船場吉兆『ささやき女将』会見の意外な真相とは?その後・現在もまとめ!

船場吉兆は超高級料亭ですが、2007年に産地偽装などの不祥事を起こします。謝罪会見ではささやき女将が登場して、回答する取締役の息子にささやきの助言をするという失態を演じてしまいます。その後、船場吉兆は廃業に追い込まれてしますが、その過程などを詳細に紹介します。

船場吉兆『ささやき女将』会見の意外な真相とは?その後・現在もまとめ!のイメージ

目次

  1. 1船場吉兆の不祥事とは
  2. 2【動画】船場吉兆の「ささやき」謝罪会見
  3. 3ささやき会見の世間の反応は
  4. 4不祥事の船場吉兆への影響は
  5. 5船場吉兆のその後
  6. 6ささやき女将や息子の現在は
  7. 7船場吉兆と同時期の食品不祥事は
  8. 8食品不祥事での対応のありかたは

船場吉兆の不祥事とは

NAVER まとめ

船場吉兆」は、1930年に創業者の湯木貞一が大阪に開業した吉兆を1991年にのれん分けの形でグループ会社化した時に独立した会社です。他には「本吉兆」、「東京吉兆」、「京都吉兆」、「神戸吉兆」があって、現在、全部で17店舗を構えています。

吉兆は言わずと知れた日本を代表する高級料亭ですが、2007年に船場吉兆で食品の産地偽装や使い回しなどの不祥事が立て続けに発覚し、著しく吉兆のブランドイメージが傷つき、深刻な営業不振に陥りました。

この不祥事で最終的に船場吉兆は廃業に追い込まれます。不祥事に至った経緯やその内容を詳しく紹介しましょう。

日本の文化を五感で!
目で、味で、香りで、日本の文化を感じることができる贅沢な時間。
季節ごとに変る日本の四季を表現した器、旬のものを美しく表現した料理、あぁ、春だなぁ、秋だなぁと香りで感じて、まるで美術館にいるような時間です。外国のお客様をお連れすると、感動してくれて、日本文化に貢献したような気になれます。
最初にテーブルに登場するお皿で、まずは、目で感動。今の季節を知らせてもらい、お椀の蓋をあけるときのワクワク感はたまらないです。ほわーーっと広がる香りは期待を裏切りません。
新鮮なお造りから爽やかな水菓子まで、次々、感動がまして、お腹も気持ちも満たされているのですが、終わりに近づいているのかと思うと、まるで物語が終わってしまうかのようで寂しくなるくらいです。最後の和菓子は、お抹茶の香りと苦みに、悲しんでないで、またね♪と励まされてるような気持ちになります。

船場吉兆は高級料亭の名店

トリップアドバイザー

船場吉兆は、1991年の吉兆ののれん分けで、創業者湯木貞一の三女、湯木佐知子の婿養子の湯木正徳が吉兆船場店を与えられて開業しました。大阪の船場地区、中央区北久宝寺町2丁目に店を構えました。

その後、心斎橋店や天神店、福岡に博多店など店舗を拡大し、阪急百貨店や福岡の博多大丸などと提携して吉兆ブランドの商品販売なども手掛けて経営の多角化を進めました

料亭としては、吉兆創業の精神をもとに大阪でもトップクラスの超高級料亭でしたが、経営の多角化による過剰な採算重視が偏重されて産地偽装などの食品不祥事を招いてしまいました。

船場吉兆の不祥事は賞味期限改ざんの発覚から

asahi.com

船場吉兆の食品不祥事は、船場吉兆が扱う菓子の消費期限・賞味期限の改ざんから発覚しました。

2007年10月の下旬、福岡市の岩田屋百貨店に出店していた船場吉兆の店で、「黒豆プリン」、「桜ゼリー」、「抹茶ゼリー」などの5種類の菓子で、消費期限のラベルを毎日張り替えて偽装していたことが明らかになりました。

2006年から販売された内、2767個で消費期限切れ、204個で賞味期限切れの商品があったと言います。福岡市食品安全推進課は船場吉兆に対して、食品衛生法違反があるとして、販売自粛の勧告を行なっています。

その後、2007年11月に入って、「栗のふくませ煮」などについても消費期限・賞味期限切れの偽装が新たに発覚しました。

新たに偽装がわかったのは、棒だら▽黒豆▽栗のふくませ煮▽胡麻(ごま)豆腐▽りんごのケーキ▽栗タルト。いずれも岩田屋地下2階の吉兆天神フードパークで売られていた。
栗のふくませ煮は船場吉兆が大阪市内で、胡麻豆腐は同社が岩田屋7階に構える日本料理店「吉兆天神店」でそれぞれ製造。残りは外部の業者に製造委託していた。
すでに偽装が判明していた菓子5種類と同様、フードパークで期限を記したシールを張り替えていたとみられるという。

次いで地鶏の表示偽装が

トリップアドバイザー

福岡での不祥事に続いて大阪の本店でも地鶏の表示偽装が発覚します。2007年11月9日のことです。

ブロイラーの鶏肉を地鶏と表示して味噌漬けなどにして販売していました。船場吉兆とは15年ほどの取引きがある仕入れ業者で、地鶏と称して納入したことは一度もないのですが、船場吉兆は業者のせいにして逃げ切ろうとしました。

船場吉兆の見苦しい釈明が続きましたが、超高級料亭の調理人のプロが、ブロイラーと地鶏の味の違いが解らないはずがないでしょう。

その後、船場吉兆本店も捜査が入り、ブロイラーを地鶏、佐賀牛・鹿児島牛を但馬牛と表記して販売していた偽装などが判明。
「納入業者からだまされた」と吉兆本店担当者は証言しているが。
その業者は、ブロイラー専門店で、地鶏を納入できるはずがないんだってさ~。
偽装但馬牛にいたっては、「同じ品質のものを努力した結果、違う産地のものを・・・」だって。じゃぁ佐賀牛でも鹿児島牛でも、その通りに表記すればいいじゃんかっ。
この期に及んでも言い訳。まったく佐賀や鹿児島に失礼だわさ。
福岡だけかと思っていたら、本店までも、責任転嫁体質かよ・・・。
同族だから似てくるのかねぇ。

牛肉の産地偽造も発覚

asahi.com

地鶏の表示偽装に続いて、次は牛肉の産地偽装です。2007年11月16日、牛肉の原産地の虚偽表示、不正競争防止法違反の疑いで大阪府警の家宅捜査、事情聴取を受けます。

「牛肉味噌漬け」などの商品を、実際には佐賀県や鹿児島県産の牛肉を使用して、「但馬牛」などの高級牛肉の表示をして販売していたことが解りました。

船場吉兆の幹部は、「品質は劣ってないのでかまわないと思った」と産地偽装を認めましたが、最初は会社ぐるみではなく「幹部の承知事項ではない」と組織的な関与を否定した釈明をしていました。

船場吉兆は今年3月から10月にかけて「牛肉味噌漬け」などの商品に実際には佐賀や鹿児島県産の牛肉を使用しながら、「但馬牛」「三田牛」と表示して食品販売会社等に101個を販売したとされる。
東京新聞によると、その内訳は「牛肉味噌漬け」が3個、「牛肉味噌漬けと鶏肉味噌漬けセット」が72個でこれらは東京にあるシャディに、また「牛肉味噌漬けと明太子セット」26個が大阪市の阪急百貨店にそれぞれ販売されていた。更に読売新聞によると、船場吉兆は福岡県にある食肉の販売業者から上述2県の牛肉を少なくとも3年前の2004年から仕入れていたことが同警察の調べでわかった。船場吉兆の仕入れが尽きると電話注文し、毎月2回程度・1回当たり40キロを納入し、業者は納品書の産地を記載する欄に「鹿児島産」「佐賀産」と記載していた。
読売によると、農林水産省がこの10月下旬から11月初旬にかけて船場吉兆を調査した際、同社は納品書を提出し、農水省関係者が但馬牛の納品書が1枚もないことに気づき、正徳社長の長男・喜久郎取締役(44歳)を問いただした時「品質は劣ってないのでかまわないと思った」と調査が行われた10月までの8ヶ月間については産地偽装を認めていたが、それ以前からも不正表示を行っていた可能性がある。

無許可の梅酒の製造・販売も

トリップアドバイザー

販売目的の酒類を製造する時には酒税法上、許可、免許が必要です。船場吉兆の不祥事が明らかになって以降の調査で、船場吉兆の4店で1999年ごろから店で造った梅酒を客に提供していたことが判明しました。

コース料理の食前酒やグラス単位で提供していたようですが、国税局の指摘に対して船場吉兆は「今後はメニューから外す」との対応でしのぎました。

高級料亭が造った梅酒、どんな味だったのでしょうか。美味しかったことでしょう。

食べ残しの料理を使い回し

NAVER まとめ

2007年10月の賞味期限改ざんから地鶏の表示偽装、牛肉の産地偽装が立て続けに発覚して、船場吉兆は休業に追い込まれます。体制を立て直して2008年1月から営業を再開するのですが、5月にまた不祥事が発覚します。

休業する前の店舗で、長年にわたってお客の食べ残しの料理を使い回していたことが明らかになってしまいました。天ぷらやアユの塩焼きなどの料理で常態化していたということです。

食品衛生法では規定がないので違法にはなりませんがはなはだ不適切なことで、この不祥事によって船場吉兆のお客は1/3以下に激減し、廃業せざるを得ない事態になっていきます。

使い回していた料理は、アユの塩焼き▽稚鮎(ちあゆ)の素揚げ▽ゴボウをウナギで巻いた「八幡巻き」▽エビと魚のすり身を蒸した「えびきす」▽サーモンの焼き物▽刺し身の添え物――など少なくとも6種類。
 料理長の山中啓司取締役や代理人弁護士らによると、客が食べた形跡のない料理を置いておき、食材が足りなくなったときなどに再び加熱するなどして別の客に提供していた。こうした使い回しは2~3週間に1回の頻度で繰り返されており、調理場のほぼ全員が知っていたという。6~7年前に正徳前社長から「もったいないから明らかに使えそうなのは使え」と指示を受けたのが始まりで、今年1月の営業再開後はしていないという。

偽装が発覚しパート女性社員らが内部告発

西日本新聞経済電子版

船場吉兆の一連の不祥事に関して、船場吉兆の幹部は当初「パートの女性らの独断によるもの」として従業員や仕入れ業者に責任を転嫁しようとしていました。「全責任はパート女性にある」と書かれた会社作成の報告書に署名・押印するよう迫ったと言われています。

売り場責任者のパート女性ら4人は、2007年11月14日に記者会見を開き、「店長から1か月期限を延ばして売るように直接指示を受けて賞味期限のラベルを張り替えていた」と経営陣の関与を告発しました。

その後、経営陣が関与した証拠なども見つかり、ささやき会見で有名になった12月10日の経営陣による謝罪会見につながっていきます。

una********さん   2008/5/2909:14:34
内部告発をした人はある程度の結果はわかっていたと思います。
船場吉兆は2万や3万円位の予算では食べられない高級料亭だと聞きます。
なのにあれだけいい加減なことをしていてそれも、上層部からの命令で仕方なく指示に従っていたのでしょうが、お客さんに対してあまりにも酷いことをしていることに対して良心が非常に痛んだのだと思います。
内部告発はじつはいいことなのですが、日本では「ちくり」だとか「裏切り者」とかいう風潮がいまだに残っているのでそれなりの覚悟が要ります。
それをあえてしたのはよほど酷かったのでしょうね。
産地偽装や賞味期限改ざんが発覚したら従業員に責任を負わそうとしたことで従業員たちの船場吉兆に対する愛社精神というものは一気に失っていったのでしょうね。

【動画】船場吉兆の「ささやき」謝罪会見

船場吉兆の不祥事に対して経営陣の関与を否定し続けた幹部は、大阪府警の捜査や農水省の調査などによって責任逃れできなくなって、12月10日に謝罪会見を開くに至りました。

この会見はその内容よりも、女将が長男の取締役に対して回答の助言をささやく姿がすべて映し出されたことで、「ささやき会見」として大きな話題になりました。野々村元西宮市議の号泣会見などと並んで、平成の印象的な会見として取り上げられています。

流行語大賞や、たけしのエンターテインメント賞などにもノミネートされましたが、会見の内容は謝罪で経営陣の責任を認めるものでした。

こんな面白い会見というのは、滅多にない。牛肉などの偽装表示で矢面に立たされている「船場吉兆」がきのう(12月10日)行った謝罪会見は、この会社の実態をテレビの前で見事にさらけ出してしまった。
そもそもは、「従業員がやった」「仕入れ先が」といっていたのを、この日はじめて取締役の責任を認めたはずだったのだが‥‥記者の質問にいいよどむ湯木喜久郎取締役(45)らに、脇に座った母親で女将の佐知子取締役(70)が、ささやく声がマイクに筒抜け。

頭が真っ白になって

NAVER まとめ

このささやき会見は、ささやき女将として有名になる湯木佐和子の「取引先様、お仕入先様、従業員、社会の皆々様に多大な不信とご迷惑をおかけし、食品の安全に対する信頼を裏切ったことを、深くお詫び申し上げます」という謝罪の言葉で順調に始まりました

しかし、その後、記者からの質問が続くと、ささやき女将の長男、取締役の湯木喜久郎は次第に回答に詰まったり言葉が出ないような状況になってしまいます。

その時、ささやき女将からのささやきの助言が「頭が真っ白になった」というフレーズで、それを受けて喜久郎が「頭が真っ白になっていたといいましょうか」と、オウム返しに答えたのがこの「ささやき会見」の象徴になっています。

記者:嘘をついている意識がなかったというわけですね。
佐和子:(小声で喜久郎に指示)ないですないですないです。
喜久郎:申し訳ございません。
佐和子:(小声で喜久郎に指示)ないです。
記者:実際に仕入れられたのは、社長さんと喜久郎さんですね? どうしてあのときに正直に言われなかったんですか?
佐和子:(小声で喜久郎に指示)「頭が真っ白になった」と。「頭が真っ白になった」と。
喜久郎:はい、初めてのこういう記者会見という経験でございまして、頭が真っ白になっていたといいましょうか。
佐和子:(小声で喜久郎に指示)「責任逃れの発言をしてしまいました」と。「責任逃れの発言をして……」
喜久郎:自分でも何を申し上げているか、わからなくなっていたというのが事実でございます。申し訳ございません。

女将のささやきがマイクを通して

Twitter

このささやき会見で頭が真っ白になってしまった長男の湯木喜久郎に対して、ささやき女将は記者の質問に対してすぐに反応して長男にアドバイスしますが、その声をマイクがすべて拾って筒抜けになってしまいます。

この会見の前夜に弁護士を交えて想定問答を繰り返し練習して対応したそうですが、ささやき女将はその内容をすべて記憶して会見に臨んでいます。店に来るお客のことはすべて覚えているという頭の良さからくるものでしょう。

長男もそれなりに記憶して会見に臨んだでしょうが、会見場の特殊な雰囲気にのみ込まれてしまったのでしょう。ささやき女将のものに動じない肝っ玉女将ぶりとは対照的な姿が際立った会見になってしまいました。

——九州の牛肉を但馬牛だとした‥‥
「あの‥‥」(大きい声で)(目を見て!)「法令遵守が甘かった」
——消費者を欺くことになると認識していたのか?
(そらしてへんわ)「‥‥」(知らへんわ)(ほら、しっかり言わんか)
——お客を欺くという意識は?
(なかったと)(ないよ)「結果的に欺くことになって‥‥」
——その時点でその意識はあったのか?
(ない、ない)「‥‥申しわけございません」(はい、ないです)「思いが至らなくて‥‥」(結果的に‥‥)「結果的に欺いたと‥‥」
 といった具合。うつむいたままの息子と違い、母は何を聞かれても即答する。

ささやき女将のささやきに長男は怒っていた

現代ビジネス|講談社

ささやき女将の助言を受けても結果的にしどろもどろの対応しかできなかった長男は、いい歳をしてマザコンとか散々な評価をされて報道されます。取締役の面子丸潰れです。

会見終了後に、長男はささやき女将のささやきアドバイスに立腹して怒ったということですが、後の祭りです。せめて会見中に「ちょっと黙ってて」ぐらいのことが言えていたらそれ程評価は下がらなかったことでしょう。

船場吉兆の不祥事続きで、経営陣家族の仲もぎすぎすしたものになっていた様子がうかがえます。

ところが、いわゆる「ささやき」と言われる母の所作に、思わぬ注目が集まってしまった。兄は職人気質で、あまり多くを語らない人です。あれだけの報道陣が集まる中、さらに緊張してしまい、言葉が出てこなかった。そこで、母が兄を心配して助言をしたつもりが……。
会見の後に、兄は母に向かって怒っていましたね。「あんなこと(ささやき)をしなくても大丈夫だったのに!」と。家族みな、あの時は感情的になっていたのです。ワイドショーも数えきれないほど取材に来ましたし、中には母のキャラクターに着目し、「お母さんの携帯ストラップを作りませんか」なんていう、人を馬鹿にしたようなオファーも来ました…。

ささやき女将:湯木佐知子の生い立ち

NAVER まとめ

「ささやき女将」として一躍有名になった船場吉兆の女将はどのような人なのかを見てみましょう。

船場吉兆の女将の名前は湯木佐知子、吉兆の創業者、湯木貞一の三女として1937年に生まれています。甲南大学の経済学部を卒業していますが、「ささやき女将」の事件が起こる前のプロフィールについてはほとんど情報がありません。

甲南大学の同窓会の大阪甲南会では、不祥事発覚後に営業を再開した2008年1月に船場吉兆本店で新年例会を開いています。船場吉兆廃業後は次男が開いた日本料理店「湯木」で同窓会を開いていて、甲南大学とのつながりが強いことが伺えます。

メイク魂ななしさん:2008/05/29(木) 13:55:00 ID:I1cjGz+NO
のれん分けする前の吉兆からのお得意様のおじいさんがインタビューされていたんだけど、この人は四姉妹の中で一番器量は悪いが一番働きものだったとか。
他の姉妹に仕事の面では負けまいとすることが発端になってたのなら、なんだかかわいそうな人だと思った。
だからって許されるわけではないけど。

ささやき会見の世間の反応は

船場吉兆の謝罪会見は、その年明らかになったその他の食品偽装事件もあったことから注目を浴びましたが、それ以上に「ささやき会見」、「ささやき女将」という衝撃的な会見になったために世間に大きな反響を与えました。

面白おかしく伝える報道や、話題になった賞として検討されるなどして、不祥事を起こした罪以上に船場吉兆に対するバッシングは強く、船場吉兆のその後に大きな影響を与えることになります。

「ささやき女将」は流行語大賞にノミネート

なんでもnews実況まとめ

流行語大賞は、「現代用語の基礎知識」の読者アンケートからノミネートされた流行語を、審査によって年間大賞とトップ10を選考する年末恒例の行事です。「今年の漢字」や「サラリーマン川柳」と並んで、現代の世相を反映する一つの指標として取り上げられています。

「ささやき女将」は2008年の選考で、ノミネートされるトップ50に入っています。大賞やトップ10には選考されませんでしたが、不祥事があったのが2007年の暮れなので若干印象が薄くなった不利な点はあるでしょう。

ちなみに2008年の大賞は「アラフォー」と「グ~!」で、トップ10には「ゲリラ豪雨」や「後期高齢者」などが選ばれています。

ビートたけしのエンターテインメント賞特別賞受賞も

ビートたけしのエンターテインメント賞」は、1992年に始まった「東京スポーツ映画大賞」のなかの賞として、その年話題になった著名人などに賞を授与するとして2001年から始まりました。

その「ビートたけしのエンターテインメント賞」の2008年の特別賞として船場吉兆・湯木佐知子社長が選ばれましたが、この時、ささやき女将はこの受賞を辞退しています。

その後、2019年に放映された「ビートたけしのTVタックル」のなかで、ささやき女将は受賞を辞退したことをビートたけしに「エンターテインメント特別賞ご辞退して申し訳ございませんでした」とお詫び、謝罪しています。

不祥事の船場吉兆への影響は

時事ドットコム

ささやき会見でさらにダメージを深めた一連の不祥事が船場吉兆に与えた影響は、一時閉店から立ち直ったものの最終的には閉店、廃業に追い込まれるというものでした。その決定的となった不祥事は食べ残しの料理への使い回しです。

一方で吉兆の立て直しのために、吉兆グループは結束してコンプライアンスを重視した活動に取組みます。その活動の内容などを紹介しましょう。

お客は激減、料理の使い回しが致命的に

読むテレビ

船場吉兆は2007年12月10日に謝罪会見となる「ささやき会見」の後、立て直しのために一時休業します。年が明けて1月、ささやき女将の湯木佐知子を新しい社長とし、心機一転の営業再開をはたします。

必死の営業努力や従業員一体となってのお客さま対応で、一時休業前以上に客足も戻り、船場吉兆復活かと言われていました。しかし、5月に前述した食べ残し料理の使い回しの不祥事が発覚してしまいます。

これについては援護してくれる人も誰も無く、一挙に客足は半減、1/3に減少、営業も立ちいかなくなって廃業せざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。

船場吉兆不祥事での吉兆グループの覚悟は

japaneseclass

吉兆グループは、1991年にのれん分けで船場吉兆を含む5社に分社化されました。それぞれ長男と4人の娘の婿が社長になって資本は独立したグループ会社です。

船場吉兆の不祥事のために、グループ各社も大きな影響を受けて客足が半減し、苦しい経営環境に陥りました。そんななかで、吉兆グループ会社の役職員や第三者の専門家から構成される食のコンプライアンス委員会を設立されます。

以下に引用するのは、食のコンプライアンス委員会の設立の趣旨ですが、日付は3月1日です。船場吉兆の食べ残しの使い回しが発覚するのは5月ですからまだ機能不全だったということでしょう。

設立の趣旨
 本委員会は、吉兆グループ各社が食の安全性を確保し、お客様に安心してご利用いただける企業であり続けるため、法令、条例、その他諸規則を遵守した企業活動を行うとともに、その取組み内容や取組み状況を、自主管理するための組織として組成いたしました。
 本委員会の委員には、グループ会社の役職員だけでなく専門家の方々を委員として招聘し、第三者の立場からのご指導をいただき、組織の閉塞性を回避します。
 また、コンプライアンス向上への取組み状況等を公表していくことが、自らの行動に襟を正すことになると判断し、随時、本ホームページを通じて皆様方に情報公開してまいります。
 吉兆グループ各社は、法令等の遵守や食の安全性にとどまらず、お客様にご満足していただける高品質なお料理とおもてなしへの向上にむけ、より一層精進する所存です。
                                                   2008年3月1日

船場吉兆のその後

西日本新聞経済電子版

食のコンプライアンス委員会が立ちあがったのもつかの間、2008年5月に船場吉兆の食べ残しの使い回しが発覚し、客足の途絶えた船場吉兆は結局、廃業に追い込まれます

船場吉兆を除く他の吉兆グループ4社は、5月28日付けで以下に引用する「ご報告」という文書を発表しています。船場吉兆への強烈な批判が含まれていますが、あらためてコンプライアンスを順守するという決意が伺えます。

しかし、2013年、京都𠮷兆でローストビーフの偽造販売という不祥事をまた起こしてしまいます。食のコンプライアンスがいかに難しいものかがよく解ります。

非常に残念なことですが、いつしか船場吉兆はその原点を忘れ、食を扱う者として、し
てはならない多くの行為を行うに至りました。吉兆グループ各社においても同じ「吉兆」
というブランドの重さを十分に認識せず、品質管理に関する相互の監視体制や取り組みに
甘さがありました。
そのような中、多くのお客様から厳しいお叱り、暖かいご意見をいただくにつれ、「吉兆」
とはどんなブランドなのか、という思いが強くなりました。そして行き着いたのは、やは
り創業者 湯木貞一の原点の世界でした。
私たちグループ各社は、そうした貞一の開いた歴史と伝統を継承していきたいと強く願
い、同時にこれからも日本文化を伝え、守る役割を果たしていきたいと考えております。
そして、法令等の遵守や食の安全性にとどまらず、お客様にご満足いただける高品質なお
料理とおもてなしへの向上に向け、より一層精進する所存です。

経営再建を断念して船場吉兆は廃業へ

なんでもnews実況まとめ

食べ残しの使い回しで息の根を止められた船場吉兆は、経営再建を断念し、2008年5月28日に大阪市保健所に飲食店の廃業届を提出します。同日、大阪地裁に民事再生手続の廃止を申し立てて、6月23日に破産手続の開始が決定されました。

廃業の窮地におちいった時に、吉兆グループ4社や他の企業などからの支援がなにも得られなかったことが、経営断念の決定的な要因でしょう。ほとほと愛想が尽きたと見限られた結果です。負債総額は約8億円と言われています。

ささやき女将や息子の現在は

トリップアドバイザー

一躍有名人になったささやき女将や、そのささやきで男を落とした長男は事件の後、どのようになったのでしょうか。事件ではあまり表に出てこなかった次男は現在どうしているのでしょうか。

ささやき女将は事件から10年近くたって、「爆報!THEフライデー」や「TVタックル」などのテレビ番組にも何本か出演しています。その内容などから事件後の船場吉兆経営者一族の様子を探ってみましょう。

ささやき女将は夫婦で年金生活

読むテレビ

ささやき女将は今、夫(湯木正徳)と二人でマンション暮らしで、生計は二人の年金のみということです。船場吉兆を廃業した時の負債は約8億円で、ささやき女将たちもこの時自己破産しました。

今でも借金は完済できていなくて、毎月9万円ほど返済し、残り400万円程度になっているそうです。借金を返すまでは死ねないと頑張っていて、健康状態は良いということです。借金を完済するまで、ささやき女将の人生はまだまだ続きます。

次男は料理店を展開、ささやき会見をした長男は?

なんでもnews実況まとめ

ささやき女将の長男、湯木喜久郎の現在についての情報はほとんどなく、料理関係の仕事ではなく全く別の仕事をしているということです。

ささやき女将の次男は、2011年に日本料理店「湯木」を開業し、現在は4店舗にまで展開しています。船場吉兆時代につちかった良い技術、接待を活かしてリピーターのお客も増えているそうです。

船場吉兆時代からのお客も多く、時々ささやき女将が店に来てお客に合わせた料理やもてなし方のアドバイスをしたりもしています。苦い経験をしている家族なので、もう失敗することはないでしょう。

北新地「日本料理 湯木」で

「TVタックル」などにも出演、反響は?

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ささやき女将は、事件から9年後の2016年8月に「爆報!THEフライデー」で久し振りの姿をテレビに見せます。その後、「教えてもらう前と後」や「バイキング」などに出演、最近では2019年3月にビートたけしの「TVタックル」に出演しています。

番組では「ささやき会見」の映像が流され、改めて笑いをさそうコメントなどで盛り上がります。ささやき会見については「マイクの性能が優れているということを知っていたら、あんなことは言わなかった」と吐露し、本意でなかったことを語っていました。

最後に湯木佐知子氏から、たけしにお詫びがあるという。それは、第8回ビートたけしのエンターテインメント賞の特別賞に選ばれながら、辞退したこと。湯木氏はカメラに向かって、「たけしさん、2007年のエンターテインメント特別賞ご辞退して申し訳ございませんでした」と謝罪し、続けて、
「大阪にお越しの節は、北新地の息子の店にも機会がございましたら、ぜひお越しいただきますことをお待ちしております」と呼びかける。
これにはビートたけしも「偉い。店の宣伝もしているところが抜かりがないね」と褒め称えた。

船場吉兆と同時期の食品不祥事は

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ささやき会見で印象に残った船場吉兆の不祥事以外にも、この年、2007年は北海道土産で有名な「白い恋人」や伊勢参り土産の「赤福」の改ざん偽装不祥事も発覚し、年末の「今年の漢字」も「偽」となってしまいました。

ささやき会見での事件と同時期に起きたこれらの食品不祥事について、内容や対応の仕方の違いなどを見てみましょう。

白い恋人:賞味期限改ざん

「白い恋人」は誰もが知っている北海道土産の定番です。船場吉兆の不祥事が発覚する前の2007年8月に、賞味期限を1~2カ月延ばして改ざんしていたことが発覚しました。

当時の社長は、担当役員に責任転嫁したり改ざんは限定的というような会見をしましたが、多くの商品で10年以上前から改ざんされていたことが発覚してしまいます。

ただ、ささやき女将と大きく違う点は、会見から3日後に社長が引責辞任し外部から新社長を迎え、経営体制も創業家からの役員のほとんどを退任させるという刷新をしたことです。

この自発的で素早くかつ潔い対応で、11月に操業を再開した際は商品売切れの店舗が続出するという高評価を得ることになります。

赤福:消費期限偽装など

wikipedia

「赤福」は伊勢参りでの土産品の定番で、創業300年を誇る超有名老舗です。2007年10月の消費期限の偽装、売れ残り商品の使い回しなどの不祥事が発覚します。

発覚するまでの2年間にこれらの不祥事で41万箱が出荷されたと言い、これらの不正は30年以上前から行なわれていたと言われています。この事件で赤福は翌年2月まで営業停止の処分を受けています。

赤福は経営陣の入れ替えを行ないますが、創業家の影響を排除するようなものではありませんでした。工場の生産設備を不正が起きにくいような機械に入れ替えるなどの対策をして、不祥事からの再生を図っています。

食品不祥事での対応のありかたは

ささやき女将の船場吉兆の不祥事にしても、白い恋人や赤福の不祥事にしても、不正を生じさせないような確固とした品質管理、品質保証の体制、仕組みができていれば防げた不祥事です。

船場吉兆や白い恋人、赤福に共通している点は、いずれも創業家が権力を握っていて風通しの悪い企業風土であったことです。添付するグラフは事件発生当初に行なった事件対応の評価についての調査結果です。白い恋人>赤福>船場吉兆の順に評価されています。

対策の実行スピードとその内容が最も重要となるポイントになります。食品偽装は消費者には解りにくい犯罪行為なので、食に携わる人たちの一層のコンプライアンス順守が望まれるところです。

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