2021年08月31日公開
2021年08月31日更新
ソマリアの海賊は"すしざんまい"に撃沈された?事件原因や海外の反応まとめ
ソマリア沖にかつて頻繁に出没し、その海域を通る船を恐怖に陥れた海賊たちがいた。 そして、そんな世界的に凶悪な海賊退治に一役買ったのが、なんとあのすしざんまいの社長だという。 いったいすしざんまいがどうやってソマリアの海賊を撃沈したのか? その謎に迫る。
目次
ソマリアの海賊とは
出典: https://pixabay.com
海賊と聞くと、パイレーツ・オブ・カリビアンを想像してしまうが、現代の海賊というのは少し違っているようだ
上のビデオはドイツ海軍が撮影した、実際にハイジャック行為を行うソマリア海賊。
このように、海賊船とは言い難いお粗末なボートに乗りこんだ数人の海賊たちは、着ているものもよれよれだが、自動小銃やロケットランチャーなどで武装しているという。
ソマリアの海賊が出没する海域について
出典: http://www.afpbb.com
海賊の主な出没地域
ソマリア沖に出没する海賊と言われていますが、実際に起きた事件件数を見ていると、主にアデン湾のイエメン沿岸に出没することが多いようで、ソマリア沖に出るからというよりは、ソマリア人によって組織される海賊であることとが原因で、ソマリアの海賊と呼ばれているようです。
ソマリアの海賊による実際の被害
ソマリア沖にて襲撃された船舶の一覧(Wikipedia)という表を見てみると、
2005年に香港の石油タンカが乗っ取られたり、アメリカ船籍の豪華客船が襲われる、といった事件を皮切りに年に数回被害が報告され、2008年に事件の件数は一気に増え、問題は深刻化した。
ピークの2009年には年間218件の被害が報告された。
襲われる船舶の国籍は無差別で、主な目的は乗り組員の捕獲、監禁、そして身代金の要求である。
出典: http://www.nytimes.com
こんな小さなボートで巨大な貨物船を狙う。
武装した海賊に入り込まれ、人質を取られてしまうと、あとは身代金と引き換えに釈放するかどうかの交渉をするしかない。
ソマリア海賊による日本の主な被害
出典: http://www.liveinpeace925.com
日本が受けた主な被害は以下の通り。
2007年10月日本の海運会社が運航するパナマ船籍のケミカルタンカー ゴールデン・ノリ号が乗っ取られる。100万米ドルの身代金が支払われ 2007年12月12日解放された。 [40] 2008年4月に日本郵船の大型原油タンカー「高山」が韓国のウルサン港を出港し、積み地のサウジアラビア紅海側のヤンブー港に向け空荷での回送航行中、アデン湾でロケット弾によるものと思われる攻撃を受け、被弾した。人身の死傷はなかったものの、船は左後方部が損傷し、燃料が一部漏れる被害を受けている[41]。 2008年7月20日、日本の海運会社が運航するパナマ船籍貨物船ステラ・マリス号が襲撃を受け、21人が人質になる。2,000,000米ドルが支払われ、2008年9月26日に全員解放された。 2008年8月21日、日本の海運会社「興洋海運」が運航するパナマ船籍貨物船アイリーン号が襲撃を受け、19人が人質になる。1,500,000米ドル が支払われ、2008年9月11日に全員解放された。 2008年9月15日、日本の海運会社が運航する香港船籍ケミカルタンカー、ストールト・ヴァロール号が襲撃を受け、22人が人質になる。1,000,000~2,500,000米ドル支払われ、2008年11月16日解放された。 2008年11月15日、日本の海運会社「イイノマリンサービス」が運航するパナマ船籍ケミカルタンカー ケムスター・ヴィーナス号が襲撃を受ける。2009年2月、人質は解放された。 2009年3月22日、商船三井の自動車運搬船が2隻の小型船に襲われ、発砲を受けたと国土交通省が発表。乗組員にけがはなく日本人も乗っていなかったという。本件は、19日に国交省が海上警備行動発令に基づく護衛申請受付けを開始して以来、日本関係船舶が海賊に襲われた今年初めてのケースとなった[42]。 2011年3月5日、商船三井のタンカー・グアナバラ(バハマ船籍)が海賊4人に乗っ取られそうになったのをトルコの警備艇と米軍が阻止、4人を拘束した。乗組員24人に怪我は無かった(→ソマリア沖商船三井タンカー襲撃事件)。
Wikipedia によると、日本の主な被害もやはり、タンカー船や貨物船が襲って乗組員の解放を条件に身代金を要求するという事件がほとんどだったもよう。
出典: http://knock88.xsrv.jp
写真は2007年にソマリアの海賊被害にあった日本の石油タンカー、ゴールデン・ノリ号。
救出のために自衛隊が派遣された。
なぜソマリアにすしざんまい?
出典: http://www.zanmai.co.jp
お寿司と海賊事件、いったいどんな関係が。。。?
また、これに対する海外の反応は?
さてここで、日本からはるか遠く離れたソマリアの海を荒らす海賊事件の問題に、すしざんまいが一体どう絡んでいるのか。
しかも、社長がその海賊を撃沈。。。?
まずはすしざんまいという会社と、その社長の人となりから見て行きましょう。
すしざんまいとは?
出典: http://www.kiyomura.co.jp
お寿司と言えば『すしざんまい』
お寿司と言えばすしざんまい、のキャッチコピーで今では日本各地にチェーン展開されている有名寿司店。
すしざんまいと言えば、名物社長
出典: https://tabetime.com
マグロ大王
すしざんまいホームページの社長プロフィールの欄には、目立つ太文字で ニックネーム;マグロ大王 とある。 その名の通り、自ら質の良いマグロを見分け、競り落とし、そして解体までやってしまう社長(本名は木村清さん)は、マグロの事ならだれにも負けない、まさにマグロ大王なのである。
出典: https://www.nikkei.com
マグロの初競り
2013年のこのニュースをきっかけに、すしざんまいの名を知った人も多いのではないだろうか。
新春恒例の初競りで、史上最高額の1億5540万円という高額で見事なマグロを競り落としたのが、すしざんまいの木村清社長。
2013年はこの驚くべき値段で注目が集まったが、じつは社長は毎年初競りで最上級のマグロを競り落としている。
1億までは行かなくとも、毎年初競りのマグロは何千万という値段がつくが、社長はそのマグロも普段と同じ値段で提供しているという。
もちろん利益など出るはずもない。
これは純粋に「日本のみなさんにおいしいマグロを食べてもらいたい」という気持ちで毎年のすしざんまいの風物詩として行っているものらしい。
マグロを通して、みんなが笑顔になって欲しい、そんな気持ちを持ちながら初競りに挑む社長が競り落としたマグロ、ぜひ一度食べてみたいものですね。
すしざんまい社長の功績
さて、このマグロ大王の異名を取る木村清社長の伝説は日本国内だけにとどまらない。
【凄い逸話】ソマリアの海賊を一人で壊滅させた男がいるらしい。
— KEI (@K_K_K_Tokyo) August 2, 2016
金も技術も無いので生きるために海賊をやってる事を知り、漁船や技術指導をつけ、魚の流通を引き受けることで、海賊を漁民に更正させた。
これ、すしざんまいの社長の話。 pic.twitter.com/dvtfUijrR5
あの、すしざんまいの社長が満面の笑みを浮かべながら凶悪な海賊を撃沈??と思ったら、こういう話だったんですね。
海賊から足を洗ってきちんとした仕事をして暮らせるように、海賊になった原因から追究し、平和的解決へと導いてあげたというわけです。
すしざんまい社長に対する海外の反応
すしざんまいの海賊撃沈ニュース。
それに対する海外の反応は。。。?
出典: http://news.ltn.com.tw
台湾でもニュースになった
主な海外の反応としては、この件は台湾でも話題になり、メジャーなメディアでニュースとして取り上げられた。
(写真は台湾の大手メディア自由時報に掲載されたもの)
もともとすしざんまいは、外国人旅行者からも人気が高く、一部の日本好きな外国人の間では知られた存在ではあったようで、このニュースはさらにすしざんまいの評判を良くしたようだ。
ソマリア海賊の件は国際的な問題でもあったので、こういった海外の反応があったのは当然と言えるかもしれない。
世界のソマリア海賊対策
出典: https://pixabay.com
各国が軍事作戦を展開
当然ながら、日本の一企業の社長が奮闘しているのを、世界が指をくわえて見ていたわけではない。
国連や欧州連合然り、海賊の被害を受けた世界各国が軍隊を派遣し、軍事作戦を展開するほどの深刻な問題になっていた。
警備艦による海域パトロールや、巡視艇を配置して海上警備の強化、さらには特殊部隊や駆逐艦を派遣するケースも。
もちろん日本からも自衛隊が派遣されました。
日本の自衛隊もソマリアへ派遣
出典: https://tr.pinterest.com
ソマリア沖海賊の対策部隊派遣
日本からも自衛隊海外派遣が行われた。
海上自衛隊のみならず、陸上自衛隊、航空自衛隊もジブチや周辺諸国に派遣された。
この件に関するすしざんまいの貢献度
出典: http://netgeek.biz
ジブチ政府から勲章?
社長がジブチ政府から勲章まで頂いた、という話に関しては、勲章は本当だが「海賊撃退」の手柄に対しての勲章だとは明言されていない。
実際に海の上で海賊と戦ったのは各国の軍事関係で、社長の功績はソマリアの人たちが海賊になってしまった原因を追究し、海賊にならずに済む方法を提案するという根本的な原因に働きかけるものだった。
政府からの勲章は、漁船や冷蔵倉庫などの設備投資をしてくれた社長への感謝のしるしとしての勲章ではないか、という見方がされている。
海賊を攻撃するのではなく、海賊になってしまう原因から断つ、というやりかた。
すしざんまい社長が語る真相
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ソマリア沖はキハダマグロの漁場
当然だが、海賊が他に生きる道として漁業を勧めるというのは、ただのボランティアではない。
ソマリア沖というのは、かなり良いキハダマグロの漁場だそうで、社長はそこに目を付けたというわけだ。
社長曰く、今のところまだ利益は出ていないが、将来的には利益が出る見込みだという。
せっかくの良い漁場が海賊に荒らされていて、危なくて漁にでることもできない。
では、海賊たちにマグロ漁でも稼ぐことができる環境を整えてあげて、そしてそのマグロが自分のビジネスにもつながる、そういった目論見で始めた投資であったというのが真相らしい。
すしざんまいのソマリア海賊問題への現在の取り組み
出典: https://hbol.jp
すしざんまいの、ソマリア沖マグロ漁の取り組みは今でも続いている。
海賊撃沈に関しては、社長の手柄であるかどうか賛否両論もあるが、とにかく海賊がいなくなったソマリア沖に漁業を復活させ、立派なビジネスとして育てているのは紛れもない事実だ。
ちなみにプロフィールによると、社長自身も元自衛隊員の過去を持つらしい。
もしかすると、そういった軍事関係にもかなり詳しく、その線で海賊事件の解決への何かしらの手助けになるような事業を思いついたという可能性も、無きにしも非ず。
海賊が出没するようになった背景とは
そもそもなぜ、ここまで国際問題に発展するような海賊による襲撃がソマリア沖で頻発するようになったのか。
その原因に迫る。
ソマリア海賊の悲しい真実
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ソマリア沖で海賊が海を荒らすようになった背景には、ソマリアという国そのものの抱える問題がある。
長い内戦を経て無政府状態になったソマリアは貧困や飢餓に苦しんでいる。
豊かなソマリア沖の漁場はソマリア漁師にとっては大切な収入の糧であったのだが、外国の船舶による乱獲で魚がとれなくなってしまった。
海賊になってしまった人たちにも、やむにやまれぬ事情と、彼らをそうさせる原因があったようだ。
ソマリア海賊狩りツアー
出典: http://trendy.nikkeibp.co.jp
海賊狩りクルーズ?
ソマリアの海賊被害が深刻な国際問題に発展した頃、2009年ごろに、ソマリア沖で海賊狩りをするクルーズツアーが催されている、というとんでもないニュースが広まった。
出典: https://pixabay.com
それにしても、たとえ海賊とは言え相手は人間。
銃を片手に海賊狩りを楽しむとは、しょうしょう悪趣味が過ぎるのではないか。。。
結局、海賊狩りクルーズそのものが単なるデマであったことが後日わかる。
噂は、ロシアの旅行会社が主催しているツアーとのことで、ツアー客に銃を持たせてソマリア沖で海賊狩りを楽しんでもらう、つまりツアー客が海賊を撃ち殺すという、まるでサファリツアーのような感覚で催されたというかたちで広まった。
噂の原因になったのは、「ソマリア・クルーズ」というジョークサイトらしいが、元ネタサイトではアメリカ人とドイツ人がリアリティを持たせるためのコメントなどを残しているらしいが、どういうわけだかまわりまわってそれがロシアの旅行者が主催のロシア人ツアーということになってしまった。
海賊狩りツアー、ロシア人ならやりかねない!ということなのか。
なかなか興味深いポイントではある。
海外の反応まとめ
ソマリア沖の海賊に関しての海外の反応としては、まずアメリカではさっそくこの件を題材にした映画が作られ、2013年に公開された。
海賊に襲われて人質に取られた船から無事生還した人の実話を基にした映画らしい。
他には上記のように、ロシアの旅行会社による海賊狩りツアーのデマが流れたり、世界的な話題となったが、その海賊を撃沈するのに一役買ったのがすしざんまいの社長だという話については、台湾では報じられたものの、その他の国ではあまり知られた話ではない。
つまり、世界的に見ると、海賊被害が無くなったのは海上警備を増やしたことや、各国の軍事作戦が功を奏したものだというのが一般的な解釈のようだ。
もしもたった一人の日本人の男が凶悪な海賊を撃沈したのが真実であれば、それは相当な快挙として取り上げられるはずだからだ。
とは言え、すしざんまいの社長のおかげで海賊をやめて漁師になった人たちがたくさんいるのも事実であるし、その功績は称賛に値する。
最後に、自社ホームページの社長プロフィールにある、社長の夢・目標の欄にはこう書かれている:
日本の食文化の素晴らしさをもっともっと世界に発信し、世界の人々と交流を深め、戦争のない平和な世界をつくっていきたい。
海賊撃沈が真実かどうかよりも、社長は自らの夢と目標に着々と近づいて行っているのは間違いないようだ。