日本人にカフェイン耐性がある理由は?眠気に効果的なリセット法も!
眠気対策に、コーヒーなどカフェインを摂るという人は多いのではないでしょうか。しかし、日本人にはカフェインに耐性があり効きづらいという説があります。なぜ日本人にカフェイン耐性があるのでしょうか。また、カフェイン以外の効果的な眠気対策はあるのでしょうか。
目次
日本人にはカフェインが効かないって本当?
仕事や勉強・大事な用事があるときに限って襲ってくる眠気に悩まされることは、多くの人が経験していることでしょう。眠気覚まし効果を狙って、コーヒーなどでカフェインを摂るという人も多いはず。
しかし、私達日本人はカフェインに耐性があって、カフェインによる眠気覚まし効果の恩恵を受けにくいという説があります。なぜ日本人がカフェインによる眠気覚ましが効きにくいと言われるようになったのでしょうか。
そもそもカフェインとは?
カフェインとは、簡単に言うとコーヒーや茶葉に含まれる天然成分です。カフェインは他にも科学的に合成されたものもあり、様々な食品や飲料・医薬品などに含まれていて、主に以下のような効果があります。
- 眠くならない
- 利尿作用がある
- カルシウムが放出されやすくなる
- 体脂肪の燃焼を促す
- 運動能力を向上させる
また、メリットだけではなく副作用もありますので、カフェインに弱い人は摂り過ぎに注意が必要です。
- 手の震えがおこる
- 胃荒れする
- 不眠になりやすくなる
- 肌が乾燥しやすくなる(利尿作用のため)
- 妊娠中の女性の場合、胎児の生育を阻害する可能性がある
カフェインで目が覚めるメカニズムを解説!
人間が疲れていくと、体内に「アデノシン」という物質が溜まっていきます。このアデノシンが「アデノシン受容体」という物質と結びつくことが、眠気が発生する理由であることがわかっています。
カフェインはこのアデノシンとアデノシン受容体の結びつきをブロックするので、カフェンによって眠気覚ましをすることができるのです。
カフェインのその他の作用3つ!
「そもそもカフェインとは?」の項目でご紹介したとおり、カフェインには眠気覚まし以外にも様々な効果があります。その中で利尿作用・基礎代謝を上げる・疲労回復が見込めるという作用について見ていきましょう。
①利尿作用
カフェインの作用のひとつに利尿作用があります。カフェインは交感神経を刺激する作用があるので、これにより腎臓の血液ろ過量が増し、尿の生成量が増えます。この働きが、コーヒーなどカフェインを含む飲食物を摂ると尿の量と回数が増えてトイレが近くなる理由です。
カフェインを含む飲料を飲んだ際の水分量より多くの水分が出ていってしまうので、カフェインを摂ったときには脱水と乾燥に注意しましょう。
②基礎代謝を上げる
カフェインには、基礎代謝を上げるという作用があります。スイスのネスレ中央研究所によると、空腹時にカフェインをコーヒー6杯分ほど摂ると、基礎代謝が約16%程度上昇して脂肪燃焼が高まるという研究結果が出ています。
しかし、コーヒーを飲んでカフェインを摂れば痩せるということではないようです。カフェインには運動効率を上昇させる効果もあるので、ダイエット効果を狙ってカフェインを摂るのであれば、運動と組み合わせることでより効率的に脂肪を燃焼させることができます。
③疲労回復が見込める
コーヒーなどに含まれるカフェインには、ドーパミンを刺激することによってやる気を起こさせるという作用もあります。これにより、一時的に疲労を回復させるという効果を見込むことができます。
栄養ドリンクやエナジードリンクなどにもカフェインが含まれており、これらを飲むことにより疲れにくくなる・疲れが取れるといった効果はカフェインによるものです。
ただし、この疲労回復効果は一時的なものであり、カフェインを大量に摂取すれば良いというものでもありません。カフェインの摂りすぎはストレスホルモンを増加させてしまう副作用もあります。
カフェインの適量は、一日あたりコーヒー約5杯分ほど(約500mL)です。カフェインに弱い人は特に、中毒を起こしてしまわないよう注意しましょう。
日本人にカフェイン耐性がある理由について解説!
それでは、なぜ日本人にカフェイン耐性があるのか、その理由を詳しくみていきましょう。
緑茶を飲む習慣
日本人が他の国の人と比較してカフェインに耐性があるのか、その理由は日本人が昔から習慣的に飲んできたお茶にあります。
緑茶をはじめとした玉露や烏龍茶などが日本人が好んで飲むお茶ですが、これらのお茶にもコーヒーほどではないもののカフェインが含まれています。
しかし、習慣的にお茶を飲むだけでカフェインに耐性がつくのかというと、それだけではありません。お茶にはタンニンという成分も含まれていて、これによりカフェインの効果がゆっくりと現れます。
日本人はお茶を飲む習慣があることで、長い時間を費やしながら徐々にカフェイン耐性を培ってきました。これが、日本人にカフェイン耐性がある理由です。
カフェイン耐性は人それぞれ
いくら日本人にカフェイン耐性があるといっても、どのくらい耐性があるかは人それぞれです。カフェインに弱い・カフェインアレルギーなど、カフェインが合わない体質の人もいます。
カフェインに弱い人が許容量以上のカフェインを摂ると、カフェイン中毒や不安症、慢性的な疲労などの症状を引き起こしてしまいます。
カフェインを含む飲料や食品5選!
カフェイン耐性があまりない・カフェインに弱い人や妊娠中の女性は特に、どんな飲料や食品にカフェインが含まれているか知っておいて、摂取量に気をつける必要があるでしょう。
健康な成人の場合、一日に摂取しても問題ないカフェインの量は300mgほどとされています。カフェインに弱い人の場合は、これよりももっと少ない量になりますね。妊婦さんの一日のカフェイン摂取量目安は、200mg以内を目安にすると良いと言われています。
①コーヒー
特に有名で、カフェインの代名詞のように認知されているのがコーヒーです。コーヒー一杯約140mLに含まれるカフェイン量は、豆の種類などにより異なりますが、約84mgです。コーヒー100mLあたり約60mgの量のカフェインが含まれている計算になります。
コーヒーを飲む量によってカフェインの量も増えていき、コーヒー150mLのカフェイン量は約90mg、160mLでは約96mg含まれることになります。
②緑茶
お茶のカフェイン量は、茶葉のうち若い芽ほど多く含まれます。そのため、芽が若いうちに摘んで作られる玉露・抹茶はカフェインの含有量が高いことになります。
そのため同じ茶葉であっても、お茶の種類によっては以下の表のように含まれるカフェイン量が異なります。
お茶の種類 | カフェイン量(100mLあたり) | 一杯分のカフェイン量 |
玉露 | 160mg | 96mg(約60mL) |
抹茶 | 64mg | 64mg(約100mL) |
烏龍茶・ほうじ茶 | 20mg | 30mg(約150mL) |
番茶・玄米茶 | 10mg | 15mg(約150mL) |
玉露・抹茶のカフェイン量はコーヒーよりも多くなっていることがわかります。
③エナジードリンク
エナジードリンクとは、いわゆる栄養ドリンクのことです。疲労回復目的などの理由で飲んだことがある方も多いのではないでしょうか。瓶入り・缶入りなど種類もカフェイン含有量も様々です。
栄養ドリンクとして特に有名なリポビタンDの場合、1本100mL中50mgのカフェインが含まれています。これは、同じ量のコーヒーのカフェイン含有量とあまり変わりませんね。
ときどき、エナジードリンクの大量摂取によるカフェイン中毒というニュースが聞こえてくることがあります。そのためか、眠気覚まし効果のあるエナジードリンクのカフェイン量は、特に多量であるというイメージをもっている方もいらっしゃるかもしれません。
実はこのモンスターエナジーの場合、100mLあたりのカフェイン量は40mgとコーヒーや栄養ドリンクよりも少なくなっています。ただし、1本あたりの量が355mLであるので、1本あたりのカフェイン含有量も142mgとなっている点は注意が必要です。
④ココア
カカオ豆を原料とするココア・チョコレートにも、少量ながらカフェインが含まれています。
ピュアココア4gを使用したココア100mLの場合、カフェイン含有量は8mgとなっていて、コーヒーや緑茶に比べるとかなり少ない量です。
⑤チョコレート
チョコレートに含まれるカフェイン量は、チョコレートのカカオ豆の割合によって変わってきます。カカオポリフェノールをより多く摂取するための高カカオチョコレートは、それだけカフェイン量が多く含まれているので、カフェインに弱い人は特に注意しましょう。
カカオ75%ほどのブラックチョコレートの場合、板チョコ1枚分(約50g)のカフェイン含有量は約60mgとなります。
対して、ミルクチョコレートのカフェイン含有量は、50gあたり約10mgとなっています。
カフェイン摂取の注意点①カフェイン中毒
カフェイン中毒とは、カフェインを過剰に摂ることによって引き起こされる中毒症状です。カフェイン中毒による救急搬送や死亡例などが、ニュースになることがあります。
カフェイン中毒とはどのような症状があるのか、中毒症状への対処法はどうすればよいのか見ていきましょう。
カフェイン中毒の症状
カフェイン中毒の症状は個人差があり、軽度なものから重度のものまでさまざまです。
主な症状 | 中毒症状が出るカフェイン摂取量目安 | |
軽度 |
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重度 |
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カフェイン中毒の対処法
体内のカフェイン量を減少させるためには、カフェインが代謝されて血中のカフェイン濃度が下がるまで待つしかありません。カフェインに対する解毒剤などは存在しないというのがその理由です。
カフェインを含む飲食物を摂取して、30分ほど経過すると血中のカフェイン濃度が最も高い状態になります。そこから半減するまでに約5時間ほどかかると言われます。
カフェイン中毒の症状が軽度であれば、多めの水を飲んで体内のカフェイン濃度を下げることで中毒症状を早く和らげられる可能性があります。しかし、重度の中毒症状が出ている場合は、医療機関で胃洗浄や透析などの適切な処置を受ける必要があります。重度のカフェイン中毒症状が出たら、迷わず医師の診察を受けましょう。
また、カフェインには致死量が存在します。カフェインに弱い人に限らず、200mg/kgの量のカフェインを摂取した人のうち半数は死に至ると言われています。
体重50kgの人の場合は1000mgがこれにあたり、コーヒー一杯を150mLとすると、約67杯のコーヒーを飲むと死亡する可能性があることになります。
カフェイン摂取の注意点②カフェインアレルギー
カフェインを含む飲食物を口にすると、なんとなくいつも体調が悪いという方は、もしかしたらカフェインアレルギーかもしれません。
ただ単に「カフェインに弱い」と片付けると、重度な症状が出るなどして危険な場合があります。ここでは、カフェイン過敏症とも呼ばれるカフェインアレルギーについてご紹介します。
カフェインアレルギーの症状
カフェインアレルギーとは、少しのカフェイン量でもカフェイン中毒に似た症状が出ることです。「ある程度以上カフェインを摂取すると症状が起こる」カフェイン中毒との違いは、カフェインアレルギーは「少しでもカフェインを摂取すると症状が起こる」という点です。
主な症状には以下のようなものがあり、かねがね他の食品アレルギーの場合と似た症状が出ます。
- 喉が痒くなる・咳が出る
- 動悸(不整脈)・不安になる
- 吐き気や下痢
- 皮膚が痒くなる、湿疹・蕁麻疹が出る
カフェインアレルギーの対処法
「これって、もしかしたらカフェインアレルギーの症状?」と思ったときは、カフェインが含まれる飲食物を口にしないのが最も有効な対処法です。
また、カフェインアレルギーはそれまで平気だった人も突然症状が出ることがあります。カフェインを含む飲食物を摂取して、何らかの不調をきたした場合はカフェインアレルギーを疑った方が良いでしょう。
カフェインレス・ノンカフェイン・デカフェのそれぞれの違いを解説!
カフェインに弱い・カフェインアレルギーなどの理由でカフェインを控えたい場合、カフェインレス・ノンカフェイン・デカフェなどと表示されている飲食物を選ぶ人が多いでしょう。
どれもカフェインが含まれていないようなイメージがありますが、実際はどうなっているのでしょうか。
カフェインレスとは
カフェインレスとは、「カフェインを少し含んでいる飲み物」のことです。カフェインをまったく含んでいないのではなく、少量のカフェインは含まれています。
ノンカフェインとは
ノンカフェインとは、「最初からカフェインを含まない」という意味です。飲み物で言うと、麦茶やルイボスティーなどがこれにあたります。
デカフェとは
デカフェとは、「本来はカフェインを含んでいるものからカフェインを除去したもの」です。ですが、全く含んでいないというわけではなく、ほんの僅かな量ながらカフェインが残っています。カフェインレスと同じような意味で使われています。
カフェイン摂取以外の眠気に効果的なリセット法7選!
眠気覚ましなどに効果のあるカフェインも、摂りすぎると健康に悪影響を及ぼす可能性があることがわかりました。
カフェインに頼らない、しかも効果的な眠気対策の方法があります。7つご紹介しますので、自分に合った方法を探してみてください。
①耳を刺激する
耳には100以上ものツボがあると言われていて、耳を軽く引っ張ったり揉んだりして刺激することによって眠気を覚ますことができます。
両手で左右の耳たぶを優しく下向きに引っぱり、3秒ほどでパッと離す動作を4~5回繰り返しましょう。その後耳全体をマッサージするだけで、全身が温まり活動モードに切り替えられます。上下左右斜めなどに引っぱることで、頭痛や肩こりなども和らげる効果が望めます。
②日光を浴びる
窓の外の日光を眺めたり、実際に日光を浴びたりすることで、眠気を覚ますことができます。
もしも天気が悪く日光が十分でないときは、パソコンやスマートフォンなどのブルーライトを見たり、蛍光灯の明かりを顔に当てたりすることも有効です。
③人と会話をする
一人で黙々と作業をしていたら、どんどん眠気が増したという経験はありませんか。そういうときには、同僚や友人などとコミュニケーションをとるようにしてみましょう。
誰かと会話することで脳が働き、眠気覚ましの効果を得ることができます。
④アイソメトリックス(等尺性運動)を行う
アイソメトリックスとは、関節を静止させたままで筋肉など各部位に力を入れたり緩めたりを繰り返す運動方法のことです。
筋力トレーニングの一種ですが、体を緩やかにほぐし交感神経を活発化させられるため、眠気覚ましの効果も期待できます。
上記の動画のようなアイソメトリックスであれば、オフィスでのデスクワークの合間でも、座ったままで行うことができます。
⑤ガムを噛む
運転中の眠気覚ましなどでガムを噛んだ経験がある方もいらっしゃるかと思います。
噛む動作により、脳の神経伝達物質であるセロトニンの分泌が促進されます。セロトニンが増えると、神経細胞を活発化させる作用があるため、眠気覚ましの効果が狙えるのです。
⑥冷水で顔を洗う
冷水で顔を洗うと目が覚める理由は、「冷たい」と感じることにより交感神経が活発化し、目覚めが促されることにあります。
しかしこの方法は即効果が現れるものの、目覚め効果は長続きしないという欠点があります。他の方法と組み合わせて使うと良いでしょう。
⑦眠気に効くツボを押す
ツボ押しは、特別な器具などを必要とせず、場所を選ばず行うことができる眠気対策です。眠気に効くツボと押し方をご紹介します。
- 睛明(せいめい)
- 風池(ふうち)
カフェイン耐性は個人差がある!効果的に適量を摂取しよう!
カフェイン耐性があると言われる私達日本人でも、カフェインに弱い、カフェインアレルギーがあるなどの理由でカフェイン耐性にも個人差があることがわかりました。カフェインに弱いなど耐性が低い方だけではなく、今まで何の影響もなかった方も、カフェインアレルギーを突然発症することもあります。
あなた自身のカフェインの適量を確認して、効果的なカフェインの量を上手に生活に取り入れてみてください。