『幾久しく』の意味や使い方を徹底解説!結納や結婚式の時に役立つ!
「幾久しく」という言葉をご存知ですか?普段はあまり耳にすることはありませんが、結納や結婚式などお祝いごとに多く使われる言葉です。いざというときに縁起の良い「幾久しく」という言葉をきちんと使いこなせるように、その使い方や意味を理解しておきましょう。
目次
結納や結婚式でよく聞く『幾久しく』という言葉について学ぼう!
「幾久しく」という言葉は日常ではあまり聞くことがありませんが、結納や結婚式では決まり文句となっています。聞き覚えの少ない言葉は、意味や使い方があいまいになってしまうもの。いざというときにうっかり失敗しないためにも、きちんと「幾久しく」という言葉を学んで、読み方、意味、使い方を理解しましょう。
『幾久しく』の意味は?『幾』と『久しく』それぞれの意味も!
それでは「幾久しく」の詳しい意味を解説します。意味がわかれば使い方を間違えることもなくなります。いざというときにうっかり変な使い方をしてしまわないように、しっかりと意味を理解しておきましょう。
『幾』と『久しく』それぞれの意味は?
幾久しくは「いくひさしく」と読みます。この言葉は「幾」と「久しく」の2つの言葉の組み合わせで出来ていて、それぞれに意味があります。「幾」と「久しく」それぞれの意味をまずは理解しましょう。「幾」という言葉は「幾重に」や「幾つも」というふうに使われていて、とても多いという意味を持っています。つまり数字としての数え切れなさを表しているのです。そして「久しく」のほうは時間を表す言葉です。「久しぶり」などとして使うように多くの時間の経過を意味します。
『幾久しく』の意味を分かりやすく解説!
「幾久しく」という言葉は、数字的に多いことを意味する「幾」に、時間的な長さを意味する「久しく」を組み合わせることで、とても長い時間を言い表してるのです。言葉を言い換えれば「ずっと長い間」「末永く」という意味になります。良いことがずっと続きますようにという祈りを込めた縁起の良い言葉なのです。
『幾久しく』は縁起の良い決まり文句と考えよう
実は、「幾久しく」という言葉は日本書紀や万葉集にも使われています。それだけ古い言葉で、このような古い言葉を大和言葉と言います。古くから変わらないということはそれが伝統的に大切にされて来た言葉であるということを意味します。結納や結婚式の口上というおめでたいときの決まり文句に古くから大切にされて来た言葉を使うのは、「幾久しく」がそれだけ縁起の良い言葉であるからだと考えることができます。つまり結納や結婚式に「幾久しく」という言葉を使うのは、新しい家庭を作る2人の人生を文字通り末永く祝福したいという祈りや願いの意味があるのです。
結納においての『幾久しく』の使い方と例文を解説!
結納とは結婚する2人がそれぞれの家族と共に、お互いこれから新しく親族になりましょうということを申し込み、その申し込みを受けてそれぞれが納得するための儀式です。地域によって詳しい内容に違いがあるので、一概に結納の形式を学ぶというのは難しいのですが、一般的な流れというものはあります。そこで今回は、最近増えている略式結納と呼ばれるやり方のなかでの「幾久しく」の口上としての使い方をご紹介します。
まずは結納の簡単な流れをご紹介!
正式な結納はお互いの家を訪問しあって進めていく形式が多いのですが、略式結納の場合、料亭などを借りて両家がその場所に一緒に揃って行うため、1回で終わらせることができます。結納には大きな分類で関東式と関西式がありますが、今回は関東式の略式結納の流れを見ていきましょう。「始めの挨拶→男性側から女性側へ結納品を渡す→女性側は結納品の目録を確認して受書を渡す→女性側から男性側へ結納品を渡す→男性側は結納品の目録を確認して受書を渡す→締めの挨拶」これが基本の流れになります。
【使い方①】結納品の受け渡しの口上として使う
関東式の略式結納の場合、結納品の受け渡しは2回行われます。男性側から女性側への受け渡しと女性側から男性側への受け渡しです。関東式の場合には男性側も女性側も結納品の受け渡しを行うので口上を述べる必要があります。この口上はどちらも同じでかまいません。主体となる家の名前だけが変わります。具体的な口上としては渡す側が「これは○○家からの結納品でございます。幾久しくお納めください」となります。目録に目を通した後、受け取った側が「ありがとうございます。ご結納の品、幾久しくお受けいたします」と答えます。
【使い方②】受書の受け渡しの口上として使う
さらに受書の受け渡しにも口上が必要となります。同じことの繰り返しのようですが、大切なことなのでしっかりと手順を覚えておきましょう。結納品の目録を渡されたら目録を読みます。読み終わったら受書を渡します。これは確かに受け取りましたという印です。その受書を渡す際の口上は「○○家からの受書でございます。幾久しくめでたくお納めください」となります。
【使い方③】結びの口上として使う
結納の最後には結びの口上を行います。結びの口上にも幾久しくという決まり文句を使うのがふさわしいとされています。「本日はどうもありがとうございました。おかげさまで、無事に結納をお納めすることができました。今後とも幾久しく、よろしくお願いいたします」と結んで、末永く両家がお付き合いしていくことをお願いするのです。
結婚式においての『幾久しく』の使い方と例文を解説!
人生の大きな節目である結婚式にも「幾久しく」はふさわしい言葉として歓迎されます。普段使わない言葉だけに結婚式でいきなり使うのは少し抵抗があるかもしれませんが、おめでたい大和言葉なのでぜひ積極的に使っていきましょう。末永く幸せにという気持ちを込めた「幾久しく」の使い方と例文を紹介します。
【使い方①】結婚式の招待状で使う
「幾久しく」という言葉は結婚式の招待状でも使う言葉です。結婚式の招待状にはある程度決まった形式があります。「幾久しく」はそんな結婚式の定型文の1つとなっています。例文を挙げると「謹啓(季語)の候皆様には益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。このたび○○長男○○、○○長女○○の婚約が整い、結婚式を挙げることになりました。つきましては幾久しくご懇情を賜りたく披露かたがたささやかな宴をご用意いたしました。おいそがしいところ誠に恐縮ではございますが、何卒ご来席くださいますようお願い申し上げます。謹白」となります。
【使い方②】結婚式のスピーチで使う
結婚式のスピーチは何を話せばいいか困ってしまいますが、「幾久しく」を使った決まり文句を入れて話すととても上品で教養がある挨拶となります。使い方としては「幾久しくお幸せに」とか「幾久しくお幸せな家庭を築かれますよう、心からお祈り申し上げます」など、末永く幸せな家庭を築くことを祈る言葉として使いましょう。
結婚式で素敵なスピーチをするコツ3つ!
結婚式でスピーチを頼まれてしまってガチガチに緊張しながら挨拶を読み上げたけれど、なんだかあまり反応がよくなかったという経験がある人もいるかもしれません。苦労して準備したのに歓迎されないスピーチをしてしまっては台無しです。そこで結婚式でスピーチを読み上げる際に喜ばれるものとするためのコツをお教えします。
スピーチは長過ぎないようにする
学校の朝礼で校長先生の話が長いと思ったことはありませんか。長過ぎるスピーチは嫌われてしまいます。短めでありながら心に残るスピーチが結婚式では求められているのです。具体的な長さとしては3分から5分以内で収めるようにしましょう。文章の長さとしては1000文字よりやや少ない程度が理想です。普通に読み上げるとだいたい3分と少しぐらいで終わる長さです。事前に読み上げる練習をして、時間を体に覚えさせておきましょう。
スピーチの基本構成に当てはめて考える
結婚式のスピーチには基本の構成があります。スピーチ原稿を作る場合にはこの基本構成にあてはめれば悩むことはありません。まずはおおまかな構成として「挨拶・新郎新婦とのエピソード・締めの定型文」となります。この形式で考えれば、あなたが自分で考える必要があるのは新郎新婦とのエピソードの部分だけです。悩んでいたスピーチが簡単に思えて来たのではないでしょうか。
祝いの席にふさわしい内容や言葉を選ぶ
結婚式のスピーチで大切なこととして2つの点に注意してください。1つはお祝いの席にふさわしい言葉を選ぶこと。「幾久しく」「末永く」など2人の幸せを望む定型文を入れるのがおすすめです。もう1つはお祝いの席にふさわしくない内容を入れないこと。新郎新婦のお互い以外との過去の男女関係は当然NG。下ネタも下品でふさわしくありません。また、忌み言葉とされるものにも要注意です。別れる、切れる、消えるなどは入れないようにしましょう。さらに重ね言葉も2度目があるような印象を与えるので嫌われます。延々、次々、重ね重ねなどは使わないように。
『幾久しく』を日常生活で使うタイミングは?
幾久しくという言葉は、結納や結婚式だけで使われる言葉ではありません。最近はあまり使われなくなって来ていますが、日常生活のなかでも使える場面があります。教養が光る言葉なので、ぜひ上手に使ってみてください。
【使い方①】ビジネスシーンで使う
少し古い言い方になりますが、ビジネスシーンでも「幾久しく」は使うことがあります。「幾久しく御交誼を賜りますよう」という言葉で、契約を交わす際などに使われます。読み方は「いくひさしくごこうぎをたまわりますよう」です。意味としては「末永くお付き合いしてください」というような感じです。伝統ある老舗の商店などと取引する場合にはこういった言い回しが喜ばれる場合もあります。
【使い方②】手紙の結びの挨拶として使う
手紙の定型文には古風な言い回しが尊ばれることが多いものです。たとえば前略~草々とか、拝啓(季節の挨拶)~敬具などのように相手によって書き分ける必要がある決まりごとも多いですよね。そんな礼節を重んじる手紙の結びに「幾久しく」という大和言葉を使うと、受け取った相手にあなたが教養ある上品な人だと思ってもらえます。具体的には「幾久しくお健やかにお過ごしくださいませ」などと結びます。「末永く健康でいてくださいね」という意味の言葉です。
『幾久しく』の誤った使い方に注意しよう!
「幾久しく」は上品な大和言葉なので使い方を覚えてしまうと、ついいろんな場面に使ってしまいたくなりますよね。ただし、使ってはいけないNGな場面もあります。「幾久しく」という言葉は末永くという意味なので、不幸なことやよくないことに使ってしまうと、「ずっと不幸が続きますように」という意味合いになってしまうのです。悪気なく病気療養の相手に「幾久しくご療養ください」などと言ってしまわないように気をつけましょう。
【番外編】『幾久しく』の類語にはどんな言葉がある?
「幾久しく」については、これまで解説のときに説明として使っていたように「末永く」がその類語にあたります。ほかにも「永遠に」「ずっと」「いつまでも」などが類語となります。
『幾久しく』は縁起の良い素敵な大和言葉!気持ちを込めて使おう
古くから使われてきた上品な言葉を使いこなせるようになると、周囲から素敵な人だと思われるようになります。ぜひ「幾久しく」という縁起の良い大和言葉を上手に使いこなして、大人で素敵な人と周囲に見られるようになってください。また、結納や結婚式などの人生の大きな節目に古くから続く縁起の良い言葉である「幾久しく」をきちんと使うことで、良い運を引き寄せる効果も期待できます。心を込めて使っていきましょう。