『特長』の意味を徹底解説!『特徴』との違いは知ってますか?
『特長』の意味や使い方、『特徴』との違いを知っていますか?それぞれの意味や使い方について例文を挙げて説明していきます。また、ビジネスシーンではどのように使われるのか、『特長』と『特徴』を使い分ける際の注意点、『特色』など類語についてもご紹介します。
目次
『特長』と『特徴』の違いを詳しく解説!
『特長』と『特徴』は、どちらも「とくちょう」と読みます。
読み方が同じであることから、使い分けを意識していなかったり、どちらを使えばよいのか迷うことはありませんか?
それぞれの意味が分かれば、正しい使い分けができます。
今回は、『特長』と『特徴』について、意味や使い方の違いを詳しく解説していきます。
『特長』と『特徴』の意味の違いとは?
それぞれの意味を辞書で調べてみました。
『特長』1.特に優れた事柄。特別の長所。
2.他に比べて特に目立つ点。特徴。
『特徴』他のものと比べてとりわけちがって目立つ点。そのもの特有の点。特色。
2つの意味は似ている部分もありますが、微妙にニュアンスが異なります。
『特長』と『特徴』の両方に「他に比べて特に目立つ点」という意味がありますが、『特長』だけが持つ意味があります。それは「他に比べて特に優れている点」ということです。
次に、漢字の意味から考えてみます。
「長」には「まさる・すぐれる」という意味があります。
「徴」には「前触れ・きざし・しるし」という意味があります。
「前触れ・きざし」とは、良い意味でも悪い意味でも用いられます。
このことから以下のような違いがあると言えます。
・『特長』とは「特に優れている点、長所」を指す
・『特徴』とは「良い点も悪い点も含めて他と比べて目立つ点」を指す
熟語を作る漢字の意味を知ることで、ニュアンスの違いがよりはっきりとしました。
『特長』と『特徴』の使い方の違いを例文を使って解説!
『特長』と『特徴』の意味が分かりました。その違いに注意しながら、例文を使って解説します。
『特長』を使った例文はこちらです。
「子どもの特長を生かした教育をしています。」
「新製品の特長をご紹介します。」
「彼の特長は高いコミュニケーション力です。」
他に比べて優れている点、つまり長所を指す時に使います。
『特徴』を使った例文はこちらです。
「容疑者の特徴を聞かせてください。」
「特徴的な症状から故障の原因を探します。」
「彼女は特徴のある声の持ち主です。」
良いか悪いかは別として、他と比べて目立つ点を指す時に使います。
『特長』と『特徴』のビジネスシーンでの使い方を紹介!
『特長』は、自社商品を他社と比較した上でアピールする場合などに使われ、『特徴』は客観的な説明が求められる調査報告などに使われます。ビジネスシーンでも上手に使い分ければ、より効果的な表現になります。
プレゼンテーションや商品紹介
商品やサービスの良さをアピールする場合は『特長』を使います。
例文
「この冷蔵庫の特長は、従来品と同じ性能で消費電力を低減したことです。」
「当店の特長は、産地直送の新鮮な野菜を使用していることです。」
明らかな長所というより機能の事実を表現する場合は『特徴』を使います。
例文
「この冷蔵庫の特徴は、冷凍室が大きいことです。」
「当店の特徴は、テイクアウト専門であることです。」
このように、内容によって『特長』と『特徴』の使い分けができます。
調査報告
調査報告書は、業務、商品などにおける状況やを様々な角度から比較検討した結果を、客観的に報告するための資料です。この場合は『特徴』を使うのが適切でしょう。
例文
「市場調査を分析した結果、消費者心理には『安さ』から『値段が高くても品質の良いもの』へと移ってきているという特徴があります。現在当社が開発しているスキンケア商品は、価格帯は高めであるものの新規有効成分を配合したという特長があり、需要の高まりが予測されます。」
ただし、現在開発中の商品に関する記述は、商品の良さをアピールしていることから『特長』を使って強調しています。
履歴書
自分をアピールするには、長所を意味する『特長』を使いたくなりますが、少し注意が必要です。長所と短所は表裏一体で、捉え方次第でどちらにもなりうるものです。
例)意志が強い ⇔ 頑固
行動力に自信がある ⇔ 計画性に乏しい
『特長』を使った場合、かえって「客観的に自分を把握できていないのでは」というマイナスの印象を与えてしまう可能性もあります。自分の性格などを紹介する履歴書では、良し悪しに関わらず他と比べて目立つ点を指す『特徴』を使う方が無難と言えます。
『特長』を使用する際に注意することとは?
『特長』は他と比較し優れている点を指しますが、その使い方には注意が必要です。
比較対象のマイナス面を挙げないようにします。相対的に自分の特長が表現されますが、相手に不快感を与えてしまう可能性があり、自分の評価を下げることにつながるかもしれません。こちらの優れている点をうまく伝える工夫をしましょう。
また、ひとつの事柄について『特長』を挙げすぎると、かえって良さがぼやけてしまいます。ポイントを絞ることに注意して、効果的な使い方をしましょう。
『特長』と『特徴』の類義語は?
『特長』の類義語
『特長』には類語があります。いくつかご紹介します。
長所
『特長』は「特別の長所」という意味です。
『長所』すぐれている点。よいところ。とりえ。美点。
数ある『長所』の中に『特長』があると考えると、イメージしやすい言葉です。
「人」、「もの」どちらにも使いますが、面接での自己PRに代表されるように、人に対してよく使われます。
例文
「私の長所は、協調性を大切にするところです。」
「お互いの長所を尊重して仕事をする。」
強み
意味としては『特長』や『長所』と似ていますが、ビジネスシーンで使われることも多い表現です。
『強み』1.強いこと。強さの度合。
2. 頼りになるすぐれた点。長所。
『強み』には2.「頼りになるすぐれた点」という意味もあり、仕事などに直接活かせるような具体的なスキルを指すこともあります。
また、他者と比較した場合に強調される点についてよく使います。
『強み』は差別化する要因になるもので、環境に左右されます。
『特長』が語学力とすると、周りに語学が得意な人がたくさんいる環境では、語学力は『強み』でなくなってしまうかもしれません。『強み』とは、相対的な評価を意味する表現と言えるでしょう。
取り柄・取り得
『取り柄』は『特長』の類語ですが、優れている点をひとつだけ強調する使い方をします。
『取り柄・取り得』1.とりたててよいところ。特に役立つところ。長所
2.きっかけ。動機。
また、使う対象によってニュアンスが異なります。自分に使う際は、謙遜の意味を込めることがあります。他人に使う際は、目下の人に対する場合が多いです。
例文
「丈夫さだけが私の取り柄です。」
「彼には少なくとも誠実さという取り柄はある。」
利点
『利点』は、その良さが何らかの利益をもたらすことを強調した表現です。
『利点』有利な点。便利な点。都合のいいところ。
例文
「この物件は駅から近いことが利点だ。」
「この製品の利点は、コストを削減したことです。」
美点
『特長』はものについて使う場合もありますが、『美点』は主に人について使います。
『美点』優れている点。よい点。長所。
また、自分について使うことはあまりなく、他人を褒める意味で使います。特に内面的な部分を評価する意味でよく使われます。
例文
「素直さは彼女の美点のひとつです。」
「生徒の美点を挙げる。」
『特徴』の類義語
特質
『特質』は『特徴』の類語のひとつです。特に、特別に備わった性質そのものを強調します。
『特質』そのものだけがもつ特殊な性質。独特の性質。
例文
「竹の特質は、簡単に折れないしなやかさです。」
「鉄は熱に強く、熱の保持力が高い特質がある。」
特性
『特性』は『特徴』の類語のひとつで、『特質』とも意味が似ています。特に、あるものに特別に備わった性質をどのように応用するかという文脈で使われることが多い表現です。
『特性』あるものに特別に備わっている性質。特有の性質。特質。
例文
「竹の簡単に折れないという特性を活かして、竹細工は作られます。」
「鉄の熱に強い特性によって、中華鍋は強い火力で調理ができる。」
特有
『特有』は「有」の文字が使われています。そこにだけある、存在するという意味を強めて表現していると言えるでしょう。
『特有』他にはなく、そのものだけに特別に備わっている・こと(さま)。独特。
例文
「日本には各地方に特有の文化があります。」
「グルテンは小麦粉特有のタンパク質である。」
固有
『特徴』の類語としては、そのものだけが持つ際立った点を指して使います。
『固有』1.本来備わっていること。
2.その物だけが持っているさま。特有。
例文
1.「これは日本固有の花です。」
2.「地域によって固有な言語がある。」
独特
『独特』は『独得』とも書きます。そのものが会得して特別に備わっていることを指す意味もあります。
『独特』他にはなく、そのものだけにあってきわだっているさま。独自。
『特徴』の類語であり、良し悪しに関わらず使う点に注意が必要です。
例文
「彼女の歌い方は独特だ。」
「彼は独特な色使いで絵を描く。」
『特長』と『特色』の違いとは?
『特色』は『特長』の類語のひとつで、優れた点を指す言葉です。
『特色』他のものと目立って違っている箇所。他のものと比べて優れている点。
例文
「本校の特色は、留学生を多く受け入れていることです。」
「この本は、文字を大きく読みやすくしたことが特色です。」
「色」という漢字には、「異色」や「敗色」といった表現があるように「ものの様子、自然に感じられる雰囲気」という意味があります。
例えば、次のような使い方があります。
「外国人から見た日本人の特色」
「地域の特色を出した商品開発」
『特色』は『特長』と同じ意味で使いますが、雰囲気のように、形のない気分や気配のようなものを表現する際にも使うことが多い言葉です。
『特長』と『特徴』の意味を理解して正しく使い分けよう!
『特長』と『特徴』はの意味や使い方の違いについて、解説してきました。
『特長』とは「特に優れている点、長所」を表し、『特徴』とは「良い点も悪い点も含めて他と比べて目立つ点」を表します。正しい意味を理解すれば、迷わず使い分けることができますね。
また、ビジネスシーンでの使い方についても紹介しました。状況によって使い分けが必要になりますので、注意しましょう。それぞれの類義語も例文を使って解説しました。微妙なニュアンスを理解すれば、効果的に言い換えることができますし、より豊かな表現につながるでしょう。