サムレスグリップとはどんな握り方?メリット&デメリット・注意点も!
筋トレ中に良く使われる「サムレスグリップ」という危険な握り方。一体サムレスグリップとは筋トレとどんな関係や効果があるのでしょうか?親指を使わないメリットやデメリットとは何なのか?ベンチプレスやデッドリフトを行う際にケガしない為の注意点とは一体何なのでしょうか?
目次
サムレスグリップで筋トレするといいの?
筋トレを極めようとすると、より筋肉が増強できるサプリメントに走ったり、どんなトレーニング方法が効果的なのか…と、あれよこれよと調べていくようになります。そんな中で多くの人が疑問に思っているのが「筋トレ用語」です。
初心者には何のことなのかさっぱりわからないものも多いのですが、筋トレ上級者たちなら当たり前のように知っているこの言葉たち。分かっていればよりトレーニングに役立つ筋トレ用語の中から、今回は「サムレスグリップ」という言葉についてご紹介します。
取り入れて筋トレを行うとより一層を運動効果が高くなると言われている「サムレスグリップ」とは一体何のことなのでしょうか?
「サムレスグリップ」とは?
サムレスグリップはバーベルやダンベルを握る時のグリップ方法の一つです。普通はバーベルやダンベルを握る時、人差し指から小指の4本の指でバー部分を握り、親指は反対側からバーを包むようにしながら、合計5本の指でしっかりと握ります。
これに対してサムレスグリップは、人差し指から小指の4本の指でバー部分を握るだけ、親指を使わないグリップ方法なのです。
サムレスグリップといわれる由来
サムレスグリップのTHUMBは日本語に訳すと「親指」、そしてLESSは日本語に訳すと「無し」という意味になります。つまりサムレスグリップは直訳すると「親指がない握り方」という意味になるのです。
親指を使わずにバーベルなどを握ることから「サムレスグリップ」と呼ばれるようになりました。意外と単純なネーミングだったので驚きました。
ノーマルグリップとの違い
サムレスグリップはノーマルグリップの時と違い、親指はバーを包むような状態にはならず、人差し指の横に自然と添えておくだけにしておきます。使用方法によっては大変効果的なので、筋トレ上級者の中にはこのサムレスグリップを好んで利用している人が多くいます。
きちんとした筋トレ方法を取得すればこのサムレスグリップは大変メリットのある方法なのですが、一歩やり方を間違えてしまうと重大なデメリットが起きると言われているので注意が必要です。
サムレスグリップのメリット2点!
サムレスグリップには一体どんなメリット・効果があるのでしょうか?知れば今すぐ取り入れられる、サムレスグリップの効果的な方法、2つのメリットをご紹介します。
①腕への負荷が少ない
サムレスグリップのメリットとしてよく挙げられているのがベンチプレスを使った筋トレをする際のバーの位置になります。ベンチプレスを行う際、サムレスグリップを利用すると、手のひらの位置がちょうどいいポジションに収まりやすくなります。
通常の握り方よりもサムレスグリップの方が、親指の付け根の骨に負荷が乗るので、自然と前腕骨に向けてまっすぐに重量がかかり、ベンチプレスが重ければ重いほど、手に掛かる痛みが少なくなるのです。
②効果的に筋肉を鍛えやすい
サムレスグリップは部位を特定した筋トレにおいて、筋肉をより活性化させて肥大化させるために、より大きな刺激を与えることができるグリップの1つだと言われています。
懸垂やラットプルダウンのような筋トレを行う時、通常の握り方では上腕二頭筋が鍛えやすくなりますが、サムレスグリップの場合は上腕二頭筋の負荷を極力弱くすることで、その代わりに背筋の筋肉を鍛えることに集中することができるのです。
もし今、背筋を鍛えたいけれども、先に上腕二頭筋が悲鳴を上げてしまっているという人は、サムレスグリップに変更すると劇的にパフォーマンスが上がるかもしれません。
サムレスグリップのデメリット2点!
上手く利用すれば効果的なサムレスグリップですが、サムレスグリップには大変危険なデメリット・注意点があると言われています。サムレスグリップには一体どんなデメリット・注意点があるというのでしょうか?
知っておかないと大きな事故やケガにつながる、サムレスグリップのデメリット・注意点を2つご紹介します。
①不注意によるケガのリスクが大きい
サムレスグリップは別名スーサイドグリップ(SUICSIDE GRIP/自殺グリップ)と呼ばれることがあり、筋トレ中の一瞬のためらいや不注意によってバーベルが手から滑り落ちてしまい、胸や顔の上に落ちてケガをしてしまう危険性・デメリットがあります。
ダンベルを使ったトレーニングの場合でも、サムレスグリップに失敗しダンベルを滑り落としてしまうと、落ちたダンベルは足の甲の上に乗るか、床を傷つけてしまう事故が起きる可能性が考えられます。つまりサムレスグリップは使い方を間違えるとケガを伴う大変危険なグリップ方法の1つなのです。
サムレスグリップを好んで筋トレを行う上級者たちは、サムレスグリップを利用する時「絶対に落とさない」という気持ちで死ぬ気で筋トレを行っているそうです。
②握力を発揮しにくい
サムレスグリップの握り方は、通常の握り方よりも、ちょうど親指1本分の力が入らないように設計されています。プル型の筋トレなどには親指に力が入らないことで、逆にターゲットをへの筋肉の刺激を増やすことができます。
しかし全体としては握力が発揮できない分、持ち上げられる重量が軽くなってしまうと指摘されている部分もあるのです。科学的な調査によると、握力を発揮すると脳が活性化する効果があり、より大きな力が発揮できるという研究報告があります。
サムレスグリップにすることで脳の活性化が弱まりパフォーマンスが下がる可能性があるのです。
サムレスグリップはプル系の筋トレにおすすめ!
サムレスグリップはどんな筋トレにオススメなのでしょうか?サムレスグリップが最も有効的だと思われる筋トレはラットプルダウンです。通常の握り方よりもサムレスグリップの時の方が明らかに背中に負荷がかかる為、より背中の筋肉を強化することができます。
ラットプルダウンの場合は重りがチェーンで繋がっていますので、万が一グリップが滑ってバーを離してしまったとしてもケガや事故には繋がりにくいと言えます。だから心置きなくサムレスグリップに挑戦することができるのです。
その他にはシーテッドローやベントオーバーローイングなどもサムレスグリップにおすすめです。
サムレスグリップで【ベンチプレス】を行う際の注意点!
筋トレ上級者になっていくとベンチプレスを行う際にどうしてもサムレスグリップを使いたくなるという方が増えてきます。しかし先程もご説明したとおり、一度バーから手が離れてしまうと、胸や首や顔に100KG近いベンチプレスが落ちてくることになってしまいます。
「だったらトレーニングパートナーに補助してもらいながらやればいいんじゃないか?」「万が一自分の手が滑ったとしても、トレーニングパートナーにベンチプレスを引き上げてもらえば、ケガや事故に繋がらないのではないか?」と考える人がいます。
しかし瞬時に落ちてしまったベンチプレスをトレーニングパートナーが支えることはとっても難しい状況なんだそうです。つまりトレーニングパートナーが支えていたとしても、サムレスグリップに失敗してから滑り落ちてしまったベンチプレスはやはり胸・首・顔に急降下する可能性があるのです。
それでもどうしてもサムレスグリップに挑戦してみたいという方は、パワーラックやスミスマシンなどのようにセーフティバーがある環境を選んでみてください。もちろんセーフティーバーは胸の位置よりも高い位置にセットします。
サムレスグリップを試す前に必ず通常のグリップで試し、その日の腕の調子などをチェックした上で、サムレスグリップを行うようにしてみてください。
サムレスグリップで【デッドリフト】を行う際の注意点!
デッドリフトはプル系の種目に含まれるので一見サムレスグリップでも問題なさそうに見えるかもしれません。軽めの負荷で筋トレの最初の頃に行うデッドリフトであればケガや事故などが起きる可能性も低く設定することができます。
しかし筋トレが好きな人ほど徐々にデッドリフトの負荷を上げたくなってしまい、結果、サムレスグリップなら最大筋力が出せるのではないかと限界に近い負荷でサムレスグリップに挑戦しデッドリフトを落としてしまうというケースが報告されています。
デッドリフトにサムレスグリップを組み合わせる時は、思い切って負荷を軽くしウォームアップ程度に押さえておくのがおすすめです。
サムレスグリップ以外の握り方3選!
サムレスグリップ以外にも世の中には有名な握り方が他に3つあります。覚えておくと役に立つ3つの握り方をご紹介します。
①サムアラウンドグリップ
サムアラウンドグリップは、その名の通り「親指を巻いた握り方」のこと、つまり通常の握り方のことを意味します。サムアラウンドグリップという名前を知らないと「特別な握り方なのかな?」なんて思ってしまう人もいるようですが、、実はこれは単に通常の握り方の名称なのです。
②フックグリップ
フックグリップは、ゴルフのクラブを握る時の握り方と同じで、グリップに対し、手をかぶせるように握る握り方のことを言います。初めてゴルフをやった時「なんでこんな変な握り方をするのか?」と思った人も多いのではないでしょうか?
実はフックグリップで握ると、ボールがまっすぐ飛んでいく、飛距離が出やすいという2つのメリットがあるんです。
③ピンチグリップ
ピンチグリップとは、指先だけを使って何かを掴むような握り方のことを言います。これは指でつまむ力を鍛えるときによく使われる方法です。ピンチグリップを使って重いものを持ち上げれば、握力を鍛えることができます。
サムレスグリップはリスクを理解し筋トレを!
しっかりと固定した握り方ではないサムレスグリップは、初めから上手く使いこなせるか?というと、そうではない可能性の方が多く考えられます。サムレスグリップによりバーベルなどが手から離れてしまうと危険が伴いますので、初めは短い時間だけサムレスグリップに挑戦し、慣れてきたら少しずつ時間を増やすようチャレンジしていきましょう。
デッドリフトなどを行う際「サムレスグリップをしているのだから絶対にバーを離さない」と意気込み過ぎてしまうと、場合によっては手首を痛めてしまう可能性があります。サムレスグリップを取り入れ始めてから手首に痛みを感じ始めた場合は、すぐにトレーニングを中止しておきましょう。
まずは筋トレ上級者たちがどんな風にサムレスグリップを利用しているのか?目で見て確認したり、直接教えてもらってから始めるのがおすすめです。