LGBTの意味とは?日本や海外の現状は?性的少数者を正しく理解しよう
LGBTの意味をご存知ですか?現在LGBTという言葉自体は広く認知されつつあるものの、その意味を正しく理解している人は少ないと言われています。ここではLGBTを正しく理解し、LGBTの人たちが抱えている『生きづらさ』を考え、寄り添う術を探っていきます。
目次
『LGBT』は何の略?
LGBTは、Lesbian(レズビアン・女性同性愛者)、Gay(ゲイ・男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシャル・両性愛者)、Trancegender(トランスジェンダー・生まれた時に診断された性と、自認する性の不一致を持つ人)たちの持つ性的マイノリティ、それぞれの頭文字L・G・B・Tをとった言葉です。
『LGBT』の意味と定義とは
LEBTは女性同性愛者のレズビアン、男性同性愛者のゲイ、両性愛者のバイセクシャル、性別に違和感を感じるトランスジェンダーといった性的マイノリティを意味する総称で、この言葉は性的少数者と呼ばれる彼らが自らを肯定的に語る用語としてヨーロッパ・北米で生まれ、現在では世界中の人に知られ、使われている言葉です。
特にトランスジェンダーの概念はとても広く、体の性別と心の性別が一致しない人をFTM(女性から男性)・MTF(男性から女性)、そもそも性別という概念を持たず中性、無性として生きている人をFTX(女性から中性や無性)・MTX(男性から中性や無性)と言うなど、さらに細かい性別として分類されています。
LGBTにはレズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの4つに限られた性的マイノリティを意味しますから、生まれつき外性器のかたちや染色体が一般的に男性はこう、女性はこうだというものと異なる状態の性分化疾患や、恋愛感情や性的感情を抱くことがなく誰も好きにならない無性愛者などはLGBTには含まれません。
『LGBT』の割合は?日本と海外の違いも
日本におけるLGBTの人の割合は、2015年の電通ダイバーシティラボが約7万人を対象に行った調査によると『7.6%』の人がLGBTだとされています。これは、左利きの人や鈴木や田中、佐藤、高橋、伊藤といったよく聞く苗字の人と同じくらいの割合で13人に1人の制定マイノリティがLGBTということになります。
それに対し海外でのLGBTの人の割合にはバラつきがあり、フランスのLGBTの人の割合はおよそ7パーセント、同性婚が法的に認められているアメリカやで3%(トランスジェンダーを除く)と言われています。
しかし、差別的な反応や理解が得られない現状からカミングアウトをしない人も少なくないのが現状ですから、その数字が果たして正確な数値なのかというのは定かではありません。
『LGBT』の象徴【レインボーカラー】(虹色)の意味
LGBTの象徴であるレインボーカラーは、『性とはグラデーションであって、様々な形が存在するものである』ということを意味しており、LGBTも多くの性的マイノリティの中のたった4つに過ぎないということを表しています。
LEBT以外にも、他者に対して性的欲求も恋愛感情も抱くことがないAsexual(アセクシャル)、性別というもの自体を決めることに違和感を感じているQueer(クィア)、LGBTと対比する言葉ともされるStraight(ストレート)、これ以外にも実に様々な性的マイノリティが存在しているのです。
日本の『LGBT』が抱える困難な現状とは?
2015年に日本でもパートナーシップ制度が導入され、LGBTという言葉も認知されつつありますが、その現状は残念ながらまだ差別感が否めないのです。
日本では渋谷区で同性カップルの結婚が認められたんじゃない?と誤った解釈をしている人も多い現状…。日本のLGBTが抱えている困難な現状を見てみましょう。
性的マイノリティへの差別的な対応
日本ではまだ男性同士、女性同士といった同性カップルが手を繋いで街を歩くだけでも好奇の目にさらされてしまったり、LGBTの人たちに対する偏見や差別的な対応が多くみられるのが現状です。
例えば、トランスジェンダーの人が使うトイレや更衣室。彼ら、彼女らにとって性自認と同じトイレや更衣室を使うということはとても難しく、苦痛を伴うことです。日常生活の中で当たり前と言われることがとても大きな障害になる可能性があるのです。
日常生活に限らず、日本の法律や制度はまだ性的マイノリティへの差別的な対応が否めません。同性カップルの結婚が認められていない、死別したパートナーの遺産を相続することができないなど、LGBTの人たちにとって生きづらい社会なのです。
結婚制度の困難な現状
日本では、2015年に東京都渋谷区で同性のパートナーとの関係が夫婦に相当するものと認める『パートナーシップ証明』の発行が認められたことを皮切りに、2018年現在8都市でパートナーシップ制度が適用されており、導入が検討されている都市や自治体もどんどん増えてきています。
しかし、日本におけるパートナーシップ制度は、同性婚とは異なり、法的には何の効力もないこと(夫婦としての制度や保証が受けられない)ことや、渋谷区なら渋谷区に住んでいてなおかつ住民登録があることなどといった条件を満たす必要があります。
そのため、法的に結婚して夫婦として認められるわけではないということや、引っ越しをすればパートナーシップ証明を返還しなければならないことから、まだ戸籍上の性が男性同士、女性同士の純粋に愛し合う2人のための『権利』が疎かにされてしまっているのが現状です。
海外の『LGBT』の現状は?
LGBTという言葉は社会に浸透しつつあるものの、まだLGBTの人に対して差別的な対応が多い日本ですが、海外の現状は、日本と異なるところがあるようです。
国によって社会的承認の現状や結婚制度の現状が異なる海外のLGBTの現状を見てみましょう。
社会的承認の現状
海外では1970年代に男性同性愛者の人の差別廃止や法的権利獲得を求めるゲイパレード『プライド』が開催されたことを皮切りに、少しずつLGBTの人を保護する法律が制定されてきました。法的にLGBTの人の社会的承認を認めるという点では、まだ法的にLGBTの人が守られていない現状である日本より少し進んでいる印象を受けます。
しかし、その一方でLGBTの人に対してより厳しい現実を突きつけている国もあります。例えば、ロシアでは2013年に同性愛宣伝禁止法(未成年に対して同性愛についての情報を提供することを禁止する法律)が成立、2014年、ウガンダでは反同性愛法が成立し、同性愛者に対する罰則がより強化されました。
結婚制度の現状
海外では少しずつではありますが、LGBTの人を保護する法律が整えられ、オランダ、ベルギー、スペイン、カナダなど、アジアでは台湾、世界で全26か国で同性婚が合法化されており、異性との結婚と同じ、もしくはそれに近い権利が与えられるようになりました。(2018年現在)
しかし、イスラエルやドイツ、スイスなど20か所以上でパートナーシップ制度が認められていますが、一方で同性婚に対して否定的で圧力を強めている国もあり、特にアフリカ地域では54か国のうち38か国が同性との結婚を禁止しています。
LGBTの人の同性婚が認められるようになった国がある一方で、同性同士の恋愛も厳しく罰する国もある現状から、海外では国によってLGBTの人の結婚制度にはかなり違いがあるようです。
性的マイノリティ『LGBT』が生きやすい環境とは
今日、『LGBT』という言葉自体は社会に浸透しつつあるものの、その意味は正しく理解されていなかったり、残念ながら差別的な目でみてしまう人も多いというのが現状です。
性的マイノリティ『LGBT』の人たちが生きやすい環境を作っていくために、私たちには何ができるのでしょう。
ほんの少しの気づきと行動が『LGBT』の人が生きやすい環境を作っていくきっかけになるようです。今日から出来る3つのことをご紹介します。
『LGBT』への正しい知識を持つ
LGBTという言葉は広く知られるようになってきたものの、その意味を正しく理解している人はストレート層で3割しかいません。
人は誰しも『自分がよく知らない物事』に対して警戒心を持ってしまうものですが、日本に住んでいる人のおよそ8%がLGBTの人だということは、あなた自身もどこかでLGBTの人と関わっている可能性は大いにあるのです。
LGBTの人の生きづらさを解決し、生きやすい環境を作っていくためには、まずLGBTの意味を理解し、正しい知識を身につけることが大切なのです。
差別的な言葉を使わない
LGBTの持つ意味を正しく理解する事が出来たら、次にあなたがなすべきことは自身の使っている言葉に今一度目を向けてみることです。
LGBTの人を傷つける差別的な言葉を使わないということはもちろん大切ですが、気づかないうちに差別的な言葉を使ってしまっていることもあるのです。
例えばホモやレズという言葉は、これらの言葉が差別的用語として使われてきた歴史がり、今でも多くのLGBTの人たちにとって傷つく言葉なのです。他には以下のものも差別的用語として知られています。
差別的用語 | 正しい言葉 |
レズ | レズビアン・ビアン |
ホモ | ゲイ |
ノーマル | ストレート・ノンケ |
オナベ・オカマ | トランスジェンダー |
ALLY(アライ)を表するということ
自分自身がLGBTかどうかというのに関係なくLGBTの人を理解し、尊重するという気持ちを持っていることを表すには、連携や同盟を意味するAlliance(アライアンス)からできた言葉であるAlly(アライ)を表明するのが有効です。
アライは性的マイノリティに理解さえあれば誰しも表明することが出来、自分がアライだということはLGBTの象徴であるレインボーカラーのシールやバッジを身につけることで簡単に周囲に知らせることができます。身につけるもの以外にも、職場のデスクにレインボーカラーの小物を置くなど、さりげなく自らの意思を示すこともできます。
およそ12人に1人と言われるLGBTの人がさりげないアライの表明に気づいた時、自分のことを理解してくれているんだと安心することが出来るとともに、あなたの行動に励まされ、勇気づけられるかもしれません。
『LGBT』への日本企業の取り組みと対応も
LGBTの人が就業する上で、自身がLGBTであるということを『差別を受けたくない』という理由でカミングアウトできずにいる人は少なくありません。
LGBTであることで同僚から避けられたりからかわれてしまうのではないかという不安、勤務中のトイレや着替え、本当の性別を隠すことで生じるストレスの中で仕事を継続していると、仕事に集中できなくなり、自分の力を100%出すことが難しくなってしまいます。
そして、自身の持つ悩みを誰に相談したらいいのか分からないまま苦しみ、孤立してしまうという悲しい現実が問題視され、近年ではLGBTを自社サービスに取り入れる企業が増えてきています。
『LGBT』だとカミングアウトしている有名人は?
普段私たちがテレビや雑誌でよく見かける有名人には、自信の性的マイノリティがLGBTであることをカミングアウトしている人が多くいます。中には、自身がカミングアウトすることで、1人でも多くの人が自由に、自分らしく暮らせるように、そんな社会を目指したいと自身がLGBTであることを告白した人もいらっしゃいます。
LGBTをカミングアウトしている有名人をほんの一部ですがご紹介します。
元フィギュアスケート選手の村主章枝さん、元でんぱ組inc.の最上もがさん、お笑いコンビメイプル超合金のカズレーザーさん、壇蜜さん、はるな愛さん、KABA.ちゃん、GENKING4さん、中村中さん、マツコ・デラックスさん、ロバート・キャンベルさんなどがLGBTを公表されています。
『LGBT』を正しく理解して性的差別をなくそう!
社会に浸透しつつある性的マイノリティ『LGBT』。しかし、その正しい意味を理解されず、何より自分自身にも、自分を知る周りの人間にも嘘をついて生きていくことで自尊心が得られず、悩み、傷ついている人が、あなたが気づいていないだけで、すぐ近くにいるかもしれません。『LGBT』は、身近な個性なのです。
本当の意味で『LGBT』の人たちに必要なのは、性的差別をなくし、社会的承認が得られることは勿論必要ですが、LGBTの人が安心して、自分の事を責めずに堂々と生きていけることなのかもしれません。
『あなたは、あなたが思う性別のまま』『あなたが心から好きだと思う人を、好きでいて』『あなたのままで、生きていていいんだよ』LGBTの人たちにそう伝えるために出来ること、それは決して難しいことではないのです。