『各々』の意味や使い方を徹底解説!『個々』『めいめい』との違いも!
ビジネスレターなどで目にする「各々」の意味を知っていますか?何となく意味を知っている人でも、正しい使い方、「各々」の意味、類語や敬語表現を知っておくと、ビジネスで役立ちます。その「各々」を例文を使い、類語と合わせて意味を紹介します。
目次
『各々』の意味や読み方は?
連絡文書やメールに「各々」と書かれたものは目にしたことがあると思いますが、この「各々」を何と読んで、どんな意味でとらえていますか?詳しい意味は知らなくても、何となくこんな意味ではないかなと思い込んでいる人、自己流の読み方をしている人もいるかもしれません。
「各々」は「おのおの」が正しい読み方です。中には、「各」が「かく」と読むことから、「かくかく」と読んでしまっている人もいるかもしれませんが、それは間違いです。「かくかく」では全く関係のない意味の言葉になってしまいます。
「各々」の意味は、複数いる中の一人ひとり、個人を指します。大勢の人や集団全体を指す意味ではなく、個人を指す言葉で、複数の人がいることが前提の中での、あなた一人・個人を意味します。
複数いる人全員を対象とする時には、「全員」「皆さん」といった言い方をしますが、各々には「皆さんの中の一人ひとり」という意味が含まれています。
『各々』の使い方・例文を紹介!
『各々』の使い方
「各々(おのおの)」はビジネスシーンで使われることが多く、それに関わる大勢の一人ひとりに向けた意味の言葉として使います。会議で、「各々の計画を進めてください」と言えば、会議に参加している人たちを指していますが、その中でも各自、個人個人に向けて伝えているという意味になります。
「各々」が堅苦しい意味を持つ言葉のように感じて、敬語と思っている人もいるかもしれませんが、「各々」は敬語ではありません。丁寧語というくらいで、目上の人に使っても間違いではないですが、「各々」の敬語は後で紹介します。
『各々』を使った例文
「各々(おのおの)」を使った例文をあげてみます。
- 本日の会議に必要な資料は、各々で準備をしてください。
- 歓迎会では、各々が自己紹介をします。
- A君にも、B君にも、各々の得意分野を担当してもらいます。
例文をみると、会議に必要な資料を準備するのは、たった一人の人ではなくて、そこに関わる人が複数いるなかで、誰か一人だけが準備をするのではなくて、個々で準備をしてくださいという意味になります。
他の例文でも、そこにいる人や対象となるのは1人だけでなく、何人かいる中でそれぞれの個人を指した意味を持たせる時に使うのが「各々」ということになります。
『各々』の類語・同義語とその違いは?
『それぞれ』との違い
「各々」の例文をみても、「それぞれ」という言葉に置き換えても問題なく、意味が通じるように考えられます。例文の各々をそれぞれに置き換えてみます。
- 本日の会議に必要な資料は、それぞれで準備をしてください。
- 歓迎会では、それぞれが自己紹介をします。
- A君にも、B君にも、それぞれの得意分野を担当してもらいます。
「それぞれ」は「各々」の類語なので、「それぞれ」に置き換えても、意味は通じます。ただ「各々」の方がかしこまっているような重みを含ませた意味があり、「それぞれ」を使うと、ややくだけたような、同僚や部下に使うような親しみやすい印象になります。
「各々」の類語である「それぞれ」との使い分けを、「各々」は人だけに対して使い、「それぞれ」は人にも物にも使えるので、使い分ける意味があると考える人もいます。「りんごも、みかんも、それぞれ美味しい」というときには、「各々」という言葉は使いません。「それぞれ」は、人にも使えながら、並列する物にも使えると言葉という特徴があります。
『各自』との違い
「各々」に近い言葉で、「各自」というものもあります。「交通費は各自で負担してください」といった使い方をします。この「各自」は「各々」「それぞれ」に置き換えても意味が通じます。
「各自」を使う時には、そこに複数の人がいることは明らかですが、集団を構成する一人ひとりを指し示して使うことが多いです。クラス全員、部署全員、担当者全員といった集団に属する一人ひとり同じ立場で扱う意味で使う言葉といえます。
ただ「各々」は、やや上から目下の人に伝えるような、固い印象の意味を含むので、自分も集団の一員であるときには「各自」「それぞれ」を使う方が良いです。反対に、敬語を使うような目上の人だけをさして「各自」を使うことはありません。
『めいめい』との違い
「各々」を辞書で調べると、類語・同義語として「めいめい」という言葉があります。意味も同じで、一人ひとり、個人という意味です。「めいめいが意見を述べる」という使い方をして、「一人ひとりが意見を言う」という意味になります。
「めいめい」を漢字で書くと「銘々」となります。「銘々皿(めいめいざら)」は食事などで使われる、一人ひとりに取り分けるためのお皿のことで、「〇〇銘々伝(めいめいでん)」は、〇〇に属した一人ひとりについての伝記です。
「各々」よりも、「めいめい」の方が日常的な印象にもなりますが、意味としてはほぼ同じ類語になります。銘菓、銘品といった言葉から、敬語を意味するように思うかもしれませんが、「めいめい」は敬語ではありません。
『個々』との違い
「個々」も「各々」の、類語・同義語です。「個々」を辞書で調べると。「一つひとつ」「おのおの」と書かれているものもあります。
ただ実際に「個々」を使う時には、個人として一人ずつを大切にしている意味を持たせていることが多くあります。
- 個々の相談に応じます。
- 報酬は個々の成績によって変わります。
例文をみると、「各々」「それぞれ」と置き換えても意味は通じますが、「個々」とすることで、複数いる人たちの中でも、一人ひとり個人としての意見や違うところがあっても、個人ごとの意見や実力を尊重するという意味が含まれています。
『個人』との違い
「各々」は複数の人がいるときの、個人個人を指し示す意味ですが、「個人」という単語は、特定の人を指す意味で使う言葉です。「個人」という言葉だけで、複数の人を指す時には使うことはありません。
「個人」という文字を複数形にするときには、「個々人で準備するように」「各々個人で考えてください」とうようになります。
『各々』の正しい使い方とは?
『各々』の敬語表現は
「各々」を使う時には、例文を見ても、それを発言する人が、その人と同等か目下にあたる人たちに使う言葉です。目上の人を含む時には、敬語表現として、同じ意味の「皆様」「皆様方」を使うのが良いです。
例文を「皆様」「皆様方」に置き換えてみます。
- 本日の会議に必要な資料は、皆様方で準備をしてください。
- 歓迎会では、皆様に自己紹介をしていただきます。
- A様にも、B様にも、皆様の得意分野を担当してもらいます。
「各々」を「皆様」に変えることで、同じ文章でも、相手にしているのが、お客様や上司といった目上の人が想定できます。目上の人の集団に対して発言する時には、「各々」「それぞれ」ではなく、「皆様」や「皆様お一人おひとり」という言い方がふさわしいです。
『各々方』は間違い?
歴史小説や時代劇などのセリフに、「各々方(おのおのがた)」という言葉が出てくることがあります。上級の武士が、その場にいる下級武士や家族などの全員を対象として「各々方、覚悟はよろしいか」というような使い方をします。意味は「各々」「皆様」と同じですが、現代では「各々方」という言い方は、ほとんど使いません。
「各々方」を使っても意味の上でも間違いではないのですが、会議中に「各々方」と発言すると、時代がかったセリフのように聞こえてしまいますので、その時には「皆様方」にした方が聞いている人たちも自然に聞こえます。
『各々』のビジネスの場での使い方は?
宛名には『各位』を使う
「各々」をビジネスシーンで使う時、特に文字にする場合は、意味は同じ類語の「各位」を使います。社内へ一斉に通知する文書、複数に宛てて送信するメールの宛名として使われる言葉が「各位」です。
「各位」には、「一人ひとりの位(くらい)、役職に宛てて」という意味があります。言葉で伝える時には「各々」「皆様」で良いのですが、文字に記すときには、ビジネスの基本マナーとして「各位」とします。この「各位」は、同等の人たちだけでなく、目上になる上司が含まれていても、使って構わない言葉です。
ただし気をつけたいのは、「各位」をより丁寧な意味にしようとして、「様」を一緒に使うのは間違いです。「関係者各位様」「関係者様各位」はどちらも間違いで、「関係者各位」とするのが正しい使い方です。
『各々』を平仮名で表記してもOK
ビジネス文書で、「各々」と書くところを平仮名で「おのおの」と書くことには問題はありません。部署内の連絡文書で、「おのおのでイベント準備を進めて下さい」としても意味としても表記としても正解です。
ただ、通知文書の中やメール本文の中で、「おのおの」と平仮名を使うと、前後の文字との並びで分かりにくい、意味がとりにくい、読みにくいといった場合には、漢字の「各々」とする方が親切です。
また、上司も含まれている場合なら、「各々」「おのおの」に代えて、「各自」を使うと良いです。
『各々』の正しい意味を学んで使いこなそう!
何気なく目にしている「各々」にも、正しい意味と使い方があります。ビジネスシーンで、間違った読み方や、意味合いが違うようにとられないように、正しい意味を知って、使いこなしてください。