2021年03月30日公開
2021年08月13日更新
飼育員がライオンに噛まれる!那須サファリパークのライオン事件の概要
1997年11月某日、栃木県那須郡に位置する那須サファリパーク「ライオン事件」とは、那須サファリパークで飼育員が世話をしていたアフリカライオン(雌14歳)に襲われ頭や腹を噛まれた事件の事です。今回はその事件について、ご紹介していきます。
悲劇!那須サファリパークのライオン事件
動物と触れ合う場所として、子どもから大人まで人気のサファリパークで衝撃的な事件が起きていたことをご存知でしょうか。1997年、那須サファリパーク(なすサファリパーク)で、ライオンに飼育員が襲われてしまうという事件が発生しました。この記事では、その那須サファリパークで起きてしまった「ライオン事件」についてご紹介していきます。
那須サファリパークとは?
まずは、那須サファリパークについてご紹介しましょう。那須サファリパークは、栃木県那須郡那須町の動物園です。1980年に開設した那須サファリパークは、今年で設立37年を迎えます。現在でも、人気スポットとして観光客に愛されているサファリパークです。ちなみに、日本では現在10ヵ所のサファリパークがあります。
サファリパークの最大の魅力は、動物たちが自然に近い状態で飼育されており、訪問者たちは車で園内を回りながら動物に触れあうことができます。目の前で見るキリンやライオンは迫力があり、スリル満点のアトラクションです。しかし、危険も多いのが問題視されていて、過去に飼育員や観光客が動物に襲われるといった事件が多発しています。
事件発生
動物による人間を襲う事件は日本各地で起きていますが、那須サファリパークでも同様に従業員がライオンに襲われています。当時は、メディアでも話題になっていたので覚えている人も多いでしょう。通称那須サファリパークの「ライオン事件」は今から20年前の1997年まで遡ります。
1997年11月25日、午前11時15分頃、事件は起きてしまいました。当時、那須サファリパークで飼育員として働いていた内山泰希さん(21)が園内のライオンに襲われ、鋭い爪で肺に達するほど深い傷を受けるのでした。内山さんはそのままライオンに食べられそうになるも、なんとか一命を取り留めることができました。
飼育員とライオン
飼育員の内山さんを襲ったライオンは、14歳のアフリカライオンのメスライオンでした。実は、このライオンは内山さんが3年もの間育ててきたライオンでした。内山さんは、自分が一生懸命育ててきたライオンに食べられそうになってしまったのでした。なんとも悲劇的な話です。那須サファリパークでは、これ以外にもライオンが飼育員を襲う事件が起きています。
事件当時、ライオンの檻を清掃していた内山さんは一人だけでしたが、通常は二人一組で清掃をするのが鉄則です。もう一人はちょうど実習生に説明をしていたので、運悪く内山さんが一人の時にライオンが檻に入ってきてしまった次第です。これは事前に防ぐことができなかったのでしょうか。
襲われた従業員の容態は!?
ライオンに襲われた内山さんは、奇跡的に全治2ヵ月の重症で無事に生還しました。獰猛な肉食動物に襲われたら、誰もが死を感じずにはいられないでしょう。内山さんは、本当に恐ろしい思いをされたでしょう。他の事件では、ライオンやトラに襲われた人が死亡する例も多々あります。サファリパークで動物と接するときは、細心の注意が必要だとあらためて教えられた事件でした。
ライオンの檻の清掃
なぜ、「ライオン事件」は起きてしまったのでしょうか。その原因を探るために、まずはライオンの檻の清掃についてご紹介しましょう。先述したように、基本的にライオンの檻の清掃は二人一組でやります。実は、ライオンのいる檻は別室とつながっており、清掃時はライオンたちをその別室に移動させます。無人になった檻に清掃が入っていき、檻の清掃開始です。
ライオンたちは、自分たちでも清掃時は別室に行かなくてはいけないと分かっています。それでもすんなり移動しない場合は、餌でおびき寄せたり、水を撒いたりしてライオンを別室に移動させます。当然、ライオンたちが別室に入れば、檻との扉を施錠します。飼育員が襲われたのは、何かしらの理由でライオンが檻の中に入ってこられたと考えられます。
事件の原因は!?
那須サファリパークの「ライオン事件」の原因は具体的には明かされていません。なぜ人間が襲われてしまうのでしょうか。管理体制や飼育状況が問題だったのか、そもそも人間がライオンを手なずけるのは不可能なのかと疑問は残ります。
ライオンの檻の清掃をする際は、ライオンがいる状態で清掃するのは自殺行為とされています。特別な技術がない人間がライオンに近づくことは危険です。ライオンの生態に詳しい動物研究家・パンク町田氏によると「慣れているライオンは、人のことが怖くないので襲う」と言及しています。
ライオンに襲われた内山さんは、3年間飼育員を務めました。ライオンの恐ろしさは十分熟知していたはずです。やはり、管理に甘い部分があったのでしょうか。いずれにしろ、檻に錠がかかっていなかったのは事実です。
ライオンの生態に詳しい動物研究家・パンク町田氏によると「慣れているライオンは、人のことが怖くないので襲う」
那須サファリパークで起きたもう一つの「ライオン事件」
2000年の事件
1997年の「ライオン事件」の被害者、那須サファリパークの飼育員だった内山さんは、重傷を負うも幸いなことに命に別状はありませんでした。これで事件が終われば申し分ないのですが、悲劇は再び繰り返されます。2000年、那須サファリパークでは再び飼育員がライオンに襲われる事件が起きています。
状況は前回1997年の時と同じです。那須サファリパークに勤める男性飼育員が檻の清掃をしていたところメスのライオンが侵入してきて、男性の腹部や頭を噛み、男性は重症を負ったのでした。前回の事件と全く同じ状況です。那須サファリパークは、過去の過ちをわずか三年で繰り返すのでした。これでは、管理体制にも疑問が生じてしまいます。
ライオンに襲われる飼育員の幻の映像
少し前までYouTubeでも視聴できたのですが、実はこの男性飼育員がライオンに襲われる映像が世の中に出回っていた時期があります。当時、たまたま那須サファリパークに訪れていた客がホームビデオで撮影した映像です。その映像には、人間が生きたままライオンに食べられ、断末魔を上げていた悍ましい映像でした。傍には何もできずに泣きじゃくる女性従業員がいました。
この衝撃的な映像は、なんとニュースで流されました。その後、ネットに拡散したのですが、今ではその映像を見ることは難しい状況です。もしも自分が偶然訪れた動物園やサファリパークで、人間が動物に襲われている光景を目撃したら撮影なんてできるのでしょうか。現在は見れないということは、この映像に対する非難の声が上がったことは確かでしょう。
サファリパークは危険じゃないのか!?
答えは明白です。サファリパークはとても危険な場所です。那須サファリパーク以外でも、動物に人間が襲われる事件は起きています。しかしながら、あくまで自己管理のため、自分の身は自分で守るしかありません。動物だからといって、一瞬でも油断をすれば命に関わる大惨事になってしまう前に最善の注意を払うようにしましょう。
1997年に那須サファリパークとは別のサファリパークで起きた事故の話です。来園者が不注意で園内で車から降りた際に、トラに襲われて死亡する事故がありました。この場合、完全に責任は車から降りた来園者にあります。よって、襲ったトラに対する処分はなしです。動物園やサファリパークの動物は、一匹数百万円もする動物のため、処分されることもありません。
サファリパークが抱える課題
那須サファリパークの「ライオン事件」はずいぶん前の話になりますが、それ以降も動物が人間を襲う事件は各地のサファリパークで起きています。何か対策は立てられないのでしょうか。サファリパークの安全性がさらに厳しく問題視されれば、サファリパークの存続にも関わります。サファリパークには、安全性の確保が課題となっていることは疑いないでしょう。
サファリパークでは、動物たちの自然を垣間見る絶好の機会です。危険はありますが、それ以上に動物たちと触れ合うことのできる貴重な場です。そこで味わえる素晴らしい経験を、私たちは後世にどう伝えていけるのか真価が問われます。