「性癖」の意味や正しい使い方とは？いやらしい言葉ではないの！？

「性癖」を言い換えるとフェチ、性的嗜好のことでは？と思う人が多いはず。これは誤用です。近年では、性癖の言葉の意味を知らない人が増えてきています。なぜなら大半の人が「性癖」を、性的な意味で覚えて使ってしまっているからです。

「性癖」は、人間の行動や心理に現れる癖や性質、偏りを意味する言葉です。落ち込みやすい性格、考える時に鼻を触る癖、これらを性癖と呼びます。この言葉には決して、性的な意味はありません。注意しなければいけないのは、後天的に身についたものは性癖とは言わない点です。この「性」は、「生まれつきの」という意味を持ちます。つまり性癖は、生まれつきの癖、好みや考えの偏りなのです。この点からも、性的嗜好の意味ではないことが分かります。

「性」と言われれば、パッと思い浮かぶのが「セックス」だと言う人が、一般的になっています。ですから「性癖」と聞くとどうしても、性的な嗜好、つまりセックスする上で特に好きなもの、執着するものという意味で取られる傾向にあります。しかしこれは勘違いです。性癖の正しい意味を知らない人に用いると、その人は性的な意味しか知らないわけですから、破廉恥だ、セクハラだと怒られかねません。注意しましょう。

性癖の意味を正しく答えられる人は、極わずかです。本当の意味は性質や気質だと言われて、セクハラだと思って今まで答えなかった、と驚く女性もいるかもしれません。ではどうして、性癖はいやらしい意味だと勘違いされているのでしょうか。

性癖の性を、性交、セックスの意味で捉えている人が多くいます。性、とつくとどうしても、それに結びついてしまうのは仕方ないのかもしれません。実はこの性癖の性は、「性質」や「性格」を指します。性癖には、性的に興奮する癖や好みの意味はありません。

性癖の本当の意味を知っている人に比べて、はるかにたくさんの人がこの言葉を勘違いしていて、誤用しています。正しくは性質の癖であると、周りで理解している人が一体どれだけいるのでしょうか。多くの人が勘違いして、間違った意味で「性癖」を使うことによって、誤用が一般的になってしまっているのです。みんなが間違った使い方をしていれば、それが正しいと思ってしまいますよね。

世の中のほとんどの人が、性癖と言うと、性的に興奮するものだと捉えてしまいます。正しい意味を知って、正しい使い方をしたとしても、勘違いされて、セクハラだと相手の気分を害してしまう可能性が高いです。性癖の本当の意味が性質を指すのだと正しく分かっている人以外には、この言葉を使わないことをおすすめします。性癖の意味を間違っているのは相手なのに、セクハラなんて言われてしまったら、こちらの方がいい気がしません。

性癖という言葉にはどのような使い方があるのかを、具体的に3つ例を挙げてご紹介します。性癖は習慣や性格を表すということを念頭に置いておくと、使い方も思い浮かべやすいかと思います。

「むやみに物を集めてしまう収集癖が、自分の性癖です」と言うのは、正しい使い方です。他には、嘘をつくことが癖になって、ささいなことでも嘘をつきまくる虚言癖や、盗みをする際の緊張感、成功した時に得られる満足感を得るために窃盗を繰り返す窃盗癖も、これに当たります。自分自身の習慣や趣味に基づいて起こる、性質上の癖を指すのが性癖です。

性質も性癖なので、例えばおおらかや人見知り、臆病、また完璧主義や負けず嫌いといったものが、例として挙げられます。これらを性癖と呼ぶのは正しいです。

気質というと、おっちょこちょいや引っ込み思案、癇癪持ちなどが思いつきますよね。周りからの影響で変わることのない、生まれ持ったものです。気質も性癖であり、どちらかと言うとネガティブだったり、悪い意味を含むことが多いです。
 

性癖を英語に訳すと、やはり性的な意味のある単語は出てこず、「性質」や「気質」といった正しい意味を持つ英単語がヒットします。性癖の本当の意味は何なのか、英単語3つを調べ、まとめてみました。
 

性癖の他に、性質や気質と訳される英語です。ディスポズィションと発音されるこの単語、例文を挙げると

・He has a cheerful disposition.彼は快活な気質だ

となり、性的嗜好の意味にはなりません。性格を表現する性癖です。

インクリネイションと読み、こちらは性癖、傾向、性向という意味の英語です。性向とは性質の傾向を意味し、つまり気質を表します。用例をあげて説明すると、

He has an inclination for hard work.彼は一生懸命に働く質(たち)だ

日本語訳はこのようになり、inclination(性癖)が生まれ持った気質やひととなりを意味することが分かります。

この英語は性癖の他に、特徴や特性、特質と訳されます。キャラクタリスティックと発音します。日本語でも性格のことをキャラクターと言いますし、意味は想像しやすいですね。

Punctuality is one of his characteristics.時間厳守が、彼の特徴のうちのひとつだ

この英単語からも分かるように、性癖が性交に結びつかないということは明白です。

誤用されやすい単語は、性癖ひとつとは限りません。漢字から想像したり、普段他の人が使うのを聞いて覚えたり。きちんと調べてみると、実際は全然違う意味だった、なんてこともあります。性癖の正しい意味を覚えるついでに、よく間違った意味で使われている言葉も、合わせて勉強していきましょう。

漢字から考えると、子供は一姫(いちひめ)「1人の娘」と、二太郎(にたろう)「2人の息子」がいる方がいい、と思われがち。正しい意味は、『第一子は女の子、第二子に男の子を生むと育てやすい』です。お姉ちゃんになる女の子が弟の面倒を見てくれて、育児が楽になることもあるからですね。

一本締めと聞いて連想するのは、飲み会や宴会の終わりに、参加者の「お手を拝借」して、「よーおっ」の掛け声の後に一斉にパン！と手を叩く、ではないでしょうか。実はこれ、正しくは一丁締めと呼ばれるもの。正しい一本締めは、『3回、3回、3回、1回(パパパン、パパパン、パパパン、パン)』手を鳴らします。

閲覧の正しい意味は、書物やWebページを『調べながら』読む、です。さっと目を通したり、楽しんで読むような漫画や雑誌に使われる言葉ではありません。どちらかと言うと、じっくり読むという意味合いがあります。

割愛は、要らないものをただ省くことではありません。ポイントは『惜しみながら』が含まれるということ。本当は省きたくないけど、事情があって仕方なく、というニュアンスです。不必要なものを省く省略という言葉と使い分けるよう、注意しましょう。

元旦は、1月1日の『朝、午前中』のことです。1月1日全日を指す言葉ではないようです。一説によると、元旦の旦という漢字が、太陽が登る日の出を意味するとか。1月1日の丸一日を示すのは元日、ですね。正しい使い方をしたいものです。

「もう潮時かな」と聞くと、「もう辞め時」とネガティブな意味で取られがちですが、これも誤用です。本来の意味はポジティブな、『ちょうどいい時期』という意味も含まれています。例えば「結婚する潮時」だと、結婚するのにちょうどいい時期の意味になります。

高級店を見て、自分には敷居が高いから入れない、なんて使い方をしていませんか？これは誤用です。敷居が高いという言葉には、分不相応やレベルが高いといった意味は含まれていません。本来の意味は、『ご迷惑をお掛けしたり礼を欠いたりして、お宅に行きにくい』ことです。お世話になった恩師に長らく連絡をしておらず、今更会いに行けない。お金を借りているけど返せていない。本当は会いたいけど、行きづらくて躊躇してしまうような時に、使われる言葉です。

周りを見てみても、性癖の意味を勘違いしている人の方がたくさんいます。性、という漢字に惑わされて、ついつい性的な意味と勘違いしてしまいます。「性癖」が本当は、性質や気質を意味する言葉なんだと心に留めて、今後は性癖の正しい使い方ができるよう、注意してみてくださいね。