建国記念日の意味や由来を徹底解説!「建国記念の日」との違いは?
「建国記念日」と「建国記念の日」の違いはご存知でしょうか?また、日本では2月11日が「建国記念の日」として定められていますが、なぜ「建国記念日」ではないのでしょうか?その理由を、それぞれの意味や由来の違いにも着目しながら、紹介していきます!
目次
実は知らない建国記念日の意味を紹介!
2月11日は「建国記念の日」です。「建国記念の日ってなに?」「あれ、建国記念日じゃないの?」と思ったあなたは、カレンダーを見てみてください。実はカレンダーにも「建国記念日」ではなく「建国記念の日」と書かれています。この”の“がつくだけで「建国記念の日」と「建国記念日」の意味合いは変わってくるのです。
今回の記事では、なぜ日本では「建国記念の日」が制定されたのか、その経緯を「建国記念の日」と「建国記念日」の意味の違いや由来について解説しながら紹介していきます。そして、そもそもなぜ2月11日なのかというところにも注目して読んでみてください。
建国記念日の意味や由来とは?
まずは「建国記念日」の本当の意味を解説していきます。そして、現在「建国記念の日」が定められている日本ですが、実は2月11日が「建国記念日」だとされている時代がありました。その由来とともに紹介していくのでチェックしてみてください。
建国記念日の本当の意味
建国記念日とは、文字通り「建国を記念する日」を意味し、海外ではさまざまな国家でこの建国記念日が定められています。建国記念日を定めている海外の国々では、歴史的事実として建国された日付がいつなのかが確定されていることが特徴です。
また、建国の定義(何をもって建国記念日とするか)は、それぞれの国家によって異なっています。例えば、アメリカは1776年のアメリカ独立宣言に署名がされた日、つまり「独立記念日」を建国記念日としています。このように、独立記念日を建国記念日としている国も多くなっています。
建国記念日の由来
冒頭で、日本の2月11日は建国記念日ではなく建国記念の日だと述べましたが、日本もかつて2月11日は建国記念日として祝日となっていました。なぜ建国記念の日になる前は、建国記念日と言われていたのでしょうか。
明治時代の話になりますが、日本神話(日本書紀や古事記)の中の登場人物で初代天皇といわれる神武天皇が即位した日を日本の始まりの日とすることが決められました。この、神武天皇が即位した日が日本が建国した日、つまり紀元の日とされるようになり、日本の建国記念日が誕生しました。
この建国記念日を「紀元節」とされ、当初の「紀元節」は太陰暦では1月29日でしたが、後の太陽暦で2月11日に改めて制定されることとなりました。しかし、この「紀元節」はこのあと第二次世界大戦後に反乱を恐れた占領軍によって、一度廃止されることになってしまいます。
日本は建国記念日ではなく「建国記念の日」!
建国記念日の由来のところで紹介した通り、海外同様、日本にもかつては建国記念日がありました。ではなぜ、海外においては今も多くの建国記念日が定められているにもかかわらず、現在の日本においては「建国記念の日」と言われるようになったのでしょうか。ここからは、建国記念の日について解説していきます。
建国記念の日の意味は?
建国記念日は建国された日を指しましたが、”の”が入るだけでその意味合いは変わってきます。建国記念の日とは、建国された日付は分からないけれど建国されたことを記念する日という意味を持ちます。
また日本の建国記念の日、つまり2月11日は「建国をしのび、国を愛する心を養う日」だとされています。つまり、建国記念の日とは日本が国として建国されたという事実をお祝いする日という意味であるといえます。
建国記念の日の由来は?紀元節とは?
まず、紀元節とは前述したとおり、日本神話の中で神武天皇が即位した日=日本の建国日(2月11日)であることを意味します。この紀元節(建国記念日)は、第二次世界大戦後の1946年に占領軍によって廃止されます。その後、国民の間で紀元節(建国記念日)を復活させようとする動きが高まりました。
しかし、「日本の起源として正確なものは分からないため、建国記念日を定めることができない」という反対の議論が起こりました。そこで、建国を記念するための国民の祝日としての法案が通り、新たに建国記念の日として祝日が追加されることとなった、ということが建国記念の日ができた由来です。(のちに詳しく解説します。)
建国記念の日が定められたのはいつ?
1966年、2月11日を建国記念の日とする法案が通り、翌年の1967年より施行されました。
その背景は?
紀元節が第二次世界大戦後の1946年に廃止されましたが、その後のアンケート調査により、日本国民の80%以上が紀元節の復活を望んでいることが分かりました。そこで、1957年に建国記念日制定の法案が提出されましたが、野党側の強い反発があり実現出来ませんでした。その後、この法案は9回の議案提出と廃案を繰り返します。そしてようやく、建国記念日とは違う形での復活を遂げました。
建国記念日と建国記念の日の違いとは?
ここまでは海外の多くの国で定められている「建国記念日」についてと、現在の日本で定められている「建国記念の日」について、それぞれに分けて紹介してきました。ここからは、前述の繰り返しになる部分もありますが、その違いについて、なぜ日本が「建国記念の日」となったのかとともに詳しく解説していきます。
建国記念日と建国記念の日の違い
建国記念日とは、それぞれの国が定めた建国を記念する日という意味で、かつて日本も2月11日は建国記念日とされていました。歴史的事実に基づいて、建国した日付が明らかになっている場合は、この建国記念日が定められています。
一方で建国記念の日とは、建国した事実を記念する日を意味し、日本では「建国をしのび、国を愛する心を養う日」という意味を持ちます。こちらは、建国した日付が明らかでない場合の表現となっています。現在の日本では、2月11日が建国記念の日に定められています。
日本はなぜ「建国記念の日」なの?
なぜ日本では海外の他の国のように建国記念日と言わず、建国記念の日と言われているのでしょうか。前述のそれぞれの由来でも紹介してきましたが、日本では、かつて日本神話をもとに建国記念日が定められていました。
しかし、実際に現在の歴史学においては、考古学上の確証は提示されておらず、また日本書紀や古事記の神話的な内容から、そこに書かれている内容が全て事実であるとは考えられていません。神武天皇の即位が紀元前660年なので、あまりにも昔のことで、事実は不明確だと考えられたのです。つまり、日本の建国日は2月11日であるかどうかは、明確ではありません。
そのため、建国日が明確ではないと考えられるようになった現在の日本においては、建国記念日という概念は存在しません。その代わりに、紀元節を復活させようという過程の中で、建国した事実そのものを記念する日としての新しい解釈ができるように、建国記念の日と呼び方を変えることになりました。このようにして、2月11日の建国記念の日が生まれたのです。
海外の独立記念日や建国記念日は?
海外においては、独立記念日を建国記念日に定めている国が多くなっています。先に紹介したアメリカ合衆国をはじめ、1947年イギリスから独立・パキスタンから分離したインドや、1991年ソ連が崩壊し独立を宣言したウクライナ、1822年ポルトガルからの独立を宣言したブラジルなどは、独立記念日を建国記念日としています。
また、1878年オスマン帝国より独立を宣言したブルガリアや1959年キューバ革命を達成したキューバなどは、解放記念日が建国記念日になっています。
他には、1955年永世中立国を宣言したオーストリアや、1932年にアラビア半島の大部分を占める主要4地域により統一国家として建国したサウジアラビアなど、建国記念日をそのまま定められている場合もあります。
深い意味がある建国記念日と建国記念の日の違いを理解しよう!
「建国記念日」と「建国記念の日」の違いについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
日本には、明確な日付の建国日は存在していなかったんですね。
この記事を最後まで読んでいただいた方は、「建国記念日」と「建国記念の日」の意味の違いや、なぜ日本では「建国記念の日」と言われているかについて分かっていただけたと思います。もしあなたの周りにも、この言葉をあいまいに使ってしまっている人がいたら意味を共有してみてください。
とはいえ、表現は違えど日本という国が長い歴史を経て、現在実在しているということには変わりありません。これからの2月11日には、私たちが幸せに安全に暮らすことができる日本という国ができたことに対して、感謝の気持ちを心に思い浮かべながら過ごしてみてはいかかがででしょうか。