『そちら』は敬語として使える?ビジネスマナーや注意点も!

ビジネスシーンではよく使う「そちら」という言葉はいくつかの意味があります。いつも敬語として使っていた人もいるかもしれません。そこで正しい「そちら」という言葉の使い方や敬語として会社で使うことができるのかどうかなど、注意する点を併せてご紹介します。

『そちら』は敬語として使える?ビジネスマナーや注意点も!のイメージ

目次

  1. 1『そちら』は敬語として使えるの?
  2. 2『そちら』は敬語か否か
  3. 3『そちら』の正しい使い方
  4. 4『そちら』の使い方を例文で確認しよう!
  5. 5『そちら』を使う際の注意点3選!
  6. 6『そちら』と似た意味を持つ敬語5選!
  7. 7『そちら』の正しい使い方を覚えよう!

『そちら』は敬語として使えるの?

男女が会社でミーティングしているところ

「そちら」という言葉はビジネスシーンでよく使いますよね。使う時は目上の人に対して敬語として使っていますか。それとも敬語ではなく丁寧な話し方をする際に使っていますか。いつも何気なく遣っている言葉だからこそ、きちんとその使い方を知っておきましょう。そこで、「そちら」のビジネスシーンで使う場合の注意点や敬語として使えるかどうか、また指示代名詞としての使い方についてご紹介します。

『そちら』は敬語か否か

『そちら』は敬語なの?

上司が座って話しているところ

実は、ビジネスシーンでもよく使っている「そちら」という言葉は敬語ではなく代名詞です。代名詞には敬語がないため、「そちら」という言葉は敬語ではなく「改まり語」に分類されます。そのため、目上の人に対してのみ使う敬語と認識している人は間違った使い方になってしまうので注意しましょう。

『改まり語』とは?

ミーティング中の男女

改まり語とは、敬語と同じように社会人として知っておきたい言葉の一つです。敬語とは違い、目上の人に対して使う、自分の立場を下げて相手を謙遜するなどのルールはありません。会社で日常とは違う改まった雰囲気を出すために使います。

たとえば、改まり語は書類などを「送る」のではなく「送付する」、また「今日」を「本日」などと言い換えます。もちろんこれらの言葉は敬語ではありませんよね。同様にビジネスシーンにおいては「そっち」ではなく、改まり語の「そちら」を使いましょう。会社の先輩との会話や会議での会話なども、敬語だけではなく改まり語を使って会話をするように注意しましょう。

『そちら』の漢字は?

本とメガネとコーヒー

「そちら」という言葉は位置や方角を示す指示代名詞です。漢字は「其方」と書きます。「其」はそっちという意味があり、「方」は漢字の通りに方角を表します。日本には昔から直接的に相手を特定して指し示すのは不作法という考え方があります。そのため「方」という漢字を使って方角とともに相手を指します。

4つの指示代名詞の違いとは?

考えている女性

指示代名詞と呼ばれる言葉には4つの種類があります。また、「こ・そ・あ・ど言葉」とも呼ばれていて小学生の頃に習った記憶がある人もいるかもしれません。自分に近い場所(または自分)を「こちら」、自分から遠い場所(または相手)を「あちら」と言います。また、自分と相手と同じくらい距離が離れている場合を「そちら」、わからない場合を「どちら」と表現する言葉を指示代名詞と言います。

『そちら』の正しい使い方

指示代名詞としての使い方

ペンで書類を指さしているところ

「そちら」という言葉の指示代名詞としての使い方をご紹介します。指示代名詞としての「そちら」の使い方は物や方向を指します。たとえば、会社の場合はその場にある書類や商品を指す時に「そちら」と表現します。また、記憶や文章の中で表現されているものを指す場合も「そちら」という言葉の使い方をします。

人称代名詞としての使い方

会社でのミーティング中

「そちら」という言葉を指示代名詞としてではなく人称代名詞として使うこともできます。その場合は、話の聞き手なのか、話の中に出てくる人物を指すのかによって「こ・そ・あ・ど言葉」で表現しましょう。話し手を指す一人称は「こちら」、聞き手を指す二人称または聞き手のすぐそばにいる人物を指す三人称は「そちら」、三人称を表す場合は「あちら」、誰かわからない場合の不定称は「どちら」になります。「こ・そ・あ・ど言葉」は敬語ではありません。そのため、相手の立場や関係性よりももっとシンプルに誰を指しているのかによって言葉を使い分けます。

『そちら』の使い方を例文で確認しよう!

例文①人称代名詞

パソコンを見ながら打ち合わせをしているところ

人称代名詞は敬語ではないので、敬語と組み合わせて文章にすることができます。まずは「そちら」を人称代名詞として使う場合の例文をご紹介します。
 

  • そちらは存じ上げません。
  • そちらのご都合にあわせてスケジュールを調整させていただきます。

例文②ビジネスシーン

会議室

ビジネスシーンでは正しい敬語を使うことが必須になります。そこで、「そちら」という言葉を使う場合も相手に失礼のないよう注意しましょう。
 

  • この書類をそちらの皆さんにお渡しください。
  • そちらの住所で間違いありません。
  • そちらに商品をお渡しください。

例文③電話

書類とスマホ

電話でも敬語と組み合わせて「そちら」という言葉を使うことは可能ですが、違う言葉で表現することもできます。
 

  • そちらで社員を募集しているのを見ました。
  • そちらの連絡先を教えていただけますでしょうか。

この例文では「そちら」という指示代名詞が会社を指しています。そのため、「そちら」を「御社」と言い換えることができます。「御社」ということでさらに丁寧な表現になりますよね。電話は相手の顔が見えないため、より丁寧な会話が求められるので敬語と同じように覚えておくと便利です。

『そちら』を使う際の注意点3選!

「そちらのほうになります」は不自然

カフェのカウンター

最近は「バイト敬語」という言葉を耳にします。「こちらがメニューのほうになっております」「そちらのほうになります」などの言い方は敬語ほどではありませんが丁寧な印象を受けます。ですが、これらの言葉は正しい敬語の使い方ではありません。むしろ日本人特有の遠回しな表現や謙虚、婉曲的な言葉と言うことができます。

謙虚や丁寧な印象を受けるかもしれませんが、間違った敬語ではなく指示代名詞を使ってはっきりと表現した方がむしろわかりやすい場合もあります。「こちらがメニューです」「そちらが今回作成した資料です」など正しい敬語や丁寧語を使ってはっきりと話すことを心がけてみましょう。

「そちら様」を使うときは要注意

会議中のマイク

「そちら」という言葉は敬語ではありませんが、丁寧な言葉です。また、「様」は敬称なので丁寧な表現になります。ところが「そちら」という言葉につける場合は注意が必要です。たとえば、会社の会話では相手が目上の人の場合は「そちら」と言えません。そこで敬語を使わずに相手のことを指す場合は、「そちら様」または「お連れ様」という表現になります。ところが、中には「そちら様」という言葉に相手との距離を感じて不快に思う人もいます。そのため、「そちら様」の使い方には注意しましょう。

ビジネスシーンでは使い分けが大切

パソコンをしている女性

ビジネスシーンでは相手が目上の人なのかどうかによって敬語と同じように使い分けをすることが大切です。また、会話・電話・メールなどその状況によって使い分けられるようにしましょう。たとえば、相手が目上の人であれば「あなた」や「そちら」では失礼にあたるので「そちら様」と表現しましょう。敬語だけではなく、相手に失礼のないような話し方や言葉の使い方も頭に入れておくと便利です。

『そちら』と似た意味を持つ敬語5選!

会社を表す場合

社内の執務室

「そちら」という言葉を使わずに会社を表現する場合は「御社・貴社」などを使いましょう。話し言葉の場合は「御社」を使い、書き言葉の場合は「貴社」を使います。

学校を表す場合

スクールバス

相手側が学校の場合は「御校」または「貴校」と表現します。会社の場合と同じく、話し言葉なのか書き言葉なのかによって使い分けをしましょう。学校の名前の中には「学園」ということもあります。その場合は、「御学園(貴学園)」といった表現も可能です。

病院を表す場合

聴診器

病院の場合は「御院・貴院」などと表現しましょう。ただし、病院名の中にはクリニックという名前のこともあります。その場合は「御クリニック」ではなく「御院」または「御施設」としましょう。さらに、病院は経営母体が医療法人や社会福祉法人の場合もあります。その場合は「「御法人・貴法人」という表現を使いましょう。

その他の団体を表す場合

会社以外の団体を表す場合も基本的には同じ表現の仕方になります。話し言葉であれば「御」を使い、書き言葉は「貴」をつけましょう。たとえば銀行の場合は「御行・貴行」になります。

人称代名詞として使う場合

ノートに字を書いているところ

「そちら」という言葉は指示代名詞として物や方向を示す以外にも、人称代名詞として使うことができます。そのため、指示代名詞としては「そちら」と使うことができますが、人称代名詞としては「そちら様」や「お連れ様」などの似た表現ができます。また、「こちら」という言葉は「当方」などの言葉で置き換えることができます。

『そちら』の正しい使い方を覚えよう!

相手にパソコンの画面を見せているところ

「そちら」という言葉は敬語ではありません。ところが、物や方角、相手のことを指す言葉としてビジネスシーンでは欠かすことのできない表現です。「そちら」の正しい使い方や似た表現を併せて覚えておくことで、丁寧な話し方ができるので敬語と併せて使うことで相手からの信頼度もアップします。ぜひ、社会人のマナーの一つとして覚えておきたいですね。

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この記事のライター
hitomix
管理栄養士、ライターとして活動しています。食やライフスタイルなど気になったことを書いていきたいと思います。

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