兄弟差別が子供に与える影響や末路とは?なぜ親は兄弟差別するのか?
兄弟で同じことをしているのに、子供によって親の扱い方が違っていると感じた経験はないでしょうか。親は何気ないつもりでも、兄弟差別は子供にさまざまな影響を及ぼします。今回は、兄弟差別の原因や心理、子供に与える影響、対処法まで詳しくご紹介します。
目次
兄弟差別を受けた子供はどんな影響を受けるの?
どんな兄弟でも少なからず嫉妬心や劣等感を感じながら成長していくものです。しかし、親から差別的に扱われることは子供にとって大変つらいことです。行き過ぎた差別は、子供に嫉妬や憎しみといったネガティブな感情をもたらし、その後の人生に大きな悪影響を与えることもあります。
兄弟差別の実態とは?
本来であれば平等に愛情を注いでくれるはずの親ですが、さまざまな形で兄弟の扱いに差をつけてしまうという実態もあります。
一方を否定し、一方を肯定し続ける
兄弟で同じようなことをしていても、いつも一方ばかりが否定され、もう一方は肯定され続けることがあります。典型的な例として、上の兄弟が「お兄ちゃんなんだから」「お姉ちゃんなんだから」といった理由でいつも我慢させられるのに対し、下の兄弟は許されて甘やかされているといったケースがあげられます。
与える物で差別する
服や食べ物、教育にかけるお金など、与える物で兄弟差別をすることもあります。例えば、一方はいつも新品を買ってもらうのに対し、もう一方はお下がりばかりといったケースです。また食事の量や質に差をつけたり、習い事や学校などにかけるお金に差をつけるなど、あらゆる物に差をつけ兄弟で不平等な扱いをすることもあります。
兄弟間のトラブルを一方的に責任を押し付ける
例えば兄弟喧嘩などのトラブルが起こったとき、親が一方的に決めつけて片方だけを責めるといったことがあります。トラブルの仲裁に入ることもせず、原因や理由を聞くこともなく「どうせあなたが悪いんでしょう」と一方的に責任を押し付けて悪者にしてしまうのです。
兄弟差別が起こる原因とは?
同じ兄弟なのに親から平等な扱いをされないのはどうしてなのでしょうか。兄弟差別につながる原因についてみていきましょう。
親が子供に優劣をつける
同じ兄弟でも性格や容姿は違いますし、勉強やスポーツなどの能力に差が出ることは珍しいことではないでしょう。しかし親がその能力の違いに優劣をつけてしまうと、いつもできる子供だけが称賛され注目されるようになります。一方できない子供は、同じように頑張っても褒めてもらえず、「どうせ自分はダメなんだ」という劣等感を抱えてしまうようになります。
親が子供に過剰な期待をする
また、親が子供に過剰な期待をしているということも原因の一つにあげられます。親が子供により良い人生を送ってほしいと願うことは当然のことです。しかし親の理想が強すぎると、より良い結果を残せる子供にばかり過剰な期待をかけてしまいます。親の期待に応えることができなかった子供は、自分を責めたり否定するような気持ちをもってしまうかもしれません。
兄弟差別をする親の心理3選
兄弟差別をしてしまう親にはさまざまな心理が潜んでいます。兄弟差別に影響を与えている親の心理を3つのケースから考えていきましょう。
親に心の問題がある
兄弟差別をしている親には心の問題があるかもしれません。育ってきた環境や周りの人からの影響によって、親自身に劣等感や孤独感などのネガティブな感情が身についてしまっている場合があります。親が抱えている心の葛藤のせいで、子供への健全な思考をもつことができないという心理状態です。否定的な考えで兄弟に差をつけることにより、ストレス発散のはけ口にして自分を保とうとするのです。
過去に自分も差別された経験がある
また兄弟差別をする親は、自分も差別された経験があるということが考えられます。幼少期に親から否定されたり差別されたりすることで、劣等感を抱えたまま成長してきたのかもしれません。親から認めてもらうという実体験がないため、自分も子供を受け入れることができないのです。そのような心理がトラウマとなり、自分が経験したことを子供にもしてしまう負の連鎖を引き起こすことになります。
自分にとって都合がいい子供の方が可愛い
子供を自分の思い通りにしたいという親の心理も兄弟差別の原因となります。素直で親の言うことをよく聞く子供はコントロールしやすいため、「良い子」として称賛したり可愛がったりするのです。一方言うことを聞かず面倒をかける子供は「悪い子」という扱いで差別するのです。
兄弟差別をされやすい子供の特徴とは?
同じ兄弟の中でも、親から兄弟差別をされる子供とされない子供がいます。その違いはどこにあるのでしょうか。兄弟差別をされやすい子供の特徴についてみてきましょう。
親を裏切れない子供
まず、親を裏切れない子供です。優しい性格の子供は親の言うことを真面目に受け取り、親の期待を裏切ることに罪悪感を感じてしまいます。そのため過剰な要求やプレッシャーにも応えようと必死に頑張ります。親は子供が裏切らないことを分かっているので、都合良くコントロールしようとするのです。
親に反抗的な子供
また親に反抗的な態度をとる子供も差別されやすいということが言えます。兄弟差別をする親には、子供を自分の思い通りにしたいという欲望があります。親の意向に沿わず刃向かう子供には一方的な決めつけで否定し、「悪い子供」というレッテルを貼り支配しようとするのです。
兄弟で劣っている子供
また勉強やスポーツなどで成績が劣っている子供も、親から差別されやすいと言えます。優秀な子供は親の自慢になるため、子供の価値を自分の価値と錯覚してしまうのです。そのため劣っている兄弟のことを責め、子供に劣等感を抱かせるような扱いをします。
兄弟差別される側の子供の心理とは?
子供は親の何気ない言葉や態度から「自分だけ扱いが違うのではないか?」ということを敏感に感じ取ります。親から差別されると感じた子供は、どのような心理状態になるのでしょうか。
親に注目されたい
子供は親から差別されていると感じると、愛情不足で不安になります。そのため、子供はもっと自分のことを見てほしいという心理状態になります。親に褒めてもらおうと勉強やお手伝いを頑張ったり、逆にいたずらなどで親の気をひいたりするなど、親からの注目を集めようとするのです。
劣等感を抱く
同じ家庭環境の中で育った兄弟は、身近であるために競争心や劣等感といった感情を抱きやすいのは当然のことです。しかし親から比較され、差別的な愛情を受けることで、自分に自信をもつことができず不安な心理状態になってしまいます。そのため、子供はありのままの自分を受け入れるという感覚を身につけることができず、強い劣等感を抱くようになってしまうのです。
兄弟差別を子供が感じていたら?親の5つの対処法
子供が発する言動にいつもと違った様子が感じられたら兄弟差別を感じているサインかもしれません。そのようなとき親ができる対処法を5つご紹介します。
子供は親の愛情を独占したいということを知る
小さい子供が「見て見て!」という言葉を使って親の興味をひくように、子供は自分だけを見てほしいという欲求があります。それは親の愛情を一身に受けたいという心理であり、兄弟にも負けたくないという思いがあります。親が兄弟を差別的に扱うことで子供が愛情不足を感じると、心や体のさまざまな問題を引き起こすこともあります。まずは子供の根底には親の愛情を独占したいという心理があることを理解し、子供の心に寄り添ってあげるようにしましょう。
子供と二人だけの時間を作る
子供と二人で過ごす時間を作ることを意識しましょう。日常生活の中で二人だけの時間を作ってみたり、ときには二人きりでお出かけするのも良いでしょう。ほかの兄弟がいないところでしっかり耳を傾け向き合うことによって、子供は自分だけを見てくれているという愛情を感じることができるはずです。子供が安心して親に甘え、心を満たすことができる時間を作ることが大切です。
しっかり愛情を伝える
どれだけ親が子供を深く愛していたとしても、その愛情が子供に伝わらなければ不十分です。どれだけ愛しているのか、言葉や行動でしっかり伝えましょう。日常的に「大好きだよ」という気持を伝えることによって、子供には愛されているという実感がわき、心を愛情で満たすことができるでしょう。
抱きしめる
日常生活のさまざまなタイミングで、子供をしっかり抱きしめてあげましょう。肌と肌を触れ合わせて親の温もりを感じることによって、子供は愛情をたっぷり感じることができます。抱きしめることによって、大きな安心感を与えることができ、子供の心の安定につながります。
兄弟を比較しない
たとえ兄弟でも、それぞれ違う人間です。子供は親から比較されると、とても悲しく辛い気持ちになります。自分はダメなんだという劣等感にも影響してしまうでしょう。子供の個性を理解して、それぞれの良いところを見つけて愛情を注いであげるようにしましょう。子供にありのままの自分で良いという気持ちを植え付けてあげることが大切です。
兄弟差別がもたらす悪影響とは?
親から差別されることで子供は劣等感を感じるようになってしまいます。劣等感が根深くなると、より深刻な悪影響をもたらすこともあります。
兄弟仲・家族仲が悪くなる
親から理不尽な兄弟差別をされた子供は、親に愛されていないと感じ、その悲しさが嫉妬や憎しみといった感情に発展してしまうこともあります。その不満や葛藤が兄弟や家族へ向けられると、家族関係を悪化させることにもなりかねません。
家族以外の人間関係の構築に躓くことがある
子供の抱えた葛藤は家族関係だけではなく、学校や職場などの人間関係にも悪影響を及ぼすことがあります。友人や先輩・後輩、上司・部下といった関係を家庭内と同じように置き換えて感情を投影してしまうのです。家族以外の人間関係もうまくいかなくなれば、生きづらさを感じるなどの悪影響が出てくるかもしれません。
子供が大人になるにつれ親が憎くなる
子供には親から愛されたいという潜在的な思いがあります。そのため幼少期は親に対する憎しみや怒りを自覚することはないでしょう。しかし成長するにつれ、自分の中にある劣等感や孤独感などの根源が親の兄弟差別によるものだったと気づくようになります。次第に「うまくいかないのは親のせいだ」という憎しみの感情に変わってしまうかもしれません。
兄弟差別によって兄弟関係が悪くなる『カインコンプレックス』とは?
みなさんは「カインコンプレックス」という言葉をご存知でしょうか。兄弟差別が原因となっている「カインコンプレックス」について詳しくみていきましょう。
『カインコンプレックス』とは?
カインコンプレックスとは、兄弟間での競争心や嫉妬、憎しみといった敵対感情のことを表します。親からの愛情を得られなかった子供は劣等感を感じ、次第にカインコンプレックスを抱えてしまうようになります。カインコンプレックスが強すぎると精神的不安や人間関係の悪化など、大人になっても悪い影響を及ぼします。
『カインコンプレックス』の由来は?
カインとは旧約聖書の創世記に登場するアダムとイブの息子の名前です。カインにはアベルという弟がおり、弟に対する激しい嫉妬からカインはアベルを殺してしまった、という神話があります。その神話を基に心理学者ユングが「カインコンプレックス」と呼んだことが由来とされています。
カインコンプレックスから解放される5つの方法
もし親から兄弟差別を受け、人間関係に悩みをもっているのであれば、カインコンプレックスが影響しているかも知れません。カインコンプレックスから解放されるための5つの方法をご紹介します。
家族と距離を置き自立する
自分と向き合い、自分らしさを取り戻すためには、家族から離れて独り立ちしましょう。家族以外の新たな環境でさまざまな経験をすることで、視野を広げることができます。冷静に自分をみつめ直し、自分自身を立て直すきっかけになるはずです。
自分を認めて受け入れる
自分が抱えている欲求や感情を素直に認めましょう。嫉妬や憎しみといったネガティブな部分も含めて自分であると受け入れることが大切です。ありのままの自分を受け入れることで、気持ちがスッと楽になるはずです。
信頼できる友人や恋人に話を聞いてもらう
ときにはいろいろな感情が湧きあがり頭が混乱してしまうこともあるでしょう。そんなときは信頼できる友人や恋人に話を聞いてもらい、自分の感情を解放しましょう。自分の気持ちに寄り添って話を聞いてもらえるだけで気持ちは軽くなりますし、話をしている中で新たな気付きがあるかもしれません。
人を愛する気持ちをもつ
人は誰しも愛されたいという願望をもっています。しかし愛されたいという気持ちが強くなりすぎると、相手に求めてばかりの自己中心的な考えになってしまいます。それでは愛という関係は生まれません。まずは見返りを求めず人を愛する気持ちをもつことが大切です。愛する人の力になれると感じたとき、人は幸せを感じ自分の価値を見出すことができます。そしてその思いが愛する人を引き寄せることにもなるのです。
カウンセリングを受ける
怒りや悲しみといった自分の内面と向き合うことは孤独で苦しい作業になるかもしれません。心のわだかまりがとけないときには、カウンセリングを受けて悩みを相談してみましょう。専門知識をもったカウンセラーは話を聞くプロです。親身になって問題を洗い出し、客観的な助言をしてくれるでしょう。自分の感情を整理する手助けになるはずです。
兄弟差別で苦しむのは子供!気づいたらすぐに対処しよう!
たとえ無意識であったとしても、兄弟差別で受けた心の傷は子供の人生に大きな悪影響を与えてしまいます。もし言動に心当たりがあるようであれば、親としての普段の関わり方を見つめ直し、それぞれの子供に惜しみない愛情を注いであげるようにしましょう。