ウォーターゲート事件とは?ディープ・スロートの正体とニクソン大統領辞任の真相

全米を揺るがした「ウォーターゲート事件」とは?一つの些細なミスからニクソン大統領を辞職にまで追い込んだ「ウォーターゲート事件」の裏には「ディープ・スロート」と呼ばれる謎の人物がいた。ニクソン大統領事の顛末と「ディープ・スロート」の正体とは如何なる真相であったか

ウォーターゲート事件とは?ディープ・スロートの正体とニクソン大統領辞任の真相のイメージ

目次

  1. 1【ウォーターゲート事件】とは
  2. 2ウォーターゲート事件:きっかけ
  3. 3ウォーターゲート事件:怪しい経歴
  4. 4ニクソン大統領側の見解
  5. 5ウォーターゲート事件:犯人たちの致命的なミス
  6. 6ウォーターゲート事件:犯人たちの否定
  7. 7ウォーターゲート事件:電話の先
  8. 8ワシントン・ポストによって大々的にスクープされた
  9. 9謎の情報提供者「ディープ・スロート」
  10. 10「ディープ・スロート」の正体
  11. 11ウォーターゲート・セブンは有罪判決
  12. 12ウォーターゲート事件:土曜日の夜の虐殺
  13. 13ウォーターゲート事件:ニクソン大統領弾劾
  14. 14ウォーターゲート事件:ニクソン大統領辞任
  15. 15のちに不祥事には「○○ゲート」とつけられるように
  16. 16なぜ「ディープ・スロート」なのか
  17. 17実は「ディープ・スロート」は内部告発をしてない
  18. 18「ディープ・スロート」の評価
  19. 19現在の「ウォーターゲート・ビル」
  20. 20大統領の陰謀
  21. 21ザ・シークレットマン
  22. 22まとめ

【ウォーターゲート事件】とは

全米を揺るがしたウォーターゲート事件

出典: http://blog.livedoor.jp

画像は「ウォーターゲート・ホテル」

「ウォーターゲート事件」とは1972年の6月17日に起きたアメリカ合衆国の政治に関する一大スキャンダル。

事件を捜査し真相を究明する最中、当時のアメリカ合衆国の第37代大統領「リチャード・ニクソン」が1974年8月9日に辞職を表明するまでの間に起きた、窃盗、侵入、裁判、もみ消しなどの全ての事件経過の総称して「ウォーターゲート事件」と呼ばれています。

この「ウォーターゲート事件」によってニクソン大統領はアメリカ合衆国大統領にして史上初めての任期中の辞任という形に幕をおろすことになりました。

一連の事件の発端となった不法侵入がなされたニクソン共和党野党の本部の場所が「ウォーターゲート・ビル」という名称の建物であったことからそれをもじり「ウォーターゲート事件」と呼ばれています。

ウォーターゲート事件:きっかけ

不審なテープ

出典: http://www.irasutoya.com

1972年6月17日の午前2時。
当時ウォーターゲートビルで働いていた警備員「フランク・ウェエルズ」が不審なものに気づいたことがウォーターゲート事件の真相が明かされるきっかけでした。

彼は警備中ウォーターゲートビルの最下部にある吹き抜けと駐車場との間にあるドアになにやら奇妙なテープが貼られていることを発見します。

通常であれば、ガレージ側からの侵入を防止するためにドアは自動的に閉まるようになっていましたが、彼がドアノブを回すと開いてしまいます。
その時はウォーターゲートビルにある事務所に荷物を搬入した業者がテープを剥がし忘れたのだろう、とさして気にとめることをしなかったどうですが、10分後に念のためと思い再びそのドアの前に戻るとテープが貼り直されていることに気づきました。

「フランク・ウェエルズ」はそれが不法侵入者の存在を意味すると判断し直ちにワシントン市警に通報。
これが「ウォーターゲート事件」の始まりとなります。

不法侵入者5人

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「フランク・ウェエルズ」の通報からしばらくしてワシントン市警が「ウォーターゲートビル」に到着します。

民主党全国委員会本部オフィスの廊下に通ずるドアの錠が解錠されていることを確認した私服警官たちは銃を持ち内部に入るとそこには5人の不法侵入者がいました。

警官たちに現行犯逮捕された不法侵入者は、「バーナード・パーカー」「バージリオ・ゴンザレス」「ユージニオ・マルチネス」「エドワード・マーチン」「フランク・スタージス」の5人。

この不法侵入の目的は盗聴器を仕掛けるためであったが、今回は2度目の犯行であったことが彼らの致命的なミスでした。
正常な動作がされていなかった盗聴器を設置し直すための再侵入で、それが結果的には犯行が明るみに出たきっかけとなってます。

ウォーターゲート事件:怪しい経歴

ウォーターゲート事件容疑者の経歴

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ウォーターゲートビルに不法侵入した5人の経歴はかなりの怪しさ。

ウォーターゲート事件の初動調査では逮捕された時に「エドワード・マーチン」と名乗っていた犯人の一人の本名が「ジェームズ・W・マッコード・ジュニア」だと判明。

さらに「ジェームズ・W・マッコード・ジュニア」は元CIA(アメリカ合衆国中央情報局)の工作員として活動していたことが明るみに出ます。

盗聴器を仕掛けるために彼らは投宿する部屋を別にウォーターゲートホテルに借りていたが、その室内から大金である100ドルの紙幣が53枚も発見されると、今度はそのお金の出処も疑惑の対象になりました。

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5人の真相

不法侵入で現行犯の逮捕となった犯行グループ5人の内、実に3人はキューバ人で、一人はピッグス湾事件(革命政権の打倒事件)の退役した軍人であり、残りの二人がキューバ人を訓練するためのCIA工作員とニクソン大統領再選委員会メンバーという犯行グループでした。

犯行グループ5人中、実に「ウォーターゲート・ビル」不法侵入事件の実行犯の内3人が亡命キューバ人です。

捜査に当たった警官が押収した「ユージニオ・マルチネス」ら犯行グループメンバー一部の手帳には当時のホワイトハウスの顧問を勤めていた「チャールズ・コルソン」の名前書き込まれていたことは衝撃でした。

そのことがホワイトハウスと不法侵入犯との関係性を強く疑わせてしまいます。
さらにCIA工作官の「エヴェレット・ハワード・ハント」の名前と自宅の電話番号が書き込まれていたことも「ウォーターゲート事件」の疑念が増すきっかけとなりました。

やがて不法侵入犯5人の後ろにはCIA工作官の「エヴェレット・ハワード・ハント」がいるという真相は真実味を帯び芋づる式に判明した事実によりニクソン大統領と近しい間柄の人間の関係に疑念が生まれます。

ニクソン大統領側の見解

ニクソン大統領側は三流のコソ泥と揶揄した

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6月19日にはニクソン大統領の報道担当官である「ロナルド・ジーグラー」は不法侵入犯5人に対する見解として「third rate burglary(三流のコソ泥)」と発言しました。
またその発言は彼らとホワイトハウスは一切無関係なものであるとの主張でもあり、自らに降りかかった疑いの念を退けたという意味でもあります。

またニクソン大統領の声明では6月22日に「いかなることにしても、この特殊な事件にはホワイトハウスは関係ない」と事件の真相にホワイトハウスの関与がないとはっきりと伝えました。
後にそれらは根本的に覆されることになるのですが……。

ニクソン大統領の否定

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ニクソン大統領がホワイトハウスとウォーターゲート事件」の関与を否定したため多くのアメリカ合衆国国民はそれを信じていました。当時ニクソン大統領は政治的外交手腕などが高く評価されていたこともあり国民は安心仕切っていたのです。

ですがそれらが偽りであり真相はホワイトハウスが真っ黒だと後に判明します。アメリカ合衆国史上最大の汚職政権と揶揄されるに至った理由はさらにあります。

ウォーターゲート事件:犯人たちの致命的なミス

”三流のコソ泥”は彼らの愚行を的確に表している

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「ウォーターゲートビル」に侵入した5人の犯行グループを「三流のコソ泥」としたのは的を射ており、皮肉として扱われています。
そもそもが警備員「フランク・ウェエルズ」に発見されるきっかけとなったドアに貼ってあったテープも、わざわざ取り付ける必要がなかったものだと後から判明しており、盗聴器を仕掛けるはずだった電話とは違う電話に仕掛けたこと、それを直す目的で同じ犯行場所に2度目の不法侵入を犯さなければならなかったことは彼ら5人を「三流のコソ泥」たらしめています。

犯行グループとホワイトハウスの結びつきが明るみに出た理由も現職の大統領再選委員会の人間を犯行グループとして送り込んだタメであり、この「ウォーターゲート事件」に対する専門家の意見や新聞に掲載された意見には「これはプロの仕事ではない」「ヘマな仕事」と一蹴されています。
そもそも盗聴器を仕掛けるという犯行に5人ものメンバーが必要なはずもなく、「どんな老いぼれ刑事でも集団で押し入ることはしない」とも言われています。

ウォーターゲート事件:犯人たちの否定

盗聴は誰に頼まれたのか

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「ウォーターゲートビル」に侵入した5人は6月30日にワシントン連邦地方裁判所で大陪審にかけられました。
彼らは「ウォーターゲートビル」に侵入したことは認めましたが、その不法侵入を”誰に”頼まれたことなのか、その金銭は何処からのものか、といった真相は隠して背後の関係は公言せずに口を閉ざしていました。

この時CIA工作官の「エヴェレット・ハワード・ハント」は行方をくらまし雲隠れ状態でした。

この大陪審で犯行グループ5人を弁護していた弁護士は「エヴェレット・ハワード・ハント」ともう一人の人物から弁護を頼まれている。と証言したことでさらに事件の真相の手がかりが出てきます。

大陪審からもう一人の名前を訪ねられても当時弁護士は真相に関する発言することはありませんでした。しびれを切らした裁判長の法廷侮辱罪による処罰が宣言されても黙秘権を行使し続けるといった結果になりました。

ウォーターゲート事件:電話の先

侵入犯が電話していたのは大統領再選委員会だった

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「ウォーターゲート事件」特捜部は犯行グループの一人である「バーナード・ワーカー」が所有する事務所の電話通信記録から事件当日に十数回に渡る連絡をしていた番号の真相を突き止め、その連絡先が大統領再選委員会財政顧問の「ジョージ・ゴードン・リディ」であると判明。その事実を受けて黙秘権を行使していた弁護士も自身が弁護しているもう一人が「ジョージ・ゴードン・リディ」」であると口を割ってしまう。

こうして「ウォーターゲート事件」の不法侵入犯5人と大統領再選委員会財政顧問、元ホワイトハウス顧問の合計7人の被告人たちは「ウォーターゲート・セブン」と呼ばれることになりました。

ワシントン・ポストによって大々的にスクープされた

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「ウォーターゲート事件」はワシントンD.C.の新聞ワシントンポストに事件発生の朝から取り上げられていました。
この調査には「ボブ・ウッドワード」「カール・バーンスタイン」二人の記者によって行われ「ウォーターゲート事件」の明るみになった様々な事実を新聞記事に掲載しました。
このことがアメリカ合衆国国民に「ウォーターゲート事件」が注目されるきっかけとなります。

しかし多くの認識では「大統領側、ホワイトハウスがそんなコソ泥のような真似をするはずがない」「下の人間がしでかしたこと」と、懐疑的な人間も多かったようです。
実際、当時の11月に行われたニクソン大統領の選挙には影響はなかったとする向きが強く、「ウォーターゲート事件」の重大さに気づかない国民もいました。

この一連の「ウォーターゲート事件」の真実が信ぴょう性を増し大きく世間の注目を浴びることになるのは1973年以降。

謎の情報提供者「ディープ・スロート」

ワシントンポスト記者に情報を提供した「ディープ・スロート」

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実はワシントンポストの記者が書いた記事は内部情報を提供していたある人物の示唆による功績もあります。
謎の内部情報提供者は「ディープ・スロート」と名付けられました。
この「ディープ・スロート」は「ウォーターゲート事件」のミステリーの一つとして数えられ長らくの間、「ディープ・スロート」の素性が明るみに出ることはありませんでした。

「ディープ・スロート」の正体

「ディープ・スロート」はFBI副長官だった

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FBIの「マーク・フェルト」

「ウォーターゲート事件」の内部情報をワシントンポスト記者に提供した謎の人物「ディープ・スロート」。
この事件から33年もの月日が流れた、「ウォーターゲート事件」が過去のものとなった2005年に当時のFBI副長官であった「マーク・フェルト」がその「ディープ・スロート」の正体だと公表されました。

ワシントンポストの記者「ボブ・ウッドワード」も「マーク・フェルト」が「ディープ・スロート」の正体であることを認めました。

もともと、「マーク・フェルト」はニクソン大統領政権のホワイトハウスを心よく思っておらず、大統領側の取り巻きたちが政権を維持するために行う汚いやり方に憤りを感じていたことが密告の動機だと見られています。

ウォーターゲート・セブンは有罪判決

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連邦地裁1973年1月8日被告人7人からなる「ウォーターゲートセブン」に対し大陪審では被告人全員に対して「犯罪共同謀議」「家宅侵入」「盗聴」の有罪判決が下される予定でした。
しかし「ジェームズ・W・マッコード・ジュニア」「ジョージ・ゴードン・リディ」は有罪判決を否定。
背後関係の一切を黙秘し続けていました。

しかしここで「ジェームズ・W・マッコード・ジュニア」は爆弾発言をします。
当初「マッコード」はCIAの単独工作という形にし自身を主犯格と偽ることで事態を収束に導くべきだと考えていたようですが、やがてその恩赦に対し懐疑的な思いが強くなり裁判長に対し「政治的圧力を受けている」とする旨の手紙を出します。

侵入犯「ジェームズ・W・マッコード・ジュニア」の出した手紙には、裁判で行われた公判に偽証があったことと、「ウォーターゲート事件」の関係者が他にもいること、「ウォーターゲート事件」はCIAの作戦ではない、という衝撃的なことが書かれていました。

これ以降「ウォーターゲート事件」に対する世間の疑惑が大きく深まっていきました。
なんらかの政治的な思惑が交錯していることは火を見るよりも明らかでした。

のちに「マッコード」は民主党本部侵入および盗聴の犯行は「ミッチェル」「ディーン」「マグルーダー」という人物3人から事前に承認を得て及んだものだったと語ります。

事件は二転三転し、政権に対する疑惑は深まります。

ウォーターゲート事件:土曜日の夜の虐殺

ニクソン大統領への協力要請

出典: https://ax7.info

1973年3月まで「ウォーターゲート事件」には一切関与していないことを伝えてきたホワイトハウスだったが、「ジェームズ・W・マッコード・ジュニア」の提出した手紙と盗聴に関与したとされる人物「ミッチェル」「ディーン」「マグルーダー」の三名の名前が上がったことにより3月30日には大統領側は協力を命じられました。
大統領側はホワイトハウス内部を徹底的に調査するという形で動き出しました。
この時には「もみ消し工作を非難する」という声明も出しましたが、これは後に覆されることになります。

ニクソン大統領と証拠物件の録音テープ

出典: https://pixabay.com

7月13日、大統領補佐官である「アレクサンダー・バターフィールド」によってホワイトハウスには大統領執務室中の全会話は自動的に録音されている、と録音システムを語り今度はその録音テープが争点となりました。

これまでのニクソン大統領の発言などが真実であったかどうかが判明する重要な証拠物件であり事件を解決するために組織された「上院ウォーターゲート特別委員会」から録音テープの提出が要求されました。

しかしニクソン大統領はこれまでの通話記録が知られるとこれまでの自身の日頃の言動はおろか、公言してきた声明のとの食い違いが世間の明るみに出ることを恐れ録音テープの提出を拒否。

そして録音テープを提出するか否かは司法の場に持ち込まれることになりました。

ニクソン大統領の恐怖政治

出典: https://oshiete.goo.ne.jp

ニクソン大統領は録音テープの提出を大統領権限を使い拒否。
当時の司法長官「リチャードソン」に特別検察官「コックス」の録音テープ提出命令を取り下げるように要求することを伝えました。
しかし「コックス」はそれを拒否。
すると今度は「コックス」の解任がニクソン大統領から要求されます。

「リチャードソン」はその命令を拒否し、司法長官を抗議辞任。

「ウィリアム・D・ラッケルズハウス」司法副長官にもニクソン大統領は同様の命令を下すも、抗議辞任される事態に。

この一連の出来事は1973年10月20日、土曜日の夜に行われたことから「土曜日の夜の虐殺」と呼ばれています。

ウォーターゲート事件:ニクソン大統領弾劾

ニクソン大統領支持率低下

出典: http://www.american-presidents.info

アメリカ合衆国の政治の歴史において大統領が弾劾に陥る事態は100年以上前に1例のみ存在する稀有なものでした。

与党共和党「ボブ・ドール」共和党全国委員長は「ニクソン大統領の介入の証拠があれば大統領弾劾も避けられない」と発言したことから、ニクソン大統領を任期中であるが、大統領弾劾するか否かという展開に発展するに至りました。

大統領弾劾に対する検証は困難を極め、弾劾賛成派議員も弾劾賛成ではあるものの当å時は確信を持っていなかったようです。

この当時はニクソン大統領政権は2期に入り、ベトナムとの和平などの外交で支持率は上昇しており68%ほどもあったと言われています。

ニクソン大統領の致命的なミス

出典: http://www.gigiweb.jp

不法侵入やもみ消し工作などに関与した、だけであればそれを認めることで大統領弾劾の流れにはならなかったとも言われています。以前にはクリントン大統領の不倫などがあっても実際に弾劾には至りませんでした。こうした不道徳的行為であっても弾劾されることはありえないということです。

しかしニクソン大統領は「土曜日の夜の大虐殺」によって判断を謝りました。
この虐殺的な行動は民主主義国として、あるいはその国のトップとしての行動とは到底度し難く、法律、道徳そのどちらにしても許されないものでした。

それからの支持率は大幅に乱高下し30%以下にも落ち込む事態になり、それ以降ニクソン大統領が辞任するまでの間回復することはありませんでした。

ウォーターゲート事件:ニクソン大統領辞任

米国史上初任期中の辞任と相成ったニクソン大統領

出典: https://ovo.kyodo.co.jp

「ウォーターゲート事件」の渦中、副大統領である「スピロ・アグニュー」の不正行為によるスキャンダルで辞任したことなどでニクソン政権は「史上最大の汚職政権」と呼ばれるまでに至ります。

しかしそんな様々なスキャンダルがあってもなお世論調査ではニクソン大統領弾劾賛成派は全体の37%、反対派は55%という形で弾劾否定派が多数でした。


1974年3月、大統領の側近7人が大陪審により「ウォーターゲート事件」捜査妨害で起訴され(この7人はもう一つのウォーターゲート・セブンと呼ばれる)、さらにニクソン大統領の脱税行為が明らかになった1974年4月の時点では初めて大統領弾劾賛成派が否定派を上回る形になります。

ニクソン大統領の素性が露呈

出典: http://seiga.nicovideo.jp


そしてきわめつけはニクソン大統領の録音テープ記録の公表で、彼の普段の会話の汚い言葉遣いや策略などにアメリカ合衆国国民は衝撃を受け、これらの要因により大統領弾劾は決定的なものとなりました。

1974年8月8日の夜に、ニクソン大統領はテレビ演説で9日付で辞任すると表明。
なので実はニクソン大統領は弾劾決議が出る前に辞職しているので弾劾裁判は受けていません。

この一連の「ウォーターゲート事件」から約20年後の1994年4月2日に第37代アメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソンは死去。数々のスキャンダルや大統領任期中の辞任などから大統領であれば通常なら行われている国葬もありませんでした。

のちに不祥事には「○○ゲート」とつけられるように

出典: https://kojodan.jp

まさしく全米を揺るがした「ウォーターゲート事件」ですが、その後アメリカ政権で起きた不祥事や事件に対して「ウォーターゲート」をもじり「○○ゲート」と俗称がつけられる習慣ができました。

「ビリーゲート事件」
「コントラゲート事件」
など、枚挙に遑がありません。不祥事や事件の内容を問わず”ゲート”と付け加えられています。
この影響は中国にも及んでいるようです。

なぜ「ディープ・スロート」なのか

「ディープ・スロート」の意味

出典: http://any-stress.com


なぜ「マーク・フェルト」の事を「ディープ・スロート」と読んだのでしょうか。

実は「ディープ・スロート」とはFBI「マーク・フェルト」とは似ても似つかぬ、性行為の一つであり性俗語です。直訳では”喉の奥”という意味。
女性が咽頭に達するまで陰茎を咥え込む性行為の一つです。

「ディープ・スロート」の由来

出典: https://www.amazon.co.jp

1972年にアメリカ合衆国で公開されたポルノ映画「ディープ・スロート」

ポルノ映画の名称がこの語の由来です。

なぜマーク・フェルトに「ディープ・スロート」があてられたのか

出典: https://blogs.yahoo.co.jp

「ウォーターゲート事件」を担当した当時のワシントンポスト記者「ボブ・ウッドワード」と「カール・バーンスタイン」は「ウォーターゲート事件」に関する重要な情報を提供してくれる謎の匿名密告者のことを「ディープ・バックグラウンド」と仮名を使い呼ぶことにしていました。

「ディープ・スロート」という名前は「ウォーターゲート事件」が起きた1972年の1月に公開され大ヒットとなっていたポルノ映画「ディープ・スロート」からきており、当時のワシントンポストの編集局次長が冗談として「ディープ・バックグラウンド」に対し用いたものでした。

このことが転じて「ウォーターゲート事件」においても「ディープ・スロート」という言葉が広がり、さらに今では「密告者」などの意味を持つようになりました。

「マーク・フェルト」本人にとっちゃあたまったもんじゃないですね……。

実は「ディープ・スロート」は内部告発をしてない

ヒントだけを出していた「ディープ・スロート」

出典: http://illust-hp.com

「ディープ・スロート」こと「マーク・フェルト」は内部告発は行なっておらずホワイトハウスの不祥事についてアメリカ国民に発したのはワシントンポストの記者です。

ワシントンポストの記者「ボブ・ウッドワード」は以前から「ディープ・スロート」と接点があり情報を提供されていたようですが、「ウォーターゲート事件」では完全に情報源を秘匿することを条件に、どこへ行けば政権内部の情報が得られるか、ということだけを伝えていました。

「ディープ・スロート」の評価

それまで謎の情報提供者であった「ディープ・スロート」の正体が2005年に元FBI副長官だったと判明すると彼の行動に対する評価が湧き起こりました。

アメリカ合衆国の上院議員である「マイク・グラベル」は「ディープ・スロート」のことを「英雄。自由勲章が与えられるべき」と高く評価しています。

第43代アメリカ合衆国大統領「ジョージ・W・ブッシュ」は「ディープ・スロート」の評価を「判断することは難しい」とコメントしています。
 

現在の「ウォーターゲート・ビル」

出典: http://harukovsky.cocolog-nifty.com

ホテルとなった「ウォーターゲート・ビル」

現在はホテルとなった「ウォーターゲート・ビル」。
しかしそれまでは「ウォーターゲート事件」があってからというもの「ウォーターゲート・ビル」のイメージはダウン。
長らくの間ビルそのものが閉鎖されていた模様です。

しかしこの米国全土を騒がせた事件を逆手に取り、「ウォーターゲート・ビル」を「ウォーターゲート・ホテル」に改めてホテルとしての商売を開始。

ホテルの電話番号は「617-1972」と「ウォーターゲート事件」が起こった日時を元にしています。

さらにホテルの部屋の鍵には「押し入る必要はありません」と書かれるなど事件の有名さを逆手にホテルとしての付加価値をふんだんに活かそうとしているようです。

ホテル内ではニクソン大統領の肉声が使われた音声ガイダンスもあるなど一種のホテル兼観光地と化していて人気があります。

大統領の陰謀

ウォーターゲート事件を描いた映画

映画「大統領の陰謀」はワシントンポストの記者であり「ウォーターゲート事件」の胡散臭さにいち早く気づき取材した「ボブ・ウッドワード」「カール・バーンスタイン」の二人の記者の手記を元に制作された映画です。

「ボブ・ウッドワード」役を「ロバート・レッドフォード」が、「カール・バーンスタイン」役を「ダスティン・ホフマン」が演じています。

この映画は第49回アカデミー賞において8つものノミネーションされ高く評価された映画となっています。

ザ・シークレットマン

ディープ・スロート視点で描かれる「ウォーターゲート事件」

「ウォーターゲート事件」を描いた映画「ザ・シークレットマン」。

「ウォーターゲート事件」においてワシントンポストの記者を主軸に描くのではなく「ディープ・スロート」ことFBIの「マーク・フェルト」を中心に描いています。

「マーク・フェルト」役を主演の「リーアム・ニーソン」が熱演。

映画「ザ・シークレットマン」は日本では2018年2月24日公開です。

「ザ・シークレットマン」ショート予告。

まとめ

気になった方は映画「大統領の陰謀」や映画「ザ・シークレットマン」を見ればもっと「ウォーターゲート事件」や「マーク・フェルト」のことを知ることができるので視聴をおすすめ。

事件の一つの舞台でもあり、アメリカ合衆国ワシントンD.C.の有名な観光地ともなった「ウォーターゲート・ホテル」に行ってみるのも面白そうですね。

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