『呵責』の意味を例文を使って解説!『良心の呵責』『呵責の念』とは?
「呵責」という言葉の意味はご存じでしょうか?あまり普段は馴染みのない言葉の一つだと思います。なんとなく分かったつもりでいても、「呵責」について詳しい意味や使い方など間違っている可能性があります。「呵責」の正しい意味や漢字の使い方を詳しく解説していきます。
呵責の意味や読み方は?
「呵責」という言葉。なんとなく意味は知っているものの、読み方であったり、どんな意味か改めて聞かれると困ってしまう方は多いのではないでしょうか。なんだか少し難しそうなイメージがある「呵責」という言葉ですが、今回は読み方、そして漢字の意味や使い方を例文を挙げて詳しく解説していきます。類語や反対語、そして英語の表現も一緒にご紹介します。
「呵責」の読み方は、『かしゃく』です。読み方が少々難しい言葉のひとつですが、「呵責」にはどのような意味や定義、そして使い方があるのでしょうか。ビジネスシーンや日常で「呵責」は度々使われますが、意味やニュアンスは状況やそれぞれの使い方によって異なります。そのため、「呵責」のそもそもの漢字の意味や本来の定義、使い方を知っておくことが大切になります。
まず、「呵責(かしゃく)」の「呵」という漢字ですが、【しかる。せめる。どなる。とがめる。】などの意味があります。厳しくしかる、叱責(しっせき)するといった意味が存在します。
そして「呵責」の「責」という漢字は【果たすべきつとめ。責任。】といった意味が存在します。
「呵」と「責」が合わさった「呵責(かしゃく)」は【しかる責任】といった意味になります。漢字の意味をそれぞれ知る事によって、自然と「呵責」の言葉の意味について理解する事ができます。
「呵責(かしゃく)」は、簡単に言ってしまうと、「心が痛む」という意味でもあります。もう少しだけ丁寧に言えば、「人は誰にでも良心が存在し、何が善で何が悪なのかを判断でき、それと同時に、自らに善の行為を命じ、悪の行為を退けようとする意識を持っています。自身の良心に背く行動を取り、自らの罪の意識に責め、さいなまれてしまう」といった意味になります。いけないと分かっていても、ついついやってしまう事により、呵責の念に苛まれるのです。
呵責の使い方や例文は?3つ紹介!
では、実際どのように使うのか、「呵責」という漢字の使い方を例文とともにご紹介します。例文と一緒に「呵責」について学びましょう。今回は「呵責」の例文を3つ挙げてみます。
「呵責」はどのように使えばいいのか難しいと思っているあなたも、例文を参考にすれば、意味を理解し、簡単に使えるようになるはずです。
良心の呵責
「良心の呵責」とは、【悪いことをしてしまった自分自身に対し、心を痛めること】という意味です。「呵責」とは、責め立てる事や厳しくしかる事といった意味があります。「良心の呵責」とは、ついやってしまった事を想いだして心の中で苦しむ後ろめたい気持ちや罪悪感を表しています。
例文:経営悪化の為に従業員を解雇して、良心の呵責を感じた。
「良心の呵責」の例文を他にもご紹介します。
例文
●私は彼宛の手紙を見る事に良心の呵責を感じたが、好奇心の方が強かった。
●良心の呵責に耐えかね、この家から去る事を決めた。
●良心の呵責に耐えられず、時効成立前に自首をしてきた。
●友達がいじめられているのに止めさせることができず、良心の呵責に苛まれ、夜も眠れなかった。
●良心の呵責を感じながらも、好奇心の方が強く、友人の日記帳を盗み見てしまった。
●そして良心の呵責の涙が、突然彼女の目に浮かんできた。
●そんなことをしてしまうと良心の呵責を受け、良心が咎められる。
●友人は良心の呵責から盗みを働けなかった。
●良心の呵責に苦しみ、彼に謝罪したが心の中ではまだ罪の意識が消えない。
●生まれてはじめて良心の呵責を感じたが、そうする以外にその場をしのぐ方法は思いつきませんでした。
呵責の念
「呵責の念」とは、【自分の責任。自分を責める。】という意味です。「呵責」には責め苦しむ、叱り責めるといった意味が存在しますが、基本的に心の中で行われる行為なのです。なので、「呵責の念」は自分の中で苦しむ様子を意味する言葉となっています。
例文
●過去に犯罪を犯した友人は、現在も呵責の念で苦しんでいる。
●友人と絶縁した原因が自分自身にあり、呵責の念に苛まれている。
例文に沿って「呵責の念」について学ぶと意味がとても理解しやすいですよね。「呵責の念」は「用語」ではないのですが、呵責の表現のひとつなのです。
例文
●呵責の念と痛々しい思いに打たれ、大きいため息が出る。
●呵責の念に駆られる。
呵責む・呵責まれる(さいなむ・さいなまれる)
続いて、「呵責む」「呵責まれる」の意味や使い方をご紹介します。
「呵責む」は、「ひどく苦しめる」「厳しくしかる」「いじめる」といった意味です。呵責むという表現は、古くから使われており、古典文学にも登場する言葉のひとつです。
続いて「呵責まれる」ですが、「呵責む」という動詞の活用形です。「呵責む」は「厳しくしかる」などといった意味なので、「呵責まれる」は「厳しくしかられる」といった意味になり、受動的にその身に被る事を表します。
例文:煩悩に苛まれ、あまりのつらさに出家してみたものの、煩悩の火は消えなかった。
呵責の類語や反対語は?
呵責という言葉について意味や、例文を挙げて説明してきましたが、続いては呵責の類語や反対語についてどのようなものがあるのか見ていきましょう。そもそも類語とは同一言語において、語形は異なるものの意味は互いによく似ていて、場合によっては代替が可能な二つ以上の語のことです。
また、類語とは違い反対語とは、意味が反対となる言葉や意味が対照的になっている言葉の事です。反対語の反対語は類語になります。
以下、「呵責」の類語と反対語を例を挙げてご紹介します。
呵責の類語
まずは呵責の類語です。
●「責苦(せめく)」何かで責めたてられる酷い苦しみ。
●「苦悩(くのう)」思い悩み苦しむこと。
●「苦しみ」苦しいと思うこと。
●「負い目(おいめ)」誰かに対し、借りを返さないといけない、と負担に思っている気持ちのこと。
●「悔悟(かいご)」自分の誤った行為を悪いと認め、二度としないように誓う気持ちのこと。
●「悔悛の情(かいしゅんのじょう)」自分の悪事を悪いと思い、反省する心。
呵責の反対語
続いて呵責の反対語です。どのようなものがあるのか例を以下に挙げてみましょう。意味を理解すれば今以上に「呵責」を日常的に使えるようになるでしょう。
●「許し(ゆるし)」罰や義務から解放されること。
●「容赦(ようしゃ)」罪や過ちを許し、とがめないこと。
●「堪忍(かんにん)」怒りを抑えて他人を許すこと。
●「勘弁(かんべん)」寛大な心で他人を許すこと。
●「宥恕(ゆうじょ)」寛大な心で罪を許すこと。
●「免罪(めんざい)」罪を何らかの理由で許すこと。
呵責の英語表現は?
呵責の英語表現は"torment"です。「良心の呵責」の英語表現だと"twinge of conscience"だったり、"a pang of conscience"であったり、英語だと使い方や表現が様々存在します。
例文を挙げて英語での呵責の使い方についてご紹介しますので、是非参考にしてみてください。
良心の呵責を受ける
My conscience pricks me.
良心の呵責を受ける
My conscience twinges me.
苦悩に満ちた良心の呵責
an anguished conscience
そんなことをすると、良心の呵責を受ける、良心が咎める
I have qualms of conscience in doing so.
責められて叫んだが声は出ず、音も聞こえず、呵責の声のみが聞こえる
Suffering from the pangs of her conscience, she has no voice when she tries to scream and cannot hear the sound of the kinuta, but she can hear only her reproaching voice.
良心とは、自身の内に存在する、社会の一般的な価値観に照らしあわせ、可否や善悪を測る心の動きのことです。英語で「良心」は「cons cience」と表記されますが、その語源には日本語の「良」を意味する部分はありません。従って、英語では「good conscience」や、「evil conscience」といった表現が存在するのです。
呵責を上手に使って表現の幅を広げよう!
いかがでしたか?今回は「呵責」の読み方にはじまり、意味、そもそもの漢字についてなども詳しく解説していきました。「呵責」の意味だけではなく、その類語や対義語、そして英語表現もご紹介したので、この記事を読んだあなたは表現の幅が広がったはずです。漢字の意味を理解し、日常会話の中でもスマートに使いこなしましょう。