源泉徴収票に交通費は含む?課税対象になる交通費・間違いの対処法も!
源泉徴収票と交通費の関係を詳しく説明します。源泉徴収票と交通費の計算が間違っているかもと思ったらどうするべきか紹介します。また、源泉徴収票は社会保険や年金の計算・住宅ローンの審査にも必要な書類です。住宅ローンについても説明します。
目次
源泉徴収票の支払金額に交通費が含まれていないのは間違っている?
会社から貰える源泉徴収票を見ると思っていた金額より少ないと思うことはありませんか?普段の月収から計算しても足りていないと。特に通勤時間が長い人ほどそう思うようです。なぜなら、それは源泉徴収票の金額に交通費が含まれていないからなのかもしれません。今回は源泉徴収票と交通費の関係について解説します。
源泉徴収票の基礎知識
そもそも源泉徴収票とは何なのでしょうか。普段何となく会社から貰って机の引き出しにしまっているのではないでしょうか。実は様々な役目があります。税金・社会保険・年金などに関係する重要な書類です。住宅ローンの審査にも使われます。まずは源泉徴収票の基礎知識を説明します。
なぜ源泉徴収票は発行されるの?
源泉徴収票とは給与やボーナスなど一年間で会社があなたに支払った総支給額やあなたが支払った社会保険料や所得税などが一目でわかるように記載された書類の事です。本来であれば個人が確定申告をして税金を後払いで支払うものですが、手続きが複雑なため会社が代行してくれます。月々の分割払いなので労働者側としても支払いやすいです。また、国のメリットとしては自動的に給与から税金を支払うので徴収漏れがありません。
源泉徴収票の見方は?
源泉徴収票の見方を解説しますが複雑なので重要な部分をピックアップしてます。まずは上の部分の支払金額を見てください。支払金額は年収の事で一年間のボーナス・給与の合計額です。次にその右部分の源泉徴収税額を見てください。これは一年間で課税された所得税の金額です。支払金額が多ければ多いほど課税される所得税の金額が多くなります。
源泉徴収票の年収に交通費は含まれる?
年収が多い方が良いと思われがちですがその分の所得税も多くなってしまいます。交通費はもともとあなたのお金です。つまり見せかけで年収が増えても嬉しくありません。では源泉徴収票の年収に交通費は含まれるのでしょうか?
基本的に交通費は源泉徴収票に含まれない
交通費は源泉徴収票に含まれません。交通費は基本的には非課税です。なぜなら支払金額が多いほど課税される所得税が多くなります。もしも支払金額に交通費が含まれているとあなたが「損」をしてしまいます。一般的に交通費はあなたの財布から立て替えて、後で給与と一緒に銀行口座に振り込まれるものです。交通費を給与としてしまうと二重で課税されてしまう訳です。
特定の条件により課税対象となると年収に含まれる
交通費は基本的には非課税ですが特定の課税条件になると年収に含まれます。いくら二重の課税はしないとはいえ、無条件で非課税という訳にはいきません。交通費は「経済的かつ合理的な方法による金額」である必要があります。
交通費が課税対象になる場合は?
交通費は基本的には非課税です。しかし課税の場合と非課税の場合があります。ではどのようなときに交通費は課税対象になるのでしょうか?次は交通費が非課税対象・課税対象になる条件を解説します。
公共交通機関の限度額は15万円
交通費は「経済的かつ合理的な方法による金額」であれば支払われます。電車やバスなどの公共交通機関は15万円までは非課税になります。そして限度額15万円を超えてしまった部分が課税対象になります。例えば交通費が公共交通機関で18万円だとしたら限度額15万円が非課税、3万円が課税対象として源泉徴収票の支払金額に含まれます。ちなみに新幹線も対象になりますが、グリーン車は対象外です。
マイカー通勤の場合は距離によって限度額が異なる
マイカー通勤の場合は下記の表が限度額になります。公共交通機関と併用している場合は下記の限度額と合わせて15万円以内であれば非課税となります。
片道の通勤距離 | 1カ月当たりの非課税限度額 |
2km未満 | 全額課税対象 |
2km以上10km未満 | 4,200円 |
10km以上15km未満 | 7,100円 |
15km以上25km未満 | 12,900円 |
25km以上35km未満 | 18,700円 |
35km以上45km未満 | 24,400円 |
45km以上55km未満 | 28,000円 |
55km以上 | 31,600円 |
源泉徴収票に間違いがあると感じた時のチェックポイント
では実際に源泉徴収票に間違いがあると感じた時のチェックポイントを紹介します。万が一、源泉徴収票に間違いがあったとしても修正をしなければ多く税金を払うことになってしまうかもしれません。過少報告なら脱税になってしまいます。
非課税項目は支払金額に含まれない
交通費の他も非課税項目はあります。会社員に関係する主なものを紹介します。まずは転勤や出張などの旅費が非課税項目です。これも交通費と同じであなたが立て替える性質から二重の課税を防ぐために非課税となります。次に社会保険料や雇用保険料です。これらも非課税なので年収に含まれません。
支給の時期が年をまたぐ場合は含まれない
年収は1月1日から12月31日までの総支払額を計算するので年をまたぐ場合は含まれません。逆に前年の分が本年度に含まれています。年収の計算が合わない時はややこしいですがこの点も注意してください。
気になる点は会社の担当部署へ確認を
専門家ではないので全部自分で計算するのは無理があります。どうしても分からない場合は会社の担当部署に確認するのが確実です。あなたが疑問に思っていることを紙にまとめて伝えた方がスムーズに対処してくれるはずです。
源泉徴収票をの間違いを見つけた時の対処法
源泉徴収票がおかしいと思い、調べていくうちに間違いを見つけることがあります。こういった時はどうすれば良いか対処法を説明します。間違いがあったら税金の金額が変わってしまうことがあります。時間がたつ程面倒なことになってしまう可能性が高いです。できるだけ早めに対処した方が良いです。
対処①源泉徴収票を発行した部署へ問い合わせる
源泉徴収票の間違いがあった場合は会社の担当部署に伝えましょう。でも一つだけ注意点があります。それは冷静になることです。間違いがあると担当部署を責めてはいけません。余計なトラブルになってしまう恐れがあります。間違いがあるかもしれないと柔らかく質問した方が良いです。
対処②自分で確定申告をして修正する
自分で確定申告をすることも可能です。やり方が分からない場合は税務署に行けば教えてくれます。ですが時間がかかるし複雑なので詳しい人以外はあまりお勧めできません。一度チャレンジしてみたいという人でなければ会社に対処してもらった方が良いでしょう。
【番外編】年収に交通費は含む?含まない?
上記の所得税の計算では年収に交通費は含みません。ですが申告先によって年収に交通費が含む場合と含まない場合があります。交通費を含めない年収の方が所得税に関しては課税が少なくて済むので「得」ですが、他の申告先ではそうとも限りません。次はその申告先について解説をします。
社会保険や年金の計算には交通費を含む
所得税とは違い、社会保険や年金の計算には交通費は含みます。これは「賃金」は厚生労働省によって「労働の対償として事業主が支払うすべてのもの」と定義されているからです。103万の壁・130万の壁があるパート・アルバイトにとってはとても重要な問題です。源泉徴収票の金額だけでなく交通費の計算もしなければいけません。
クレジットカード審査には含めてOK
所得税や前述の社会保険・年金とは違いクレジットカード審査は年収が多い方が「得」です。通常クレジットカードの審査は年収が多い方が有利です。クレジット会社への自己申告なので交通費を含めた方が審査に通り易いです。これはクレジットカードの発行時だけでなくカードローンの限度額にも言えることです。しかしいくら自己申告とはいえ限度を超えて年収を水増しするとクレジット会社の信用を失ってしまいます。
住宅ローンの審査には含めない
上記のクレジットカード審査は自己申告でしたが、住宅ローンの審査は源泉徴収票の支払総額で決められます。よって住宅ローンは年収に非課税分の交通費は含めません。住宅ローンはクレジットカードとは違い高額なので審査が厳しくなっています。また、住宅ローン審査では数年分の源泉徴収票を求められるので捨てずに保管をした方が良いです。
源泉徴収票の交通費は課税と非課税に注意して!
所得税の課税額の計算だけでなく、社会保険・年金・住宅ローン審査についても源泉徴収票は重要な書類です。課税・非課税の金額次第で損することも得することもあります。住宅ローンの審査が通らない場合もあります。あなたの源泉徴収票に間違いがあるかもと思ったら早めに確認するようにしましょう。