山口の方言（山口弁）18選！可愛い方言や告白フレーズも！

山口の方言は一体どんなイントネーションや言葉が使われているのか、ご存じない方が多いと思われます。実は大河ドラマ『花燃ゆ』では、山口県を舞台として山口弁が放送されました。それをきっかけに、山口弁が密かに注目を浴びているのです。

今回は山口の方言はどんな特徴があるのか、またどんな面白い方言が隠されているのか、魅力を深掘りしていきます。

山口県は、中国地方の五県のうちの一つで、九州地方に非常に近い場所です。島や海、遺跡など自然にあふれた観光名所がたくさんあり、SNS映えするスポットとして今若者の間で人気となってきています。

また、山口は近代化が進むにつれ、発展が速い地として「一番乗り」が多く、「新し物好き」といわれてきました。そのため山口には、日本最初の天満宮『防府天満宮』や、全国に先駆けて登録された道の駅『道の駅阿武町』など「一番乗り」なスポットが多数あることで有名です。

世界遺産に登録された『萩の街』や、アメリカのニュース放送局が「日本の最も美しい場所31選」に選んだ『元乃隅神社』など、知る人ぞ知るパワースポットもあります。

山口の方言には、「撥音化」と「拗音化」といわれる大きな特徴があります。「撥音」とは、わをんの「ん」の意味をもちます。そして「撥音化」すると、ラ行・ナ行・マ行が撥音化する傾向があります。例えば「それで」ならば「そんで」となるし、「そのとき」ならば「そんとき」となります。

「拗音化」は、格助詞が「は」「を」で直前語の語尾がイ段・エ段の場合、母音と融合して拗音となります。例えば、「酒は」なら「サキャー」となり、「道を」なら「ミチョー」と発音します。

この2つが山口弁の大きな特徴となりますが、その他に以下のような印象が受けられます。

山口の方言で意外と思われる特徴は、標準語とほぼ同じイントネーションだということです。これは山口弁が『東京式アクセント』という高低アクセントというものに分類されているためです。

北九州などのイントネーションが含まれている山口弁でも、「ニュアンスで大体聞き取れる」と比較的わかりやすいイントネーションなのです。東北地方のような癖の強さは少ないので、不思議と初対面の人との会話でも馴染んでしまいます。

山口の方言のもう一つの特徴といえるのは、言葉の響きが柔らかいことです。

山口弁は拗音化するという特徴がある通り、「にゃ、ちゃ、ちゅ、ちょ」という言葉が多く、母音をはっきり発音しません。そのため、言葉の流れがまろやかになり、柔らかく聞こえてくるのです。女性が山口弁を話して可愛い印象を受けるのはこのためでしょうね。

山口で日常会話に頻繁に使われる方言や語尾を10選にまとめました。聞き覚えのある方言や、初めて耳にする面白い方言があるか、チェックしながら見ていきましょう。

「食器が破れた」（食器が壊れた）

「えっ？」と思わず聞き返してしまいそうですが、「破れた」は物が壊れたときに使う方言です。日常生活で頻繁に出てくるのではないでしょうか。

峠のことを「たお」と呼びます。地域により「だお」「とう」「どう」と呼び、「とうげ」とそのまま呼ぶこともあります。想像も付かない言葉なので面白いですね。ちなみに谷地形のことは「えき」と呼ぶそうです。

「雨が降り出してびっしゃになったっちゃ」（雨が降り出してびしょ濡れになっちゃった）

「びっしゃ」は「ずぶ濡れ」「びしゃびしゃ」になったと日常で頻繁に出てくる方言です。「びっしゃこ」は全身ずぶ濡れになったときに使い、広島弁と同じ方言だそうです。

「服にぬすくらんとハンカチを使いんしゃい！」（服になすりつけないでハンカチを使いなさい！）

子供が手を洗ったあとに、よく親から怒られるようなフレーズですね。言いにくそうな方言ですが、試しに真似してみたら面白いかもしれません。

「このお水はひやいね」（このお水は冷たいね）

「ひやい」は「冷たい」という意味で頻繁に使われる方言です。これはなんとなく連想しやすいですよね。びっくりした時には「ひやっ！」と言うそうです。

「～です」「～ます」の意味で語尾に「ちゃ」を付けます。例としては「この本面白いっちゃ」を「この本面白いよ」という使い方。疑問文の語尾にも「～ちょる？」を「～してる？」というフレーズで使います。

この方言は山口弁の大きな特徴「拗音化」が含まれる方言ですね。東部ではあまり使わず、かわりに「じゃけぇ」「～け」を使うそうです。

「なに言っちょるそ？」（何言ってるの？）
「今遊びよるほ！」（今遊んでるよ！）

「～ちゃ」と同じ意味で「～なの」「～だよ」と語尾に付く方言。中部では「～そ」、西部では「～ほ」が使われるそうです。「サ行」が語尾に付く方言は珍しく面白い印象を受けますね。

「じらゆーたらいけんっちゃ」（わがまま言ったらだめだよ）
「あ～じらが出た」（あ～ぐずりだした）

このようにわがままやぐずることを「じら」と言います。わがままを言う人のことは「じらくい」や「じらくり」と呼ぶそうです。

「今やししたっちゃろ」（今ズルしたでしょ）

「ズルする」ことを「やし」と使います。「やしすんなっちゃ！」は「ズルすんなよ！」という意味ですね。他県では語尾に「～やし」と日常で使うことがありますが、ガラリと違う意味を持ちます。

「棚に手がたう」（棚に手が届く）
「身体が固くて手がたわん」（身体が固くて手が届かない）

「届く」は「たう」、「届かない」は「たわん」といいます。宅配便が届くという意味とは違い、手元のものに対して使う方言だそうで、頻繁に出る方言のひとつです。

実は山口の方言には可愛らしいフレーズがいくつもあるんです。日常で頻繁に使われる可愛い方言を5選ご紹介します。

「おいでませ山口へ」「ようおいでました」は「ようこそ」と人を歓迎する際に使われます。柔らかく可愛い方言ですね。旅館や旅先で出迎えてもらった時に、「ここは山口なんだな」と安心させてくれる言葉ですね。

「今日はぶち寒い」「ぶちおもしろい」など「すごく」「とても」という意味使います。山口を代表する方言なので、聞いたことある方は多いかもしれませんね。一部地域によっては「ぶり」と言うそうですが、ほとんどは「ぶち」だそうです。

実はこの方言、1970年代に若者が使いだして広まったといわれています。今や頻繁に使われる方言のひとつとなったので、驚きですね。

「しゃんしゃんしいや」「しゃんしゃん歩きなさい」など「きちんと」「しっかり」という意味で使われます。擬音語のように感じる方言ですが、「しゃんとしなさい！」と子供を叱るイメージは想像しやすいですね。

「○○ちゃんはぶてる？」「またはぶててから」は「○○ちゃん拗ねてる？」「またいじけてる」と言う意味です。思わず「ハブ」と聞くとひやっとしますが、大人が子供によく言う方言。子供に向かって言う方言は可愛く感じてしまいますね。

「子供の側におっちゃってくれん？」は「居てやってくれる？」という使い方です。第3者的な言い回しですが、「ずっと一緒におっちゃってくれん？」と恋人に言うフレーズでもあります。思わずキュンとしてしまう可愛い方言ですね。

ここで山口ならではの可愛い方言を生かす、山口弁の告白フレーズ。他に負けないくらいのキュンとさせる方言を3選に絞ってご紹介します！

「ぶち好きやけぇ」「ぶち好きなんちゃ」

「すごく好き！」という意味で、可愛い方言のひとつ「ぶち」を使った告白フレーズ。女性が使うのはもちろん可愛いのですが、男性に言われると男らしさを感じてキュンとしてしまいますね。

「あなたのこと愛しちょるよ」

山口らしい「～しちょる」と日常で使われる語尾を付けた告白フレーズです。「好きって言っちょろーが！」と強めの変化球で言われると思わずOKしてしまいそうな勢いがあります。

「うちのことどー思っちょる？」

一人称が「うち」なところと「～ちょる？」と山口らしい方言が混ざった可愛い告白フレーズです。好きな女の子に上目使いで聞かれることを想像したら、思わずキュンとしてしまいますね。

山口弁を話す芸能人と聞いてもいまいちピンときませんよね。実は山口に関係ある芸能人を3人ご紹介します。

誰もが知っている日本の首相・安倍総理ですが、本籍が山口にあり、生まれは東京だそうです。1993年の第40回衆議院議員総選挙に初出馬し、山口県第1区から初当選しました。議員としては山口県から誕生し、のちに首相となりました。

ハキハキとした言葉使いでお話しするのをテレビで見かけますが、普段は方言を話したりするのでしょうか。想像がつかないので気になりますね。

お笑い芸人さんといえば関西をイメージしますが、田村淳さんは山口出身です。相方の田村亮さんは大阪出身ということなので、田村淳さんも関西弁を話しているイメージが定着していたかもしれません。テレビで見る限り山口弁で話してる様子は全くなく、標準語が定着しているように感じます。

オリンピックに多数出場している卓球の石川佳純選手も山口出身です。インタビューでは山口弁の特徴が出ることなく、標準語のように話していますよね。山口弁は標準語とイントネーションが変わらないということが納得できます。

頻繁に使われる方言や、山口らしい可愛い方言などご紹介をしましたが、いかがだったでしょうか。意外と聞いたことのあるフレーズや、使ってみたら面白い方言などが数多くあったかと思います。日常会話で取り入れてみると、雰囲気が変わって会話が弾むかもしれません。

方言は、その人の個性や人間らしさが言葉となって表れてくるものです。山口へ観光する際には、方言の魅力を肌で感じてみてはいかがでしょうか。