『分不相応』の意味や使い方!分不相応な人の特徴や具体例も!
分不相応という言葉は最近はあまり日常では聞かなくなりました。しかし婚活や就職など人生の大事な場面に関わってくることの多い言葉です。いざというときに理解できずに分不相応な行いを咎められないように、正しく理解して上手に立ち回りましょう。
目次
『分不相応』の意味とは?
「分不相応」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?生活のなかではあまり使う言葉ではありませんが、小説やドラマなどで使われることもあります。見たり聞いたりしたときにすぐに意味が頭に入るように分不相応とはどういう意味なのか、どう読むのかを知っておきましょう。
『分不相応』の読み方とは
分不相応の読み方は「ぶんふそうおう」です。少し言いにくい読み方ですが、「ぶん・ふそうおう」という風に区切って読み方を覚えると言いやすいのではないでしょうか。言葉として発音しにくい読み方なので、舌がもつれてしまわないようにゆっくりと発音するとはっきりと聞き取りやすくなります。
『分不相応』の意味とは
分不相応の意味は、辞書によると身分や地位を基準としてその人のあり方を否定する言葉となります。現在はあまり身分や地位について考えることはありませんので、少し古い言い回しと言えるでしょう。最近では主に経済面を基準に使われることが多いようです。
身分や地位などを越えていることを意味する語。特に必要以上に贅沢なことについて言う表現。
「分相応」は能力や地位や身分などに相応しいことを指す表現で、「分不相応」は、それを否定した形の言い回し。
『分不相応』の使い方と例文
- 隣の奥さんはパートで生計を立てているのにブランドバッグを持っていたけど分不相応じゃない?
- 格式ある家柄の彼と付き合うのは、サラリーマン家庭の私には分不相応かもしれない。
- うちの息子はまだ20代なのに分不相応に一戸建ての家を建ててしまって心配です。
分不相応の使い方としては他人を非難する場合と、自分や身内を卑下するまたは謙虚さを見せる場合の表現があります。他人に使用するよりも自分から一歩引いてみせる使い方をするほうが当たり障りはないでしょう。
『分不相応』は第三者の価値観によって使われる言葉
分不相応とはその人の分を越えるものを得ようとすることを咎める言葉ですが、その分と呼ばれる身分や地位などの価値観は主観によって測られます。つまりほとんどは第三者の価値観で勝手にふさわしくないと思われてしまって非難されるのです。第三者から見たあなたの生活に不安や心配があったり、逆に贅沢をしていると妬まれたりやっかみを受けたりした場合に使われるのが分不相応という言葉です。なかには完全にとばっちりのような羨ましい気持ちや不快という感情から分不相応と言われてしまう場合もあります。
『分不相応』な人の特徴とは?
他人から分不相応だと見られてしまう人には特徴があります。本人には自覚がなくても生活のなかで見せるちょっとした態度が原因で周囲から分不相応な人間だと思われてしまうこともあります。どういった行動や考え方をすると分不相応と思われてしまうのか知っておきましょう。
偉そうな態度や物言いをする
偉そうな態度や物言いをする人は他人から分不相応と思われがちです。人はだれでも見下されるのはいやなので、そういう態度を取られるとどうしても反発を覚えます。その反発心が陰口や批判につながるのです。偉そうな人は態度ばかり大きい分不相応な人だと批判されることになります。
見栄っ張り
見栄っ張りな人はあまり経済的な余裕がなくても贅沢な生活をしようとしてしまいます。そういった見栄っ張りは他人の目からはあからさまなので、分不相応と言われてしまいます。本人が思うよりも他人は見ているものなのです。
自慢したい
なんでも自慢したい人がいます。うれしいときに自慢したい気持ちがあるのは普通のことですが、なかには他人よりも優位に立ちたいという気持ちで自慢する人もいます。そういう人は他人にあまりよく思われません。自慢話も鼻につくと嫌われてしまうのです。いつのまにかその自慢が分不相応だと言われる元となってしまいます。
『分不相応』なものの具体例8つ
分不相応と言われてしまうものとして具体的な例を挙げてみましょう。分不相応と指摘されるものの多くは高級なものです。また、他人にとってうらやましいものである場合もあります。一般的に分不相応とされるのはどういうものなのか確認しましょう。
結婚
結婚は今どきではもっとも分不相応という言葉を聞くジャンルと言えるでしょう。特に結婚相談やマッチングなどで頻繁にやりとりされる言葉です。使い方としては「分不相応な高望みはせずにあなたに合った収入レベルの相手を選びましょう」という感じです。結婚は個人と個人の結びつきであると共に家と家の結びつきでもあります。現在ではめったに聞かなくなった家格というものも関わってきます。そのため分不相応な結婚をすると不幸になるとも言われています。結婚は背伸びせずに生活レベルの合った相手とするのが望ましいとされているのです。
生活
生活における分不相応とはどういうものでしょう。生活というものは家族の収入によって成り立っています。それなのに見栄を張って収入よりも上のランクの生活をしようとすると分不相応と見られます。分不相応と見られるだけならまだいいのですが、生活費に困窮して借金を重ねてしまうということになったら破滅しかありません。分不相応な生活は周囲から呆れられるだけでなく自分たちを苦しめる元にもなります。
家
最近は何が何でも一戸建ての家を手に入れたいという人は減って来ているようです。以前は住宅ローンを組んで家を買うのは当たり前でした。仕事の安定がないのに家を手に入れたりするのは確実に分不相応でしょう。また、賃貸でも収入に見合わない家賃の家に住んでしまうと分不相応と言われます。高級マンションなどに無理に住んで結婚生活が破綻してしまっては意味がありません。賃貸の場合は収入の3分の1程度の家賃を目安にして借りるのが分不相応ではない生活と言えるでしょう。
車
車というのは買って終わりではありません。整備や税金などにかなりのお金がかかります。新車を購入するとそれだけでひと財産と言えます。ましてや高級車を買うとなると、家庭によっては年収を越えてしまう場合もあるでしょう。そこにさらに維持費となると、よほどの収入がなければ持ち続けるのも苦労することになります。そういった収入に見合わない車を持っていると分不相応と言われることになります。
腕時計
病刻みで働く社会人にとって、腕時計は必需品と言えるでしょう。また、腕時計は実用品でありつつステータスシンボルでもあります。特に男性にとって、いい腕時計を持つというのは誇らしいものです。しかし会社に入りたての新人が何十万円もするブランド時計をはめていたら職場の仲間に分不相応と思われてしまいます。腕時計はステータスシンボルであるからこそ本人にふさわしいものを持つべきです。
仕事
仕事で分不相応という言葉が出る場合、そのほとんどは能力についての指摘として使われます。とは言え、すでにその仕事をこなしている人に対してはあまり分不相応という言葉が使われることはありません。たとえば成績が悪くとても志望校に入れないのに、医者や裁判官などの高い能力が必要とされる職種を望んでいると言えば分不相応と止められるはずです。仕事の分不相応というのは、多くは希望する際に周囲から能力が足りないという意味で使わることが多いのです。
会社
会社にはいわゆる一流企業や二流企業などのように社会的な格付けがあります。もし高卒で一流企業に入りたいと言ったなら分不相応と言われてしまうでしょう。実際に入った後でも、一流企業では出身大学ごとに派閥が作られていることがあり、周囲に馴染めなくなってしまいます。会社選びにも分不相応かどうかのチェックは欠かせないのです。
夢
夢というのは本来自由なものです。しかしそれを他人に語るとき、相手があなたとその夢を比べて分不相応だと評価してしまうことがあります。特に多いのが華やかな未来を夢に描く場合です。大金持ちと結婚したいとかハリウッド女優になりたいと夢を語ったりすると、特に身近な人から分不相応と言われてしまうことがあります。先に語ったように夢は自由です。そして可能性はどのようなときにもあります。分不相応と言われたら、逆に奮起するぐらいの気持ちでいるのがおすすめです。
『分不相応』の類語
分不相応の読み方や意味や使い方については理解出来たのではないでしょうか。次に分不相応という言葉の類語も知っておくとさらに応用が広がります。分不相応という言葉では少し硬いなと思ったときに類語で表現することもできます。ぜひ覚えておきましょう。
「身分・身の丈に合わない」の意味
分不相応の類語のなかで身分や身の丈に合わない場合に使う類語をご紹介します。まずは「不釣り合い」です。読み方は「ふつりあい」となります。比較するものの釣り合いが取れない場合に使われる言葉です。結婚などの際に「あのお二人は不釣り合いね」などのように使われます。次の類語は「身分不相応」です。これは分不相応の狭い意味になります。読み方は「みぶんふそうおう」です。分不相応よりも身分がふさわしくないということをより強調する言葉です。昔の平民と貴族のようにそれぞれのらしさ求められる環境でそこから外れた振る舞いをすることを咎める場合に使われます。
「態度・望みが実力に合わない」の意味
分不相応の類語で態度や望みがその人の実力に合わない場合に使うものには、「身の程を弁えない」という言葉があります。読み方は「みのほどをわきまえない」です。その人の実力が不足しているのに偉そうに振る舞ってしまったり、分を越えた高望みをしてしまった場合などに使われます。
「実力が立場に合わない」の意味
実力が立場に合わないという意味の分不相応の類語には、「身に余る」という言葉があります。読み方は「みにあまる」です。映画などで臣下が王様に褒美をもらったりした場合に「身に余る光栄です」などと言ったりするように、自分の立場に合わない過剰な評価や物品を手にしたときなどに使われる言葉です。主に謙遜に使われます。同じような類語に「過分な」というものもあります。読み方は「かぶんな」です。褒められたときに「過分なお言葉をいただきました」と、褒めすぎですよという意味を込めて使ったりします。
『分不相応』の対義語
分不相応の対義語も覚えておきましょう。分不相応の反対の意味を持つ対義語を覚えておくと言葉の応用が一気に広がります。
『分相応』
分不相応という言葉自体が「分相応」の対義語として誕生した言葉です。分相応は「ぶんそうおう」と読みます。その身分や立場にふさわしい振る舞いをしたり持ち物を持っているという場合に使う言葉になります。例文としては「あの奥さんは分相応の振る舞いを心得ているね」などのように他人を評価する場合に使う言葉です。
『相応しい』
「相応しい」という言葉は普段からよく使用されています。読み方は「ふさわしい」です。分不相応が立場に見合わないものを得ているという意味の言葉であるのに対して、相応しいという言葉はその人にちょうどいいとかぴったりであるという意味になります。
『身の丈に合った』
「身の丈に合った」という言葉の読み方は「みのたけにあった」です。身の丈というのはその人の身長を意味する言葉なので、狭い意味で言えば背の高さに合っているという意味を持ちますが、広い意味ではその人に合っているということを表現する言葉です。無理をすることを背伸びしていると表現することがありますが、その逆の意味になる訳です。同じように分不相応とも反対の意味になります。
『身分相応』
「身分相応」は「みぶんそうおう」と読みます。分不相応の派生元である分相応の本来の意味が身分相応でした。身分にふさわしい行いや持ち物などを指す言葉です。少し狭い意味での分不相応の対義語になります。
『分不相応』を表すことわざ3つ
普段使われることわざのなかにも分不相応と同じ意味を持つものがあります。ことわざは比喩的な表現としてイメージしやすいため、会話のなかで使うと分不相応という言葉よりも聞いている相手に理解してもらいやすいという利点があります。分不相応を言い換えて表現したいときなどに使ってみましょう。
「豚に真珠」
「豚に真珠」は、価値が理解できない者に高価なものを与えても無駄であるという意味のことわざです。もともとは聖書のなかに出て来る表現でした。身を飾るということをしない豚にとって真珠はその辺の石と同じ価値にしか感じられません。心を込めて贈っても何の感銘を受けてくれないのです。つまり分不相応ということです。
「猫に小判」
「猫に小判」も豚に真珠とほとんど同じ意味です。猫にとって小判はきれいだけど食べられるものではなくあまり価値が感じられないものです。人が猫にお礼をしようと思って小判を与えても全く喜ばないでしょう。もしお礼をするなら猫にとって価値があるものを贈る必要があります。つまり猫に小判とは貴重なものを無駄にすることを意味します。分不相応とかなり近い意味です。
「馬の耳に念仏」
念仏というのは、死後人の魂が救われるという教えのことです。しかしそんなことを馬に語っても人間の言葉がわからない馬には何のことかわかりません。つまり「馬の耳に念仏」ということわざは、高尚な考えでも理解できない相手にとっては無価値であるという意味で使われます。限定的な場面で分不相応と置き換えできることわざです。
【番外編】『分不相応』の英語表現
英語で「分不相応」を表現する言葉はいくつかあります。そこで分不相応と同じ意味を表現するシチュエーションごとの言葉をご紹介します。まずは「分不相応なぜいたくをしている」は"He lives above his means."となります。さらに「あなたは私には分不相応な相手です」は"I am not right for you."と表現できます。そして「決して分不相応な生活をしないようにとあなたに勧めます」は"I advise you never to live beyond your income."となるのです。参考にしてみてください。
『分不相応』の意味や使い方を正しく理解しよう
分不相応という言葉は最近はあまり耳にしなくなりましたが、場面によっては必要となることもあります。簡単に言ってしまえばふさわしくないという意味ですが、指摘される人の立場やものの考え方を含ませて自重をうながすように使われることが多いため、そういう含みを理解することができると対人関係を円滑にすることもできます。言葉を正しく理解して上手に使っていきましょう。