「御意」の意味&返事での使い方は?承知や了解とは意味が違うの!?
「御意」からイメージされるのは、やはり時代劇でしょうか。殿が配下を集めて、敵の暗殺を命令する。配下がひと言、「御意。」そんな場面、見た事ありますよね。「御意」の意味は目上の人からの命令に対して、即答する返事なのではと推察されますが、意味を掘り下げてみましょう。
目次
そもそも【御意】って?
「御意」の意味を考える時、漢字の成り立ちを見てみましょう。意思、意志、意図、意見を表す「意」に、御礼、御仁、御上、など敬う気持ちを表す意味の漢字「御」がついていますね。つまり、目上の人の考え=敬うべき尊い御意見という意味になるんです。
御意の【意味】とは?使う場面2つを紹介
「言葉の意味、御意」とグーグルで検索してみると、次のような結果が得られました。
1.お考え。おぼしめし。「―のまま」。(目上の人の)指図(さしず)・命令の尊敬語。「―を得たい」
2.「御意のとおり」の略。そのとおり。「―にござります」
なんだか堅苦しい意味なんですね。
目上の人に対して使う、同意や肯定を表す言葉
検索結果1が言いたいことは、「御意」は、それひと言では命令などを下した目上のエライ人のその命令、提案、考えそのものという意味なんですね。そしてそれは当然尊敬するべきだと「御」があらかじめ付けられてるわけで、その意見に対しては下の者は同意、肯定するしかありえないのです。「御意」とは絶対的権力を持った人の絶対的意見という意味になりますね。
目上の人を敬って同意する時に使う言葉
検索結果の意味2と合わせて考えると、命令に対する返事として使うためには、正式には「御意のとおりに(命令を実行)いたします。」と返事をするわけですが、それを省略して「御意。」と短く返事をしているわけです。「御意」は目上の人の考えを全肯定して当たり前、否定するなんてあり得ない、という大前提のもとに成り立つ、絶対的上下関係に基づく完全同意、という意味なんですね。
【御意】の意味を分かりやすくまとめると?
江戸時代の社会のように、身分の差、武士の中での上下関係が歴然と存在した日常において、目上の人の意見や命令に逆らうなんてことはあり得ません。「御意」という言葉自体の意味は、目上の人の尊いお考え、ご意見そのものです。しかし御意に対して、「その御意は間違ってます。」「御意のとおりにはできません。」という返事は存在しないわけです。
よって、「御意。」イコール「もちろん、やります。」という意味の返事のひと言として認識されていったのではないかと思います。
【御意】に似ている言葉!現代でも使われているもの3つ
江戸時代はさておき、現代人の私たちが「御意」という言葉を日常で使う場面ってほぼないですよね。では、現代でも使われている御意と似たような、完全同意の意味を表す言葉はあるんでしょうか。
【仰せのままに】
これは、現代といえど、かなりレアな場面でしか使われない言葉である気がします。執事がいるのが日常というセレブのお嬢様ならば、耳にする機会があるかもしれませんね。
【おっしゃる通り】
こちらは、現代の社会人生活でよく使用されるのではないでしょうか。目上の方との会話の中で、使用頻度の高い、同意を意味する相槌のひとつだと思います。
【畏まりました】
こちらも、社会人生活の定番の返事ですね。お客様からのご要望に、何はなくともひとまず「畏まりました。」と返事をしてから、「まいったな~」なんて場面はよくあります。
【御意】という言葉は現代ではあまり使われていない
御意は、意味の考察でもお伝えした通り、絶対的上下関係の中で通用する言葉です。江戸時代を例に挙げると、主君の命令とあれば「いや、それ絶対無理でしょ」という無理難題でも命を懸けて実行しなくてはならない。できない場合は、切腹してお詫びする。そんな厳しい世界です。
現代で、裏社会はともかく、日常生活で死ぬか生きるかを迫られるほどの上下関係は基本存在しません。つまり御意という言葉は、時代流れと封建制度の崩壊とともに消えていった言葉といえるでしょう。
【御意】を使うとしたら?返事の他に場を和ます方法も
では、あえてこの現代社会で「御意」を使うとしたら、どんな場面での使い方が考えられるでしょうか。正確な意味を持たせたまま、使う機会は果たしてあるでしょうか。
日常では使われることは少ない
現代において「御意」を正しい意味を持たせたまま、日常生活で使うことはかなり至難の業ですね。自分のコミュニケーション力によほどの自信がないと、空気が固まった場合の対処も含め、注意が必要です。
本当に目上の人への返事
こちらが一番意味に沿った使い方ではあるのですが、大企業の社長が直接平社員に指示を出すなんてことはないでしょうし、大臣クラスの政治家でも最近は年代が若くなってきています。「御意」と返事して変な空気が流れないとしたら、宮家ぐらいしか筆者は思いつきません。
気心が知れた相手へ使う方法も
「御意」が意味する、堅苦しさ、時代錯誤感を逆手にとって、カジュアルな返事として笑いをとる方法で使えそうです。例えば同期入社の気心が知れた同僚から、「ごめん、この見積もり手伝ってくれない?」「御意。」「え、なになに?ははは」とウケてくれそうですよね。友人からのお願いメールの返信に、ひと言「御意」と返信するのも、本来の意味からは外れた使い方ではありますが、新鮮で面白い感じしませんか。
【御意】を使うシチュエーションとは?相応しい場面3つを紹介
現代で「御意」を「目上の人の敬うべきご意見に同意する」という正しい意味を持たせたままで、使える場面はあるでしょうか。
社員や役員の方たちへの返答
かなり古風な歴史ある会社、一族経営の会社の長老的な立場の年配の方に対してならありかもしれません。
上下関係の意識が強い場合
御意は絶対的上下関係のもとに成り立つ完全肯定を意味する言葉ですから、そのような厳しい上下関係が日常的に存在する現場で生活しているならありでしょう。しかし本当にそこまでの上下関係で縛られた会社や部活動があると、ブラック○○として、注意を受けそうですね。
現代の風潮への皮肉として
御意の持つ封建的な意味を逆手に取り、皮肉をきかせて相手に古臭い考えを改めさせることができるかもしれません。
最近「忖度」という、こちらも過去の言葉がクローズアップされましたね。ちなみに「忖度する」とは、目上の人の気持ちを推し量って配慮するという意味。こちらも「御意」とおなじく目上の人への絶対肯定の意味を持つ言葉。このような、無理難題でも目上の人のお考えを通すんだという上下関係が一部では存在するとことが、世間の注意をひいたわけです。
ですから、自分の立場にものを言わせて無理難題を押し付ける上司に「御意」と応えて、「もしかして、自分の態度は時代錯誤っていう意味?」と気づかせることができるかもしれません。しかしその上司が「御意」の意味を理解していないと、難しいですね。
【御意】を使う時の注意点!違和感を抱かせないための3選
学校や会社で「これ、明日までに仕上げといて。」「御意。」といきなり返事したら、「どういう意味?ついに忙しすぎて壊れちゃったのか?」と心配されそうです。相手や周囲の人に違和感を抱かせないためには注意が必要です。
状況をよく把握しておく
例えば会社内であれば、上司部下がフランクに話ができるか注意しましょう。「御意。」といって妙な空気感が流れたときに、「な~んてね、かしこまりました!」と冗談に置き換えられる雰囲気が日常的にあるかが大切です。
普段は使わない言葉だということを意識しておく
現代では日常生活で使わない言葉なので、発するほうも受け取る側も、意味がすっと頭に入ってこないのです。
使って良い相手といけない相手がいる
繰り返しになりますが、御意とは、目上の人の意志や考えを敬う意味の言葉です。ですから、後輩に使うべき言葉ではありません。また、あまり親しくない上司などに「御意」と言ったら、「馬鹿にしているのか~!!」と怒られてしまいそうなので、相手との人間関係、親密度を考慮して使いましょう。
【了解】や【承知】とは意味が違う!きちんと使い分けよう
御意、ってつまり「了解しました!」と同じ意味だと思っていませんか?ところが、「了解」にはまた別の意味があり、使い方に注意しなくてはいけません。
【了解】の意味、使う場面
了解には、意味・内容をはっきり理解することという意味と、納得し了承すること、という意味があります。注意なのは「了承すること」の部分。了承というのは、目上の人が下の人の考えを「よし、いいんじゃない。」と認めるという意味ですよね。つまり、了解は目下の人に対して使う言葉なのです。
上司からの指示に、意味を考慮せず、「了解です!」とうっかり返事していませんか。年配の方ですと気を悪くされる場合もありますので、注意しましょう。では、「了解」の代わりに何と答えればよいのでしょうか。
【承知】の意味、使う場面
そこで登場するのが、「承知しました。」なのです。相手への同意を意味する言葉という点では「了解」と同じですが、こちらは目上の人に対して用いる同意です。言ってみれば、「御意」の現代バージョンが「承知」になるわけですね。
先輩や上司に敬意を込めて!御意を上手に使って場を和ませよう♪
「御意」という言葉の持つ意味を探ってみましたが、いかがでしたか。調べれば調べるほど、現代社会では使うことが難しい、難度の高い意味を持つ言葉だと考えさせられましたね。
でも、親しい人間関係の中では、多少本来の意味からはズレてしまうものの、この時代錯誤を逆手にとって、「御意」を使ってみても新鮮で楽しいですよね。場を和ませるおもしろい部下、後輩になれるかもしれませんよ!