『しづらい』と『しずらい』正しいのはどっち?間違いやすい理由とは?

「しづらい」と「しずらい」、どちらが正しい使い方なのでしょう?読み方が同じだけに、間違って書かれることも多い語句です。ここでは「しづらい・しずらい」の正しい使い方を詳しく解説していきます。どちらが正しいのか迷ったときのために、効率的な覚え方もご紹介しましょう。

『しづらい』と『しずらい』正しいのはどっち?間違いやすい理由とは?のイメージ

目次

  1. 1『しづらい』と『しずらい』はどっちを使えばいいの?
  2. 2『しづらい』と『しずらい』はどちらが正しいの?
  3. 3『しづらい』と『しずらい』はどうして間違いやすいの?
  4. 4『しづらい』の覚え方は?
  5. 5『しづらい』の意味や使い方は?
  6. 6『しづらい』の類語・対義語は?
  7. 7正しいのは『しづらい』!間違いやすい『しずらい』に注意しよう!

『しづらい』と『しずらい』はどっちを使えばいいの?

文章を書く機会は、仕事以外でもメールやSNSなど、日常生活の中でも多いのではないでしょうか?普段、何気なく話すときに使ったり、読む機会が多い言葉でも、いざ自分が書くときには間違えてしまうことはありませんか?

たとえば、「~しづらい」と「~しずらい」。使い方としてどちらが正しいのでしょうか?「食べづらい」とか「歩きずらい」というふうに、いずれの書き方もよく目にします。頻繁に使う言葉なのに、読み方が同じため、意外と書き方を間違えられてしまうことが多いのです。

ここでは「しづらい」と「しずらい」のどちらが正しい使い方を説明し、間違いやすい理由についても解説していきます。また、「しづらい・しずらい」の正しい使い方・覚え方についても、類語や対義語を含めてお話ししていきます。ぜひ参考にしてみてください!

女性

『しづらい』と『しずらい』はどちらが正しいの?

そもそも「しづらい・しずらい」、どちらが正しい使い方なのでしょうか?ネットで検索すると、「しづらい」と「しずらい」、いずれの使い方も多数見られます。おそらく書いている本人も、それほど使い方を気にしていないケースもあるでしょう。それだけ「しづらい・しずらい」の使い方は間違いやすい言葉とも言えます。

「しづらい」と「しずらい」。どちらが正しい使い方なのか、その語源も合わせて見ていきましょう。

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『しづらい』が正しい言葉

「しづらい」と「しずらい」。一見、 いずれも正しいようにも思えます。しかし、いずれか一方は間違った日本語です。読み方が同じため、間違いを見過ごしてしまうことも多いのかもしれません。一体「しづらい」と「しずらい」の、いずれが正しい使い方なのでしょうか?

答えは「しづらい」が正しい使い方です。それでも次にまた書こうと思ったとき、間違えてしまいそうなら、「しづらい」の語源について考えてみると良いでしょう。詳しく説明していきます。

辞書

『しづらい』の語源は『する』+『辛い』

「しづらい」か「しずらい」か。正しい使い方を間違えないために、まずは「しづらい」という語句を分解してみましょう。

「しづらい」は「する」という動詞に「辛い(つらい)」という接尾語が付いた語句です。つまり、「しづらい」を分解すると、「し」+「辛い(つらい)」ということになります。この「し辛い」を聞き取りやすくするために、濁点が付いて「しづらい」になったとされています。

古い本

「辛い」には「~するのが困難だ」「~するのが難しい」という意味があります。そのため、この「辛い」には「し」以外にも、いろいろな動詞の連用形を付けることができます。具体的な「辛い」の使い方を挙げてみると、「覚え」+「辛い」で「覚えづらい」。「言い」+「辛い」で「言いづらい」などがあります。

このように語句を分解して語源まで考えてみると、「しづらい」と「しずらい」のどちらが正しい使い方かがわかりやすくなります。「し」+「辛い(つらい)」という語句の成り立ちから、「しずらい」が間違っていることもおわかりいただけたでしょう。

たとえば、「覚えずらい」と書いてしまうと、「覚え」+「すらい」と分解できます。つまり「覚えすらい」、濁点を付けて「覚えずらい」としても、語句の意味をなさなくなってしまうのです。

ノート

『しづらい』と『しずらい』はどうして間違いやすいの?

ここまでお話ししてきたとおり、「~するのが辛い(つらい)」という語源を考えれば、「しづらい」が正しいと理解しやすくなります。では、なぜこれだけ「しづらい」と「しずらい」が間違って使われているのでしょうか?

理由として、現代ではSNSやメールなどで、個人が日常的に気軽に文章を発信しやすくなったということも関係しています。ここまでインターネットが普及していなかった頃は、文章が公にされるときには、たとえば出版などは校正・校閲が入ることで間違った日本語は訂正されていました。

「しづらい・しずらい」の間違った使い方にも、このようなネットの普及が関係するのと同時に、ほかにも間違って使いやすい理由があります。一体なぜ「しずらい」という書き方が一般的になってきたのか、さらに詳しく見ていきましょう。

男の子

読みが同じなので間違いやすい

「しずらい」という書き方がこれほど広まったのには、やはり理由があります。まず、日本語の「ず」と「づ」の読み方は同じです。「しづらい」と「しずらい」は、そもそも読み方が同じなのです。

加えて、「しづらい」でも「しずらい」でも意味は通じます。しかもわざわざ漢字で「し辛い」と書くことはなく、平仮名で書きます。「しずらい」と間違って書いている本人も気づかないか、それほど気にしない人も多いのでしょう。書き方を迷うことはあっても、これだけ「しずらい」が頻繁に使われていると、「しずらい」のほうが正しいと覚えてしまう人もいるかもしれません。

キーボード

また、日本語には「連濁」という現象が生まれやすい特徴があります。「連濁」とは、二つの言葉が結びついて一語になるとき、後ろの語頭の清音が濁音に変化しやすい現象です。たとえば、「戸(と)」と「棚(たな)」が一つになると、「棚(たな)」の語頭が濁音となって「とだな」となります。「株式(かぶしき)」と「会社(かいしゃ)」が結びつくと、「会社(かいしゃ)」の語頭が濁って「株式会社(かぶしきがいしゃ)」という読みになります。

「し」+「辛い(つらい)」も一語になることで、「辛い(つらい)」の語頭が濁音となり、「しづらい」という読み方になります。「しずらい」の場合は、「し」+「すらい」という同じサ行の言葉を続けて発音しようとして、「しずらい」という造語が誕生したともされています。

本

現代仮名遣いにおける『ず』と『づ』の書き分けと混同している

「しづらい」と「しずらい」の間違いが多い理由には、ほかにも「現代仮名遣い」における書き分けの影響もあると言われています。現代仮名遣いは1986年に内閣告示として公布された仮名遣いのことです。この現代仮名遣いには仮名遣いについて原則的なルールが定められています。中でも4つの仮名の表記「じ」「ぢ」「ず」「づ」については、少々混同しやすいところがあります。

たとえば、これまで歴史的に「づ」と表記されていた言葉も、原則的に「ず」に統一するとされています。「図画」は「づが」ではなく「ずが」。「地図」は「ちづ」ではなく「ちず」。ただ、「図」という漢字は「口」の中に「ツ」を入れた形になっています。しかし、「図」が連語となると「ヅ」ではなく「ズ」と読むため、議論が残るところでした。

こうした現代仮名遣いの影響で、「し辛い」も「づ」ではなく「ず」、つまり「しずらい」と書きがちになったという説があるのです。しかし、この「しずらい」はもともと仮名遣いとは観点が異なるため、注意が必要と言えるでしょう。

女性

『しづらい』の覚え方は?

「しづらい」が正しい使い方であることを説明してきました。「しづらい」が正しいと理解できても、やはり咄嗟に迷ってしまい、「しずらい」と間違えて書いてしまうこともあるかもしれません。「しづらい」と正しく書くために、わかりやすい覚え方はないものでしょうか?今後「しづらい」を間違って書かないためにも、覚え方についてご紹介しましょう。

「しづらい」の効率的な覚え方は、先ほどお話ししたように、やはり語句を分解してみることです。「し」+「辛い(つらい)」が覚え方のポイントとなります。「辛い」=「つらい」、つまり「しづらい」という覚え方です。

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『しづらい』の意味や使い方は?

「しづらい」の意味を考えることも、正しく書くために覚え方のヒントとなります。もともと「辛い(つらい)」の意味は「苦痛や抵抗や困難を覚える」という意味です。つまり、「~しづらい」という語句の意味は「~するのが難しい」「~しにくい」ということです。もし「この靴だと歩くのが辛い」と表現したいときには、「歩き」+「辛い」で、「この靴だと歩きづらい」と書けます。

何かをするのが辛いということを書きたいときには、ぜひこの覚え方を思い出してみてください。「食べるのが難しい」なら「食べ」+「辛い」。「辛い」の読み方は「つらい」なので、つまり「食べづらい」という覚え方です。

男性

『しづらい』の類語・対義語は?

「しづらい」の語句の意味をさらに深く知るために、類語や対義語についてもご紹介しましょう。類語・対義語を知ることで、間違って使うことも少なくなります。文章を書くときの参考にしてみてください。

色鉛筆

『しづらい』の類語

「しづらい」の類語として、「しにくい」「しがたい」「難しい」「困難だ」などが挙げられます。日常会話で使う「ムズい」というのも類語と言えるでしょう。

類語の例文として、たとえば「判断しづらい」と表現したいときには、「判断しかねる」「判断がつきかねる」「判断できない」「判断に迷う」などもあります。類語からもわかるように、やはり「~しづらい」という語句の意味は、何かを行うことを難しく感じる様子だとわかります。

ただ、類語には注意点もあります。例として、「しづらい」を「しにくい」という表現に変えたとき、微妙に意味に違いが生じます。「しづらい」はより心理的な理由によって難しさを感じている場合が多く、「しにくい」というのは物理的な理由ということも考えられます。「家に入りづらい(心理的理由)」と「家に入りにくい(物理的理由)」のニュアンスの違いなどです。同じ類語でも微妙に感じ方が異なる場合があるので、使い分けが必要でしょう。

女性

『しづらい』の対義語

次に「~しづらい」の対義語を挙げてみましょう。真っ先に思い浮かぶ対義語として、「~しやすい」があるのではないでしょうか?「話しづらい」の対義語は「話しやすい」などです。

「しづらい」の対義語とは、要するに「容易だ」「たやすい」「やりやすい」「やさしい」を意味した言葉になります。たとえば、「行き来しづらい」の対義語は、「来やすい」とか「気軽に来られる」という語句まで含めることができます。

女性

正しいのは『しづらい』!間違いやすい『しずらい』に注意しよう!

「しづらい」と「しずらい」。たった一文字の違いながら、やはり前者が正しく、後者は間違った日本語なのです。「しづらい」はよく使う言葉だからこそ注意が必要です。

「しづらい」という平仮名を「辛い」という漢字のイメージで覚えておくと、間違って使うことも少なくなるでしょう。友達同士のチャットやLINEなら、「しずらい」と間違っても、わざわざ訂正されることはないでしょう。

しかし、正式なビジネス文章などでは、やはり「しずらい」という書き方には違和感を覚える人も多いはずです。仕事でクライアントに送るメールや就活・転職などで提出する文章でも、きちんと正しい日本語が書けるようしたいものです。この記事を参考にしていただければ幸いです。

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この記事のライター
chawa

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