2019年05月29日公開
2019年05月29日更新
鳥の交尾や産卵方法!生殖器がないのにどうやって交尾するの?
みなさんは鳥の交尾についてご存知ですか?多くの鳥には生殖器がないのに、どうやって交尾をしているのか知らない人は多いです。生殖器がないのにどのように交尾をして受精するのか、産卵や子育てについてもご紹介します。交尾などの他にも、鳥の求愛行動についても解説します。
目次
鳥には生殖器がない?どうやって交尾するの?
多くの鳥にはオス・メス共に生殖器がありませんが、どうやって交尾するのでしょうか。鳥は交尾の時間がとても短いため、鳥をオス・メスのペアで飼っている人でもどのように交尾をするのか知らない人も多いかと思います。本記事では鳥の生殖器や交尾についてだけでなく、ダンスや歌などを使った面白い鳥の求愛行動についてご紹介します。鳥についてより詳しく知ることができるので、鳥好きな人は必見です。
鳥の生殖器の特徴とは?
約97%の鳥は生殖器を持たず、オスは体内に精巣を2つ持っており繁殖期になるとこの精巣は普段の100倍の大きさに膨らみます。そして交尾をする際には、総排出腔(直腸・排尿口・生殖口を兼ねた器官)を擦り合わせることで交尾を行いメスに精子を送ります。
カモやダチョウといった一部の鳥は生殖器を持っており、哺乳類と同じように交尾を行います。しかし生殖器を持つ鳥は哺乳類などとは違い、繁殖期以外は体内に格納されているため生殖器を持たない種類の鳥との区別は見た目だけでは分からないようです。
鳥の繁殖時期はいつなの?
早春から夏頃にかけてが鳥の繁殖時期です。この時期に関しては、野鳥や飼っている鳥での変化はありません。そのためこの時期に飼っている鳥が「甲高い声で鳴く」「落ち着きがない」といった、いつもと様子が違う場合には発情している可能性が高いと言えます。
鳥の繁殖時期は、厳しい冬を成熟した大人として迎えられるように気温が温暖になってくる早春から始まるのだと言われています。同様の理由で、繁殖時期が春から夏である動物は多くいます。
鳥の交尾の方法とは?
鳥の交尾は主に、オスがメスの背中に乗り総排出腔を擦り合わせることで精子をメスの体内に送ります。その際メスが動いてしまうと精子が上手く体内に入らないため、メスは精子を体内に入れ受精しやすくするために尾羽を横にずらして大人しくしています。
パートナーである場合にはこのようにメスもオスの精子を得るため、協力して交尾を行います。しかしパートナーではないオスが無理矢理メスと交尾をしようとした場合、メスは精子が自分の体内に入らないよう暴れるため交尾は失敗します。
鳥の交尾の時間が短い理由は?
鳥の交尾の時間は、種類によって異なりますが交尾が短い種類で1秒・交尾が長い種類で1分ととても時間が短いのが特徴です。なぜここまで交尾の時間が短いのかと言うと、鳥が飛ぶために体を軽量化したことで交尾の方法も簡略化されたという説があります。また、交尾の時間が長いとそれだけ天敵に襲われるリスクが高くなってしまいます。そのため、天敵から狙われないように交尾の時間が短くなったのではないかとも言われています。
鳥の交尾から産卵までの期間はどのくらい?
交尾をして受精に成功すると、有精卵を産卵することができます。しかし交尾から産卵までの期間は種類によって異なります。交尾から産卵までの期間が短い鳥では、交尾から約1週間で有精卵を産卵します。しかしほとんどの鳥は、交尾をして受精してから2週間~1ヵ月以内で有精卵を産卵することが多いです。
有精卵が産卵されると、その後体の小さな文鳥は17日・大型の猛禽類は30日程度でヒナが孵化します。鳥の体が大きいほど、孵化するまでの期間は長くなるようです。
鳥の産卵方法とは?
鳥のメスは、オスの精子を自分の体内で一定期間保管することができます。そのため、卵巣から卵子が排出されるたびに受精し確実に有精卵を産卵することができるのです。鳥によっては交尾後にすぐ受精させず、約1年もの間体内に精子を保管することもあるようです。
鳥のメスは交尾をして精子を受精することで有精卵を産卵することができますが、産卵する間隔は種類によって異なります。基本的には、文鳥のように小柄な鳥は1日に1つのペースで産卵し、大柄な鳥は1週間おきに産卵することが多いです。また、産卵する時間帯は朝方~夕方までと鳥の種類によって様々ですが夜に産卵する鳥はいないようです。
鳥は交尾をしなくても産卵するって本当なの?
基本的に鳥のメスは、オスと交尾をしなくても産卵します。この場合は精子がないため有精卵ではなく無精卵となり、スーパーなどで売られている卵のほとんどはこの無精卵です。鳥は飛ぶために体を軽量化しなければいけないので、体内に糞尿を留めることができません。それは卵も同様で、体内に留めることができないため交尾をしなかったとしても産卵するのです。
【番外編①】鳥の求愛行動とは?
鳥のオスは交尾をする前に、まずは求愛行動でメスに認められパートナーになる必要があります。ペットとしても人気の文鳥は、発情期になると求愛のためにダンスをします。文鳥のようなダンスだけでなく、鳥には様々な求愛行動がありますのでご紹介します。
求愛ダンス
鳥のオスがメスに向けて行う求愛行動の中には、リズミカルに体を上下左右に揺らしたりステップを踏むといった求愛ダンスがあります。求愛行動にダンスをする鳥のほとんどは、メスはただ見ているだけでオスだけが激しいダンスを披露します。ダンスによってオスが認められれば、そのままパートナーとなり交尾をします。
ペットとして人気の文鳥の場合、求愛ダンスはオスだけでなくメスも一緒にダンスをします。いかに息の合ったダンスができるかどうかで、メスに選ばれるかどうかが決まります。文鳥のようにオスとメスが一緒にダンスをする鳥は、パートナーを決める時だけでなくパートナー同士のコミュニケーション手段として息の合ったダンスをするようです。
繁殖期に鮮やかな羽を生やす
オシドリやクジャクなど、オスはメスに比べてとても鮮やかな色合いの羽を生やしている印象があるかと思います。しかしこの鮮やかな羽は、メスに自分の存在をアピールするためのものなので繁殖期にしか見られません。繁殖期以外では、オスもメス同様大人しい色合いの羽なのです。
常に鮮やかな羽をしていると、天敵にすぐ見つかってしまい生き延びることができません。そのためオスは普段は大人しい色の羽で生活し、繁殖期のみメスに自分の存在をアピールするため鮮やかな羽にするのです。
歌を歌ってアピールする
インコやオウムのように声帯が発達した鳥は、メスに対して歌を歌ってアピールします。この場合には、音域の広さやメロディの美しさでメスは判断していると言われています。そのため音域が狭く歌が下手なオスは、メスとパートナーになることができません。
歌を歌う以外にも、メスにアピールするために甲高く大きな声で鳴く鳥は多いです。春になるとウグイスの鳴き声が聞こえますが、これはウグイスのオスがメスに自分の存在をアピールしている求愛行動なのです。このようにほとんどの鳥のメスは、いかに美しい声で鳴いているかでオスを選ぶようです。
【番外編②】鳥のキスは愛情表現なの?
インコや文鳥など多くの鳥は、交尾の最中にクチバシを合わせてキスのような行為をします。しかしキスをする鳥と言っても、全ての個体が交尾中に必ずキスをするということではありません。交尾中にキスをする文鳥でも、個体によっては1度もキスをせずに終わることがあるようです。
鳥は交尾中だけでなく、パートナー同士の挨拶などのコミュニケーションツールとしてキスをすることがあります。そのため鳥にとってのキスは、愛情表現ではありますが挨拶としての意味合いが強いと言えます。
【番外編③】鳥の子育ては夫婦で協力する?
ほとんどの鳥は夫婦で協力して子育てをします。鳥は交尾をしてオスの精子によって受精し有精卵を排卵するため、この有精卵を抱卵(卵を包み込んで温める行為)してヒナが生まれるまで温め続ける必要があります。しかし、ヒナが生まれてからも安心はできません。生まれたばかりではまだ目も開いておらず、羽毛も生えていないため親鳥が温めなければ体温を維持できず死んでしまいます。そのため鳥の夫婦は交尾をして終わりではなく、交尾をしてからも一緒に行動し協力しながら子育てを行うのです。
鳥は人間のように愛情深い動物!
鳥の交尾についてや、様々な求愛行動についてご紹介しましたがいかがだったでしょうか。人間以外のほとんどの動物は交尾が終わると、子育てはメスが行うことが多いです。しかし鳥は生存率を上げるために、交尾が終わってからも夫婦で協力して子育てを行う素晴らしい動物であることが分かりましたね。