『拝啓』と『かしこ』の違いと使い方!手紙の書き方のルールも解説!

社会人として覚えておきたい「拝啓」や「かしこ」など手紙の書き方を知っていますか。ビジネスシーンやお礼状など年齢を重ねていくと必要な場面が増えてきます。メールで済ますこともできますが、改めて「拝啓」や「かしこ」の使い方や返信のルールについてまとめてみました。

『拝啓』と『かしこ』の違いと使い方!手紙の書き方のルールも解説!のイメージ

目次

  1. 1意外と難しい!正しい手紙の書き方
  2. 2『拝啓』とは?
  3. 3『かしこ』とは
  4. 4手紙の書き方のルール①手紙の7つの基本構成と位置
  5. 5手紙の書き方のルール②頭語と結語の5パターン
  6. 6手紙の書き方のルール③手紙を締めくくる結びのあいさつ文例集
  7. 7手紙の書き方の文例3パターンを紹介!
  8. 8はがきと手紙の違いについて解説!
  9. 9どんなときに手紙を書く?おすすめの6つのシーンを紹介
  10. 10『拝啓』や『かしこ』を使った丁寧な手紙で気持ちを伝えよう!

意外と難しい!正しい手紙の書き方

考え事をしている女性

ビジネスシーンでもプライベートでもメールが当たり前になりつつある今、手紙やはがきを書く機会はどんどん少なくなっています。そのため、「拝啓」や「かしこ」など手紙にはルールがあることを知らない人も多くなっています。そこで手紙特有のルールである頭語(拝啓など)、結語(かしこなど)また時候のあいさつをまとめてみました。必要なときになって「拝啓ってどこに書けばいいの?」「かしこってどんな意味?」と焦らないためにも言葉の使い方や文例を通して手紙の書き方を覚えておきましょう。

『拝啓』とは?

拝啓の意味と使い方

ペンとノート

「拝啓」という言葉は、手紙の頭語に使います。「拝啓」の意味は「謹んで申し上げる」になります。「拝啓」という言葉は、目上の人に対しての謙譲語になります。また、「拝啓」という言葉の使い方で大切なことは、その結語が必ず「敬具」または「かしこ」になるということです。

『かしこ』とは

かしこの意味と使い方

ペンで字を書いているところ

「かしこ」という言葉は漢字で「畏」と書き、「充分に意を尽くす手紙になっておらず恐れ入ります」という意味になります。また、漢字で書くと「かしこ」は「可祝(かしく)」にもなります。この「可祝」の意味は「これで失礼します」になるので、手紙の最後に「かしこ」と書く意味がよくわかりますね。さらに、「かしこ」は「かしこまる」とも同じ意味を持つと言われています。そのため、「かしこ」を手紙の最後に書くことで相手に敬意表しますという意味にもとることができます。

「拝啓」という言葉の結びは「敬具」になりますが、「かしこ」という言葉の使い方は「拝啓」に限らず、頭語がなくても使うことができる言葉です。また、「かしこ」という言葉は昔から女性がひらがなをよく使っていたことから、現代でも女性が差出人の場合によく使われています。

手紙の書き方のルール①手紙の7つの基本構成と位置

手紙

①頭語

「拝啓」などの頭語は手紙の始まりの位置に書く言葉で相手に対して敬意を表します。「拝啓」を書く位置は、手紙の一番初めです。このルールは縦書きの場合も同じです。また、「拝啓」以外の頭語を使う場合は、しめくくりに使う「かしこ」などの結語との組み合わせが決まっています。また、年賀状や暑中お見舞い、残暑お見舞いなどの季節の挨拶をはがきで送る場合は、頭語(拝啓)や結語(かしこ)は必要ありません。また、弔辞の手紙や抗議文などにも頭語や結語は使わないというルールがあります。

②前文

「拝啓」などの頭語に続けて、季節のことを短く表現します。書く位置は「拝啓」の次の行になります。縦書きの場合も同じです。たとえば、「盛夏の候」のように季節を表す言葉に「候」または「みぎり」などをつけることができます。また、ビジネスの手紙ではなく親しい間柄の人に手紙を書く場合は、「桜の開花まであと少しですが、お花見の予定はもう立てられましたか。」などの口語的な挨拶を書いてみましょう。

③主文

「拝啓」などの頭語、季節の挨拶を書いた前文の次の行の位置から本文を始めましょう。「さて」「ところで」などの起こし言葉を書いてから要件を続けるととても読みやすくなります。また、句読点、段落などの使い方に配慮したり、特に縦書きの場合は改行によって数字や単語を途中で切らないように気を付けましょう。

④末文

末文には、相手が目上の人かどうかにかかわらず、これからの厚誼を願い、また相手の健康や繁栄を祈るという内容の文章にします。末文を書く位置は、主文の次の行に新たに書き始めましょう。縦書きの場合も同じく新しい行に書きましょう。お礼の手紙の場合の文例は「略儀ながら書中をもって御礼申し上げます」にします。相手から返信をもらいたい場合の文例は、「お返事いただければ幸いです」になります。

⑤結語

結語は「拝啓」などの頭語とセットで使います。「拝啓」の場合は結語を「敬具」とし、「謹啓」の場合は「謹白」とします。また、「かしこ」という結語は頭語にどのような言葉を用いても使うことができます。「かしこ」などの結語を書く位置は、末文の次の行になります。ただし、その行内の位置は書き始めをそろえるのではなく横書きの場合は右端に、縦書きの場合は行の一番下の部分に「かしこ」と書きましょう。

⑥後付

後付は、この手紙を書いた人が誰なのか、誰あてに送るものなのか、さらにいつ書いたのかといった情報を書く部分になります。「かしこ」などの結語を書いた次の行に書きましょう。日付はきちんと年月日を書ききますが、慶事の場合は詳細の日付ではなく「吉日」とする場合もあります。縦書きかどうかにかかわらず日付は漢数字で書きましょう。

また、後付の次の行の位置に脇付を書く場合もあります。脇付は、相手、特に目上の人に対して敬意とともにへりくだった気持ちを表します。書く位置「様」や「先生」などの敬称とより少し下げたところになります。

⑦添え文

最後に添え文を書く場合もあります。その位置は後付または脇付の次に「追伸」「追って」などとしましょう。主文に書き加えたい内容を添え文にしましょう。添え文のルールは、縦書きの場合も同じで本文よりも少し小さめの字で書くことと、目上の人に対してはとても失礼になるので避けましょう。

縦書きの場合の書き方

縦書きの場合も基本的な手紙やはがきのルールは変わりません。「拝啓」から「かしこ」、後付などを書きましょう。縦書きの場合に気をつけたいことは数字の書き方です。後付の日付は横書きでは算用数字で書いても問題ありません。ただし、縦書きの場合は漢数字で書くように気を付けましょう。

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手紙の書き方のルール②頭語と結語の5パターン

①発信する際の頭語と結語

コーヒーとメモとノート

手紙やはがきをこちらから発信する場合は頭語と結語はこのようになります。

頭語

  • 拝啓
  • 拝呈
  • 啓上
  • 一筆啓上(一筆啓上申し上げます)


結語
  • 敬具
  • 拝具
  • 敬白
  • かしこ

また、ビジネスの場合や目上の人に対してこちらから手紙やはがきを送る場合の頭語、結語は「拝啓」とは少しちがいます。

頭語
  • 謹啓
  • 謹呈
  • 恭啓
  • 謹んで申し上げます


結語
  • 謹白
  • 謹言
  • かしこ

②返信する際の頭語と結語

机に手紙が置いてあるところ

相手から手紙やはがきを受け取り、その内容に対して返信をする際の頭語も「拝啓」と書いてしまいがちですが、実は違います。

返信する際の頭語

  • 拝復
  • 復啓
  • 敬復
  • お手紙ありがとうございます

結語
  • 拝答
  • 敬具
  • 敬答
  • かしこ

ビジネスシーンや目上の人に対して返信する場合は、「拝啓」よりもさらに丁寧な頭語や結語を使いましょう。

頭語
  • 謹復
  • 謹答
  • お手紙謹んで拝見いたしました

結語
  • 謹言
  • 敬答
  • かしこ

③緊急の発信の場合の頭語と結語

砂時計と時計

緊急で相手に手紙を送る場合は頭語は「拝啓」ではありません。

頭語

  • 急啓
  • 急呈
  • 急白
  • とり急ぎ申し上げます

結語
  • 草々
  • 不一
  • 不尽
  • かしこ

④再信する場合の頭語と結語

紙に字を書いている男性

相手からの返信を待たずにまたこちらから手紙を送らないといけないという状況の場合は、「拝啓」を使いません。

頭語

  • 再啓
  • 再呈
  • 重ねて申し上げます

結語
  • 敬具
  • 拝具
  • かしこ

⑤前文を省略する場合の頭語と結語

季節の挨拶などの前文を省略して頭語と結語のみにする場合は「拝啓」ではなく、また違った言葉の使い方をしなければいけません。

頭語

  • 前略
  • 冠省
  • 冠略
  • 略啓
  • 前略ごめんください


結語
  • 草々
  • 不一
  • 不備
  • かしこ

手紙の書き方のルール③手紙を締めくくる結びのあいさつ文例集

①相手の健康、活躍などを祈る結びのあいさつ

手でろうそくを持っているところ

  • ご自愛のほどお祈りいたしております

相手の健康や活躍などを祈る場合の結びのあいさつは、手紙の中でもこちらの気持ちを率直に伝えることができる文章になります。そのため、手紙を書くときはこの文例を参考に忘れずに書き添えましょう。ご自愛という言葉は「体のことを大切にしてください」という意味になるので、「お体の程ご自愛ください」という文章では「体」を二度表現することになり間違っているので気を付けましょう。

  • ご多幸をお祈り申し上げます

ご多幸という言葉はビジネスシーンはもちろん、目上の人に対しても使うことができる言葉なので結びの言葉としてはおすすめの文例です。

②今後に繋げる結のあいさつ

女性二人が支えあって立っている後ろ姿

  • またお会いできる日を楽しみにしております

ビジネスにおいてこれからもお付き合いがある場合、今後に繋げることができるあいさつも結びの言葉におすすめです。

  • 今後ともよろしくお願いいたします

手紙の中の言葉だからといって気負うことなく、いつも使っているこのような言葉も季節を問いません。結びの言葉に迷ってしまったら、おすすめの文例です。

③用件を結ぶあいさつ

ノートに書いてある字

  • まずは書中にてご挨拶申し上げます

ビジネスシーンだけではなく、プライベートでもお礼状などを送る場合の結びの言葉として使うことができます。

  • 用件のみにて失礼いたします

特にビジネスシーンでは、必要な情報が端的に書いてあった方がわかりやすい場合もあります。その場合は結びの言葉も短くシンプルにしてみましょう。

④伝言をお願いする結びのあいさつ

万年筆と紙

  • 恐れ入りますが、よろしくご伝言のほどお願い申し上げます

本文の中に伝言をお願いする旨を書くよりも、結びのあいさつとして「お願い」と書いた方が正式に相手にも伝えることができます。

  • お手数ながら、○○様にもお礼をお伝えいただけますでしょうか

お礼状の場合、一人に一通という気持ちは持っていても同じ職場同じ家族に何通も送ることはしません。そのため、このように伝言という形で結びに一言書き添えるだけで感謝の気持ちを伝えることができます。

⑤返信を求める結びのあいさつ

レターセットと鉛筆とめがね

  • ご多用中恐縮ではございますが、折り返しご返事くださいますようお願い申し上げます

相手に返信を求める場合はもちろん本文に書くこともできますが、あえて結びにその旨を書き添えましょう。軽く目を通しただけでもこちらが返信を待っていることが相手にも一目瞭然です。

  • ご多忙と拝察いたしますが、ご返事を賜りますようお願い申し上げます

ビジネスシーンや目上の人に返信をいただきたいという場合は、丁寧な言葉で結びに書き添えましょう。

手紙の書き方の文例3パターンを紹介!

①一般的な発信の文例

手紙の文例

「拝啓」で頭語を始めたら、結語は「敬具」または文例のように「かしこ」で終わらせましょう。上手に改行を使って相手が読みやすいように書き上げましょう。

②一般的な返信の文例

返信の手紙の文例

返信の手紙の場合は、時候の挨拶は書かずにすぐに本文を書くという場合もあるようですが、手紙を受け取ってからすぐに返信できない場合や相手が目上の人の場合などその関係性によっては「拝復」に続いて時候の挨拶を書いても問題ありません。返信の場合の頭語は「拝啓」ではないので、気を付けましょう。また、結語の「かしこ」は頭語に関わらず使うことができるので、忘れずに書きましょう。

③ビジネスシーンにおいての文例

ビジネスシーンの手紙の文例

ビジネスシーンで手紙を書くときも「拝啓」や「かしこ」、時候の挨拶などを書く必要があります。株式会社や所属の後に「御中」をつけてさらに個人名に「様」と書いてある手紙も見かけますが、これは間違っています。相手の会社名を書いた後に個人名を書いて「様」だけをつけましょう。

はがきと手紙の違いについて解説!

はがきとは

はがき

はがきは手紙に比べて略式とされます。年賀状や暑中お見舞い、残暑お見舞いなどの季節の挨拶状は一般的にはがきを使って書きます。はがきの場合も「拝啓」や「かしこ」などの頭語、結語はきちんと書きましょう。

手紙とは

コーヒーとノートと封筒

目上の人に書いたり改まったお願いやお詫び状などの重要な場合は、正式な封書の手紙を送ります。はがきと手紙のどちらを送ったらいいか迷う場合は、内容と出す相手によって判断しましょう。はがきを送るのか手紙を送るのかに関わらず、「拝啓」や「かしこ」などの手紙のルールは変わりません。

どんなときに手紙を書く?おすすめの6つのシーンを紹介

①お礼の気持ちを伝えるとき

ありがとうの文字が書いてあるシャッター

目上の人から贈り物をもらったら、必ずといっていいほど手紙でお礼を書きますよね。そこで、目上の人ではなくても、相手から手紙やプレゼントなど何かをもらったときは「ありがとう」という言葉を手紙に書いて送ってみましょう。メールならすぐに送ることもでいますが、手紙の方がより感謝していることを相手に感じてもらえます。「拝啓」や「かしこ」などの使い方を意識して手紙を書いてみたらとても新鮮に感じるかもしれません。

②お祝いなどの贈り物に添えて

お祝いとして贈り物をするときには手紙ではなくはがきサイズのカードに気持ちを簡単に書いてみましょう。「拝啓」「かしこ」などは必要ありません。お祝いしたい気持ちが伝わるように一言書くだけで受け取った相手はさらに喜んでくれます。

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③面と向かって直接言いにくいとき

壁に飾ってあるカード

落ち込んでいたり、つらい状況にいる友人にどんな言葉も見つからない、そんなときは面と向かって話しにくいですよね。そこで、相手が好きなキャラクターや風景などのはがきサイズのポストカードに元気になってほしい、励ましたいという気持ちのメッセージを書いてみましょう。その場合は「拝啓」や「かしこ」などの言葉はあえて書かない方が相手との距離を近く感じることができるかもしれません。

④喧嘩をしたあとの仲直りのきっかけに

腕組みをしている男の子

子供の頃は喧嘩をしても「ごめんね」「いいよ」とすぐに仲直りができましたよね。でも、大人になるにつれてどんどん難しくなります。そこで、仲直りのきっかけに手紙を使ってみましょう。顔を見るとついつい余計なことを言ってしまいそう、という人も手紙なら落ち着いて言葉を選んで自分の気持ちを書いたり相手を思いやる言葉を書くこともできます。「拝啓」や「かしこ」などの使い方によっては、よそよそしく感じてしまうので気を付けましょう。

⑤疎遠になっている人に

クリスマスカード

最近連絡を取っていない友人の事を思い浮かべても、いきなりメールをするのは難しいですよね。そこで、まずはカードなどで「久しぶりだね。元気にしてますか。昔のアルバムを見ていたら〇〇ちゃんのことを思い出して懐かしくなりました」と書いてみましょう。カードを送るタイミングがわからない場合は、年賀状や暑中お見舞い、クリスマスなど季節の挨拶として送ってみましょう。その場合も「拝啓」「かしこ」などの頭語、結語は省略しましょう。

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⑥離れて暮らす家族に

海に立っている家族

離れて暮らしていてもいつも気にかけています、そう伝えたくても電話となると億劫になってしまう、という人にもポストカードがおすすめです。「拝啓」「かしこ」などのかしこまった手紙ではなく、季節になると送られてくるポストカードなら、負担に思うこともありません。家族だと恥ずかしくて言えない言葉や手紙を書けないという人もポストカードなら手軽に送ることができます。

『拝啓』や『かしこ』を使った丁寧な手紙で気持ちを伝えよう!

万年筆と手紙

「拝啓」や「かしこ」などの言葉の使い方を覚えておくことで、ビジネスシーンでも目上の人に対しても手紙を書くことが億劫になりません。また、縦書きや文章を書く位置も頭に入れておくと社会人として役立つこともあるかもしれませんね。頭語の「拝啓」から始まり、結語の「かしこ」まで丁寧な手紙に素直な気持ちを書いて喜んでくれない人はいません。早速レターセットを準備して、気軽に手紙を出してみませんか。

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この記事のライター
hitomix
管理栄養士、ライターとして活動しています。食やライフスタイルなど気になったことを書いていきたいと思います。

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