「大丈夫です」の敬語の言い換えとは?正しいビジネスマナーを知ろう!
「大丈夫です」という言葉、よく使っていませんか?とても便利な言葉ではあるのですが、この言葉は正しい敬語表現ではなく、使うシーンによっては失礼になってしまうこともあるようです。今回は「大丈夫です」の敬語表現を正しく理解し、使いこなせるよう解説していきます!
目次
「大丈夫です」の意味とは?
とても便利であることからよく使ってしまう「大丈夫です」という言葉は本来どういった意味を持つ言葉なのでしょう。「大丈夫です」という表現について正しく理解するためまずは「大丈夫です」という言葉のもともとの意味、肯定の意味としての「大丈夫です」、否定の意味としての「大丈夫です」の3つの意味を確認しましょう。
「大丈夫です」のもともとの意味
「大丈夫」はもともと中国から伝えられた言葉で、周の時代にあった「一丈」という単位が当時の成人男性の平均身長であるおよそ180㎝を表したことから、成人男性を「丈夫」、その中でも立派で強い男性を「大丈夫」と呼んでいたことから、「大丈夫」という言葉は当初日本でも立派な成人男性を指す言葉として使われていました。
そこから、強くて立派な成人男性がいてくれれば大丈夫という風に言葉の意味が変わり、「大丈夫」は「危険がなくて安心なさま」「間違いなく確かなさま」を意味する言葉になったと言われています。
肯定の意味としての「大丈夫です」
現代において「大丈夫です」はもともとの使い方とは異なる使い方をされており、主に2つの意味に分類されます。ひとつは「肯定」の意味を持ち、言い換えると「問題ありません」「いいですよ」という言葉になります。
否定の意味としての「大丈夫です」
もうひとつは「否定」を意味する言葉として使われるもので、この時の「大丈夫です」は、言い換えると「やめておきます」「いいえ、必要ありません」「要りません」「結構です」などの言葉になります。
「大丈夫です」は敬語として使えない!その理由は?
「大丈夫です」は敬語として使うには不適切な言葉だと言われています。なぜですます調である「大丈夫です」という言葉を敬語として使うことがNGなのか、「大丈夫です」という表現が敬語として使えない理由を見てみましょう。
意味が曖昧である
「大丈夫です」という言葉は基本的には「問題ない」「構わない」という返事として使われることが多いのですが、相手からの問いかけに対して肯定する時にも「結構です」と否定する時にも使う言葉であるため意味が曖昧な表現であることが「大丈夫です」が敬語として使えない理由のひとつです。
例えば「コーヒーは飲みますか?」と聞かれた時、「大丈夫です」と答えると相手には「(コーヒーは好きですから出していただいても)大丈夫です」という肯定の意味なのか、それとも「(そんなにお気遣いいただかなくても)大丈夫です」という否定の意味なのかが分かりづらいので誤解を招く恐れがありますから「大丈夫です」という表現は相手に自分の意思を正しく伝える敬語とは言えないのです。
上から目線とも受け取れるニュアンス
目下の人や同等の人に対して「大丈夫です」という言葉を使うのは問題ありませんが、「大丈夫です」という言葉は基本的に「問題ない」「構わない」という意味合いで使われる言葉で、自分を基準とした言葉であるため相手を基準とするビジネスシーンにおいては特に適さない言葉なのです。また、自分基準であるこの言葉はですます調であるものの敬語とは言い難い表現で上から目線とも受け取れるのです。
たとえ自身に決定権があるような場合においても、特に相手を基準とするビジネスシーンにおいては相手に敬意を表し、「大丈夫です」という言葉は使わないようにしなければ失礼に当たってしまいますから、「大丈夫です」は敬語として使えないのです。
「大丈夫です」の敬語・言い換えは?
つい使ってしまいがちな大丈夫ですという言葉ですを敬語としては使うことが出来ないことをお話しましたが、「大丈夫です」という表現を使わず、相手に対して失礼のない敬語として言い換える言葉とはどのようなものなのでしょう。「大丈夫です」の正しい敬語表現や言い換えの言葉を見ていきましょう。
「支障ありません」
「支障ありません」は、都合は悪くありませんという意味の敬語表現で、この言葉に含まれる「支障」というのは故障やさしさわりを意味しており、許容の意味は含まれていないことからビジネスシーンにおいても失礼のない敬語表現です。「その件に関しましては何も支障ありません」というような使い方がされます。
「差し支えありません」
「差し支えありません」は否定形である「ありません」という言葉が入ることによって「都合の悪い事情はありません」という意味を持つ敬語表現で、「大丈夫です」を正しい敬語として言い換えることができる言葉です。
「差し支えございません」は注意!
「差し支えございません」というのは、言葉としては間違ってはいない丁寧な敬語なのですが、物事を提案した上での確認作業をする言葉として使われる敬語表現ですから受け取る相手に同意を強要するという意味にもとれるため、お客様や上司に使う場合上から目線で失礼に値します。
「差し支えございません」ではなく、「こういう事でお願い出来たら幸いです」といった控えめでやんわりとした言い方の敬語表現の方が特にビジネスシーンにおいては好ましいかもしれません。
「大丈夫です」の敬語・言い換え【意味別】
賛成、了解、断り、平気などの意味を持つ「大丈夫です」という言葉の意味別の敬語表現を見ていきましょう。
相手の意見に賛成の場合の「大丈夫です」の敬語
相手の意見に賛成する肯定の意思を伝える場合は「大丈夫です」だと意味が曖昧で伝わりにくくなってしまいますから、「はい、お願いします」と言います。
「了解/OK」という意味の「大丈夫です」の敬語
「了解/OK」という意味の「大丈夫です」は「承知しました」というのが正しい敬語です。
断るときの「大丈夫です」の敬語
断りの意思を相手に伝える言葉は「いいえ、結構です」という言い換えが出来るのですが、キツい言い方ですから目上の人や上司に対しては「すみません、遠慮しておきます」とやんわり断りの意思を伝えるのが無難です。
「平気」という意味の「大丈夫です」の敬語
「大丈夫です」を「平気」という意味で使いたい時は、「もう一軒行ける?」と聞かれて「大丈夫(平気)」という場合は「はい、行けます」というように詳しく答えるようにします。
ビジネスシーンでの「大丈夫です」の敬語・言い換え【状況別】
ビジネスシーンにおけるメール、電話、日程調整、接客の状況別の「大丈夫です」の敬語・言い換えの言葉を見てみましょう。
メールでの「大丈夫です」
ビジネスシーンにおけるメールでの「大丈夫です」を「可能です」という意味で伝えたい時の敬語表現には「問題ありません」、肯定の意味を込めた「いいです」という意味の場合は「お願いいたします」、「OK」の意味をメールで伝える場合の敬語は「承知しました」という丁寧な敬語に言い換えると良いでしょう。
否定の意味の「大丈夫です」は、「結構です」とメールで言い換える方が少なくないのですが、「結構です」はビジネスメールには不適切な表現ですから、「お気遣いなく」や「遠慮しておきます」という敬語を使うのが良いでしょう。また、無理だということを伝えたい場合は「お断りします」となります。「大丈夫です」という言葉はビジネスメールには使えませんので、正しい敬語に言い換える必要があるのです。
電話での「大丈夫です」
「大丈夫です」は正しい敬語とは言えず電話のみならずビジネスビジネスシーンで使うにはフランクすぎる、カジュアルすぎるという印象を受ける人が多いだけでなく、「大丈夫です」というの肯定・否定の意味が曖昧になってしまうことがよくありますから、相手の顔を見ない声だけのやり取りである電話では特に「丁寧な言い換え」を意識しましょう。
例えば「〇日〇時に予約出来ますか?」と電話で聞かれたら、「大丈夫です」ではなく「はい、ご予約いただけます」という風に電話での受け答えをするようにしましょう。「はい、〇〇していただけます」という言葉に言い換えるだけで電話でのやり取りで誤解が生じてしまうことも減るでしょう。
日程調整での「大丈夫です」
ビジネスシーンにおいて日程調整に「大丈夫です」という言葉はメールや電話同様カジュアルすぎる印象になってしまいますから、丁寧な敬語に言い換えましょう。前後のやり取りにもよりますが、その日程で問題がない時は「承知しました。ご指定の日程で問題ございません。〇月〇日〇時に伺いますのでよろしくお願いいたします」「日程のご提案を誠にありがとうございます。ぜひとも〇月〇日〇時にお伺いいたします。何卒よろしくお願いいたします」というように丁寧な敬語への言い換えをします。
日程調整での大丈夫ですは自身の謙虚さや前向きな姿勢、丁寧さが伝わる言い換えの言葉にするよう心がけましょう。「大丈夫です」という言葉を日程調整で使うと誤解を招いてしまうこともありますから注意が必要です。
接客での「大丈夫です」
お客様に対して思ってよかれと思って口にした言葉がかえって失礼に値してしまうことがある接客での「大丈夫です」という言葉でよくみられる間違いと言い換えの敬語表現を見てみましょう。
接客での「大丈夫です」と言えば「レシートは大丈夫ですか?」と聞かれたり、自身が接客業だという人は言ったことがあるという人は多いのではないでしょうか。「レシートは大丈夫ですか?」という問いかけは意味が曖昧になってしまう表現ですから、「レシートはいかがなさいますか?」もしくは「レシートはご入用ですか?」という敬語表現に言い換えましょう。いかがなさいますか?という言い換えの言葉として使うことが出来る敬語表現は、荷物を持ちましょうか?というシーンでも使うことが出来ます。
その他には待っているお客様に飲み物をサービスする時、必要かどうかを確認するには「大丈夫ですか?」ではなく「召し上がりますか?」、お代わりが必要かどうかを聞く時には「お代わりは大丈夫ですか?」と聞かず「お代わりをお持ちしましょうか?」と聞くなど、相手が「はい」もしくは「いいえ」で答えやすい問いかけを意識しましょう。
「結構です」も敬語として使えないので注意!
「必要ありません」という断りの意味と「それで良いです」という肯定や許可の2通りの解釈が出来る丁寧語である「結構です」という言葉を敬語だと思って使っている人は少なくないのですが、「結構です」という言葉は元々は身分の高い人が自分より目下の人に対して許可を与える時に使っていた言葉であることから、現代においても目上の人に対して使ってしまうと失礼な言葉だと言われており、敬語として使うことができない表現なのです。
「全然大丈夫です」という表現は成立しないので注意!
「全然大丈夫です」という表現は現代において広く浸透しており多用してしまいがちな言葉ですが、「全然」という言葉の後には「否定」の言葉が来るという決まりがありますから、正しい日本語とは言えないので注意が必要です。
では「全然大丈夫」という表現を言い換えるとしたらどのような表現になるのかというと、「大丈夫?」と聞かれて同意を伝える場合には敬語で「何も問題ありません」「全く差支えございません」という言葉に言い換えることが出来ます。お願い事を頼まれた時には「承知しました」とお返事するのが良いでしょう。
「全然大丈夫です」という表現は文法的にも正しくない上、ビジネスシーンにおいてはですます調であるものの正しい敬語とは言い難く失礼な人と取られてしまうこともありますから正しい日本語を使うことができるよう意識しましょう。
部下から「大丈夫です」と言われたときの対処法は?
「大丈夫です」という言葉は広く浸透している言葉ですから、この言葉が時に誤解を招いてしまったり正しい敬語とは言い難く失礼に値する表現であることを知らずに使ってしまう人は少なくありません。その相手があなたの部下だった場合、正しい敬語としては使えない言葉であることを教えてあげましょう。その時は「私は良いけれど、取引先との会話では注意してね」と角が立たないよう指摘してあげると良いでしょう。
「大丈夫です」の英語表現を紹介!
「大丈夫です」の英語表現をご紹介します。
肯定の意味としての「大丈夫です」
- No problem.
- I`m fine.
- That`s fine.
- It`s not a problem at all.
否定の意味としての「大丈夫です」
- Don`t worry about that.
- I`m good.Thanks.
「大丈夫です」の正しい敬語表現を理解してビジネスで使おう!
とても便利な言葉であることからつい多用してしまいがちな「大丈夫です」という表現は、元々は相手をなるべく傷つけないように、不快な気持ちにさせないようにという思いから現在の使われ方がされるようになったそうです。
相手を傷つけたくないという気持ちは決して間違いではありませんが、「大丈夫です」という表現をすることでかえって相手に不快な思いをさせてしまったり思いもよらぬ誤解を招いてしまうこともありますから、正しい言い換えの言葉、敬語を覚えておくと良いでしょう。ここでご紹介したことが参考になれば幸いです。