『うなづく』と『うなずく』どちらが正しい?使い方や語源も解説!
皆さんは文章を書くときに『うなづく』と『うなずく』どちらが正しいと思いますか?実は深く考えたことがないので分からないという方がほとんどなのではないでしょうか。そこで『うなづく』と『うなずく』の正しい使い方や語源、類語、英語などを解説していきたいと思います。
目次
『うなずく』と『うなづく』はどちらが正しい?
『うなずく』と『うなづく』どちらもよく見かける言葉なので、どちらが正しいのかはっきりしませんよね。そこで『うなずく』と『うなづく』はどちらが正しいのかを解説するために、『うなずく』と『うなづく』の違いや語源について解説していきたいと思います。
『うなずく』と『うなづく』の違いとは?
『うなずく』と『うなづく』に意味の差はありません。ただ『うなずく』と『うなづく』は、『うなずく』の「ず」と『うなづく』の「づ」の部分が違います。つまり「ず」と「づ」の違いが分かれば『うなずく』と『うなづく』の違いも分かると言えます。
『うなずく』と『うなづく』はどちらも間違いではない!
『うなずく』に使われる「ず」と『うなづく』に使われる「づ」ですが、実は1986年7月1日(昭和61年)に内閣が告示した現代仮名遣いによって、基本的に「ず」を使うのが正しいとされています。しかしこの決まり事には一部例外もあり「づ」と表現しても良い場合もあります。そのため『うなずく』と『うなづく』はどちらも間違いではないとされています。ではこのことをより詳しく解説するために、『うなずく』と『うなづく』の語源を確かめてみましょう。
『うなずく』と『うなづく』の語源
『うなずく』と『うなづく』の語源は「項(うな)突く(つく)」です。「項」は「うなじ・こう」とも読み「うなじ・くびすじの部分」を意味します。また「突く」は「地面になどに強く当てる(突く)」といった意味を持ちます。結果「項(うなじ)」を「(地面に)突く」という語源から『うなずく』『うなづく』となったというわけです。このことから『うなずく』と『うなづく』は元は2語から構成されている言葉であることが分かりました。
実は現代仮名遣いによると、「項(うな)突く(つく)」のように「2語が繋がって濁ったもの」に関しては「づ」を使うように決められています。ところが語源が2語であるという認識が低い言葉(『うなずく』『うなづく』)に関しては「ず」を使うのが正しいとされています。となると正しくは『うなずく』が正解で『うなづく』は間違いとなりますよね。ただしこの決まりにも続きがあり、「づ」を使っても間違いではないともされています。
つまりこれはどのような意味になるのかというと、正しくは『うなずく』だけれども『うなづく』と書いても間違いではないということです。そのため『うなずく』と『うなづく』はどちらも間違いではないということになるのです。このように言葉の語源が分かれば、より一層言葉の理解も深まるのではないでしょうか。
『うなずく』と『うなづく』の使い方と例文
『うなずく』と『うなづく』はどちらも正しいということが分かったところで、使い方と例文を紹介します。『うなずく』と『うなづく』は「書く」「歩く」などと同じ動詞です。
【使い方の例文】
- 彼は静かにうなず(づ)く。
- 先生の話に皆うなず(づ)いた。
『うなずく』と『うなづく』の漢字表記は?
『うなずく』と『うなづく』の漢字表記は1つではありません。『うなずく』と『うなづく』の言葉の意味も合せて確認したいので、実際に辞書の内容を見ていきましょう。
うな ず・く -づく [3][0] 【頷▼く・〈首肯〉く・肯▽く】
( 動カ五[四] )
〔「項(うな)突く」の意〕
① 肯定・同意・承諾などの気持ちを表して首をたてに振る。合点(がてん)する。 「いちいち-・きながら話を聞く」
② 首を下に動かす。 「僧正のねぶりて-・くを/著聞 18」
[可能] うなずける
〔現代仮名遣いでは「うなづく」のように「づ」を用いて書くこともできる〕
漢字①『頷く』
『頷く』に使われている「頷」という漢字は訓読みで「あご」と読むことも出来ます。また漢字自体は「あご・うなずく・ききいれる」といった意味を持ちます。また「うなずく」には「首を下に動かす」という動作を表す意味と、「同意」などの心理を表す意味が含まれています。
さて「頷」という漢字についてですが「あご」は身体の部位である「顎」を表すので、心理的というよりかむしろ動作的なことを連想しやすくなっています。そのため「頷」という漢字が使われている時の『頷く』は「首を下に動かしてうなずく」などの動作的なことを表現したい時に使うと良いでしょう。
【使い方の例文】
- 私が話し終えると、相手は大きく頷ずいた。
- 会話が聞き取れなかったが、取り合えず頷いてみた。
漢字②『肯く』
『肯く』に使われている「肯」という漢字自体は「うなずく・あえて」といった意味を持ち、他にも「骨のついた肉・(転じて)物事の要点」などを意味することもあります。また「肯」は「肯定」という言葉に使われています。「肯定」は「物事を正しいと認めること・同意」といった意味があります。
さて「肯」は「肯定」という言葉に使われることから「肯」も「肯定」と同じような意味合いを含んでいる印象を人に与えます。こういったことから「物事を正しいと認めること・同意」のニュアンスを表したい時は「肯」を使った『肯く』を使った方がしっくりくるでしょう。
【使い方の例文】
- 丁寧に説明したら、こちらの計画に相手も肯いてくれた。
- どんなにお金を積まれても、その契約に肯くことは出来ない。
『うなずく』と『うなづく』の類語
『うなずく』と『うなづく』には類語が存在します。ただ類語といっても各々少しずつ言葉の意味や、言葉の印象が違います。そこの部分にも注目してご覧ください。
類語①『肯定する』
『肯定する』には「物事を、正しく妥当であると認める」や「同意する」といった意味があります。ただ『肯定する』は必ずしも「動作」が伴うわけではありません。こういったところもよく理解した上で『肯定する』『うなずく』『うなづく』と使い分けをしていくと良いでしょう。
類語②『賛成する』
『賛成する』は「同意する」という意味を持ちます。しかし『賛成する』には『肯定する』『うなずく』『うなづく』にある「正しいと認める」といった意味はないので注意が必要です。
類語③『首肯く』
『首肯く』は「うなずく・うなづく」と読み、実は「頷く」や「肯く」と同様に「うなずく・うなづく」の漢字表記の1つとされています。「頷く」や「肯く」とは印象が違うので『うなずく』『うなづく』の類語のように思われがちですが類語ではありません。
ただ『首肯く』は「頷く」や「肯く」とは違い、熟字訓されている言葉の一種です。熟字訓とは「2字以上の漢字からなる熟字を訓読みすること」で他には「紫陽花(あじさい)」や「五月雨(さみだれ)」などがこれにあたります。
『うなずく』と『うなづく』の英語表現は?
日本語の『うなずく』と『うなづく』には「首を下に動かす」という動作を表す意味と、「同意」などの心理を表す意味が含まれています。しかしそれらを1つの英語で表すことは困難です。そこでこれらの意味に合せた英語を順に紹介していきたいと思います。
英語①『nod』
英語"nod"は「揺らぐ・なびく」のように動作を表す意味を含んでいるで、日本語の「頷く」に近いニュアンスを持っている英語となります。
【使い方の例文】
"nod one's head (頷く)"
英語②『agree』
"agree"には基本的に動作を表す意味はなく「同意」といった意味を持つ英語です。したがって日本語の「肯く」に近いニュアンスがあります。
【使い方の例文】
"to agree with something (同意する)"
日本人はうなずく回数が多い?
日本人はアメリカ人の2倍以上もうなずく回数が多いという事実をご存知でしょうか。アメリカ人は基本的に会話の終わりにうなずきます。また話の内容に納得した時や、自らの意見が明確になった時にうなずくことが比較的多いとされています。
これに対して日本人は会話の途中でも、幾度となくうなずくことがあります。またその場の雰囲気や相手に合わせてうなずくこともあります。こういったことから日本人はアメリカ人よりも2倍以上もうなずく回数が多くなってしまうのです。
またうなずく動作には元々「肯定や同意」といった意味があります。このことからうなずく動作が少ないアメリカ人は自分の意見をはっきり持っているということが考えられます。逆にうなずく動作が多い日本人は相手に合わせ協調性を大切にしているのが分かります。このようにうなずく回数にも国民性が出てくるのはとても興味深い結果だと思います。
うなずく仕草による効果とは?
さてここからは「うなずく仕草」に注目して見ていこうと思います。「うなずく仕草」は話し手に対してある効果をもたらします。それでは「うなずく仕草」による効果とは何か、早速ご覧ください。
好印象を与える
うなずくことで自然と相手に好印象を与えることが出来ます。そのためうなずきながら話を聞けば、相手もこちらに対して親しみを感じ、場の雰囲気が一気に和みます。
会話のストレスを軽減する
話し相手が会話中にうなずく仕草もせず無反応な場合、話し手は「話しずらい」と感じ会話すること自体ストレスを感じてしまうことがあります。逆に聞き手が話し手の内容に対してうなずいていれば、「話ずらい」というストレスも軽減され会話の雰囲気も上手くまとまります。
会話中にうなずく3つの心理とは?
実はうなずくという仕草には、人間の心理が隠されています。そこで会話中にうなずく心理を3つ紹介していきたいと思います。
相手に対する同意・理解
会話中にうなずくことは、話し手に対する「同意や理解」の心理を表しています。そもそも「うなずく」は「肯定・同意・承諾」などの気持ちを表す動作です。そのため会話中にうなずく心理に「同意や理解」があるのは当然の結果です。
無関心・退屈である
会話中のうなずきには時として「無関心・退屈」といった心理が隠されていることもあります。特に会話中における小刻みなうなずきは「無関心・退屈」の表れです。もし小刻みにうなずいている場合、心理的には会話に飽きていて、うなずくことで気を紛らわしていることも考えられます。
自分の話に納得・確認する
話している人自らうなずいている場合があります。これには自分の話に納得・確認したりしているという心理があります。自分の発言を頭の中で考えて納得したり、自分の発言が正しかったかどうか頭の中で再度確認し直したりするといった時、人は自ら会話している最中に大きくうなずく場合があります。
相手のうなずき方によって柔軟な対処法をとろう!
相手のうなずき方によっては、すぐにでも何か対処法を取るべきシチュエーションもあります。それは一体どんな時なのでしょうか?
会話中に相手が小刻みにうなずく場合の対処法
自分が話している最中に、相手が小刻みにうなずく場合があります。そういった時は残念ながら相手はこちらの話に興味がなく、話に飽きてきた表れです。それを無視してそのまま同じ話を続けても、こちらの話している内容は相手の頭には入っていません。このような場合の対処法は話の内容を思い切って話の内容を変えてみましょう。もしくは自分が聞き役になることで、会話の主導権を相手に渡すのも効果的です。そうすることによって相手も会話を楽しむ事ができます。
会話中に相手が興味津々でうなずく場合の対処法
こちらの話している内容に前のめりにながら、うなずいてくれる人がいます。もちろん話の内容に純粋に興味がある可能性もあります。しかし会話中に興味津々でうなずくというのは、見方を変えればその人の「相手に喜んでもらいたいという気持ちの表れ」でもあり、「他の人よりも注目を浴びたいという願望」でもあります。うなずき方から相手の長所や人間性を理解することで、相手とより親密関係になれます。
ビジネス会話で相手が強くうなずく場合の対処法
ビジネス会話で相手が強くうなづいている場合は、「前向きな意志の表れ」です。こういった場面での対処法は、自分も相手と同様に強くうなずいてみてください。このような対処法をとることによって相手と自分のやる気が同調し、より良い人間関係を築くことが出来ます。例えば相手の口数が少なく一体何を考えている分からなくても、相手が強くうなずいていたら話の内容に積極的であるサインです。こちらも同じように強くうなずいて、相手と同じ志であることをアピールしてみましょう。
『うなずく』と『うなづく』はどちらも正しい!
『うなづく』と『うなずく』について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。実は『うなづく』と『うなずく』はどちらも間違いではないという事実を、意外に感じた方もいらっしゃったのではないでしょう。またうなずき方1つで何を考えているのかも分かってしまうのも驚きですよね。是非こちらの記事を参考にして、上手にうなずく仕草を会話に取り入れたらいかがでしょうか。