圧的な態度で人を使うマッチョイズム思想は、芸能界でも当たり前のようにまかり通っています。仕事を用意しタレントを育て上げたと自負している事務所側と自分の才能を信じているタレントとの間でトラブルが起き、仕事を干されたタレントが芸能界を引退することになったという話もよく耳にしますよね。このように、力のあるものが周りを力で押さえつけるのは、まさしくマッチョイズムといえるでしょう。
筋肉至上主義なマッチョイズムたちの思想3選!
「筋肉は裏切らない」
「筋肉は裏切らない」というフレーズを耳にしたことはありませんか?2018年の流行語大賞にノミネートもされたこの言葉は、実は昔からボディビルダーたちに浸透している言葉です。本来は「異性は貴方を裏切るが、筋肉は貴方を裏切らない」というもので、一説によると俳優兼ボディビルダー兼元政治家としても有名なアーノルド・シュワルツェネッガーさんの名言だといわれています。恋人や友人はあなたに飽きればどこかへいってしまうかもしれないけれど、自分で作り上げた筋肉は自分のものであるから決してどこかにいくことはありません。だからこそ、努力を怠らずに続けていきなさいというマッチョイズムの根性論の1つです。
「悩みは筋トレとプロテインが解決する」
「筋トレとプロテインで何が解決できるの?」と疑問に思う人もいるかもしれませんね。「悩みは筋トレとプロテインが解決する」はTestosterone氏の著書『筋トレが最強のソリューションである』の裏表紙に記載されている言葉です。男らしさの象徴ともいえる筋肉を鍛えるには、厳しい筋トレにも耐え、高たんぱく低カロリーの食事制限も必要です。辛いトレーニングを続けるためには自己管理能力も大切です。鍛え抜かれた身体を持つと自然に自信が生まれます。自信がつくと「自分にはできるはず」と行動的になり、どんな問題にも積極的にとりかかるという姿勢が生まれるという思想です。
「全ては筋肉の為に」
筋肉至上主義なマッチョイズムたちの思想には、筋肉のためならば何でもできるというものがあります。マッチョといえども厳しい食事制限や筋トレは辛いものです。しかし、ストイックに筋トレに励めば、自分の理想の身体が築けることは確かです。だからこそ、どんな厳しい制限にも耐えて日々筋トレに励めるのです。
マッチョイズムが浸透している国4選!
アメリカ
アメリカはマッチョイズムが浸透している代表的な国といえるでしょう。アメリカでは、「自分の身は自分で守る」という開拓時代の思想が根強く残っています。そのため、銃による発砲事件が多発しても銃規制されることはありません。南部や中西部など保守的な地域では、自分の息子に真の男らしさを伝えるために狩りに連れていくというマッチョイズム的文化がまだ残っています。
また、アメリカはどこかの国で紛争が起これば、すぐさま先頭に立ってマッチョイズム的役割を果たすために経済的制裁や軍事力で押さえつけようとするのです。
インド
美しく神秘的なイメージのあるインドもマッチョイズム思想が浸透しているといえるでしょう。全人口の8割強を占めるヒンドゥー教の聖典では「男を堕落させるのは女」とされています。そのため、男性優位社会であるインドでは現代でも女性差別がまかり通っており、性犯罪に巻き込まれる女性が数多いのです。
韓国
韓国もまた、儒教の影響で男性優位の思想が残っています。儒教の考え方では女性とは男性に従うべき存在であるから自分で物事を決めてはいけないとされており、これが原因で女性の社会進出が遅れているといわれています。
日本
「男は外に女は家庭に」という考え方はいまだに日本でも根強く残っています。たとえ女性が男性と同じように外で働いていても、食事作り・洗濯・育児などの家事の大半の負担は女性だという家庭もいまだに多いのが現状です。同様に働いても負担はすべて女性が負うことが多いのは、男性優位主義のマッチョイズムが原因といえるでしょう。
マッチョイズムを嫌っている人3選!
オタク
オタクの人たちが肉体的な男らしさを誇るマッチョイズムに疑問を持つのも不思議ではありません。スポーツよりもパソコン・ゲーム・アニメなどのインドア系の趣味を持つオタクの人たちには、「筋肉があれば不安にならない」というマッチョイズム思想は理解できないものでしょう。
インテリ
知識が豊富なインテリの人は思い込みや偏見で差別することはあまりありません。力ずくで物事を解決することは好まずに、理性と話し合いで解決することを望みます。そのため、力で押さえつけようとするマッチョイズム的考え方に否定的な人が多いのです。
フェミニスト
男性優位主義であるマッチョイズムの対極にあるのはフェミニストといえるでしょう。フェミニズムとは、昔から根強く残っている男尊女卑の考え方を取り払い、女性の社会・政治・法律上の権利拡張を主張する考え方です。つまり、男女平等社会へと訴えているフェミニストには、男性優位主義であるマッチョイズムは相反するものなのです。
マッチョイズムは現代社会に浸透している!
世界中でマッチョイズムは存在します。男女平等が唱えられる現代社会であっても、男性優位社会であることは変わりません。男性と女性との身体的や精神的能力は違うものですが、それぞれに良さがあり、優劣をつけるものではありません。真のジェンダーレス社会へ繋げるためにマッチョイズムという言葉の意味について知ることからはじめていきませんか。