『斟酌(しんしゃく)』の意味や使い方!忖度との違いとは?
最近テレビやラジオなどで忖度という言葉を耳にしますよね。忖度と似た言葉で「斟酌」という言葉が存在するのですが、斟酌は類語でより相手の気持ちを考えた言葉になります。今回はそのような忖度の類語「斟酌」の意味や使い方についてご紹介します。
目次
あまり見たことない?『斟酌』について解説!
みなさんは斟酌という言葉をご存知ですか?斟酌はご存知の方が少なく、あまり見かけない・聞き慣れない言葉だと思います。しかし、斟酌に似た言葉は最近流行語にもなっており、斟酌の類語としては「忖度」などが挙げられます。今回はそのような忖度に似ている類語「斟酌」の意味や使い方・忖度との違いについてご紹介したいと思います。
『斟酌』の意味とは?
斟酌と書いても普段目にしにくい漢字であるため読み方がわからない方もいると思います。「斟酌」と書いて「しんしゃく」と読みます。読み方はしんしゃくなのですが、「斟」「酌」どちらも酌むという意味を持っている言葉です。わかりやすく意味をご紹介すると斟酌は相手の事情・心情を酌み取って行動・促すという意味になります。
『斟酌』の使い方とは?
斟酌の意味・読み方についてご紹介しましたが、次は斟酌の使い方についてご紹介したいと思います。斟酌の意味がわかっても使い方がわからなければなかなか言葉として出しにくいですよね。次はどのような使い方があるのかご紹介しますので、ぜひご参考いただけたらと思います。
相手の事情や心情をよく酌みとること
まず最初に挙げられる斟酌の使い方は「相手の事情や心情をよく酌みとること」です。こちらは相手に不幸事などがあった際に気持ちなどを考えてあげることを意味します。この後の行動で言葉が変わる場合があるのですが、相手の事情・心情を読み取って自分から手加減・おせっかいなどを行ってしまうと斟酌ではなく忖度になります。
相手の事情を推察すること
次に挙げられる斟酌の使い方は「相手の事情を推察すること」です。こちらは先程ご紹介した相手の事情や心情をよく酌みとることと同じような意味にはなるのですが、相手の事情を推し量り、おもいやることを指します。後述でもご紹介しますが、諸事情から相手の事情を推し量り、前線から裏方の仕事などに回ってもらうことを斟酌するというように使います。
ちなみに「斟酌する」は「相手の事情・心情を思いやる」という使い方だとご紹介しましたが、逆の意味で使用する場合もあります。後に例文でもご紹介しますが、逆の意味「思いやらない・考慮しない」として使う場合は「斟酌しない」「斟酌されない」「斟酌せずに」という言葉になります。斟酌の後の言葉によって逆の意味になる場合もあるので、注意しながら正確に使いましょう。
さらに斟酌と合わせてぜひ覚えていただきた言葉があります。斟酌と合わせて覚えていただきたい言葉は「斟酌折衷」です。折衷もあまり聞き慣れない言葉だと思いますが、斟酌折衷と書いて「しんしゃくせっちゅう」という読み方になるのですが、こちらは意味は「相手の考えを酌み取り、中間を選ぶ」という意味になります。折衷は複数ある場合の中間を指す言葉で、斟酌折衷にすることによって複数の考えの間の取る・酌むという意味になりますので、ぜひ斟酌と合わせて斟酌折衷も覚えていただけたらと思います。
『斟酌』の例文5選
斟酌について意味や使い方についてご紹介しましたが、次は実際に使い方・例文をご紹介したいと思います。斟酌・斟酌折半などの意味がわかっていても、使い方があいまいだと使えませんよね。実際に使える例文をご紹介しますので、ぜひご参考いただけたらと思います。
①「身内に不幸のあった彼女を斟酌して裏方の仕事に回ってもらった」
まず最初にご紹介する例文は「身内に不幸のあった彼女を斟酌して裏方の仕事に回ってもらった」です。こちらは相手の不幸事=事情・不幸事があったときの心情を酌み取って裏方で仕事をサポートしてもらうという意味になります。急な出来事・不幸事があると誰しも落ち込むことがありますよね。このような気分がすぐれないときに相手のことを思いやり、違う方向へと促してあげるようなときに使います。
②「素直なのはいいことだが、ちっとも斟酌しないのもよろしくない」
次にご紹介する例文は「素直なのはいいことだが、ちっとも斟酌しないのもよろしくない」です。こちらは本来とは逆・対比の意味で使われています。素直な点はとてもいいことだけど、素直すぎて周りの事を考えず、思いやりのある行動・言動ができないことを表しています。このような使い方が逆・反対の意味として使う場合に最も使いやすい例なので、ぜひ覚えていただけたらと思います。
③「家庭の事情と未成年であることを斟酌し彼に責任を問わない」
次にご紹介する例文は「家庭の事情と未成年であることを斟酌し彼に責任を問わない」です。こちらはわかりやすく言うと、斟酌する・事情や心情を思いやることによって責任を追求・問わないという意味になります。相手の状況なども踏まえて物事を判断・同情した扱いをする場合は別の言葉になるので、注意しましょう。
さらに、身近でわかりやすいのが自賠責の斟酌期間などが挙げられます。自賠責は原則かけないといけないのですが、契約できる期間は決まっています。次の契約年数+1ヶ月前以降の期間じゃないと自賠責は契約できないのですが、車検などの期間のすれ違いで自賠責契約・車検に通すことができない人もいます。
このような場合、斟酌期間が特別にさらに2ヶ月前まで契約可能という期間が設けられ、斟酌期間を踏まえるとトータル契約年数+3ヶ月前から自賠責の契約を行うことができます。この期間について詳しく知りたい方は自賠責契約を結ぶ際によく聞く・契約しているところに聞くことをおすすめします。
④「会議に限らず、仕事のことは斟酌せずに何でも思ったことは伝えるように」
次にご紹介する例文は「会議に限らず、仕事のことは斟酌せずに何でも思ったことは伝えるように」です。こちらは会議・仕事だからといって他の人のことを考慮せず、自分の気持ちを伝える・発表するようにという意味になります。内容からもわかるように、会議などのビジネスシーンで使われる事が多い例文です。なかなか決まらない場合は途中でもご紹介した四字熟語の「斟酌折衷して決めた」という中間の意見を採用するときの言葉もおすすめです。
⑤「ここではプライベートな事情は一切斟酌されない」
次にご紹介する例文は「ここではプライベートな事情は一切斟酌されない」です。こちらは先ほどとは逆に仕事などの大切な場面なので関係のない事情は考慮してもらえないという意味を表しています。こちらもビジネスシーンでの出来事などを表す際に使われることが多いのですが、「斟酌されない」「斟酌してもらえない」事によって逆の意味でもある「考慮されない」という意味に繋がるので、ぜひ使い方として覚えていただけたらと思います。
『斟酌』の類語の『酌量』の意味や使い分けは?
斟酌する・斟酌されないといった斟酌の使い方をご紹介しましたが、途中でも触れたように斟酌の類語として酌量という言葉があります。読み方は酌量と書いて「しゃくりょう」と読むのですが、裁判などで耳にすることが多いと思います。
「酌量の余地もない」といった使い方をするのですが、酌量とは事情や心情を踏まえて、同情した扱いをすることを意味します。類語とあるように、酌量されないとなると斟酌されないと同じように考慮してもらえないという意味になると考えると覚えやすいかと思います。
『斟酌』と『忖度』の使い方と違い
次にご紹介するのも同じ類語なのですが「忖度」です。斟酌と忖度は類語で、どちらかというと忖度の方を耳にし、読み方だけわかっている方も多いです。最近政治家が使っている言葉ではあるのですが、忖度の読み方は忖度と書いて「そんたく」と読みます。
意味としては類語のため斟酌と似ているのですが、相手の気持ち・考えを推し量るという意味になります。
忖度の逆の言葉が「自分勝手」であると考えると忖度の意味がわかりやすいかと思います。
忖度と斟酌は類語であるため一緒の印象を感じやすい方も多いと思いますが、具体的な違いはその後の行動にあると言っても過言ではありません。
斟酌はご紹介したように、相手の気持ちを酌んで裏方に回したり、裏方に回るように促したりする相手に促す意味になります。
一方、忖度は相手の気持ちを酌んで、気を遣う。手加減するといった自分発信の言葉でもあります。
忖度と斟酌の読み方・使い方について触れましたが、最もわかりやすく例えると自分中心か・周りを意識しているかという点を考えるとわかりやすいです。斟酌も忖度もどちらも相手の気持ちを酌むという意味になります。その相手の気持ちを酌んでからの考えの中心で言葉の使い方が分かれますので、誰が中心なのかを考えると上手に使い分けやすいかと思います。
『斟酌』の意味と使い方を覚えておこう!
今回は斟酌についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。しっかりとした正しい言葉を使わないといけない場面では斟酌や斟酌折衷・忖度などという言葉を使うことが多いです。類語で似ている言葉であることから使い分けが難しくなるのですが、読み方や使い方などご紹介した点をご参考いただきながらぜひ皆さんも使い分けていただけたらと思います。