『あしらう』の意味や使い方とは?上手に人をあしらう方法5選も!
デパートの販売員さんにつかまるのが苦手、隣の人はいい人だけど話が長くて困る。そんなとき、上手にあしらいたいと思いませんか?人を傷つけず上手にあしらう方法を知っていますか?この記事では「あしらう」の意味と、その方法をお伝えしていきます。
目次
『あしらう』はいい意味も悪い意味もある?
言葉には一つだけではなく、多くの意味が含まれていたり、類語があるという特徴があります。動詞「あしらう」も例にもれず、複数の意味が含まれています。その中にはいい意味も悪い意味も含まれているのでしょうか。
『あしらう』の意味とは?
動詞「あしらう」には大きく分けて三つの意味があります。
①応対する
②適当に取り扱う、相手を軽んじた扱いをする
③程よく取り合わせる、配合する
「あしらう」は純粋な大和言葉とされ、通常はひらがなで書かれることが多いのですが、「相知らう」から変化されました。①と②を「遇(あしら)う」、③を「配(あしら)う」と書くこともあります。「あしらう」にはいい意味も悪い意味も両方あります。
名詞は「あしらい」となり「人あしらい」や「花あしらい」として使われています。
いい意味での『あしらう』とは
上で紹介した「①応対する」とは、好みの違う客を巧みに応対するように使うもので、上手に応対する意味があります。また、「③程よく取り合わせる」とは、帽子に花を取り合わせたり、色や素材を上手く混ぜて作品を完成させたりするときに使います。
悪い意味での『あしらう』とは
残りの「②適当に取り扱う」とは、人を見くびって適当に応対することですから、良くない意味です。鼻であしらう、などの慣用句にもなっています。慣用句については後で案内します。
『あしらう』の語源は?
「あへしらふ(あえしらう)」の音変化である「あひしらう(あいしらう)」が音変化して「あしらう」になりました。音変化しても意味は変わっておらず、先に紹介した三つの意味が古語辞典にも載っています。古くは源氏物語(11世紀)、蜻蛉日記(10世紀)にも使われている和語です。
『あしらう』の使い方・慣用句
では、「あしらう」はどのような使い方をされてきたのでしょうか。よく使われる慣用句をあげて説明してみましょう。
人をあしらう
「人をあしらう」とは、人をもてなす、人の応対をするという意味です。「人あしらい」と名詞で使うこともあります。また、人を客に置き替えて使うことも多いです。
例:あの人は人あしらいが上手いね。
:あの店の客あしらいはとてもいいから気持ちよく買い物できるよ。
鼻であしらう
「鼻であしらう」とは、相手の言葉を問題とせず、すげない態度をとることをいいます。相手を見くびったり、フンっと強く鼻先で息をして軽んじる様子であり、受ける側はいい気がしません。
例:銀行に融資を頼んだところ、鼻であしらわれてしまった。
:あの航空会社のCAはビジネス客には愛想がいいのに、エコノミー客のことは鼻であしらうんだ。
花をあしらう
「花をあしらう」とは、ものを花で飾ったり、花で装飾したりすることです。テーブルなどに花を飾ることにも使うことができます。「鼻であしらう」と「花をあしらう」は助詞の違いだけで音に違いがないので、間違わないようにしないといけませんね。
例:花をあしらったウェルカムボードは彼女が作ったそうだ。
:このままでは少し寂しいから、花でもあしらいましょう。
冷たくあしらう
「冷たくあしらう」とは、ぞんざいな扱いをしたり、冷遇したり、冷ややかに突っぱねたりするときに使います。
例:勇気を振り絞って思いを伝えたのに、冷たくあしらわれてしまった
:どんな理由があったのかわからないまま、高校3年間、私はクラスメイトに冷たくあしらわれ続けた
軽くあしらう
「軽くあしらう」とは、真剣に受け止めずにかわすことをいいます。相手の気持ちに気付かずに答えをはぐらかしたり、かわすことになってしまった場合にも使われますが、上で説明した「冷たくあしらう」や「鼻であしらう」と同じような意味で使われることもあります。
例:先輩はいつも上司の嫌味を軽くあしらい颯爽としている。
:兄とは年がかなり離れているので、真剣に話したところで軽くあしらわれてしまうに違いない。
『あしらう』を使ったことわざを紹介
実は「あしらう」を含むことわざはありません。ここでは慣用句と、あしらう意味があることわざを一つ紹介します。両方とも「鼻」を使うものなんです。
★慣用句
鼻(先)であしらう | 冷淡に応対すること、すげない態度をとること |
★ことわざ
木で鼻をくくる | 酷く不愛想にふるまうこと、冷淡にあしらうこと |
『あしらう』の類語
言葉の意味に似た言葉を「類語」といいますが、「あしらう」にはどのくらい類語があるのでしょうか。ここではそのうちのいくつかをあげてみましょう。
いい意味での『あしらう』の類語
いい意味での「あしらう」の類語は下記の通りです。
★対応する意味の類語
取り扱う | 遇する | 持ち扱う |
仕向ける | 持て成す | 扱う |
接待する | 待遇する | 処遇する |
★程よく取り合わせる意味の類語
取り合わせる | 組み合わせる | 配合する |
統合する | 嚙合わせる | 組み立てる |
編成する | 整理する | 組織する |
悪い意味での『あしらう』の類語
悪い意味での「あしらう」の類語は下記の通りです。
★確信をつかませずに旨く避ける意味の類語
はぐらかす | いなす | のらりくらりする |
核心をつかませない | 肩透かしをくらわす | 話を巧みにかわす |
木の葉のように舞う | 話をそらす | 酢かを食わす |
★真剣に受け止めずにかわす意味の類語
さらりとかわす | うまく避ける | 受け流す |
聞き流す | 適当にやり過ごす | ぞんざいに扱う |
軽くいなす | 巧みに応対する | 柳に風と受け流す |
『あしらう』は方言なの?
古語辞典にも載っている古くからの言葉である「あしらう」ですが、方言での「あしらう」も存在しています。使われているのは四国にある香川県高松市です。大事であること、大切なこと、またご養生、ご静養などの意味があり、もてなすことの「遇(あし)らう」が語源と考えられています。
あしらう人の特徴5選!
「あしらう」の意味がわかったところで、ここからは「あしらう人」の特徴を五つ見ていきましょう。
人を見下しがちな人
人を見下しがちな人は、自分が認めている相手以外への態度が素っ気なく、冷たい印象が強く残ります。自分ではそんなつもりはないと思っていても、軽くあしらわれたと感じる人が後を絶たず、問題が起こりやすいでしょう。対処法は、周りの雰囲気がおかしいと思ったときは、自分の人あしらいを顧みるようにしてください。
警戒心が強い人
「警戒心が強い人」は人見知りで他人を寄せ付けない雰囲気があり、親しくない人にはぶっきらぼうになる特徴があります。新しいことやものへの不信感を持つ特徴もあるので、対処法はゆっくり、焦らず声をかけ続け、自分を知ってもらうしかありません。好奇心がない人とある人がいますから、好奇心のある人であれば、比較的早く仲良くなれるかもしれません。
人の好き嫌いが激しい人
「人の好き嫌いが激しい人」は、我儘だったり、文句が多かったり、あまり良いイメージを持ってもらえていないかもしれません。こだわりが強く寛容さがない特徴は、面倒くささをも感じさせます。自分の周りに人が少ないなと感じることがあったら、人を軽くあしらったりしていないか考えてみましょう。どうしてそんな態度をとってしまうのかを深く考えれば対処法につながるはずです。
楽観的でお気楽な人
「楽観的でお気楽な人」はポジティブなのか無責任なのかを見分けることがポイントです。それによって対処法も異なります。楽観的な人からあしらわれたとしても、気がつかなかっただけか、たまたまほかに目がいっていたのか、そんな程度の理由だと考えられます。つまり、気にしなくても問題ないでしょう。しかし、無責任な人から「ま、いっか」「へー、そう」などとあしらわれた場合は、必要であればもう一度はっきりと意志、意見を伝える必要があります。
欲得の感情が強い人
「欲得の感情が強い人」は欲望が強く、我が強いという特徴があります。相手を自分の思い通りにしたいので、気にくわないことはあしらうことが多いでしょう。相手を羨ましがったり、不満も多いことも特徴のひとつで、そういう気持ちからもあしらわれることがあるかもしれません。自分が一番だと思っているので、対処法としては張り合わないこと、適当にあしらい返しておくことでしょうか。
上手に人をあしらう方法5選!
ここからは、上手に人をあしらう方法を紹介します。五つ紹介しますので、自分のしやすい方法を選んで試してみてください。
相槌を打つ
まず簡単に出来そうな方法として、「相槌をうつこと」です。話したい、聞いてほしいと思って話している相手の話のこしを折らず、無視せず、聞いていますよとアピールできます。適度な相槌は相手を気持ちよく話させてあげることができます。でも、あまりなれなれしいものや、ひとこと「え?」「は?」などというものはやめてください。
愛想笑いをする
「愛想笑いをする」という方法もすぐに実践できます。話をしている人は、聞く人の表情が気になるものです。つまらなそうじゃないか、興味がないのではないかなど、目や表情から読み取ります。ですから、口角を少し上げ、表情を作り、きちんと聞いていることを伝える必要があるのです。
忙しそうにする
面倒だから関わりたくないときなどは「忙しそうにする」のが有効です。会話というのはお互いの時間を使いますから、話しかけたい相手が忙しそうにしている場合は話しかけにくいものです。忙しいということは、優先順位度が高いものが他にあることに気付いてもらえやすいです。また、「忙しいから話しかけないでオーラ」を出しておくことも良いあしらい方ではないでしょうか。
会話の主導権を握る
もしあなたが話し好きなら「会話の主導権を握る」のもいい方法です。どういうことかというと、聞くに堪えない内容や、聞くのに飽きてしまったときなどに、相手の発した言葉(ワード)を使って「あ、〇〇といえばさ~」「〇〇で思い出したんだけど」などとうまく話を違う方向へ向けてしまうのです。上手なタイミングを見計らわなければなりませんから、最初は親身になって話を聞く必要がありますが、自然にあしらえるでしょう。
聞き流す
最後に「聞き流す」です。これは少し上級者向けと言えます。全く聞いていないと問題になりますので、何を話しているかのポイントのみ聴き取り、後は聞き流す方法です。「聞いてるの?」とチェックが入ることもありますが、要点を抑えておけば大丈夫です。
【相手別】上手に人をあしらう方法とは?
では、相手別で上手に人をあしらう方法を紹介しましょう。ここで使う「あしらう」は、上記に紹介した意味の①応対する、にあたります。
お客を上手にあしらう方法
客あしらいが上手な人はどんな人でしょうか。笑顔で適度にノリがよくて、人に押し付けないけど説得力のある提案をする店員さん。買うつもりがなくても、つい買ってしまったことはありませんか?十人十色のお客様の気持ちやニーズをくみ取り、最も良い方法で接客できるこの店員さんは客あしらいが上手な人です。その特徴は、「柔軟な発想で臨機応変に対応できる」「気が利く」「頭の回転が速い」「嫌なことを言われても受け流せる」などがあげられます。
クレーマーを上手にあしらう方法
最近ではいろいろなところに出没するクレーマーに対し、どのような対応をしていますか?相手のクレームに押され、自信がなさそうな雰囲気や優柔不断な回答をすることは、相手をより怒らせてしまいます。クレーマーは自信を持ってはっきりと答える人には一目置きますから、自然と多少控えめになります。毅然とした態度で対応しましょう。
酔っ払いを上手にあしらう方法
気持ちよく酔っている本人は良いでしょうが、対応に困るのも事実。これこそ「軽くあしらう」のが良いでしょう。しかし、対処法は一つではありません。酔っ払いの種類によって変える必要があります。例えば説教上戸の人を軽くあしらっては、より説教されてしまいます。
ナンパしてくる人を上手にあしらう方法
男性でも女性でも、知らない人から突然声をかけられることがありますが、そのナンパをかわすことも「あしらう」ことのひとつでしょう。自分の好みの人であれば考えることもあるのでしょうが、たいていの場合は「無視する」のが一番上手なあしらい方ではないでしょうか。無視し続けても執拗なナンパには、交番に駆け込む、どこかの店に入るなどして人に助けを求めましょう。
セクハラ上司を上手にあしらう方法
これは上司のセクハラ度にもよりますが、ここでは下ネタを含むジョークや会話、私生活への干渉などが軽い場合についてお伝えします。このような軽いセクハラはたいていの場合、みんなの見ている前でのことが多いものです。そのような場合は過剰に反応しない、無視するのが一番です。軽く受け流し、あしらってしまいましょう。
子供を上手にあしらう方法
小さい赤ちゃんを連れているときに周りをボードや自転車で駆け抜けるやんちゃな子供がいたら、「赤ちゃんがびっくりしちゃうから、走らないであげてね」と怒らずに優しくお願いしてみてください。怒られなければ意外にきちんと聞いてくれるものです。小さな子供には怒らずにお願いしましょう。
また、反抗期が始まる年頃の子供には、親切心は大きなお世話になりかねません。「~したら?」などの指示とも取れる言い方はせずに放っておきましょう。「おはよう」「いってらっしゃい」などの挨拶はしっかりとして、あとは自主性にまかせるのがいいあしらい方でしょう。
あしらわれた時の対処法5つ!
「私、あしらわれてる?」と感じたときは、がっかりしてしまいますね。でもそれをすぐに顔や態度に出すのも大人気ありません。では、このようなときはどうしたらいいのか、対処法をみていきましょう。
反応しない
まずは「反応しない」ことです。あしらわれるには理由があります。もしあなたの話が相手にとって都合の悪い話であるときは、尚更あしらわれるに違いありません。ですが伝えるべきことは伝えなければなりませんから、あしらわれていることに気付かないふりをし、反応せず、堂々と話続けましょう。
笑ってやり過ごす
鼻であしらったり、軽くあしらったりする人は、話し手がムキになって過剰反応するのを楽しんでいるのかもしれません。もし思い当たることがあるならば、一呼吸おいて相手のあしらいに便乗して笑ってやり過ごすのが良い対処法と言えるでしょう。言われたことを否定せず肯定することは「暖簾に腕押し」「糠に釘」で、相手を拍子抜けさせることでしょう。
達観した態度をとる
あしらってもそれに気付かれず面倒な突っかかりが続くときにはどうしたらいいでしょうか。そんなときには「それがどうかしましたか」というように物事を達観した態度をとり、相手を受け流すといいでしょう。動じないことで面白みに欠け、それ以上は言わなくなるでしょうし、話し手は自分の度量の狭さを感じるかもしれません。
違う話題に切り替える
同じ話を何度もしたり、短くて済むのに長く話しているとき、あしらわれることが多いです。相手が飽き飽きしているのです。対処法はずばり、違う話題に切り替えることです。もし話を切り替えてみて、相手の反応が良くなれば、前の話が相手にとってつまらなかったと言えます。もしそれでも同じようにあしらわれる場合は、相手と合わないか、話題の興味が合わないかだと考えられますので、また違う話題にかえてみてください。
その場から立ち去る
そもそもあしらわれることは気持ちの良いものではありません。無理に笑ったり、相手を気遣ったりすることはありません。黙ってその場から立ち去ることも一つの対処法と言えます。お互いの仲に亀裂が入る前に、すっと身を引くのが大人の対応と言えるでしょう。
上手に人をあしらう方法を身に着けよう!
ここまで紹介したように、「あしらう」という言葉には悪い意味もいい意味もある通り、使い方次第でどちらにも変わります。上手に人をあしらうために必要な対処法は、相槌を打ったり、笑顔でいたりすることで、相手に聞いていることを示す姿勢を忘れないことでしょう。それでもあしらわれたときには、状況を変える努力をしてみましょう。話題を変えたり、立ち去ったりしてください。花をあしらうように、人もあしらえるようになれば、交友関係に厚みが出るのではないでしょうか。