『敬遠』の意味や由来を徹底解説!類語や反対語・英語表現も!
『敬遠』という言葉はなんとなくニュアンスで意味は知っているけれど、改めて「どんな意味?」と聞かれて答えに困ったことはないですか?今回はそんな『敬遠』という言葉の意味を、類語や反対語、言葉の由来や語源、英語での表現まで合わせて紹介したいと思います。
『敬遠』の意味と使い方は?
『敬遠』という言葉は、日常生活の中でも耳にしたことがある言葉だと思います。意味はニュアンスでなんとなく知っているけど、改めて「どんな意味?」と聞かれると、正確な意味を答えるのに困ってしまったり。
今回はその『敬遠』という言葉の意味を、類語や反対語、英語での表現など合わせて解説していきたいと思います。また、『敬遠』という言葉は野球用語としても使われています。その言葉の由来も合わせて紹介します。
『敬遠』の意味とは?
『敬遠』という漢字は「けいえん」と読みます。
この言葉は、「目上の人などに対して、表面では敬う素振りを見せているにも関わらず、実際には深く関わりを持たないようにすること」や「深く関わり合うと面倒になることを嫌って、その物事を回避すること」を意味します。
もしかしたらこれを読んでいるみなさんも、職場や日常生活の中などでこのような態度を知らず知らずに取っているかもしれませんね。
『敬遠」の使い方とは?
『敬遠」という言葉はどのように使ったら良いでしょうか。例を挙げて使い方を紹介したいと思います。
【使い方・例】
- ママ友との付き合いは、深く関わると面倒だから敬遠しているの。
- 職場で面倒なプロジェクトが立ち上がったけど、私は敬遠して他の業務に向かっている。
- あの女性はいつも悪口ばかりで、みんなから敬遠されて誰からも相手にされなくなったみたい。
いずれの使い方も、その人や物事に深く関わらないように距離を取ろうとしているのが伺えますね。但し、たとえ嘘であっても敬う態度があってはじめて成り立つ言葉です。
野球用語の『敬遠』の意味と使い方は?
『敬遠』という言葉は、野球の世界でも使われていることをご存知でしょうか?ここでは、野球用語しての『敬遠』という言葉の意味を使い方と合わせて紹介していきたいと思います。
野球の簡単なルール
はじめに、野球の簡単なルールを紹介しておきます。
まず、ピッチャーが投げた球は「ストライク」と「ボール」のふたつに分けられ、バッターが打てる範囲への投球は「ストライク」、それ以外への投球は「ボール」と呼ばれます。この「ボール」が1人のバッターに対して4球投げられた場合に「フォアボール(四球)」と呼ばれ、たとえバッターはヒットを打っていなくても、1塁へ進むことができます。
野球用語としての『敬遠』の意味とは?
それでは、野球用語としての『敬遠』とはどんなことを言うのでしょうか?
これは「ピッチャーが強打者との勝負を避けるために、意図的に四球にして、次のバッターと勝負をする」ことを意味します。キャッチャーは普通座ってボールを取るのが一般的ですが、ピッチャーが(バッターの)バットに当たらないくらいの位置を狙って球を投げるため、キャッチャーは立った状態でボールを待ちます。
野球ファンの間からは、この意図的に四球にする行為に対して「卑怯だ」と言う不満の声も上がるそうですが、「このバッターは強いから、真っ向から勝負はしない!」という作戦のひとつであり、野球のルールから見ても、この行為に問題があるわけではありません。
故意四球
『故意四球』という漢字は「こい・しきゅう」と読みます。
『故意四球』とは、先に紹介した野球用語としての『敬遠』と同じ意味を表し、また、ピッチャーがバッターに対して意図的に四球を与える行為を「公式記録とすること」を意味します。
申告敬遠
『敬遠』と関係する言葉として、『申告敬遠』という言葉が挙がります。読み方は「しんこく・けいえん」です。
これは野球のルールのひとつで、申告制の『敬遠(=故意四球)』のことです。守備側の監督が審判に敬遠する意思を伝えると、「ピッチャーは4球投げなくても、その相手バッターは四球になる」というものです。
その分試合時間が短くなるというメリットも生まれますが、それによって試合の流れやドラマ性が失われてしまう、と言う声も多くの野球ファンからは上がっているようです。
野球用語としての『敬遠』の使い方とは?
野球用語としての『敬遠』の使い方をいくつか例を挙げて紹介します。もしかしたら、テレビやニュースなどでも耳にしたことがあるかもしれませんね。
【使い方・例】
- 「5打席連続で敬遠された」という事実にふさわしい打者になろうと決めた。
- 申告敬遠が今季から導入されたが、今まで通り4球投げて敬遠することもできる。
- 前打者が敬遠されて、ゲームがより一層エキサイトした。
野球用語としての『敬遠』の使い方は「故意的に四球する」と言う意味でしか使われませんので、意味を覚えたら間違った使い方をすることはないでしょう。
『敬遠』の由来や語源とは?
『敬遠』という漢字や意味は知っていても、この言葉の由来や語源まで知っているという人はなかなか少ないと思います。
今回はこちらで『敬遠』という言葉の由来や語源を紹介していきます。
『敬遠』の由来とは?
『敬遠』の由来は、中国の『論語』という書物にある「敬鬼神而遠之(鬼神を敬して之を遠ざく)」という言葉から来ています。
この言葉は「鬼神(死者の御霊や超自然など)に対しては敬意を表しつつも、生活から遠いところに置いて、あまり深入りはしない」という意味です。
『敬遠』の漢字の由来と語源とは?
『敬遠』という漢字をひとつずつ分解して見てみましょう。
【敬】という漢字の由来
- 鬼神に対して敬意を表すこと。
【遠】という漢字の由来
- 鬼神から遠く離れること。
この『敬遠』という漢字は由来となる意味が先にあって、そこから生まれたのですね。
『敬遠』の類語や反対語を紹介!
多くの言葉は似た意味を持つ類語や反対の意味を持つ反対語がありますが、この『敬遠』という言葉もまた、類語や反対語があります。いくつか例を挙げて、意味を紹介していきたいと思います。
『敬遠』の類語
『敬遠』と似た意味を持つ類語にはどのような言葉があるでしょうか。よく耳にするような言葉が並んでいると思います。『敬遠』の類語は、人間関係において使われることが多い言葉になります。それでは、意味も合わせて紹介します。
遠慮する
『敬遠』の類語の1つ目は、『遠慮する』です。
意味は「相手に配慮しつつ、断ること」です。この「相手に配慮しつつ」というところがポイントですね。『遠慮する』と同じような意味を持ち、相手に配慮しつつ断る時に使う言葉として、「身を引く」「辞退する」「丁重にお断りする」などが挙げられます。
仲間はずれにする
『敬遠』の類語の2つ目は、『仲間はずれにする』です。
意味は「集団の協調から除外して扱うこと」を指し、同じような意味を持つ言葉には「のけ者にする」「除け者にする」「仲間に入れない」「ハブる」という言葉があります。『敬遠』は「相手を敬う素振りを見せつつ、関わらない」という意味なので、この『仲間はずれにする』という言葉は、相手を敬う素振りすら見せない、という意味になります。
煙たがる
『敬遠』の類語の3つ目は、『煙たがる』です。
意味は「人やその行為を不快に思って、遠ざけようとすること」です。「煙たく思う」「疎む(いと・む)」「忌み嫌う(いみ・きらう)」という言葉も同じような意味になるので、これらに言い換えることもできます。
一歩引く
『敬遠』の類語の最後は、『一歩引く』です。
意味は「物理的、または精神的な隔たりを置くさま」を表しています。同じような意味の言葉には「引いて眺める」「距離を置く」「疎遠になる」という言葉が挙がりますので、これらの使い方に言い換えることもできます。
特定の人を対象として、自分との位置関係(人間関係)をイメージすると分かりやすいかもしれませんね。
『敬遠』の反対語
『敬遠』と反対の意味を持つ反対語にはどんな言葉があたると思いますか?日常でもよく耳にする言葉が『敬遠』の反対語となります。意味も合わせて紹介します。
親近
『敬遠』の反対語は、『親近(しんきん)』です。
意味は「親しくすること」「親しく近づくこと」「近い関係、または身内であること」を表します。『親近』の使い方としては、よく耳にする言葉ではありますが「親近感を抱く」「親近感が湧く」と言う言葉があります。
この意味は、たとえ身近な関係でなくても、その相手が自分と身近な存在であると認識、または錯覚することを言います。親近感の湧く人は一緒にいて落ち着きますよね。
『親近』の他に『敬遠』の反対語として挙げられる言葉は、『敬遠』の類語で挙げた多くの言葉を否定の形にするものです。例えば、『敬遠』の反対語には「敬遠しない」があたるように、類語の言葉に「〜ない」「〜しない」を付けます。順って、「避けない」「面倒臭がらない」「嫌がらない」「厭わない(いと・わない)」などという言葉も反対語になります。
『敬遠』の英語表記は?
『敬遠』を英語で表現すると、どのように言うことができるでしょう。
一般的な意味として『敬遠』を捉えた場合と、野球用語としての『敬遠』は別の英語単語で表すことになります。
Avoidance
1つ目のこちらが、一般的な意味合いとして捉えた『敬遠』の英語表現です。
Avoidance(読み方:アヴォイダンス)
【使い方・例】
- Avoidance of excessive alcohol intake. (意味・訳:過度のアルコール摂取を控える。)
- Tax avoidance should be impeached severely. (意味・訳:租税回避行為は厳しく注意されるべきだ。)
Intentionally walk
2つ目のこの英語表現は、野球用語としての『敬遠』を英語で表現する場合です。
Intentionally walk(読み方:インテンショナル・ウォーク)
【使い方・例】
- He drew an intentional walk. (意味・訳:彼は敬遠で歩かされた。)
- He gave a batter an intentional walk. (意味・訳:彼は打者に敬遠の四球を与えた。)
敬遠の正しい意味を学ぼう!
『敬遠』という言葉の意味や使い方、由来や語源、合わせて類語や反対語、英語での表現まで解説してきました。
時代の変化によって、意味が変わってしまう言葉も存在しますが、『敬遠』という言葉は比較的昔からの意味を残したまま、現代でも使われていますね。但し、「(対象となる)人や物事を敬いつつ」という本来の意味が抜けてしまい、「(人や物事を)厄介者扱いする」という意味で『敬遠』が使われているケースもしばしば見られます。
正しい意味や使い方をマスターして、日常会話の中でもスマートに『敬遠』という言葉が使えるといいですね。