被害妄想が強い人の特徴や原因とは?上手く付き合う方法や克服方法も!
思い込みの強い「被害妄想」をする人は、実際に起こっていない事柄も勘違いしてしまいがちです。また、被害妄想は病気や障害との関係も否めません。そこで今回は、被害妄想の種類や被害妄想が強い人の特徴、接し方や克服方法について詳しく解説します。
目次
そもそも被害妄想とは?
被害妄想とは、実際には違っている事柄も「そうに違いない」と強く思い込んで間違えた捉え方をしてしまうことがあります。自分以外の誰かに正論を言われても、思い込みが激しいことから「この人は自分を攻撃しているのだ」と受け取ってしまうのです。そんな被害妄想にはどのような種類があるのでしょうか。早速チェックしてみましょう。
被害妄想の主な種類を5つ紹介!
①迫害妄想
迫害妄想は、よくある被害妄想の1つに分類されます。他の種類の被害妄想と比べると、より一層被害感が強いのが特徴的です。例えば、得体の知れない何かが自分に対して攻撃的な接し方をしてくる、悪の団体が自分に嫌がらせをしてくる、なんて考えを持ちます。さらに、得体の知れない何かによって自分は行動をさせられている、そう考えるよう操られていると思い込む「させられ体験」を経験することもあるのです。
②関係妄想
関係妄想は、被害妄想の中でも最も多いと言われている種類に分類されます。例えば近くにいる人間が笑っていると、自分が笑われているのだと強い被害妄想を始めます。学校や職場ですれ違った同級生や同僚から睨まれていると感じ、自分を陥れるのではないかと思い込むこともあるのです。
③嫉妬妄想
嫉妬妄想とは、別名「病的嫉妬」とも言います。その名の通り、異様な嫉妬の感情に支配されている状態が嫉妬妄想です。自分のモノだと思っていた大切な何かが、他の人から奪われてしまうのではないか、または奪われてしまったと強く嫉妬します。
④注察妄想
注察妄想とは、常に誰かに監視されているのではないかという被害妄想をします。盗聴されているのではないか、隠しカメラが仕込まれているのではないかと強い思い込みをするのが特徴的です。酷いケースだと、「何か音が聞こえる」と言ってタコ足コンセントを破壊して盗聴機がないかを確認したり、個室店の隅から隅までカメラを探そうとしたりします。
⑤盗害妄想
盗害妄想とは、自分の物を盗まれたと強い思い込みをする被害妄想の種類です。認知症の方に多いと言われていて、「置いていた鍵がなくなった」と騒ぎ立て、他の場所で見つかった時に「誰かが家の中に入ったんだ」と強い被害妄想をします。そのため、1年の間に何個も鍵を交換する人もいるのです。
被害妄想が強い人の特徴10選!
被害妄想が強い人には様々な特徴がありました。ここでは10個紹介するので、気になる方は是非チェックしてみてくださいね。
①人の言葉を深読みしすぎる
被害妄想が強い人には、人の言葉を深読みしすぎる特徴があります。他人の言葉遣いに傷ついたり、自分が選んだ言葉で相手に誤解を与えるということは誰しもが経験することです。しかし、被害妄想が強い人は褒められれば嫌味に聞こえ、礼儀正しくされれば何かを企んでいると悪口に捉えてしまうのです。いつか自分に攻撃的になるのだろうという考えを常に頭に置いています。
②声が聞こえたら自分の悪口だと思う
他人の声が自分の悪口だと思い込む行動も被害妄想が強い人の特徴です。たとえ趣味やグルメの話をしていても、被害妄想の強い人は深読みしすぎてしまうため、自分の悪口を言っているに違いないと被害者意識を強く持つのです。「あなたの悪口なんて言っていない」と否定されたところで、自分の悪口を言っていたという事柄を変えることもできないのです。
③視野が狭い
被害妄想が強い人は、視野が狭いという特徴もあります。例えば誰かと話している時、相手の声のトーンや仕草、表情を見ながら会話をすることが多いと思いますが、被害妄想が強い人は相手の言葉だけを鵜呑みにします。相手が自分に対して攻撃的、あるいは敵意を持っていると思い込んでいるため、視野が狭くなり会話の内容を自分に対する悪口と変換してしまうのです。
④諦めが早い
誰かと会話をしている時、相手が言い放った言葉に対して不愉快な思いをすることもあるでしょう。本来はここで怒らずに、「自分が勘違いをしたのかもしれない」と考える人がほとんどです。
しかし、被害妄想の強い人は葛藤をすることなく、「この人は自分に対して悪口を言ったのだ」と結論付けます。被害妄想の強い人は最初から「この人は自分に攻撃的な態度をとる」と決め付けているのです。
⑤他人に対して攻撃的で敵意がむき出し
他人に対しても攻撃的な態度を取り、あからさまに敵意がむき出しになるのも被害妄想が強い人の特徴です。誰もその人も悪口を言っているわけではないのに、みんなが自分の悪口を言っているのだと思い込んでしまうのです。そのため、勝手に攻撃的になり感情を爆発させます。思い込みから攻撃的な態度を取るので周囲も困惑し、矛先がこちらに向かないよう黙る他ないのです。
⑥自分さえ信頼していない
被害妄想の強い人は、自分自身さえも信用していないことがほとんどです。他人に敵意をむき出しにする一方で自分自身への評価が厳しく、自分自身の考えや行動を信用していない一面があります。意外な一面ではありますが、他人を信用することができないのは自分自身を信用していないから、ということが関係しているようですね。
⑦褒められても嬉しくない
他人に褒められることを嬉しく感じるのがほとんどですが、被害妄想の強い人は褒められることに対して嬉しいと感じることはありません。
「素直じゃない」というのはまた別で、被害妄想の強い人は褒めてくれた相手に対して警戒心を抱いたり不愉快な気持ちになったりするのです。こちらも自分自身を信用していないことが関係していて、自身に褒められる要素を見出せない、他人も信用していないので全て社交辞令なのだと感じてしまうのです。
⑧失敗するとずっと引きずる
失敗をすると引きずってしまう行動も、被害妄想が強い人の特徴です。この失敗を次にどう生かすのか、同じ失敗を繰り返さないようにどう対処するのかを考えることが多い中、被害妄想の強い人は1度の失敗で長い間引きずってしまいます。酷いケースだと、失敗を長い間引きずりすぎて精神的に余裕がなくなり、周囲が自分の失敗を馬鹿にしているような感覚に陥ってしまうこともあるのです。
⑨自意識過剰
「みんなに注目されている」という自意識過剰な考えがポジティブな方向にある場合は、本人も幸せを感じられます。しかし、ネガティブな方向にある場合は「みんなに悪口を言われて注目されている」という考えに変換されてしまうのです。被害妄想の強い人は後者に当てはまるので、家族・友人関係問わずみんなから悪口を言われていると感じてしまいます。
⑩自己評価が低い
学業で好成績を残しても、仕事で高い評価を受けても、自分の実力を誇らしく感じる瞬間がありません。そもそも「自分は何もできないダメな奴なんだ」と思い込んでいることから、たった1つでもできないことがあると努力という道を避けて通ります。そして頑張ることをやめて自分で自分を追い込んでしまうのです。
被害妄想が強くなる4つの原因
被害妄想が強くなってしまう理由には、様々な原因がありました。ここでは4個紹介するので、気になる方は是非チェックしてみてくださいね。
①人と話をすることが少ない
被害妄想が強くなる原因の1つには、人と話をすることが少ない点が挙げられます。長く住んでいる地域や学校生活において交友関係を築き上げることができますが、被害妄想の強い人は人と話す環境にいないことがほとんどです。それは、コミュニケーション能力が乏しかったり、結婚して嫁いだ先に身内がいなかったりと原因は様々あります。
交友関係を築くことに慣れていないと相手との距離感が把握できず、相手のモーションをネガティブな方向に受け取ってしまうこともしばしばあるのです。
②後ろめたい気持ちを抱えている
被害妄想が強くなる原因には、後ろめたい気持ちを抱えていることも多くあります。例えば、他人に対して不快な思いをさせてしまった過去がある場合、いつか自分へ返ってくるのでは?と疑心暗技になることもあります。自分が悪いにも関わらず、その気持ちを持ち続けて過ごすことで他人を信用できなくなり、被害妄想が強くなってしまうのです。
③育った環境によるもの
育った環境によっても被害妄想が強くなってしまうことがあります。子供の頃からある程度人と関わっていれば自然と接し方も身につくことでしょう。信頼できる人、苦手な人を見抜く力も養われています。しかし、人との接し方を学んでこなかった場合、その人の性格を見極めることができません。自分を守るために常に最悪の状況を考えておくことで回避しようとし、結果的に被害妄想へと繋がるのです。
④生まれ持った性格によるもの
自分自身の性格によって、被害妄想を強くしている可能性もあります。常に人の悪口を言っていたり、貶めようとしたりする人は、これを自分自身に置き換えて考えます。自分が考えている=相手もそう思っていると勘ぐってしまうのです。
あなたは被害妄想が強い人?6つの項目でチェック!
被害妄想が強いかどうかは、以下の6つの項目でチェックすることができます。チェックした項目が多ければ多いほど、あなたは被害妄想が強いということになります。気になる方は早速チェックしてみましょう!
①笑い声が聞こえると自分が笑われているように感じる
近くで話している友人のグループやファミレスで隣の席になったグループが笑い声をあげると、自分のことを笑っているのではないかと妄想をすることがあります。また、コソコソと話し声が聞こえると自分の悪口を言っているのではないかと考えることもあります。
②些細なことから恋人の浮気を疑ってしまう
恋人が急によそよそしくなったように感じた、急に優しくしてくれた、等の些細な動きから恋人の浮気を疑ってしまいます。それを浮気だと断言し、相手の話も聞かずに怒ることもあります。
③いつも誰かに見られているように感じる
帰り道の背後や帰宅後家の中に入った時、誰かに見られているのではと感じることがあります。また、学校や職場でも常に誰かに見られているように感じることもあります。
④仲の良い人でも裏では自分の悪口を言っていると思っている
仲の良い人が、自分のいないところでは悪口を言っているのではないかと考えます。また、勝手な思い込みからその友人を避けるような態度をとったことがあります。
⑤誰からも見下されているような気がする
話している相手が自分のことを見下しているのではないかと感じることがあります。また、見下していることに対して感情をむき出しにすることもあります。
⑥相手の反応がなければ無視されたと思ってしまう
相手に話しかけた時、「自分の声が小さかったのかな?」とは思わずに、「無視された」と考えてしまうことがあります。それに対して感情をむき出しにすることもあります。
被害妄想が強い人との接し方は?上手く付き合う4つの対策
被害妄想が強いからといって避けることはありません。ここでは被害妄想の人とうまく付き合うための、4つの接し方をご紹介します。
①細かく丁寧に説明する
被害妄想の強い人との接し方は、細かく丁寧に説明することがポイントです。ネガティブな発言を繰り出されたら、「何故そう感じたのか」を聞き出し、「どう対処して欲しかったのか」を事細かに掘り下げて聞き出すことで不安を解消することができるでしょう。
②要点のみ簡潔に伝える
被害妄想の強い人は、こちらにとってちょっとした事でも大げさに捉えてしまう事もあります。理解させようと努力をすると裏をかいてネガティブな方向へと考えを進めてしまうため、要点のみ簡潔に伝えて手短に済ませて対処するのもポイントです。
③否定するわけではないことを理解してもらう
誰もが敵だと考えてしまう人には、味方と思ってもらえるように接し方を工夫しましょう。対処法としては、最初から長い時間をかけるつもりで常に相手を尊重してあげる素振りを見せましょう。
④差し支えのない事は笑って流す
被害妄想をしている人から暴走されると、こちらも精神的に参ってしまいます。限度はありますが、差し支えのない事は笑って流し、いちいち反応しない接し方も対処法の1つです。
被害妄想が強い場合の克服方法を3つ紹介!
いくら被害妄想が強くても、場合によっては努力次第で克服できる可能性もあります。ここでは被害妄想の克服方法を3個ご紹介するので、是非チェックしてみてくださいね。
①事実に余計な意味付けをしない
被害妄想が強い人の対処方法には、事実に余計な意味付けをしないという方法があります。例えば、「会社の廊下で話している同僚たちの側を通ったら笑い声がした」という事実に対し、被害妄想が強い人は「自分の事を笑っていた」と余計な意味付けをします。これを、「笑い声がした」という事実だけに留めましょう。
②思ったことを紙に書き出す
自分の思った事、感じた事を紙に書き出していくのも被害妄想の対処方法です。何か不快になる言葉を言われたらその言葉を書き出しましょう。その言葉に対してどう感じたのかを書き、何故そう感じたのか理由も書き込みます。その理由は本当に正しいのか、自分が勝手に思っているだけではないのか、自問自答を繰り返す事で克服につながります。
③今やるべきことに集中する
今やるべき事に集中するのも、被害妄想の対処法です。被害妄想というのは、言われた言葉を自分勝手にネガティブな方向へ持って行きます。もしも自分が被害妄想をしていると気づいたら、他の事を考える習慣を身につけましょう。仕事中は仕事、勉強中は勉強など、今目の前にあるやるべき事に没頭するのです。
被害妄想が強すぎるのはこころの病気の可能性も!
統合失調症
統合失調症という種類の病気には、幻聴や幻覚、妄想などの症状が見られます。特に妄想では、誰かが自分の悪口を言っている、誰かに監視されている、誰かに騙されているなどの症状が見られる事もあります。
妄想性障害
妄想性障害という種類の病気には、1度に沢山の妄想をする症状が見られます。一般的な被害妄想は、実際にはない余計な事実を勝手に意味付けしている事が多いのに対し、妄想性障害は現実味を帯びた内容の妄想が含まれているのです。妄想性障害には、配偶者や恋人の浮気を妄想する「嫉妬型」もあります。
躁うつ病
躁うつ病という種類の病気は、「うつ状態」と「躁状態」を繰り返す病気の事で、双極性障害とも言います。うつ状態の時は強く落ち込むのに対し、躁状態の時は元気に振る舞う症状が見られます。うつ状態の時には誇大妄想をし、躁状態には貧困妄想をする事もあります。また、「躁」と「うつ」が入り交ざった混合状態が現れる事もあるのです。
認知症
認知症という種類の病気は、高齢者によく見られる症状です。被害妄想も主な症状ではありますが、記憶力の低下が伴う事で盗害妄想をする事も多くなります。年齢とともに被害妄想の症状が悪化する傾向があります。
気になる場合は病院へ!
紹介した統合失調症、妄想性障害、躁うつ病、認知症というこころの病気は、被害妄想と関連する点が多々あります。被害妄想が必ずしも病気という事ではありませんが、少しでも気になった方は病院を受診しましょう。
被害妄想が強い人の特徴を見極めて上手に付き合おう!
被害妄想という言葉は割と耳にしますが、その中にも関係妄想や嫉妬妄想といった種類があることがわかりました。また、それが躁うつ病や妄想性障害に繋がっている可能性も否定できません。
被害妄想が強い人は付き合いにくいと感じる事も多いかもしれません。しかし、余計な意味付けをしてしまうからネガティブな思考になりやすいだけであって、少し工夫は必要ですが解決する方法は沢山あります。特徴を見極めて、上手に付き合ってくださいね。