『たまらない』の意味・類語・使い方!『矢も楯もたまらず』も解説!
普段、何気なく使っている『たまらない』という言葉ですが、2つの意味を持ち合わせている言葉ということを知っていましたか?今回はその『たまらない』という言葉の意味や使い方、言葉の語源や似た意味を持つ類語などを解説していきたいと思います。
目次
『たまらない』の意味と漢字は?
普段の日常会話の中で何気なく『たまらない』という言葉を使っている人も多いと思いますが、「意味は何?」と聞かれると正確な答えに困ってしまうことなどはないでしょうか。
今回は『たまらない』という言葉の意味を例文をいくつか挙げながら使い方を紹介したり、反対の意味を持つ類語や語源、ことわざや慣用句なども合わせて紹介していきたいと思います。
『たまらない』を漢字で書くと?
『たまらない』という言葉は、漢字では「堪らない(たま・らない)」と書きます。この「堪」という漢字は「堪える(た・える)」「堪える(こた・える)」、または「優れている(すぐ・れている)」という意味を持っています。
『堪らない』というの言葉は、「堪える」に打ち消しの「ない」がくっ付いた否定形の言葉で、意味は「耐えられない」「我慢できない」となります。
面白いことに、この『たまらない』という言葉はふたつの異なる要素の意味を持った言葉なのです。それでは、そのふたつの要素を順に紹介していきたいと思います。
意味①我慢できない
『たまらない』の1つ目の意味は、少しネガティブな要素の意味合いになります。
意味は「だめになってしまうほど、その状態を持ち堪えることができない」「ある感情や感覚を抑えきれない」「何かある物事をされて困る、耐えられない、我慢できない」というイメージです。
例えば、こんな文を見るとイメージが湧きやすいと思います。
- いくら丈夫な身体とは言え、こんなにハードな生活が続いてはたまらない。
- 今の生活がたまらなく嫌で嫌で仕方ない。
- 早朝からマンションの外で工事の音がうるさくて、これが毎日っていうんだからたまらない。
みなさんも日常的にこのような会話を友達や会社の同僚などとしているのではないでしょうか。いずれの例文も「ある物事に対して嫌な気持ち」や「暗い、寂しいイメージ」が浮かんできますね。
意味②言葉にできないくらい良い
『たまらない』の2つ目の意味は、前述とは反対のポジティブな要素になります。
意味は「この上なく良い、とても素晴らしい」「じっとしていられないほど(程度が)甚だしく良い」というイメージです。
例えば、こんな会話を耳にしたことはないですか?
- あの角にあるカフェのケーキはたまらなく私好みの味である。
- 新しくできたあのレジャースポットはマニアにはたまらない魅力がある。
いずれも「最高に良い」「とても好きだ(好みだ)」という気持ちが伝わってきて、話を聞いている側もそのケーキを食べてみたい、体験をしてみたい、と思う気持ちが湧いてきますよね。
『たまらない』の使い方・例文を5つ紹介!
もしかしたらみなさんが日常会話の中で自然と使っている言葉が並ぶかもしれません。それぞれのフレーズに例文を載せていきますので、今まで使っていた使い方が正しい使い方をしているかどうか見ていきましょう。
寂しくてたまらない
どうしようもなく寂しいと感じるとき、孤独感を感じるときなどの「とても寂しい」という気持ちを表します。
【使い方・例文】
- 離れた家族に会いたくて会いたくて仕方ない、会いたくてたまらない。
- アメリカに留学したけど、異国での生活に慣れなく孤独を感じてたまらない。
このように「寂しすぎて我慢できない、誰かの側に寄り添いたい」そんな寂しい気持ちを表しています。
眠くてたまらない
誰かが大きな口を開けてあくびをしている姿が浮かんできますが、「究極に眠りを欲している」そんな状態のことを言います。
【使い方・例文】
- 昨日徹夜をしたので眠くてたまらない、仕事中に寝てしまいそうだ。
- 授業が退屈で眠たくてたまらない。
これを読んでいるみなさんもこんな会話をしたことがあるのではないかと思います。また、「眠くて」より「眠たくて」と表現した方が少し砕けた言い方になりますが、もちろん意味は同じです。
たまらない気持ち
気持ちを抑えられないくらい素晴らしく素敵。なんともいえないほど素晴らしい。要するに「とても好き」「大好き」ということですね。
【使い方・例文】
- 大好きな彼に会いたくて会いたくてたまらない。
- 仕事の後のこの一杯(ビール)がたまらない。
このように『たまらない気持ち』は人物に対しても物事に対しても使え、高ぶる感情を表現するときに使います。
たまらない仕草
好きな子や気になる異性を見たときに、思わずドキッとしてしまうような仕草、思わずギュッと抱きしめたくなるような仕草、思わず笑顔がほころんで嬉しくなるような仕草。いろんな仕草がありますが、そのようなちょっとした仕草のことを『たまらない仕草』と言います。
ただ、『たまらない』と思う仕草のポイントは人それぞれで違ってくるので、これ!と断言できるものはありませんが、みなさんも「彼・彼女の○○がたまらない!」などと感じたことがあるのではないでしょうか。
またこれは人間だけでなく、犬や猫などの動物や可愛いものに対しても言うことができます。例えば、ペットの犬が飼い主の腕などにあごをそっと乗せてくる仕草だったり、ゴロンとひっくり返ってお腹を見せて甘えてくる仕草を見たときなど、「愛おしくてたまらない」と表現することができますね。
たまらない体
前述の『たまらない仕草』と似てくる感情だと思うので、こちらも一概にして、これ!と断言することはできませんが、例えば、相手が同性でも思うのが、鍛え抜かれて引き締まったスレンダーな体を見て『たまらない体』と表現することもありますし、相手が異性であれば、性的な意味も含め「何となく好き」「何となく触りたい」「触りたくてたまらない」「我慢できない」などと、ドキッとしてしまう体のパーツがあるかもしれません。
相手が同性だろうが異性だろうが、ドキッとしてしまうくらいの「素敵な体つき」のことを表現するときにこのように言います。
『たまらない』の類語は?
『たまらない』という言葉はポジティブな要素とネガティブな要素、両方の意味を持ち合わせている言葉なので、似た意味を持つ類語もまたポジティブとネガティブの2つの要素の言葉が並びます。
ネガティブな要素の類語
まず、ネガティブな要素を含む『たまらない』という言葉の類語を紹介します。
悶々
ネガティブな要素を含む『たまらない』という言葉の類語の1つ目は『悶々(もんもん)』です。「悶々とする」と文章や会話では使いますね。
これは「心の中で大いに思い悩むこと」を意味します。悩んでいる様子を外に出すことはなく、心の中でじっと悩み苦しんでいるさまを表します。
また「悶々とする」という表現は、性的欲求不満などの意味合いと絡めて用いられる場合もありますが、原義には必ずしも性との強い結びつきがあるわけではありません。
いても立ってもいられない
ネガティブな要素を含む『たまらない』という言葉の類語の2つ目は『いても立ってもいられない』です。
これは「何か心に引っ掛かることがあって、そわそわしたり、苛々したりして、心が落ち着かないさま」「平静でいるのが難しいさま」を意味します。意味を読むだけで、我慢できない様子が伺えますね。
ポジティブな要素の類語
次に、ポジティブな要素を含む『たまらない』という言葉の類語を紹介します。
気分が良い
ポジティブな要素を含む『たまらない』という言葉の類語の1つ目は『気分が良い』です。
これは日常会話の中で非常によく使われる言葉ではないでしょうか。解説が不要なくらいですが、『気分が良い』という言葉は「ある状況によってもたらされる心理的に良い状態」のことを言います。
また「気分が良い」は周りの環境や状況に影響される場合に使い、「気持ちが良い」は直接身体に快い刺激を受けた場合に使われることが多いです。
わくわくする
ポジティブな要素を含む『たまらない』という言葉の類語の2つ目は『わくわくする』です。
これも日常会話の中でよく使われている言葉だと思いますが、『わくわくする』という言葉は「これから起こるであろう素晴らしいことを考えて胸を膨らませているさま」を意味します。
「来週のパーティーが楽しみで楽しみでたまらない、わくわくする」「明日のプレゼンは今まで準備してきた大傑作なので、今からわくわくしています」など、そんな使い方をしますね。
『矢も楯もたまらず』の意味・語源とは?
『矢も楯もたまらず(やもたてもたまらず)』ということわざを聞いたことがあるでしょうか?
このあとにことわざの意味や語源を紹介しますが、どのようにしてこの言葉が使われるようになったのか、語源を知ると安易にイメージが湧いてくるのではないでしょうか。
『矢も楯もたまらず』の意味は?
『矢も楯もたまらず』というこのことわざの意味は、「一途に思いつめて気持ちが抑え切れない」「気持ちが焦って我慢できない」という様子を表します。
今まで解説してきた『たまらない』と同じで、「耐えられない」「我慢できない」ということを意味します。
『矢も楯もたまらず』の語源は?
『矢も楯もたまらず』というこのことわざの語源は、「矢で攻めても盾で防いでも、相手の勢いを止めることができない」様子をたとえたものです。そこから、抑えられない自分の気持ちを外部からの攻撃にたとえ、『矢も盾もたまらず(たまらない)』と使われるようになったようです。
『矢も楯もたまらず』の使い方と例文を紹介!
それでは『矢も楯もたまらず』ということわざを使い方、例を紹介します。
【使い方・例】
- 連日の猛暑で、もう私は矢も盾もたまらずエアコンを昼夜つけっぱなしにした。
- 子供が通学している学校の火事をTVのニュースで知り、矢も楯もたまらず学校へ向かった。
このように、連続的に何かが起きていたり、何度も繰り返されるような場面で使います。一度の情報や一度の事故、一度の失敗などで自分にとって堪え難い気持ちが高まったとしても、そのような場合には使いません。紹介した語源のとおり「他に何か重要なことがあっても、それをほったらかしてでもやる」「どうやってもその勢いを止めることができない」という、そんなイメージです。
『たまらない』の意味を理解して使おう!
普段の日常会話の中で何気なく『たまらない』という言葉を使ってきた人も多いと思いますが、今回解説した『たまらない』という言葉の正確な意味を理解した上で、自身の語彙録に加えていきましょう。
『たまらない』という言葉にはポジティブな要素もネガティブな要素もあり、使う場面はたくさんあるので、色々な表現や慣用句も覚えて広がりのある会話をしていけるといいですね。