鉛筆の濃さ・硬さの特徴とは?年齢に合った鉛筆の選び方も紹介!
HBや2Bなど様々な種類がある鉛筆ですが、どうしてそんなにたくさんの種類があるのでしょうか。そんな鉛筆の基本的な知識や、鉛筆の濃さ・硬さの順番、年齢に合ったおすすめの選び方をご紹介します。また、受験用・デッサン用などにおすすめの濃さや硬さもまとめました。
目次
そもそも鉛筆って何で作られているの?
鉛筆の外側は木で作られていることが多いですが、芯はどんな素材でできているかご存知でしょうか。鉛筆の芯の部分は黒鉛と粘土を材料にして作られています。黒鉛は英名でグラファイト(graphite)と言い、石炭やダイヤモンドと同じ炭素でできた鉱物です。その黒鉛と粘土を混ぜて棒状に伸ばし、1,000℃の高熱で焼き上げたものが芯になります。このように、鉛筆は全て天然の物質で作られています。
鉛筆の芯の濃さや硬さは何が違う?
鉛筆は、例えばHBや2Bというように芯の濃さや硬さによって種類や順番が決まっています。どのように順番分けされているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
鉛筆の芯の濃さと硬さの種類とは?
鉛筆は芯の濃さと硬さによって順番にアルファベットと記号で種類分けされています。JIS(日本工業規格)では、17種類に分けられ以下のような順番になっています。
6B → 5B → 4B → 3B → 2B → B → HB → F → H → 2H → 3H → 4H → 5H → 6H → 7H → 8H → 9H
最も濃くて柔らかい鉛筆が6Bで、右へ行くにつれて順番に薄く硬い芯になっていきます。つまり、HB、Fはちょうど中間の濃さと硬さで9Hは最も薄く硬い芯になります。また、三菱鉛筆は上記の17種類の他に独自に5種類増やし、22種類のラインナップがあります。
鉛筆の芯の濃さと硬さの違いは?
鉛筆の芯は柔らかいほど濃く、硬いほど薄く書ける作りになっています。黒鉛と粘土の配合によって濃さや硬さが決まりますが、粘土が少なく黒鉛が多い鉛筆ほど濃くて柔らかい鉛筆になり、粘土が多く黒鉛が少ない鉛筆ほど薄く硬い鉛筆になります。
鉛筆の芯の濃さと硬さを表す記号の意味は?
鉛筆の芯の硬さや濃さを表すBやHという記号の意味は、それぞれBは「Black(黒い)」、Hは「Hard(硬い)」という英語の頭文字から名付けられています。また、順番的にBとHのちょうど中間であるFは「Firm(しっかりした)」という意味で、比較的新しく作られた基準です。
【年代別】おすすめの鉛筆と選び方を紹介!
子供の成長に沿って鉛筆を選ぶことは重要です。ここでは、鉛筆の使用が推奨されている小学校から中学校まででおすすめの鉛筆の選び方をご紹介します。
小学校で鉛筆が推奨される理由とは?
そもそも、なぜ小学校は鉛筆の使用を推奨しているのかという理由をきちんと知っている人はあまりいないでしょう。シャープペンシルと比べて鉛筆は筆圧の加減がし易いこと、芯の形によってはね・止め・払いが上手に書きやすいこと、そして芯が折れにくいことが鉛筆を推奨する主な理由だと言われています。
また、シャープペンシルは分解して遊んでしまう子供がいることや、芯を出す時のカチカチという音が集中力の低下につながるなどといったことも鉛筆の方が推奨されている理由に繋がります。
【小学校低学年】におすすめの鉛筆と選び方
小学校1・2年生は鉛筆を使い慣れようとする段階であり、筆圧の加減が難しいと感じる子供が多い学年です。ですので、小学校低学年は2BまたはBといった少し柔らかく濃いめの鉛筆がおすすめです。あまり強く力を入れなくても書ける鉛筆の方が子供にとって書きやすいと言われています。
【小学校中学年】におすすめの鉛筆と選び方
小学校3・4年生になると、そろそろ個人によって体格や握力に差が現れる頃です。本人の様子を踏まえてもっと柔らかい方が良さそうであれば3Bに、反対に筆圧が強い子供にはHBやFの鉛筆にしてあげましょう。
【小学校高学年】におすすめの鉛筆と選び方
小学校5・6年生にもなれば、ほとんどの子供は鉛筆で書くことにも慣れ、力も付いてきます。ですので、B・HB・Fの順番的にはちょうど中間にあたる鉛筆がおすすめです。はね・止め・払いが書きやすいものを基準に選ぶと選びやすいでしょう。
【中学生以上】におすすめの鉛筆と選び方
中学校ではシャープペンシルが解禁になる学校が多いですが、それでも高校受験時には鉛筆しか認められていません。中学生になるとほとんどの子供は筆圧が安定してくる年齢なので、HBまたはBの鉛筆が使いやすいでしょう。また、美術などでデッサンをする時には芯が柔らかめの鉛筆を選ぶなど、その時の使用目的に沿って数種類を揃えておくのもおすすめです。
【用途別】おすすめの鉛筆の濃さは?
鉛筆を使う時は、文字を書く、絵を描く、製図するといったように様々な用途に分かれますよね。次は、用途別におすすめの鉛筆の濃さをご紹介します。
【スケッチ・デッサン】におすすめの鉛筆の濃さ
スケッチやデッサンなど、絵を描く時は柔らかく濃いめの鉛筆がおすすめです。一般的には2B~6Bの鉛筆がよく使われています。また、1本だけではなく数種類の鉛筆を使い分けることで自然と表現力の幅が広がりますので、何本も持つことをおすすめします。
【模写】におすすめの鉛筆の濃さ
写真や絵を見てそれを真似る模写では、普段使い慣れているBやFなどの濃さの鉛筆がおすすめです。HBよりも薄くて硬い鉛筆を使うと消しゴムで消すのに時間がかかり疲れてしまうこともあるため、どちらかというと濃い方の鉛筆が望ましいでしょう。
【製図】におすすめの鉛筆の濃さ
製図は細かく薄い線を描くことが多いため、一般的には2Hから6Hまでの薄く硬めの鉛筆が推奨されています。より緻密なものを描く場合は7Hや8Hを使う方が良い場合もあります。特に製図用に販売されている鉛筆は、硬くて消しにくい一般の鉛筆よりも消しやすいように改良されているものが多いのでおすすめです。
【受験】におすすめの鉛筆の濃さ
受験の時は余計な緊張やストレスを少しでも減らすために普段使い慣れた鉛筆が良いでしょう。ただ、マークシート式の場合は濃すぎる鉛筆ですと消しあとが残って読み取りエラーを引き起こす場合がありますので、HBやFの鉛筆が好ましいと言われています。
鉛筆を使うメリット・デメリットは?
大人になるにつれてシャープペンシルを使うことが多くなる今の時代に、鉛筆を使うメリットやデメリットにはどんなことがあるのでしょうか。
鉛筆を使うメリットとは?
鉛筆のメリットとしては筆圧で強弱を付けられたり、角度を変えれば太くも細くも鉛筆1本で描くことができることが挙げられます。金属製のシャープペンシルよりも木製の鉛筆の方が持ち心地が柔らかく、心地よいと感じる人も多いでしょう。また、鉛筆で書いたものは100年前でも残っているものがあり、保存性の良さも証明されています。
鉛筆を使うデメリットとは?
芯が丸くなってきたら削らなければならない点を少々面倒に感じる人が多いようです。使い続けていくと短くなり持ちにくくなってしまうところもデメリットに挙げられるでしょう。また、筆箱にそのままで入れておくと芯が折れてしまいがちですので、キャップをするなどの対策が必要になります。
鉛筆の出荷量が年々減っている理由とは?
鉛筆の出荷量は年々減少傾向にありますが、その理由の1つは社会全般での鉛筆の使用頻度が減っていることにあるようです。一昔前は銀行や役所、オフィスでも鉛筆が主流でしたが、今はほとんどがシャープペンシルに変わっています。鉛筆は中学校卒業以来使っていないという人も珍しくありません。
基準となる鉛筆『HB』が今は『2B』に変わった理由は?
小学校で基準として推奨されているのは今は2Bが主流です。「あれ?自分の時はHBだったような」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は今、小学校入学の際の鉛筆は柔らかめの2BやBを指定する小学校が多いのです。その理由は、子供の握力と筆圧の低下が原因のようです。子供の筆圧は年々下がってきているというデータがあり、それを受けて小学校も基準を変える必要があったのです。
【番外編】日本の鉛筆の歴史を知ろう!
世界史では1560年代にイギリスで鉛筆の原型となるものが作られたと言われていますが、日本では徳川家康の遺品として残っている鉛筆が最も古い鉛筆の資料になります。
そして、日本で鉛筆が一般的になったのは明治維新後だと言われています。明治維新後、日本で初めて鉛筆を国内生産したのは小池卯八郎という人物で、オーストリアやドイツに鉛筆の作り方を学びに行き、鉛筆を日本に普及させました。
また、明治20年(1887年)には水車を動力とする鉛筆工場が東京に建てられました。それが現在の三菱鉛筆です。鉛筆を製造する会社の中には、100年の歴史を持つ会社が多くあります。
使用目的に応じて自分に合った鉛筆を選ぼう!
今回は鉛筆について詳しく解説しました。使用目的に合った鉛筆を選ぶことは大切ですね。芯を整えたり短くなったりとデメリットもある鉛筆ですが、鉛筆独特の持ち味や風合いも素敵ですよね。お子さんが小学校入学を控えているご家庭や、鉛筆に疑問があった人は参考にしてください。