『貶す』の意味を紹介!類語や対義語、貶す意味を持つ熟語も!
「貶す」という言葉の読み方や意味をご存知でしょうか。「貶す」という言葉は、人間関係をトラブルなく潤滑にするためには是非知っておいて欲しい言葉です。「貶す」の言葉の意味を、同義の熟語や例文、貶す心理などから詳しくご説明していきます。
目次
『貶す』ってどんな言葉?
「人を貶す」など、「貶す」という言葉を見たり聞いたりしたことはあるでしょうか。
「貶す」という言葉を見て、読み方がわからないという方もいるかもしれません。
「貶す」の読み方と意味、例文をふまえた使い方と心理について詳しく説明していきましょう。
『貶す』という言葉の意味・読み方を紹介!
「貶す」という言葉の漢字である「貶」は、漢字検定1級レベルの漢字のため、あまり目にする機会のない漢字です。
そのため、「貶す」の正しい意味や読み方を理解していない方も少なくないかもしれません。
まずは基本的な意味からご説明します。
『貶す』の言葉の意味
「貶す」には大きく2つの意味があります。
まず1つめは、”自分以外の他人を非難する”、”ある物事に対して低評価をする”という意味です。
そしてもうひとつは、”他人に悪口を投げかける様子”という意味です。
どちらの意味にしても、「貶す」にはマイナスなイメージがあり、ポジティブな意味の使い方はされない言葉です。
『貶す』の言葉の読み方
「貶す」という言葉の読み方は、「けなす」です。
「貶」という漢字は、音読みでは「ヘン」という読み方をします。
「貶」の漢字の付く熟語の例と熟語の意味も見てみましょう。
貶斥(へんせき)
意味:おとしめて退ける、排除すること
貶竄(へんざん)
意味:官位を下げて遠方へ流すこと
毀誉褒貶(きよほうへん)
意味:ほめることと悪口を言うこと、また、ほめたりけなしたりする世間の評判のこと
『貶す』意味のある言葉の例
貶す意味合いを含む言葉にはどのようなものがあるのかを知っておくことで、不用なトラブルを回避しましょう。
「バカ」や「アホ」といった言葉は、ちょっとしたミスなどでツッコむ場合に使うことや、「もっと気を付けろよ」といった諫める意味で使う言葉でもあります。立場によっては貶す言葉として取られる可能性があるでしょう。
「デブ」や「チビ」などの容姿に関係するネガティブな言葉は貶す意味の言葉になりえます。相手が気にしている点を付く言葉は、相手にとって貶す行為となるでしょう。
「ウザい」「キモい」といった、相手をまったく受け入れない言葉も、相手を貶すことになります。
差別的・侮辱的な意味を含む言葉は、十分に貶す意味の言葉となります。このレベルの言葉になると名誉棄損に問われることもあるので注意しましょう。
『貶す』の意味を持つ英語表現
「貶す」の意味にあたる英語表現にはどのようなものがあるのでしょうか。そのいくつかをご紹介しましょう。
英語表現① denigrate
意味:(人の性格や評判を)中傷する、侮辱する
英語表現② smear
意味:他人を中傷する、(名声などを)汚す
英語表現③ smirch
意味:(名声を)汚す、(名誉・名声・評判などの)汚点
英語表現④ slander
意味:~を中傷する、名誉毀損
『貶す』の類語・対義語は?
『貶す』の類語
「貶す」の意味である、相手を非難するという意味を持つ類語です。
類語① 罵る(ののしる)
意味:大声で非難する、ひどい言葉で悪口を言う
類語② 腐す(くさす)
意味:悪意をもって悪口を言う、欠点をことさらに取り上げてこきおろす
類語③ 非毀(ひき)
意味:他人の悪事や醜行をあばき名誉を傷つけること
類語④ 譏る(そしる)
意味:他人のことを悪く言う、非難する
『貶す』の対義語
「貶す」の対義語と、対義語の意味です。
対義語① 誉める・褒める(ほめる)
意味:したことや行いをすぐれていると評価して、その人や事を良く言うこと
対義語② 煽てる(おだてる)
意味:うれしがることを言って相手をいい気にさせる
対義語③ 称える(たたえる)
意味:すぐれていると心からほめる
『貶す』の意味を含む熟語を3つ紹介!
「貶す」の言葉の意味を含んでいる熟語をご紹介しましょう。
悪口
「悪口」とは、ある人や物に対して評判や名誉を傷つけるような言葉のことを意味している熟語です。
人に悪口を言って貶すことは、かつての日本では犯罪とされていました。
武家社会では名誉がたいへん重んじられていました。ちょっとしたことで人を貶すだけでも闘争の火種となったのです。鎌倉時代に、武家社会での慣習や道徳をもとに制定された「御成敗式目」の中には、重大な悪口に対しては流罪の刑に処したとの記録もあるほどです。
誹謗、中傷
誹謗(ひぼう)とは、ある人の名誉を傷つけたり不快感を与えたりする意図のある失礼な言葉の熟語のことです。そして、中傷(ちゅうしょう)とは、真偽の関係なく根拠のないことを言いふらして他人の名誉を傷つける言葉です。
誹謗と中傷の違いは、誹謗が根拠がある言葉であることに対して、中傷は根拠もない言葉であることです。
誹謗中傷という熟語は、その大きさによっては事件として扱われます。侮辱罪、名誉棄損罪、業務妨害罪に問われる場合があり、有罪となれば3年以下の懲役(あるいは禁錮)、50万円以下の罰金に課せられます。
讒言
「讒言」は「ざんげん」という読み方をする言葉です。
他人を陥れようとする目的で、事実を曲げてありもしないことを目上の人に告げる貶し言葉のことを言います。
讒言の使い方としては、出世競争のために邪魔になる人物を失脚させるために告げ口するような場合です。
『貶す』の使い方や心理を例文で5つ紹介!
例文から、「貶す」という言葉の使い方と、貶す人の心理を探ってみましょう。
「貶す」の使い方の例文①
「あの人はいつも他人の作品を貶すので、アーティストとして失格だ」
アーティストは、一般の人とは違った感性の持ち主のため、美を追求する目の厳しさがあるでしょう。しかし、自分の作品を棚に上げて、他人の作品ばかりを中傷することは客観性に欠けます。
他人の作品ばかりを貶す姿勢には、「なんでも一番になりたい」という心理が働いていると言えます。自分がライバルとする相手の悪口を言ったり中傷したりすることで、自分の精神的安定を保って心理的に安心しているのではないでしょうか。
「貶す」の使い方の例文②
「他人を貶すことで自分の身を守ろうとする人は嫌われる」
とっても臆病な人は、自分の気の弱さを隠したいという心理で、他人に対して攻撃的になって貶す傾向にあります。ですがそれは表面上のみの強さであって、見る人が見れば、内面の弱さがにじみ出てしまっているのです。
他人に攻撃的になって、貶したり中傷したりし続けていても、自分自身が変わらない限り成長はできません。自分が気弱であることを自覚して克服する必要があります。
他人を貶すのをやめて、自分と向き合って心理的に自信を持つように心がけましょう。
「貶す」の使い方の例文③
「どんなに他人を貶しても、スッキリするのはほんの一瞬だけである」
人を貶すことで優越感に浸るという心理もあります。相手の気持ちを考えずに見下して悪口を言うことで、ストレス発散に利用しているのです。
意味もなく一時の快楽のために他人を貶すことばかりしていると、周囲に嫌われてしまうでしょう。
「貶す」の使い方の例文④
「部下を一人前に育てるためには、上司は貶すより褒めて伸ばす方が良いのである」
部下が立派に仕事ができるように成長して欲しい、そして上司は一番に尊敬される存在でありたいという心理から貶すということもあります。
人間は誰しも自分自身に一番尊敬して欲しいと思っていますが、それが叶わない場合は、他人に「尊敬される」ことを欲するという心理になるのです。
「貶す」の使い方の例文⑤
「社長の息子である彼は、問題が起こると周囲の人を貶すので、信頼を失っている」
周囲から甘やかされている人物は、他人を貶すという心理になりやすいです。なぜなら、何をしても許してもらえる環境だからです。
そばに注意してくれる人がいれば、貶す行為を諫めることができますが、そうではない場合にはやめさせることは難しいでしょう。
悪いイメージがある貶すの意味を正しく理解しよう!
「貶す」という言葉には、他人を陥れるという悪い意味があります。貶すことは相手を嫌な気持ちにしてしまう行為なので、誰かを貶すことはしないように気を付けましょう。
もしも自分が誰かを貶すようなことをしていれば、いずれ自分にも返ってきてしまうでしょう。言いすぎたな…、つい悪口のようになってしまった…、というようなことがあれば、時間を置かずにすぐに相手に謝るべきです。「貶す」の言葉の意味をしっかりと把握して、うまく対処しましょう。