『不遜』の意味とは?使い方や四字熟語・類語&対義語を詳しく解説!
「不遜」という言葉を聞いたり言われたりしたことはあるでしょうか。「不遜」の正しい意味を知っておかないと思わぬトラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。「不遜」の意味と使い方、類語や対義語などまで、分かりやすく解説していきます。
目次
『不遜』とはどんな意味?
「不遜」は、「ふそん」と読みます。
「不遜」とは、へりくだる心がないこと、思い上がった態度といった意味があります。生意気で、言動やふるまいに礼儀が欠けている様子や、相手を見下す態度を取る様子などを表しています。
意味だけでなく、「不遜」という言葉の使い方や例文を抑えておくことでボキャブラリーの幅が広がります。
『不遜』の使い方と例文を紹介!
「不遜」の具体的な使い方を例文とともにご説明します。
「不遜」は、人の発言や行動、ふるまいに向けて使う言葉です。使い方としては、へりくだるべき場面や立場の人が生意気な態度を取るなどの時に使います。
「不遜な○○」「不遜である」といった使い方をします。
「不遜」を使った例文
例文① 「その不遜な態度はなんだ!」
例文② 「彼は不遜な態度を取ったため、プロジェクトメンバーから外された」
例文③ 「彼女の不遜なふるまいに、友人たちは眉をひそめた」
例文④ 「すべてが自分の思い通りにできるというのは不遜な考えだ」
このような例文のように、目上の人に対して傲慢で失礼な場合に使いましょう。
『不遜』を英語で表現するとどうなる?
「不遜」を英語で表現してみましょう。
「不遜」の英語表現にはいくつかの単語があてられます。
「不遜」の英語表現
英語表現① bossy
意味:偉そうな、威張り散らす、親分風を吹かせる
英語表現② big-headed
意味:天狗になる、うぬぼれた、調子に乗る
英語表現③ full of himself
意味:自己中心的
英語表現④ insolence
意味:傲慢、無礼、尊大、横柄な言動
『不遜』のつく四字熟語を3個紹介
「不遜」が入った四字熟語もあります。四字熟語の意味をご紹介します。
四字熟語①傲岸不遜(ごうがんふそん)
意味:おごるりたかぶって人を見下し、傲慢でへりくだる気持ちがない様子、思い上がって謙遜しない様子。
例文としては、「傲岸不遜な俳優として知られていた彼は、直に干された」というように使います。
四字熟語②傲慢不遜(ごうまんふそん)
意味:いい気になって人を見下す様子。
一般的には「傲岸不遜」と書かれますが、「傲慢不遜」とも使われます。
四字熟語③尊大不遜(そんだいふそん)
意味:おごりたかぶってへりくだらないこと。
例文としては、「そのような尊大不遜な態度だと、いずれ友人を失ってしまうよ」のように使います。
このように、「不遜」のつく四字熟語は、どれもおごりたかぶってへりくだっていない態度を表す意味となります。
『不遜』の類語を11個紹介!
類語①傲慢(ごうまん)
「傲慢」とは、思い上がって人をあなどること、謙遜せず人を見下して礼を欠く態度であることを意味します
「彼は自分より立場が上の人には媚を売って、下の人には傲慢にふるまう」のように使います。
類語②横柄(おうへい)
「横柄」とは、人を見下すような偉そうな態度や、威張って無礼なさまであることを意味しています。
「友人の横柄な口の利き方が気に障った」のように使います。
類語③僭越(せんえつ)
自分の身分や地位、資格や権限を越えて、差し出がましく出過ぎたことをすることや態度のことを意味する類語です。
「僭越ではございますが、私は賛成いたしかねます」のように使います。
類語④高飛車(たかびしゃ)
相手に対して威圧的・高圧的な態度を取ることを言います。
元は将棋の用語で、非常に強い駒である飛車を自陣から飛び出して使う戦法のことを指します。相手を威圧する、攻撃的な戦法であったため、そのような態度を「高飛車」と表現するような使い方になったのです。
「いくら市長の息子だからといって、あのように高飛車に出ていたら皆の反感を買うだろう」のように使います。
類語⑤鉄面皮(てつめんぴ)
まるで面(つら)の皮が鉄でできているかのごとく、恥を恥とも思わない厚かましい態度をとることを、鉄面皮と言います。
「私にはあんな鉄面皮な真似はできない」のように使います。
類語⑥猪口才(ちょこざい)
ちょっとした才能・才気があって小生意気なこと、こざかしいこと、またはそのような人を指す言葉です。
「猪口才な真似をしおって!」のように使います。
類語⑦増上慢(ぞうじょうまん)
「増上慢」は仏教用語で、悟りを得ていないのに得たと思念して、おごりたかぶった慢心のことを意味しています。
俗に言う、自惚れのようなものでしょう。
「増上慢をたしなめる」のように使います。
類語⑧生意気(なまいき)
それだけの存在でもないのに、自信を超えて偉そうでさし出がましい横柄な態度を取る小憎らしいことを、「生意気」と言います。
「生意気」の「生」は、「生乾き」や「生煮え」といった言葉のように、中途半端な状態の意味を表す接頭語です。
「子どものくせに生意気な口を利くなあ」のように使います。
類語⑨厚顔(こうがん)
「厚顔」とは、厚かましく恥知らずで図々しいさまを表します。
「なんて厚顔な人だ!」のように使います。
類語⑩尊大(そんだい)
威張っていかにも偉そうに人を見下した横柄な態度を取ることを、「尊大」と言います。
また、話し手が自信を上位に置いて話す表現方法のことを「尊大語」と言います。尊大語は、「俺様」「許してつかわす」などの表現を指します。
「彼は尊大な口のきき方をするので周りから嫌われている」のように使います。
類語⑪傍若無人(ぼうじゃくぶじん)
人のことをまるで気にかけることなく、自分勝手にふるまうこと、勝手で無遠慮な様子を意味します。
「傍若無人な態度に、その場にいた者たちは不快な気持ちになった」のように使います。
「傍若無人」の語源は中国の故事「史記(刺客列伝)」からきています。
秦の時代、燕(北京)の刺客の荊軻(けいか)は高漸離(こうぜんり)と毎日酒を飲んでは、歌ったり騒いだりしていました。宴もたけなわになると街の中を歩きながら、騒ぎわめいた挙句に、抱き合って泣き出したりしていました。その様子は「傍らに人無きが若し」、つまり傍に人がいないかのような振る舞いをしていたと言います。
「不遜」と「傲慢」の違いとは?
「不遜」と「傲慢」は同じようなことを意味していますが、違いはあるのでしょうか。
不遜は、人に対してへるくだることのない”思い上がった”態度のことを指します。
傲慢は、人に対しておごりたかぶって侮るという”見下す”横柄な態度を表します。
つまり、人に対して”思い上がる”のか、”見下す”のかという点に意味の違いがあるのです、
『不遜』の対義語を9個紹介!
対義語①謙遜(けんそん)
「謙遜」とは、自分の価値や能力を低く評価して控えめな態度でふるまうこと、へりくだることを意味しています。
自分の能力や功績におごることなく、控えめにふるまうことを謙遜と言うのです。
「彼女は謙遜しながら、自分のしたことを話した」のように使います。
対義語②謙虚(けんきょ)
「謙虚」は、へりくだり控えめで慎ましやかな様子を指す言葉です。
「社会人として、謙虚さは忘れてはならない」のように使います。
対義語③謙譲(けんじょう)
全てにおいて控えめで、へりくだったり慎ましやかであったりすることを意味します。
自分を相対的に下位に置いて、謙遜して話す言葉の使い方を、「謙譲語」と呼びます。
「それは彼らしい謙譲な心もちの結果であった」のように使います。
対義語④卑下(ひげ)
自分を低い位置に引き下げて卑しめること、自分をより劣った存在として扱うこと、遠慮がちにすること、謙遜すること、を「卑下」と言います。
「必要以上に自分を卑下することはない」のように使います。
対義語⑤遠慮
他人に対して控えめにふるまうこと、控えめな言動、気兼ねして出しゃばらないさまのことです。
「お客様のご迷惑になるので、ご遠慮くださいませ」のように使います。
対義語⑥慎(つつし)み
「慎み」とは、控えめにふるまうことや、過ちをおかさないように気を付けること、謙虚な気持ちでいることを意味する言葉です。
「慎みを忘れた行為である」のように使います。
対義語⑦尊敬
他人の人格や思想、行為などを優れたものとして認め、その人をうやまうこと、ついて行きたいような気持ちになることを「尊敬」と言います。
対義語⑧崇敬(すうけい)
立派な人物などをあがめうやまうこと、心から尊敬することが「崇敬」です。
対義語⑨よいしょ
相手の機嫌をとって、おべっかを使ったりおだて上げること、ごまをすることなどを「よいしょ」と呼びます。
不遜な態度はとらないように気をつけよう
このように、「不遜」とは思い上がった気持ちでへりくだらない態度を表す言葉です。
不遜な態度だと取られないように、特に目上の方や年配の方などには、普段から気を付けて謙遜の気持ちを持って接するようにしましょう。