方言『めんこい』の意味や使い方を徹底解説！【地域別】

「めんこい」という言葉を聞いたことはありますか？「めんこい」とは方言なのですが、どの地域で使われているのでしょうか？実は使われている地域によっても、多少使い方に違いがある方言なのです。

ここでは「めんこい」の意味や使われている地域、使い方の違いなどについて解説していきます。方言の中でも多くの人が日常的に使う言葉なので、ぜひ参考にしてみてください！

まず、「めんこい」の語源や由来、使われている主な地域についてお話しします。また、外国人に「めんこい」という方言の意味を説明する方法もご紹介しましょう。

「めんこい」の語源は「愛し（めぐし）」から来ています。「めぐし」という言い方は、7世紀後半から8世紀後半にかけて編纂された万葉集に出てきます。万葉集には方言が使われた歌が多数収められています。

「めぐし」の「め」は「目」を意味し、「ぐし」は「心ぐし」（心苦しい）という意味です。つまり、「切ない」とか「痛々しい」を意味しています。そこから「胸が痛くなるほどかわいらしい」「切ないほどかわいい」という意味に変化していったとされています。

「めんこい」という方言が使われる主な地域は、主に北海道と東北の青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県です。また、東北と隣接する新潟県、茨城県の一部の地域でも使われています。

では、外国人に「めんこい」という方言の意味を説明するには、どのように言えばよいのでしょうか？英語で「かわいい」を意味する単語はたくさんあります。たとえば、"cute"、"pretty"、"sweet"、"adorable"などです。それぞれの言い方で多少意味も違いますが、比較的"adorable"が「めんこい」に近い言い方になると考えられます。

・使い方例）Their sleeping faces are adorable.（彼らの寝顔はかわいらしい）

「めんこい」という方言には基本的に「かわいい」という意味があります。ただ、「かわいい」と言っても、様々な対象に対しての使い方があります。実際、「めんこい」という方言にはどのような使い方があるのでしょうか？「めんこい」の使い方や、「めんこい」の否定形などについてもご紹介しましょう。

「めんこい」はペットや赤ちゃんに対して使われたります。小さいものを褒めるときの使い方として、「赤いほっぺでめんこい赤ちゃんだな～（赤いほっぺでかわいい赤ちゃんですね）」などがあります。

「めんこい」はただ「かわいい」という意味だけでなく、幼い子供に対して「いい子だね」とか「えらいね」と褒めるときの言い方でもあります。使い方として「めんこいから、お菓子やるの（えらかったから、お菓子あげるね）」などがあります。

「めんこい」という方言は物や小物に対しても使われる言い方です。標準語でも女性同士で「かわいい」を多用するのと同じような使い方です。たとえば、「その靴かわいいね」は「その靴めんこいの」となります。

「かわいい」の否定形に「かわいくない」という言い方があるのと同じで、「めんこい」にも否定形があります。「めんこい」の否定形は「めんごくない」です。方言がさらに訛って、「めんごくねえ」という言い方になる場合もあります。

「めんこい」の否定形の使い方としては、地域によっても多少異なりますが、自分が気に入らない人や動物などを指すときにも使われることがあります。「あそこの犬はめんごくねえ（あそこの犬はかわいくないなあ）」などの言い方です。

「めんこい」は地域の特産品などの商品名にもよく使われています。たとえば、東北の岩手県には「岩手めんこい黒牛」という牛肉があったり、「岩手めんこいテレビ」という放送局があります。また、サンリオから北海道限定のご当地キティとして、「なまらめんこい」 というあざらしや熊の形のハローキテイのストラップが販売されています。「なまら」とは北海道の方言で「とても」といった意味です。ほかにも「めんこい」を使った商品は東北にもたくさんあるので、探してみるのも楽しいでしょう。

「めんこい」は北海道や東北などで使われる方言ですが、地域によって使い方に少しずつ違いがあります。同じ意味で使われていても、言い方に違いがあるのです。

方言は同じ県内でも山を越えたら言い方に違いがあるとか、その地域独特の言葉に変化したりもします。「めんこい」という日常生活に根付いた方言も例外ではなく、意味するところは同じでも、北海道や東北の各県によって言い方に違いが見られます。東北でも隣県同士で「めんこい」の言い方の違いを話しのネタにするのも、東北あるあるかもしれません。

「めんこい」の地域別ごとの使い方の違いについて、北海道と東北の各県での言い方をご紹介しましょう。

北海道では「めんこい」はそのまま「めんこい」で違いはありません。最近は北海道でもあまり使われなくなった方言ではありますが、先ほどのハローキティのストラップなどもあるように、「なまらめんこい」などは若い世代で少し砕けた感じの意味で使われることもあります。

・「なまらめんこいこっこだ（とても可愛い子供だね）」

東北の青森県では「めんこい」は少し違う言い方で「めごい」となります。津軽弁で「すごい」という意味は「たげ」になるため、「たげめごい」といった使い方がされます。

・「なのこと、たげめごいど思ってらんだいな（あなたのこと、すごくかわいいと思っているんだ）」

同じ東北の岩手県では「めんこい」は「めんこい」のままで違いはありません。先ほどご紹介した「岩手めんこいテレビ」というテレビ局名にも使われているとおりです。「めんこい」は岩手では女子高生など若い世代でも頻繁に使われています。

・「前がら、めんこいど思ってだったぁ（前から可愛いと思ってたんだ）」

同じ東北でも秋田県は「めんこい」に違いがあり、「めんけ」という言い方になります。秋田のお土産物に「秋田めんけぇ～サブレ」というのもあります。

・「おめの犬っこめんけな（あなたの犬はかわいいね）」

福島県も東北ですが、「めんこい」に違いがあり、いくつかの言い方があります。「めんこい」とも言いますが、ほかにも「めげえ」「めんけえ」「めごい」といった言い方もあります。

ちなみに「めごい」の否定形は「めごくね」になります。ただ、「めごくね」という否定形には、「憎たらしい」といった意味も含まれます。たとえば、子供が泣き止まないときなど、イライラした気持ちを表すときにも「めごくね」と使われます。

・「おんめ食っちまいたいほどめんこいなー（君は食べてしまいたいほどかわいいね）」

山形県も東北ですが、「めんこい」の言い方には違いがあり、「めっこい」や「めんごい」となります。「めんこい」でも通じますが、日常的には使われません。語尾には「～よの」などが付けられ、「めっこいよの（かわいいよね）」とか、ほかにも「～っちゃ」が付けられることも多いです。

・「すんげめっこいっちゃや（すごくかわいいよね）」

東北の宮城県では「めんこい」はそのまま「めんこい」として使われます。宮城の面白い方言に「いぎなりめんこい」というのがあります。標準語で考えると「突然かわいい？」と思うかもしれませんが、「いぎなり」は宮城の方言で「すごく」という意味です。つまり、「いぎなりめんこい」は「すごくかわいい」という意味になります。

・「おめの、めんこいところが好きだっちゃ（君のかわいいところが好きだよ）」

茨城県は東北ではありませんが、一部の地域で「めんこい」と同じ意味で、「めんごい」や「めごい」といった方言があります。あまり一般的な使い方ではないようです。

新潟県も東北と隣接する地域であるためか、「めんこい」という言い方をする所もあります。同じ新潟県内でも「めこ」と言ったり、「いとしげ」という言い方もあるようです。

「めんこい」は主に小さい物や幼い子供、赤ちゃんなどに使われる方言です。ただ、男性が女性に対して使う場合もあります。男性が女性に「めんこい」と言うときの心理には、どのような気持ちが含まれているのでしょうか？

男性は好感を持っている女性に対して、「めんこい」という言葉を使うことがあります。これは女性に対して「とってもいい子だね」と褒める気持ちが込められたりしています。日常的に方言で「めんこい」を使っている人にとっては、「かわいい」というより、「めんこい」のほうが親しみや近しさが表現できるからでしょう。ただ、必ずしもその女性を異性として意識して発せられる言葉とは限りません。

男性が女性に「めんこい」と言う場合、「妹のようにかわいい存在」である場合にも使います。恋愛を意識しての愛情表現ではないにしても、少なからずその女性に好感は持っていると考えて良いでしょう。

「めんこい」という方言について、意味や使われている地域、使い方などをご紹介してきました。地域によって使い方に少し違いはあるものの、多くの人々に使われている言葉であることがおわかりいただけたでしょうか？

「めんこい」は方言ならではの温もりが感じられる言葉です。かわいいもの全般に対する、愛情が込められた表現とも言えるでしょう。「めんこい」と言えば、必ず笑顔が返ってきそうな素敵な方言です。