『デリケート』の意味を紹介!使い方・類語や対義語も!
カタカナ英語の『デリケート』は、繊細さを意味する言葉として広く知られています。とても優しい印象を与えられる言葉ですので、今一度詳しい意味や使い方を考えてみました。『デリケート』には多くの類語、対義語もあり、それぞれの言葉を比較してみるのも興味深いですよ。
目次
『デリケート』の意味とは?
「デリケート」は、普段の会話のなかで多用することが多い言葉の一つですが、詳しくはどのような意味があるのでしょうか。『大辞林第三版』の解説によりますと、「デリケート」には以下のような意味があるとされています。
デリケート【delicate】
( 形動 )
① 感受性が強いさま。繊細なさま。 「 -な神経の持ち主」
② 細かい点に重大な意味のあるさま。微妙であるさま。細心の注意を払わなければいけないさま。 「 -な問題」
③ 精巧にできていて、こわれやすいさま。 「 -な品物なので取り扱いに注意する」
「デリケート(英:delicate)」は形容動詞で、英語の名詞delicacy(繊細さ、優美さ)が変化したものです。語源は、ラテン語で「うっとりするような、美味しい、うれしい」などを意味する、delicatusだと言われています。
①人や動物、植物などの繊細なさま
②物事の重要さ、細やかさ
③品物や機械のつくりが精密な様子
上記の①〜③が主な意味で、全体的に「繊細な存在です」、「注意を払わなければいけない」といった意味で使われる言葉となります。①の意味は、「デリケートな性格」、「デリケートな生き物」といった表現は、日常会話のなかでもよく用いられています。②の意味は、慎重な問題や触れて欲しくないことに対して用いられ、③は布地の繊細さ、電子機器の精巧さなどを意味しています。
『デリケート』の使い方を例文と共に紹介!
次は、「デリケート」の使い方を例文とともにご紹介いたします。
使い方① 繊細さ、感受性の強さを表す
・生まれたての赤ちゃんは、デリケートな肌をしている。
・馬はとてもデリケートな動物で、騒音を聞かせると驚いて立ち上がってしまうこともある。
・これはデリケートな植物なので、室内温度や日当たりに気を配らなくてはいけない。
これらの例文は人や動物を対象とした、形容詞としての「デリケート」の使い方で、繊細さ、感受性が強いことなどを意味しています。
使い方② 言いづらいこと、個人的なことを暗示させる
・初対面の相手と話をする時には、学歴や年収といったデリケートな話題にいきなり触れない方がいい。
・彼女の恋愛や結婚に関するデリケートな話は、ここで話すべきではない。
これらの例文も、やはり「デリケート」を形容詞として使った表現ですが、個人のプライベートや言いづらいことという意味で使われています。
使い方③取り扱いに注意を促す
・パソコンや携帯電話はデリケートな機器なので、直射日光の当たる場所や水回りには置かない方がよい。
・この時計はとてもデリケートで、ささいな事ですぐに針が止まってしまう。
機械や品物などの精密さを意味した使い方です。上記の例文は、注意喚起というほどではありませんが、「デリケート」という言葉をつけることで、聞き手に「大切にあつかわなくてはいけない」という意識を起こすことができます。
『デリケート』の類語、対義語は?
「デリケート」は、英語のdelicateをそのままカタカナ読みした、カタカナ英語です。もし、日本語で表現しようとした場合、どのような言葉が類語になるのか考察してみました。また意外と「デリケート」の対義語も知られておりませんので、あわせて解説いたします。類語、対義語ともに多くの言葉がありますので、会話のボキャブラリティを広げる意味で確認してみましょう。
類語
・感受性が強い、線が細い、傷つきやすい
・際どい、細かな、微妙な
・壊れやすい、砕けやすい、割れやすい
「デリケート」はいくつかの意味を持つ言葉となりますので、類語もそれぞれの意味に応じて多数あります。人間の内面の繊細さなどを表現する意味では、感受性が強い、線が細い、傷つきやすいといった言葉が類語として該当いたします。また、「デリケートな問題」、「デリケートな話」など、個人的または言いづらいという意味で使われる「デリケート」は、際どい、細かな、微妙なといった類語に置き換えることができます。壊れやすい、脆い、割れやすいは、機械などの精巧さを表す「デリケート」に対しての類語となります。
対義語
英語の「デリケート(delicate)」と対義語にあたる言葉は、「インデリケート (indelicate)」や「ラフ(rough)」です。「インデリケート」は、「デリケート」と似たような英語綴りですが、意味は正反対で①態度・言葉などが繊細ではない、雑な②粗野な、下品なという意味があります。①の意味では「デリケート」と対義語ですが、ネガティブな意味も含まれますので、使い方には注意を払った方がよい言葉でしょう。
一方ラフには①表面がザラザラしている、②荒っぽいさま、③大まかに、くだけたといった意味があり、繊細さを表す「デリケート」とは反対の意味を示しています。よくスポーツ中継で「ラフプレー」という言葉が出ることはありますが、これは「規則に反するような、乱暴なプレー」という意味なのです。
なお「デリケート」の対義語を日本語で考えていくと、「鈍感」、「無神経」、「大雑把」、「大まか」、「丈夫」といった言葉が当てはまります。その他デリケートの名詞形である「デリカシー」を用いて、「デリカシーがない人(気遣いの足りない人のこと)」と表現することもあります。
『デリケート』の言い回しや別の表現方法は?
ここまで、「デリケート」の意味や、類語・対義語について説明いたしました。ところで、一点気がかりなのが、「デリケート」はこれほど日本語に訳せる言葉であるにも関わらず、なぜカタカナ英語のまま日常会話のなかで使うのかということです。しかも、全ての会話で使うということではなく、状況によって「繊細」と言ったり、「デリケート」と言ったりと、使い分けたりするのも不思議なところです。ここでは、「デリケート」を実際どのような場面で活用したらいいのか、言い回しなどについて考えてみました。
『デリケート』の効果的な言い回し
「デリケート」は、聞き手や読み手に軟らかい印象を与えたいときに使うと効果的です。
・Aさんは神経質なので、少し物音を立てただけですぐ気にしてしまう。
・Aさんはデリケートな性格で、静かな環境を好む。
上記の例文はどちらも同じような意味を示していますが、「デリケート」と言い回しにすることで、話し手がAさんに気を遣っている印象になります。「デリケート」という言葉には、繊細、感受性が強いという意味の他、「優しく扱わなくてはいけない」というメッセージ性があります。対象とする人や物に敬意を払いたいときに活用するとよいでしょう。なお、「デリケート」を形容詞として用いる時には「デリケートな~」という言い回しになり、動詞として使うときには「~はデリケートだ。」と一文節の結びに用いる言い回しとなります。
その他、「デリケート」は「周囲の人々に触れて欲しくないこと」から身を守る意味で用いるのにも効果的です。例えば、会話のなかで、家族のことなどプライベートについて詮索された場合、「デリケートな問題なので」と一言言われれば、大抵の人はそれ以上踏み込んだ話をしてくることないでしょう。
・デリケートな問題なので、この場で話すことを遠慮させてください。
・他の人には触れて欲しくない問題なので、この場では話すことはできません。
これらの例文についても、意味はほぼ同じながら、聞き手が受ける印象が違いますよね。同じ意味でも、カタカナ英語にすることで、言いたいことがオブラートされ、穏やかな印象を与えることができるのです。
『デリケート』を別の言葉で表現したら?
先ほど「デリケート」には、相手を敬う意味や、自分や相手の身を守る意味もあるということをご説明いたしました。ではそうなると、どうしても「繊細」、「感受性が高い」といった言葉だけでは、相手の特徴を述べるだけにすぎないということになってしまいますよね。日本語でも同じように相手を思いやる表現にするにはどうしたらいいでしょうか。
「デリケート」と似た言い回しとして、「ガラス細工のような」、「たおやかな」、「線が細い」といった言葉があります。「ガラス細工のような」は、少しの衝撃で壊れたり、傷ついたりするガラスを人の心に例えた表現で、「ガラス細工のような心だ」という言い回しは、「傷つきやすく、繊細な心であること」を意味します。その他、「たおやかな」は動作が優しくしなやかなさまを意味し、物腰の柔らかい女性を表した表現として「たおやかな女性」という言葉があります。「線が細い」は「ガラス細工のような」と似た表現ですが、「(美しいけれど)弱々しい、頼りない、脆い」といった否定的な言葉をオブラートしたものになります。
いずれの言葉もどこか古風で、繊細な美しさが感じられますよね。日本にはまだまだ素敵な意味のある言葉がありますので、場面に応じて使い分けてみましょう。
『デリケート』に似た言葉2選!
「デリケート」と似たような意味を持つカタカナ英語にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは同じような言葉の響きをもつ「センシティブ」や「ナイーブ」についてご説明いたします。それぞれの詳しい意味とともに、「デリケート」との使い方の違いについて解説いたします。
『センシティブ』との違いは?
「センシティブ(sensitive)」は、「デリケート」と似たような意味をもつ言葉の一つですが、どちらかというと「デリケート」よりはカタカナ英語で使う機会は少ない言葉です。名詞、形容詞として使われ、名詞では「感受性の高い人」、「傷つきやすい人」といった意味を持ちます。「デリケート」が人だけではなく、物などの繊細さを意味するのに対し、「センシティブ」は特に人に対して使われるのが特徴です。以下の例文のようにその人の感情面の特徴を示すような言い回しをします。
・彼女はいつも明るい印象だが、センシティブな一面がある。
・私は涙脆いので、周囲の人々にセンシティブな人だと言われる。
ちなみに、「センシティブ」は「機密の」という意味や、市場や金融市場での「不安定さ」を示す意味も含まれています。「デリケート」がどちらかというと、個人的な話のときに使われるのに対し、「センシティブ」はビジネスがからむ場面でも使われるという点でも違いがあります。以下の例文のような使い方もありますので、ご参照ください。
・これはセンシティブな契約なので、誰にも口外してはいけない。
・この記事にはセンシティブな内容が含まれている。
『ナイーブ』との違いは?
「ナイーブ(naive)」の語源はフランス語で、通常私たちがカタカナ英語として用いる場合には、「純粋無垢」、「感受性が強い」、「繊細」といった意味を表します。日本では同じくカタカナ英語の「センシティブ」や「デリケート」と似たような意味で扱われますが、英語では言葉の意味が違いますので注意が必要です。海外で「ナイーブ」は、「童心」、「お人よし」、「世間知らず」、「ばか正直」といった否定的な意味も表すため、褒め言葉にはならないのです。
・彼はナイーブだ。
・彼女はナイーブな感性をもっている。
上記の例文は、カタカナ英語では「純粋で、繊細な心を持った人」と肯定的な意味を表しますが、もし海外で「ナイーブ」をこのように使うと、「お人よしで世間知らずな人」、と相手の無能ぶりを中傷するような意味になってしまいます。社交の場で使うにはふさわしくない言葉ですので、「ナイーブ」はあくまでカタカナ英語としての使用にとどめた方が無難でしょう。日本では似た言葉と認識されていても、「デリケート」と「ナイーブ」では相手に与える印象がかなり異なるのです。肯定的な繊細さを表すのが「デリケート」、感情面の繊細さを表すのが「センシティブ」、繊細さというよりは経験の浅さを示すのが「ナイーブ」と認識しておくとよいでしょう。
デリケートの正しい意味を理解して使おう!
以上、「デリケート」の意味や、使い方などについて解説させていただきました。「デリケート」は普段の日常生活のなかであまりを意識をせずに使っている言葉ですが、実は思いやりの気持ちを添えられる、とても思慮深い言葉であることがわかりました。「デリケート」の正しい意味を理解して、会話に取り入れてみましょう。