「そうなんですね」が口癖な人の心理とは?間違った日本語なの?
相槌を打つ際の敬語のひとつとして「そうなんですね」を使う人も多いと思います。そもそも「そうなんですね」は敬語である以前に、正しい日本語なのでしょうか?「そうなんですね」の成り立ちや使い方、使う人の心理や英語での表現方法について紹介します。
目次
「そうなんですね」は正しい日本語なの?
「そうなんですね」という言葉を相槌として使うことが口癖となっている人も多いと思います。しかし「そうなんですね」という言葉は果たして正しい日本語なのでしょうか?実際にテレビ番組を観てみると、言葉のスペシャリストであるアナウンサーも「そうなんですね」を相槌として使っていますが、一方ネット上では賛否両論で意見が分かれているのも目にします。
正誤に関わらず、「みんな使っているから」という心理から「そうなんですね」を多用する人もいるかもしれません。しかし、状況に応じた使い方を身につけないと、相手に悪い印象を与えてしまう場合もあります。「そうなんですね」について掘り下げていきましょう。
「そうなんですね」はいつから使われるようになった?
私たちの耳に馴染んでいる「そうなんですね」が使われるようになったのは、実は今から10年~15年前であり、その歴史は意外と浅いです。アパレルショップの店員やコンビニの若いアルバイトの人たちから使われるようになり、今に至ります。元々は「そうですね」という言葉でしたが、段々と言い換えられるようになり、「そうなんですね」が生まれたとされています。
「そうなんですね」の使い方とは?
「そうなんですね」という言葉は、実際にどんな場面で使うのが正しい使い方なのでしょうか。「そうなんですね」という言葉が正しい日本語であるかはともかくとして、実際に「そうなんですね」を使う場面について確認していきましょう。
自分が知らなかったときの相槌
「そうなんですね」は、自分が知らなかったときの相槌として使います。逆に、自分が知っていることに対して「そうなんですね」と相槌を打つのは誤用となります。例えば「昨日○○買ったんだ」に対して「そうなんですね」は正しい使い方ですが、「昨日一緒に○○買いにいったよね」に「そうなんですね」は不自然です。
相手の話に共感する
相手の話に共感するときにも「そうなんですね」を使うことができます。会話の相手が「昨日は疲れたんだよね」と言ったことに対して「そうなんですね」と相槌を打つと、疲れている相手に共感したことになります。「そうなんですね」の「そう」は「左様」という意味があり、話の内容を肯定していることになります。
相手の話を聞き出すとき
「そうなんですね」と相槌を打つと、自分の話をしっかりと聞いてくれる人という印象を持たれる傾向にあります。相手に気持ちよく話をさせる際のテクニックとして「そうなんですね」を使うことができます。この使い方をする際は、多少オーバーになっても驚きなどの感情を顔に出すようにしましょう。
「そうなんですね」と「そうなんですか」の違いとは?
「そうなんですね」と似たような言葉で「そうなんですか」という言葉があります。こちらの言葉も聞き慣れている人も多いと思いますが、その違いについて紹介します。語尾がたった1文字違うだけですが、その意味は大きく異なります。
声のトーンなどでも多少変わりますが、「そうなんですね」と相槌を打つと、基本的に相手は聞き流されている印象を持ってしまいます。一方の「そうなんですか」は、「そうなんですね」よりも相手の立場に寄り添っている印象を与えるために、相手はもっと話をしたいと思う心理状態になります。
「そうなんですね」は敬語として使える?
「そうなんですね」は敬語として使うことができます。しかし、敬語として使う際には注意点があります。詳しい注意点については後述しますが、「そうなんですね」は歴史の浅い言葉なので、目上の人に使う場合は敬語として適していない場合があります。
「そうなんですね」はメールでも使える?
「そうなんですね」をメールで使うこともできますが、使い方に気を遣わなければならない言葉でもあります。友達同士のメールのやり取りであれば何も問題はありませんが、かしこまった文章を送るビジネスメールでは、相手が敬語として「そうなんですね」を理解している世代であっても不適切となります。ただし、LINEなどのチャット機能であれば、「そうなんですね」と相槌を打っても不自然にはなりません。
「そうなんですね」を使う際の注意点4つ!
「そうなんですね」という言葉に対する理解は人によって曖昧である場合が多く、相手に失礼のないように使わなければいけない言葉です。使い方を間違ってしまうと相手の機嫌を損ねてしまうこともありますし、悪い印象を持たれてしまうかもしれません。「そうなんですね」を使う際の注意点について紹介します。
目上の人や場合によっては失礼に当たる
上司などの目上の人や取引先の相手と真剣な話をするときは、「そうなんですね」は適していません。このような場では「左様でございますか」と言い換えるのが適切な表現です。普段の会話では堅苦しい印象を持つかもしれませんが、仕事の場では相手を敬う言葉として捉えてくれるでしょう。
目を見て話すときに使う
会話をしている相手と向かい合って話す際に「そうなんですよね」と使うのは正しいですが、電話口でこの言葉を使うのは、相手は「ちゃんと話を聞いてくれているのかな?」という印象を持ってしまうかもしれません。目を合わせて「そうなんですよね」と相槌を打つことで、相手は話を聞いてもらっていると判断するので、目を見て話せない際は上手な言い換え方をするべきです。
語尾をのばさない
もしも相手が「そうなんですね」を敬語として理解している相手であっても、語尾をのばしてしまうだけで失礼な態度となってしまいます。あなたが後輩に何か自慢げに話をするとして、その相槌が「そうなんですねー」であったら、ちょっとイラっとしませんか?語尾をのばすことが口癖となっている人もいますが、その気持ちを自分が話す相手に与えないためにも、語尾はしっかりと止めることを意識しましょう。
多用しない
「そうなんですね」が相手を気持ちよくさせる魔法の言葉だとしても、同じ言葉を多用していては相手は聞き流されていると思ってしまうかもしれません。決して「そうなんですね」だけに限った話ではありませんが、上手な言い換え表現をいくつも身につけることが、相手と楽しく会話をするためのポイントです。
「そうなんですね」の言い換え表現は?
これまでで言い換え表現が大切であると何度か紹介しましたが、その言い換え表現について紹介します。言い換え表現を覚えることは聞き上手になるための大切な要素であり、仕事でも必ず役に立つときが来るでしょう。「そうなんですね」の言い換え表現として代表的な言葉は、以下のようになります。
・左様でございますか
・おっしゃる通りでございます
・そうなのですね
・そういうことだったのですか
「そうなんですね」が口癖な人の心理4選!
ここからは少し切り口を変えて、「そうなんですね」に関する人間の心理について掘り下げていきましょう。まずは「そうなんですね」が口癖な人の心理について紹介していきます。
話を早く終わらせたい
「そうなんですね」が口癖となっている人は、話を早く切り上げたかったり、退屈だから早く終わらせたいなどの心理が働いている場合があります。このタイプの人が使う「そうなんですね」は声のトーンが単調であることも多く、適当にあしらっている場合が多いです。
相手の話を聞き出したい
相手の話を聞き出したいがために「そうなんですね」が口癖となっている人は、話を早く終わらせたい人とは違い、「そうなんですね」に感情を込めたり表情が豊かなことが多いです。とにかく相手からたくさんの話をしてもらいたいという心理から、「そうなんですね」が口癖となっています。
話を聞いていない
話を聞いていないときに「そうなんですね」が口癖となる人もいます。このタイプの人は「とりあえず話を聞いているフリをしておこう」という心理状態であり、「そうなんですね」を変なタイミングで入れてくることも珍しくありません。本人は上手く立ち振る舞っているつもりでも、相手からすれば話を聞いていないのは丸分かりなこともあります。
話に興味がない
そもそも話に興味がないために「そうなんですね」を使う人もいます。誰でも興味がない話は聞きたくないと思うかもしれませんが、その感情が普通の人よりも如実に表れてしまい、結果として「そうなんですね」が口癖となっています。
「そうなんですね」と言われた人の印象とは?
会話をしている相手が「そうなんですね」と言ってきた際に、言われた人はどんな印象を受けるのでしょうか?受ける印象について紹介していきます。
軽視されている
例えば自分よりも目上の人に「そうなんですね」と相槌を打つと、「小馬鹿にされている」や「軽視されている」という印象を持つ人も多いでしょう。目上の人からそのような印象を持たれてしまうと、今後の人生に何かしらの影響を受けてしまうかもしれません。相手が誰であっても、軽視するような相槌の打ち方には注意しましょう。
興味がなく受け流されている
「そうなんですか」と「そうなんですね」の違いについて紹介しましたが、「そうなんですね」という言葉には会話を受け流す力が備わっています。言い方ひとつで印象は変わりますが、このような印象を持たれる「そうなんですね」は、声色などで表現を付けていないのが特徴です。
語彙力がなさそう
「そうなんですね」を多用する人がよく持たれる印象になりますが、語彙(ごい)力が無いように思われてしまいます。語彙とは言葉に対する引き出しのようなものであり、語彙が多いほどに言葉の表現の幅は広がります。「そうなんですね」を多用することで、その言葉しか知らないと判断されて、語彙力がないという印象を持たれてしまいます。
「そうなんですね」の英語表現
国際的なビジネスや日本に住む外国人と会話をする際には、英語で話さなければならないこともあるでしょう。私たち日本人には英語はハードルが高いものと思うかもしれませんが、英語は世界で最も使われている言語です。この機会に「そうなんですね」の英語表現を覚えましょう。主な英語表現は以下の通りとなります。
"I see."(相槌として良く使われる「そうなんですね」)
"I got it."(納得の意味の強い「そうなんですね」)
"Right."(同意している意味の強い「そうなんですね」)
"Oh my goodness."(驚きを込めた「そうなんですね」)
「そうなんですね」の韓国語表現
韓流スターや韓国のアイドルが日本で活躍していることもあり、韓国というのは私たちの身近な存在になりつつあります。日本から近いということもありますが、韓国へ旅行する人も多く見られます。その際に使えるの韓国語のひとつとして、「そうなんですね」を覚えましょう。韓国語表現は以下の通りです。
그렇군요(発音:クロックニョ)
「そうなんですね」を使うときは注意しよう!
「そうなんですね」という言葉は当たり前のように浸透していますが、冒頭でも紹介したように、中には適切な敬語表現でないと主張する人もいます。つまり、誰にも使ってよい言葉ではないのかもしれません。それが日本語であっても英語であっても言えることですが、使う際にはTPOを考えて、十分に注意することが大切です。