『戦々恐々』の意味を分かりやすく解説!使い方も例文を使って紹介!
「戦々恐々」という言葉をご存知でしょうか?知っているようでも、意味や使い方をあまり詳しく知らない言葉もありますね。今回は「戦々恐々」について、意味や由来、語源、例文をご紹介します。また、類語や対義語、英語表現もご紹介するので、参考にしてみてくださいね。
目次
『戦々恐々』の意味とは?
「戦々恐々」という言葉をご存知でしょうか?この「戦々恐々」という四字熟語の読み方は、「せんせんきょうきょう」と読みます。「戦々恐々」は話し言葉ではあまり使うことは少ないですが、ネット記事や新聞などの書き言葉として、しばしば目にする言葉です。今回は「戦々恐々」という言葉について、由来や語源、例文を踏まえて使い方など詳しく解説します。また、「戦々恐々」の類語や対義語、英語表記についてもご紹介します。
意味①恐れおびえている
「戦々恐々」の主な意味として、「恐れおびえている」様子を意味します。これは、「戦々恐々」に含まれる「戦」という言葉には、争う意味での「戦う(たたかう)」だけではなく、不安や恐ろしさで震える様子を表す「戦く(おののく)」という意味があります。「戦々恐々」の使い方として、「こうなってしまうのではないか」と、悪い結果を予測して恐れる状態を表すときに使われることが多いでしょう。
意味②畏れ慎んでいる
まれに、謙虚さや敬意を表す目的で「戦々恐々」を使う場合があります。自分よりも目上の人や敬意を払う相手に対して、「戦々恐々ですが~」のように目的を伝える前のワンクッションとして使います。ただ、「戦々恐々」を会話で使うと堅苦しい印象になるので、もう少し耳馴染みのある「恐縮です」や「恐れ入ります」に言い換えられます。どちらかと言えば、「戦々恐々」は話し言葉よりも書き言葉と言えるでしょう。
『戦々恐々』の由来・語源は?
「戦々恐々」は本来は「戦戦兢兢」と表記します。「戦」と「兢」はどちらも同じ漢字が続くので、踊り字の「々」で表記するようになったと考えられています。また、「戦々恐々」の「兢(きょう)」という漢字は、「競走」「競技」などで使われる「競」と間違えやすいので注意しましょう。
「戦々恐々」の語源や由来は、中国最古の詩集と言われている「詩経(しきょう)」にある、「戦戦兢兢、如臨深淵、如履薄氷」という詩に基づくとされています。これは「戦戦兢兢として深淵に臨むが如く、薄氷を履むが如し」と訳すことができます。これは、「崖のような深い淵をのぞきこむように、薄い氷の上を歩くように、身を慎んで行動すること」を意味します。つまり、「戦々恐々」は危険を目の当たりにしている様子を表します。
『戦々恐々』の使い方!例文付きで紹介!
では、具体的に「戦々恐々」にはどのような使い方があるのでしょうか?「戦々恐々」単体では名詞ですが、使い方として「戦々恐々として~」のように、人や物事の性質や状態を表す形容動詞としての使い方が多いでしょう。「戦々恐々」について具体的な使い方の例文を5つご紹介します。
- いつ上司に呼び出されるか、戦々恐々として待っていた。
- 彼女との待ち合わせに遅刻してしまい、怒られるのではないかと戦々恐々とした。
- 大きな地震が再び起こるのではないかと、街の人々はいつでも戦々恐々としている。
- 自分が犯人であると、いつばれるかわからずに戦々恐々としていた。
- 検診の結果がどうなっているのか、戦々恐々として待っていた。
『戦々恐々』の類語は?
「戦々恐々」は「危険を目の当たりにして恐れる」という意味でしたね。「戦々恐々」の言葉と同じような意味を持つ類語には、どのようなものがあるのでしょうか?4つの類語を例文と一緒にご紹介します。
類語①『戦々慄々(せんせんりつりつ)』
「戦々慄々」の読み方は「せんせんりつりつ」と読みます。本来は「戦戦慄慄」と表記しますが、「戦々恐々」と同じように、踊り字を用いた反復表記で使われることが多いです。「戦々慄々」の由来は、中国における漢の時代の「淮南子(えなんじ)」という思想書に基づきます。意味は、びくびくして震えている様子、恐れおののく様子を表します。
例文:彼女はライバルに先を越されるのではないかと、いつでも戦々慄々していた。
類語②『小心翼翼(しょうしんよくよく)』
「小心翼翼」の読み方は「しょうしんよくよく」と読みます。「小心翼翼」も「戦々恐々」と同じように中国最古の詩集「詩経」に由来するとされています。本来、「小心」は端々まで気を配ることを意味し、「翼翼」は慎み深いことを意味しますが、「小心」を気が小さいと捉えて、びくびく怯える様子を表します。
例文:いつも小心翼翼としていた彼だが、本番になると人が変わったように堂々と演じていた。
類語③『跼天蹐地(きょくてんせきち)』
「跼天蹐地」の読み方は「きょくてんせきち」と読みます。由来は、こちらも中国最古の詩集である「詩経」に基づきます。「跼(きょく)」は背中を丸めて縮こまることを意味し、「蹐(せき)」はこそこそと人目を忍んで歩くことを意味します。このようなことから、「跼天蹐地」の意味は恐れて怯えること、また、世間の目を気にして肩身狭く生活することを意味します。
例文:彼は社内で大きなミスを犯したことを気にして、跼天蹐地の思いで通勤した。
類語④『委縮震慄(いしゅくしんりつ)』
「委縮震慄」の読み方は「いしゅくしんりつ」と読みます。「震慄」は恐怖で震えることを意味し、「委縮」と合わせることで、恐怖のために身をすくめて動けない様子を強調した意味となります。使い方は、話し言葉ではなく書き言葉で使われることがほとんどの表現です。
例文:社長の独断によって評価基準が変わったので、社員は委縮震慄して毎日過ごしている。
『戦々恐々』の対義語は?
次に「戦々恐々」の対義語となる言葉をご紹介します。「戦々恐々」の対義語となる言葉の多くは、「戦々恐々」の少しネガティブな意味に対して、ポジティブな意味を持つものが多いです。
対義語①『泰然自若(たいぜんじじゃく)』
「泰然自若」の読み方は「たいぜんじじゃく」と読みます。落ち着いて動じない様子を意味します。語源や由来として、「泰然」は落ち着いており、物事に動じない様子を表します。「自若」は「若」が「従う」という意味を持ち、「自らに従う」が転じて、あるがままに従って平常心を失わずに落ち着いている様子を表します。
例文:彼はどれだけピンチに陥っても、泰然自若として構えているので頼りになる。
対義語②『神色自若(しんしょくじじゃく)』
「神色自若」の読み方は「しんしょくじじゃく」と読みます。「泰然自若」の類語でもあり、危険にあっても顔色を変えずに落ち着いている様子を意味します。語源は「神色」が精神の状態や顔色を意味し、「自若」の「あるがままに従う」という意味に由来します。
例文:彼女はいつでも神色自若としていたが、さすがに母親の訃報を受けた時は動揺を隠せなかった。
対義語③『余裕綽綽(よゆうしゃくしゃく)』
「余裕綽綽」の読み方は「よゆうしゃくしゃく」と読みます。焦らずにゆったりと落ち着きのある様子を意味します。日常会話でも「余裕」という言葉を使うことは多いので、意味のイメージが湧きやすい言葉です。「綽綽」は慌てることなく、落ち着いている様子を表します。同義語の「余裕」と前後で組み合わせて落ち着きのある様子を強調しています。
例文:早起きをしたので、待ち合わせ時間には余裕綽綽で間に合うはずだ。
対義語④『意気自如(いきじじょ)』
「意気自如」の読み方は「いきじじょ」と読みます。語源は中国の歴史書である「史記」に由来します。物怖じせずに肝の据わった将軍を形容した言葉として使われました。どんな状況でも取り乱さずに、落ち着いている様子を意味します。
例文:些細なことで取り乱してしまう私と違って、兄はいつでも意気自如として振る舞っている。
『戦々恐々』の英語表記は?
「戦々恐々」の四字熟語を英語表記にすると、どのように表現されるでしょうか?外国の方へ英語で「戦々恐々」のニュアンスを伝えたい時などに参考にしてみて下さい。
「戦々恐々」は、英語では"trembling with fear" "in fear and trembling"というように表現されます。英語で"fear"は「恐れる」を意味します。また、"trembling"は英語で「震えること」を意味します。
例文:He was a trembling with fear the earthquake.(彼は地震を恐れて震えていた。)
『戦々恐々』と『戦々兢々』どちらが正しい?
「戦々恐々」と「戦々兢々」ですが、一体どちらの表記が正しいのでしょうか?由来となる中国最古の詩集「詩経」には「戦戦兢兢」と表記されていました。現代の日本において「兢」という漢字は常用漢字でないため、常用漢字である「恐」が代わりに用いられました。そのため、意味はどちらも同じ意味として使うことができます。ただ、誰かに使う場合は、「戦々恐々」の表記を選んだ方が、相手もイメージが掴みやすいでしょう。
『戦々恐々』の意味を理解して使ってみよう!
「戦々恐々」という言葉は、日常の話し言葉ではなかなか出てきませんが、ネット記事や新聞などにはよく目にする四字熟語です。英語や類語、対義語と一緒に学ぶことで、「戦々恐々」の意味が持つニュアンスをより深く理解できます。日常で目に触れることがあれば、意味を意識して読んだり、使ったりしてみてくださいね。