クロッキーで絵を上達させる方法!人物や動物の描き方やコツも!
ここではクロッキーについてのコツを説明していきます。クロッキーについての説明から期待できる効果、画材の紹介までクロッキーにまつわることが分かるようになっています。是非クロッキーのコツを掴み、挑戦してみてください。コツが分かればクロッキーも楽しくなります。
目次
そもそもクロッキーとは?
皆さんはクロッキーをしたことがありますか?クロッキーは"croquis"とフランス語で書きます。人物や物などの実際の対象を簡略に写生したもの、または実際のものではなく、描き手の自由な発想を素早く描きとどめることを意味する絵画用語です。日本では「速写」と呼ばれ、一般的に10分までの時間で描くことを想定しています。
中にはメインの作品に取り掛かる前の準備運動として行う人もおり、絵の上達に効果があります。初めての時はなかなか時間内に描き切れないことも多く、描き方に戸惑う人が多いのも特徴です。しかし回数を重ねる度に上達するのも確かです。クロッキーの描き方のコツを学び、是非挑戦していきましょう。
クロッキーの3つの効果
それではクロッキーを行うことで得られる効果を説明していきます。単純に画力の向上、上達だけではなく、以下の3つの要素も兼ね備えており、自分の為にも役立ちます。自身を活性化させる為にクロッキーに臨んでみてください。
①右脳の活性化
右脳の活性化に効果があります。素早く行うクロッキーは理論的に考えることを排除する為に行われ、強制的に右脳が優位な状態を築きます。この右脳が優位な状態でクロッキーを繰り返していくと、自然に右脳を使うことに慣れていきます。日常生活では左脳が優位に働くことが多い為、クロッキーを行うことで右脳の活性化に効果的な繋がりを見せます。
②情報処理&伝達能力を鍛える
情報処理と伝達能力を鍛えられます。クロッキーは対象物であるモチーフをどのように描くかを瞬時に判断し、余計な装飾品を省きながらもその本質を伝える描き方をしなければなりません。数をこなすことで身に付きますが、この作業が物の本質を見抜く練習になります。大まかな輪郭を捉えることは絵の上達効果だけではなく、この情報処理能力は様々な場面で活かされることになります。
③絵を上達させる
絵の上達に効果的です。先程準備運動として行う人も多いと記載しましたが、正にこの為です。クロッキーは素早く描く為、何枚も描くことができ、絵の練習に繋がります。絵を描く経験の少ない人にとってはとても効果的です。また、経験のある人でもクロッキーをすることで新たな描き方や発見がある為、絵の上達には欠かせないものになります。
クロッキーの基本の描き方の3ステップ!
それではクロッキーの基本の描き方を見ていきましょう。忘れてしまった方、初めての方はこちらを参考にクロッキーを進めてみてください。これらは基本ですので、慣れている方は更に難しいモチーフに挑戦してみると良いですね。
クロッキーの対象を決める
まず最初にするべきことは「何を描くか」を決めるということです。描くものが決まらないとクロッキーを始めることができません。色々なものを対象にすることができますが、クロッキーでおすすめなのは人物です。色々な動きがあり、絵の上達に繋がるからです。モデルになってくれそうな方がいたら、無理のない姿勢をお願いしてクロッキーを始めてみましょう。
時間を決める
対象物が決まったら次に時間を決めます。慣れている方や、素早く輪郭を捉えることが目的である場合は3~5分くらいが目安となります。初心者の方やデッサンに自信がない方、輪郭を捉えることに慣れていない方は10分前後を目標として行うと良いです。それ以上はクロッキーの意図から外れてしまいますので、なるべく10分以内に収まるように描いていきましょう。
対象物を見て描く
さてここまで決まれば後は実際に描くだけです。その際に注意したいのが「対象物を見て描く」ということです。当たり前のことだと思うかもしれませんが、これが重要です。大まかな輪郭を捉えるというのは、その対象物をしっかり見ていないとできません。じっくりと見て研究し、どのように描くのが良いのかを頭の中でイメージしていきましょう。
クロッキーで絵を上達させる方法7選!
クロッキーの始め方は理解できましたか?それではここからはクロッキーを上達させるコツをご紹介していきます。全てを注意して行うことは難しいでしょうから、最初はできそうなものだけを心にとどめるようにしてクロッキーをしていきましょう。
①大まかな輪郭を捉える
何度もお伝えしている通り、大まかな輪郭を捉えることが大切です。クロッキーでは完成度は求められません。準備運動であったり練習であったりすることが多いからです。対象物の詳細さは必要ありませんので、大まかに色々省きながら描いていきます。輪郭を捉えることに慣れていきましょう。
②手元ではなく対象物を見る
こちらも大切なコツです。時間が限られているクロッキーでは、対象物をよく見て輪郭を捉える為に手元を見ないのです。対象物を見ている時間を長く取り、線が多少ずれても気にせず描きます。自分の気に入った線をその上からどんどん描くことがクロッキーでは大切です。例えば3分でのクロッキーであれば、2分は対象物、1分は手元というような配分になります。対象物を見ながら輪郭の線を大胆に描いていくことがコツです。
③筆圧で陰影をつける
筆圧での陰影は慣れないと難しいコツかもしれません。クロッキーは1本のペンで描き切ります。光での陰影をその1本で筆圧を強めたり弱めたり、線を細くしたり太くしたりという形で表現します。大まかな輪郭を捉えることに慣れてきた段階で。このコツに取り組んでみるといいでしょう。これができるとクロッキーがただの練習ではなく1つの作品になってきます。
④鉛筆の削り方
次のコツは鉛筆の削り方です。文字を描く時の鉛筆の削り方に対して、芯の部分が多く出るように削るのがコツです。クロッキーをしている方をよく見てみると鉛筆を寝かせて描いている方が多いと思います。寝かせることにより、普通に持つよりも線の太さを操りやすくなるからです。更に鉛筆の芯を多く出すと線の太さを変えやすくなります。表現の幅を広げるコツになります。是非鉛筆を削り、寝かせて描くことを真似してみましょう。
⑤紙いっぱいに描く
続いてのコツは紙いっぱいに描くことです。初めての時は紙からはみ出してもいい、という気持ちで描くことが大切です。紙の中に収めようと小さくなるよりは大きく気持ちよく描いてください。対象物の輪郭を描きながら大きく手を動かすことがクロッキーでは大切です。慣れてきたら上下左右の余白が指1本以内に収まるように完成させていきます。それまでは大きく描く練習をして、コツを掴んでいきましょう。
⑥上手く描くことより手を動かすことに集中する
クロッキーの上達のコツはとにかく描くことです。大まかな輪郭を決まった時間内で手を動かし描くことが目的です。上手く描くことがクロッキーではありませんので、そこは注意してください。コツとしては「描く線を間違えた」などということを気にしないことです。クロッキーに間違いはありません。迷うことなく線を描いていきましょう。
⑦いろんな人の作品を見る
クロッキーは大変多くの人が行っております。人の分だけクロッキーの描き方があり、とても参考になります。また、大まかな輪郭がどれくらいまでのものなのかが分からない人にとって、目安となります。他の人の真似をする必要はありませんし、描き方の正解もありません。ですが他の人の作品を見て得られるものもあります。学ぶところは学び、自分のクロッキーに活かしていくというのもコツです。
クロッキーで何を描く?おすすめのモチーフ3選!
それでは対象物、題材となるモチーフについて紹介していきます。何をモチーフに選べば良いのか迷う方は多いでしょう。何を選んでも良いからこそ悩む問題ですね。初心者の方と慣れている方では選ぶモチーフも変わってきますので、その部分も説明していきます。
①人物や動物
基本となるのが人物です。人物は複雑なポーズから、頭から足までのバランスが必ずあり、描く度に理屈ではなく手が人物の描き方を覚えていくからです。これらを繰り返していくと上達が早くなります。初心者の方は止まったままのポーズで、慣れてきたら数分ごとにポーズを変えてもらうという手法もあります。またクロッキーをよくされる方は道行く人を描く方もいます。人物モチーフは上達には欠かせません。是非段階を踏んで人物モチーフに挑戦してみてください。
動物の場合も、まずは寝ていたり休んでいたりする動物から始めると良いでしょう。慣れてくると歩いている動物や飛んでいる鳥などの動きを捉え、描くことが可能になってきます。ゆっくり動く動物をモチーフにしてみるのも良いですね。
②食べ物
続いて挙げられるモチーフは食べ物です。食材から作られた料理まで、輪郭を捉えて描くということに適していますね。どの部分まで描くのかを瞬時に決めることが大切です。人物や動物と違い、動くこともないのでその点に関しては描きやすいモチーフと言えます。
③風景
最後は風景のモチーフです。風景となると少し難易度が上がります。今までは対象物がありましたが、今度は目の前にあるもの全てが対象です。風景は細かく、大まかに捉えるということに慣れていないとなかなか描くことのできないモチーフでしょう。その分、風景のクロッキーができるようになったということは上達しているという目安にもなります。クロッキーに慣れている方は是非チャレンジしてみてください。
クロッキーの描き方のコツ①人物編
ここではクロッキーおすすめのモチーフである人物について詳しく見ていきます。実際に人物のクロッキーをするとなっても、なかなかペンが進まないと思います。少しでも描きやすくなる為のコツを紹介していきます。
①最初に背骨やコシのラインを描く
人物を見ながらまずは輪郭を描きますが、その際に背中や腰のラインを捉えるのがコツです。腰は身体の中心部分です。そこから下半身、上半身と繋げるように輪郭を描きます。大部分の人が頭から描くと思いますが、そうするとバランスが取りづらくなります。最初は慣れなくて当然ですので、身体の中心を捉えるという気持ちで腰、背中と描いていきましょう。
②身体の関節やバランスをよく観察する
次のコツは身体の関節やバランスを意識して描いていくことです。身体には比率があります。これを無視して描くと、腕が長くなったり足が短くなってしまったりと、人物のバランスが崩れてしまいます。自分の身体を見返しながらでもいいので、それぞれの対比を意識して描くのがコツになります。関節の動きも意識して、自然なポーズをクロッキーできるようにしましょう。
③厚みや筋肉を意識する
バランスを意識できたら次は筋肉や身体の厚みに注目するのがコツです。折角良いバランスの身体がクロッキーできたとしても、棒のような身体は人間っぽくありませんし不自然です。足を見ても太ももと足首では太さが違いますよね。身体を動かす為の筋肉の量により厚みも違うからです。その部分を意識して描くと、より自然な人物を描くことができるようになります。
④雑誌などで好きなモデルさんを描いてみる
続いてのコツは実際に描く際のテクニックではなく、雑誌などを見て好きなモデルさんを描いてみるということです。自分の憧れのモデルさんや、好きな芸能人の姿を見ながらクロッキーをするだけでやる気が出てきます。苦手なことも好きなものと掛け合わせると自然と行えてしまうものです。1つのコツとして覚えておいてくださいね。
⑤複数人なら交代でモデルをする
最後のコツは交代でモデルをするということです。誰か1人がモデルを務めると疲れも出てきますが、クロッキーをしている仲間同士でモデルをすることで長時間続けることができます。更に1人ではありませんので、励みにもなります。時折休憩を挟みながら行うことで更に楽しくクロッキーを続けられます。コツというには技術でも裏技でもありませんが、是非みんなでクロッキーをしてみてください。
クロッキーの描き方のコツ②動物編
続いては動物をクロッキーする際のコツになります。人物で挙げたコツと同じ部分もありますが、1つずつみていきます。動物は人物と違って突然動いたりするかもしれませんが、逆に短時間でのクロッキー練習には最適です。コツをおさえて挑戦してみましょう。
①毛の質感ではなく全体の形をとらえる
動物をクロッキーする際のコツとして最初におさえておきたいのは、毛の質感は無視するということです。どうしても体毛に覆われているので注目しがちですが、クロッキーでは省きます。人物と同じでまずは身体の大きさ、顔と胴体、尻尾の比率を全体を見て把握し描いていきます。これが輪郭を捉えるということです。人物でも動物でも変わらないコツですね。
②骨格や筋肉の付き方を観察する
続いてのコツはこちらも人物と同じく、骨格や筋肉の付き方を意識することです。人とは全く異なるので、しっかりと対象を観察して身体つきを描くことがコツです。どのような身体の構造になっているのかを理解してクロッキーを行いましょう。
③陰影を捉える
動物がモチーフの場合は陰影をつけるのもコツになります。クロッキーを描く際のコツでもお伝えしましたが、ペンの筆圧を変えて線の強弱により陰影を描きます。少し陰影をつけるだけでもモチーフの雰囲気が良く出るので、是非余裕のある方はこのコツを使ってみてください。どのような線を描けばいいのか分かるようになります。
④触れる対象は触って構造を把握する
もしその対象物が触れられそうであれば、触れてみるというのもコツになります。触ることによって構造を把握することができますし、手触りが分かればどのように表現したら良いかの手助けにもなります。ペンの線もそれを意識したものに変わるでしょう。触るというのは簡単ですが、大切なコツですね。
クロッキーのおすすめの画材6選!鉛筆以外のものを使ってみよう!
ここでクロッキーに使われる画材の紹介をしていきます。鉛筆で行われることが多いですが、様々な素材の画材やペンの種類があり、描きたい雰囲気に合わせて変えるのも1つのコツです。使うペンの種類や素材によって線の雰囲気も変わります。気に入ったもので描いていきましょう。
①木炭
まずは木炭です。木の枝や幹などを画材として使えるよう炭にしたものが木炭です。鉛筆と同じような素材と思うかもしれませんが、鉛筆よりも柔らかく力を加えれば粉々になる素材です。
ただし、木炭でクロッキーをする際はそれ専用のクロッキー帳が必要になります。木炭紙と呼ばれています。普通の紙でも描けますが、より木炭の良さを引き出す為に、専用のクロッキー帳を用意した方が効果的に線の雰囲気も出ます。
②色鉛筆
様々なメーカーから色々な色鉛筆が出ています。黒だけではなく、別の色が選べるのが良いところです。自分の好きな色を使っているとクロッキーも楽しくなります。好きな色を使ってクロッキーに臨みましょう
③ペン
続いてはボールペンやマジックペンなどです。鉛筆よりも線は濃くなりますし、紙の素材によってはマジックペンの滲みを表現として使えることも1つのコツです。モチーフを表現する上で効果もあります。何度も線を描き入れることで新しい表現もできますし、おすすめです。
④筆ペン
ボールペンやマジックペンと異なり、こちらは筆ペンになります。ボールペンやマジックペンと異なり、先が筆になっているので柔らかいのが特徴ですね。その素材を生かした緩急をつけた線が容易に描けるのが魅力的です。日本画のようなクロッキーになりますし、挑戦してみてはいかがでしょうか。
⑤パステル
パステルとは、乾燥した顔料を粉末状にして粘着剤で固めて作った画材です。素材元は粉末状なので、柔らかなタッチで描くことができます。粉状にすると手で描くこともできるので、また違ったクロッキーになります。
⑥デジタル画材
最近はデジタル機器も発達してきており、ペンという素材を使わずにクロッキーを楽しむことができる時代になりました。ペイントソフトには沢山の種類のペン先が用意されており、タッチペンとスマートフォンで出先でも気軽にクロッキーを楽しむことができます。
たっぷり描ける!おすすめのクロッキー帳6選!
画材が決まれば次はクロッキー帳選びです。画材の素材によって向き不向きはありますが、鉛筆であればどのクロッキー帳でも描くことは可能です。画材とクロッキー帳は対応させて選ぶのがコツです。自分の好みに合わせて選びましょう。
①マルマン クロッキーブック
まずは文具メーカーマルマンの商品です。黄色と黒のデザインが特徴のスケッチブックを扱ってるメーカーと言えば分かるでしょうか。様々なクロッキー帳が販売されています。大きさや用紙の色も選べます。用途や画材の素材に合わせて選ぶのなら最適でしょう。
②ミューズ クロッキーブック
次に画材用紙を販売しているミューズのクロッキー帳です。ペーパーというところから特化させた画材用紙は様々な色を取り扱っています。クロッキーだけではなく、その他の用途に合わせ用紙の素材を選べるのが特徴です。
③Too セクションクロッキーブック
続いてTooから出ているクロッキー帳です。このメーカーは芸術だけではなく、様々なクリエイティブな人たちへ向けての商品を販売しています。クロッキー帳は用途に合わせて選べる大きさを用意しています。表紙も黒で落ち着いた雰囲気になっています。
④ホルベイン クロッキーブック
ホルベインは様々な画材を販売しているメーカーになります。クロッキー帳は大きさもそれぞれ用意されています。画材メーカーというだけあり、どの商品も質が良く絵を描く人たちの強い味方となっています。
⑤100均のクロッキー帳
実は文房具店や画材店だけではなく、100均の店にもクロッキー帳が置いてあります。スケッチブックという名前で置いてある場合もありますが、薄手のもので枚数が多ければクロッキー帳として申し分ありません。描き心地も他のクロッキー帳とあまり変わらないので、初めてクロッキーをする、という方には手が出しやすい商品ではないでしょうか。
⑥コピー用紙
最後に、クロッキー帳は使わずにコピー用紙を使う、というものです。実際クロッキー帳を使わなくてもクロッキーは可能です。鉛筆と紙さえあれば行えるのがクロッキーです。100均にもコピー用紙が売っており、手軽に購入することができます。ただ、大量に描く場合にはクロッキー帳の方が見返す時も楽ですので、定期的に行うようであれば購入をおすすめします。
クロッキーをたくさん描いて画力を上達させよう!
いかがでしたか?クロッキーのコツは楽しんで、間違いを恐れず、素早く描くことです。そこまで難しくもなく、本格的な画材を用意する必要もありません。まずは紙とペンを取り出して何か描いてみてはどうでしょうか。意外な楽しさに夢中になるかもしれません。楽しめて絵の上達ができたら嬉しいですよね。素敵な絵画ライフを送りましょう。